テスカトリポカ

著者 :
  • KADOKAWA
4.03
  • (157)
  • (205)
  • (99)
  • (19)
  • (2)
本棚登録 : 3030
感想 : 232
  • Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041096987

作品紹介・あらすじ

メキシコのカルテルに君臨した麻薬密売人のバルミロ・カサソラは、対立組織との抗争の果てにメキシコから逃走し、潜伏先のジャカルタで日本人の臓器ブローカーと出会った。二人は新たな臓器ビジネスを実現させるため日本へと向かう。川崎に生まれ育った天涯孤独の少年・土方コシモはバルミロと出会い、その才能を見出され、知らぬ間に彼らの犯罪に巻きこまれていく――。海を越えて交錯する運命の背後に、滅亡した王国〈アステカ〉の恐るべき神の影がちらつく。人間は暴力から逃れられるのか。心臓密売人の恐怖がやってくる。誰も見たことのない、圧倒的な悪夢と祝祭が、幕を開ける。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 海外の翻訳小説を読んでいるようだった。
    正直、読むのにエネルギーが必要だった。…つかれた。笑

    こんな暴力以上の暴力の描写のオンパレードが直木賞で…いいの…?笑
    とくに序盤、読みながら何度も顔をしかめた。あまりに暴力描写がすぎる。笑

    「死因は失血性ショック死だったが、おそらくその前に恐怖と苦痛で、老作家の心臓は止まったはずだった。おそらくは。調べようにも心臓がなかった。えぐりだされて、胸に穴が空いていた。」(70ページ)

    テスカトリポカとは、「煙を吐く鏡」という意味の、それはそれは恐ろしいアステカの神様の名前だった。そしてーーー。

    恐ろしい描写が多いのは、決して娯楽のパフォーマンスではなくて、血や心臓を神に捧げることでこの世界の安寧を祈る、アステカの儀式が由来していた。

    序盤、顔をしかめながら読んでいたはずなのに、いつの間にかすんなりと「暴力描写」を受け入れている自分に気づく。
    「それ」は、暴力ではなく、崇高な信仰のように思えたからなのかもしれない。
    後半、心臓を摘出するシーンは、なんだか神聖なる儀式のように感じてしまった。


    いろいろな組織と、いろいろな人物が絡み合っていた。
    人物には本名と、「あだな」がついており、正直1度読んだだけではすべてを把握しきれなかった。

    児童心臓売買のくだりは興味深く読み進められた。
    尋常じゃないほどの屈強な体だが、天涯孤独で、精神が幼く、ひどく純朴に育ってしまったコシモのたどってきた人生については、同情というか、切なさ、侘しさを感じた。
    環境が少しでも違えば、コシモは優秀なバスケットボール選手にも、素敵な職人にもなれたはず…。

    こんなに暴力描写のオンパレードなのに、読後感は切なさと侘しさでいっぱいになる不思議。

    クライマックスの時期は2021年8月で、今よりほんの少しだけ先の未来で、臨場感があった。
    この本の世界を1番味わえる旬は、まさにいまだと思う。
    いまの時期に読めてよかった。

  • 読んでいる間、
    メルギブソンの映画『アポカリプト』のシーンが
    頭の中で再生されまくった。
    とても面白いクライムもの、暴力と血と麻薬と殺人と信仰。さすが受賞作。P553のグランドホテル型ハードボイルドで、登場する人物一人一人の書き込みがとてもいいヴォリュームで満足感がある。個人的にはバルミロ視点で読む傾向になった、バルミロがどう死ぬのかを考えつつ読み進める。物語はコシモの母親の話で始まるので、主はコシモの物語だろうかと感じる。最近読んだ、ダレンシャンのthe CITYを思い出させる、が、全く違うんだが、アステカと組織の雰囲気がにさせるのかと思う。一番嫌なのが末永、こういうタイプは虫唾が走る。読了感はかなり良い。
     ともかく、麻薬、臓器売買、殺人などを扱った、いわゆるクライムのジャンルで、描写もグラフィック。社会問題がたっぷり盛り込まれていて、かなり満漢全席ではあるが、頃合いなヴォリュームでうまく纏まっている。

  • オリンピックのために来日、失踪したウガンダの選手が
    一昨日四日市で発見保護され、昨日無事帰国の途についたということで、安心しました。
    この数日、暇さえあればこの『テスカトリポカ』を読んでいた私、
    「悪い人に言葉巧みに誘われ利用されるのではないか」と心配してしまったので。

    まあ、そんなことは滅多にありませんね。
    これはフィクションです。
    川崎はとても平和な街ですよ。
    (たとえば溝口緑地には島崎藤村が書いた国木田独歩碑があり
    昼間は保育園の子供たちが遊んでいます)

    でも膨大な資料を基に作られ、まるでノンフィクションのようなこの作品、一冊書き終えるのに物凄い労力を費やしたのでしょう。
    一週間前に発表された直木賞、そういう部分が評価されたように思えてなりません。

    今回私としては珍しく候補作を二冊読んでいました。
    『星落ちて、なお』『スモールワールズ』
    どちらも受賞するといいなと思っていました。

    『テスカトリポカ』は「ところどころ滅茶苦茶面白い」
    特に2021年8月のところなんて、
    「いままで頑張って良かった」と思いました。

    頑張った……そう、すごい労力を費やしました。
    「じかんがほんをよんでいる」
    コシモの哲学を借りれば。

    直木賞受賞作でなければ、絶対読まなかったでしょう。
    もし私が選考委員だったら、やはり
    『星落ちて、なお』『スモールワールズ』を選んだと思います。

    今は早々と夏休みの宿題を終えたみたいな
    (子どもの頃は8月末、下手すると9月に終了させていた私)
    達成感はあります。

  • 物語と時間をめぐる究・極対談――佐藤究×京極夏彦 特別公開! | カドブン
    https://kadobun.jp/feature/talks/bxo1s6yh0o0g.html

    テスカトリポカ 佐藤 究:文芸書 | KADOKAWA
    https://www.kadokawa.co.jp/product/322003000419

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      『テスカトリポカ』 | 英国アート生活
      http://loki-art.jugem.jp/?eid=2059
      『テスカトリポカ』 | 英国アート生活
      http://loki-art.jugem.jp/?eid=2059
      2021/06/14
  • 圧倒的バイオレンス小説。
    メキシコで兄弟、妻、子どもを敵カルテルに殺された麻薬密売人のボス、バルミロと、両親を殺してしまった少年のコシモ。
    思いがけないふたりの出会い。そしてそのつながりはどんどん強くなってゆく。
    生と死が薄皮一枚で隔たれた極限の世界で、自身の救いを何に求めるのか。信仰か、教えか、教典か……
    そして信じたものに裏切られた時、人は獣の様相を見せる。
    あまりにもグロテスクゆえに受賞を問題視された直木賞受賞作品!

    おすすめです。

    「私が求めるのは憐れみであって、いけにえではない」

  • まるで映画を観ているような仕上がり。
    序盤に舞台が日本になった時は、南米らしくなくなるのかと思いきや、ちゃんと回収されていきました。
    ゴッドファーザーを彷彿させるハードボイルドなストーリー展開。息つく暇もありません。

  • 最初はどんどん登場人物が増えていく感じで、覚え切れるか不安でした。
    壮大なスケールの物語でした。ラストは良かった。

    ラスト近くで明かされるアステカの神の正体。この部分は痺れました。

    暴力的なシーンもアステカの話があったので、読めないとはならなかったのが良かったです。

  • こんなに厚くて内容もハードで大丈夫か私?と思ったのも束の間。読み始めたらどんどん引き込まれていった。少し前に麻薬カルテルの話を読んでそういう世界のことが少しは理解できていたせいか。また登場人物が生育歴なようなものから描かれていて感情移入しやすかった。残酷な描写が多いのにアステカ儀式の重要性が前提にあるせいか暴力性を感じさせないから不思議な感じでした。とても興味深く読みました。

  • この本は、直木賞と山本周五郎賞を受賞した作品です。
    この本は、重厚な厚みがあり、登場人物もめちゃくちゃ多いので、少しづつ読むと、内容がわからなくなりそうだったので、一気に読みました(汗)
    世界中の様々な「悪者」が登場し、暴力シーンの描写が生生しく、映画になりそうな内容でした。

    ぜひぜひ読んでみてください

  • ものすごくタフな作品。とても丁寧で細かな筆致に驚かされた。登場人物のセリフは比較的少ないが、心理描写が豊富なので引き込まれた感がある。内容は極めて暗黒小説っぽいのだがコシモの純粋さが淀みそうな空気を吹き飛ばしてくれて読後感はそれほど悪くはない。ただアステカの宗教が難しく噛み砕ききれない部分はある。

全232件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1977年福岡県生まれ。2004年に佐藤憲胤名義で書いた『サージウスの死神』が第47回群像新人文学賞優秀作となりデビュー。2016年『QJKJQ』で第62回江戸川乱歩賞を受賞。2018年、受賞第一作の『Ank:a mirroring ape』で第20回大藪春彦賞および第39回吉川英治文学新人賞のダブル受賞を果たす。2021年『テスカトリポカ』で第34回山本周五郎賞を受賞し、第165回直木賞候補作になる。

佐藤究の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
伊坂 幸太郎
辻村 深月
川越宗一
恩田 陸
馳星周
朝井 リョウ
ピエール ルメー...
恩田陸
劉 慈欣
有効な右矢印 無効な右矢印
ツイートする
×