CAボーイ

著者 :
  • KADOKAWA
3.64
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本棚登録 : 331
感想 : 41
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041097700

作品紹介・あらすじ

男性客室乗務員をめざす高橋治真(はるま)。
彼には夢と、秘密があった――。

『校閲ガール』の著者による
笑えて泣けるワーキング・エンタメ、最新作!

===
 外資系ホテルで敏腕ホテルマンとして働いていた入社5年目の高橋治真(たかはし・はるま)。彼には、長年胸に秘めていた夢があった。「パイロットになりたい」――。その夢に近づくべく、治真はNAL(ニッポンエアライン)のCA採用試験を受ける。CA配属ではあるが総合職としての募集で、数年勤務した後、希望の部署へ異動できる可能性に賭けたのだ。見事試験に合格した治真は、同期の女性たちと共に訓練期間に入る。
 実は治真には秘密がある。治真の父は、かつてNALで航空事故を起こし引責したパイロットだったのだ。けれど、その事件にはおかしなところがあった――。素性を隠し、有能な男客(ダンキャク。「男性客室乗務員」の略。業界用語)としてスタートを切った治真だったが……。
 先輩CAの紫絵(しえ)、治真に一目ぼれしたグランドスタッフの茅乃(かやの)、指導教官のオブライエン美由紀など、個性豊かなキャラクターたちが「それぞれの大事なもの」に向かって躍動するワーキング・エンタメ!

感想・レビュー・書評

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  • タイトルからして「校閲ガール」の姉妹本ならぬ姉弟本?と思いながら読み始めたらいきなり「校閲ガール」のドラマネタが入って来た!

    訳あってパイロットの夢を断念した治真は高級ホテルで五年間働いていたのだが、その訳の元である航空会社NALが男性優遇と思われるCAの中途採用募集をしていることを知り応募する。二年間CAとして経験を積めば、適正があれば希望の部署に異動出来るという条件にパイロット再挑戦への一縷の望みを掛けたのだ。

    ファッション誌に行きたくてたまらなくても叶わず校閲部に配属された悦子の設定に似ているような。やはり姉弟本か?
    と思っていたら、中盤まではCAに採用が決まるまでとCAとしての研修の日々の話。同時に治真がパイロットの夢を断念したその訳がだんだんクローズアップされてきて、それもシリアス路線になっていく。おまけに友人が逮捕されその護送フライトを担当することになってしまうという不穏な話になっていくし。

    ただそこは宮木さんらしく、男友達やCA仲間、保安検査員らとの会話ややり取りは時にバカバカしく時に思いやりもありテンポも良い。
    複雑な心理描写も共感や理解を感じる書き方でスルスルと入ってくる。主要人物には嫌な人がいないのに人間らしさや弱さも感じられてリアルなのが良い。
    どこかで読んだ覚えがある鯛焼き屋のオンボロ一軒家も出てくるし、宮木さん好きにはニヤニヤしてしまう。

    高級ホテルで鍛えられてきただけあって外面や接客は満点、パイロットになる夢を持っていただけあって飛行機に関する知識も満点、という治真は端正な顔立ちもあって通常なら嫌味な男になってしまうのに、なぜか憎めない。
    お客様に対してはとことん外面よく振る舞うが、仲間内では思いっきり関西弁だし動揺もするし格好わるいところも見せるし。シューター訓練では自分でもドン引きするほど駄目だったし。
    恋愛要素もちょこっと入ってくるけれど始まったばかりでサラッとしているし、これまた正直さがあって良い。いきなり恋に落ちて…なんて漫画みたいな展開じゃないのが宮木さんらしい。

    パイロットを断念した訳については、この手の明るい方の宮木さん作品にしては珍しくかなり突っ込んだ内容で興味深く読んだ。
    全く違う話だが、今村翔吾さんのぼろ鳶シリーズを思い出した。「一人を救うのか、千人を救うのか」という究極の選択をしなければならない時、人はどうするのか。ぼろ鳶の源吾なら「両方救う」と高らかに宣言し実行するのだが、そう出来ない場合もある。そしてどちらを選んでもそこには犠牲があり、その責を追わねばならない。
    末端の人間はその皺寄せを幾ばくか受けることもある一方で無責任な批判をするが、その究極の選択をし続けなければならない立場の人もいるということを改めて知った。どちらの選択をしても批判を受け責任を負い続けねばならない。どちらの立場が良いのかは分からない。

    ただこの顛末についても宮木さんらしくホッとする部分もあるしユーモアも交えている。あまりに社会派に走りすぎるのも宮木さんらしくないし、このくらいがちょうどよい着地点ではないかと思っている。

    ところどころに挟まれるLGBTについても押し付けがましくないのが良い。治真の前職場のホテルでは外資系ということもあって自由度が高いし、現職場のNALも男性CAが今後も増えていくだろう。それは保安要員ということも兼ねているわけで、それが男女平等とかではなくそれぞれの役割分担ということ。

    最終話ではコロナ禍の彼らの話も書かれていた。あとがきによると最終話は3月~4月に書かれていたそうなので、正に感染が再拡大していた頃か。
    航空業界は大打撃だろう。早く収まって治真たちが再び忙しく飛び回る日が戻りますように。

  • 勝手にしっとり宮木さんとリアルで前向きな宮木さんがいらっしゃる気がしている。
    お仕事もので明るい方の宮木さん、今の気分にあってました。
    女性を描くのがとても上手な作家さんと個人的に思っているので、男性主人公が意外でしたがミステリ的要素があり、知ってる人がちょっとでてきたり楽しく読めました。
    キャラがたっていて、心理描写がやっぱり上手だなぁと思う。
    このコロナの中、航空業界は特に前が見えない業界の一つ。いつも夢ばかりでない現実を書いてくださいますが、簡単に前向きなことを言えない現実と、それでも希望を描いて下さった事に感謝。

    ロータスに泊まってみたい。。

    別記あり

  • 軽いノリで読みやすかったです。
    でも軽すぎると感じました。
    エピソードが多くて自分には絞れなかったです。
    誰が主人公なのかなという感じですね。

  • 「校閲ガール」のようなノリなのかと思っていたら、ノリはそうなのかもしれへんけどもう少しヘビーやった。ヘビーというか……? お仕事本やけどドリームを原動力にする衝動だけでないあたりがややヘビーやったかな(校閲ガールに比べての話)。

    理想の職業の根拠がドリームだけじゃないってあたりが、ヘビーというか何というか。
    でも、治真くんがわりとパーフェクトな青年やったので、そのくらいの屈折(?)感はあってくれるほうが読み応えがある。

    途中の重要な情報を箇条書きにしてくるのはちょっとわらけた。ええねんけど、篤弘くん含め、バイクの事故とか、もっと深く書いたら相当込み入った長い小説になりそうやのに、わりとさくさくっとまとめたよね。なんでなんやろ。笑。エンタメ小説やから? いやいやエンタメ小説って何やろ。

    そして終盤に「エッ」てなったなァ。
    わたしはあんまり、コロナ関係が盛り込まれてるフィクションって読みたくなかってんけど、「あー…」てなってしまった。

    実際にくらった出来事がフィクションになってると読むのがしんどいのよね。ちょっと距離があったらええねんけど、フィクションに「どうしようもなさ」とか「やるせなさ」は、まったく求めていないので…。

    特にしんどい業界やもんな。これは書いてる最中に起こったパンデミックなのかと思ったら、あとがきの通り。

    いつか、「こんなこともあったんやなあ」ってなってくれてたらほんまにええね。

    2020年最後に読了したのがこの本になるのか~。すごいオチがきたな。

    コロナには、わたしも大概しんどい目を見たし、来年は同じことになってほしくない。ほんで、まだ、2020年のしんどい目を(カバーできるようなことを)回収できてへん。
    いつか過去のことになったときに、コロナ関係がもりこまれてるフィクションを読むわ。それまでは、まあ、できるなら避けたい。笑

    でもめっちゃ面白かった。著者のウィットにとんだ感じはすごい素敵。関西弁(というかかなりネイチャーな兵庫弁やった)もよかった。面白かった。

    航空業界に挑もうとする人はすごいいいね…。完全な違う世界の人で、すごいなあと思う。


    ところでカドカワブックスってこんな感じやったっけ。ページが白いなあ。きれいな本やった。


    名古屋の喫茶店のボリュームはやっぱり気になるし(笑)、無料で入手できる情報は物事のほんの上澄み、または情報提供者の曲解、脚色、誇張などを包含したものがほとんど、と、いうのは、まさに今年を表してるなあと思った。

  • パイロットの夢に近づくべくCA採用試験を受け、合格した治真。実は彼の父は、航空事故を起こし引責したパイロット。けれど、その事件にはおかしなところがあって…。『カドブンノベル』ほか掲載に書き下ろしを加えて書籍化。

    他の本にあちこちつながりがあってちょっとクスッと笑える。
    ここにもコロナ禍の影が現れるとは…。

  • 元ホテルマンのハイスペアラサーがCAに転職。
    目指せパイロット!的お仕事小説かと思いきや、父が過去に起こした航空機事故や友人の失踪や…と日曜劇場の展開に。
    一気読みしました。
    宮木さんの書く女性たち、あけすけでチャーミングで好きです。

  • パイロットになる夢を諦めホテルに勤めていた治真がCAになる。
    校閲ガールはドラマとして語られつつも登場人物が出てきたり。
    軽く楽しく読めるお仕事小説。
    こちらもシリーズ化を考えているのか
    もっと踏み込めそうなとこをあっさり押さえているとこがちともどかしい。
    [図書館·初読·3月3日読了]

  • 冒頭に「校閲ガール」ドラマが(笑)宮木さんのお仕事小説に出てくるのは、しっかりお仕事ができる人たち。(一部そうでない人が混ざってたけど)こんなふうに仕事ができたらいいなぁ、と思わせる(少なくととも、私にとっては)憧れちゃう人たちばかりです。
    最後が思わぬ展開になったそうですが、すでにあった、もう一つの結末も、見てみたいです。映画か、ドラマでいかがでしょうか。
    イケメン男子4人、キャビンアテンダント、保安係のゆるキャラ癒し系女の子、とくれば、もうドラマ化しかないでしょう!(もうそれしか言ってない)と思うのですが、扱ってる問題が問題だけに、実現は難しいかな。

  • 外資系ホテルで敏腕ホテルマンとして働いていた入社5年目の高橋治真(たかはし・はるま)。彼には、長年胸に秘めていた夢があった。
    「パイロットになりたい」――。
    その夢に近づくべく、治真はNAL(ニッポンエアライン)のCA採用試験を受ける。
    CA配属ではあるが総合職としての募集で、数年勤務した後、希望の部署へ異動できる可能性に賭けたのだ。
    見事試験に合格した治真は、同期の女性たちと共に訓練期間に入る。
    実は治真には秘密がある。
    治真の父は、かつてNALで航空事故を起こし引責したパイロットだったのだ。
    けれど、その事件にはおかしなところがあった――。
    素性を隠し、有能な男客(ダンキャク。「男性客室乗務員」の略。業界用語)としてスタートを切った治真だったが……。
    先輩CAの紫絵(しえ)、治真に一目ぼれしたグランドスタッフの茅乃(かやの)、指導教官のオブライエン美由紀など、個性豊かなキャラクターたちが「それぞれの大事なもの」に向かって躍動するワーキング・エンタメ!

  • 空の仕事、いいな

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著者プロフィール

1976年神奈川県生れ。2006年『花宵道中』で第5回「女による女のためのR-18文学賞」で大賞と読者賞をW受賞しデビュー。著書に『憧憬☆カトマンズ』『帝国の女』『砂子のなかより青き草 清少納言と中宮定子』『手のひらの楽園』『CAボーイ』など。繊細で叙情性あふれる作風と、女性の本音をあけすけに吐露する明るく突き抜けた作風の両方を巧みに駆使する注目作家。13年『セレモニー黒真珠』で第9回酒飲み書店員大賞を受賞。14年『花宵道中』が安達祐実主演で映画化。16年『校閲ガール』が石原さとみ主演で連ドラ化。

「2022年 『明日はきっと お仕事小説アンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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