紙屋ふじさき記念館 物語ペーパー (角川文庫)

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本棚登録 : 273
レビュー : 24
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041097755

作品紹介・あらすじ

名古屋の紙こもの市に出店した帰り、手伝いの百花と莉子は紙の勉強のため、仕事で美濃和紙の産地である美濃市に立ち寄る一成に付いていくことに。そこでは和紙の紙すきを体験したりかつての職人たちの歴史を学ぶ。旅行中の会話で、一成は忙しかった両親に代わり、祖母で前社長夫人の薫子に預けられ面倒を見てもらったことで、彼が紙に対して誰よりも詳しくなり愛情を抱くようになったかを知る。大手製紙企業の藤崎産業は同族会社で、先代の祖父から変わって一成の叔父が現社長になっていた。その息子で一成のいとこ浩介は昔から何かにつけ一成をライバル視して、会社では営業課長として記念館の不要論を唱えていた。「記念館がなくなることをあきらめていたけど、残さなくてはいけないと思うようになった」という一成の言葉を受け、百花も奮起し応援する気持ちになる。

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ2作目。
    シリーズものは続けて読まないと決めているけど、どうしても気になって、2冊続けて一気読み。
    前作では、和紙を使った小物の制作の話が多かったが、今作では美濃を訪れて、和紙漉きの体験を描いたり、百花の亡くなった父の話など、人間模様も描かれる。
    百花の大学の学園祭の様子などもあり、前作とは少し趣向が変わるが、ここでも百花のアイデアで普通の紙に蝋を流して、栞を作成してみたりと、また試してみたくなるようなところも。
    百花が入るまで機能していなかった記念館も、段々記念館らしくなり、日本橋に行ったら、本当にありそうで、ちょっと探してみたくなる。
    そして、続きを早く読みたいと思わせる作品。

  • 日本橋にある和紙の記念館を舞台にした中編集。登場人物はみんな紙が好き、というそれだけで愛おしくなる。紙の小物市や紙アイテム、紙を使った建物の内装など、文章を読んでいるのにそれらの造形が思い浮かびニマニマする。

    ワシは印刷が好きで、フォントと色と紙が好きなんだけど、やはり和紙は別格。たまーに紙の専門店に行って和紙や洋紙を見てはニマニマしているが、小説でその追体験をした気持ちになれた。

    絶妙に日本橋の観光案内にもなっていて、様々な要素を楽しめる一冊。

  • タイトル作が……もう……!

  • 紙の博物館でアルバイトすることになった百花。愛想のない一成と一緒にいるのは気づまりだが、できることを一生懸命やっていく百花。看板を外に出すと、来館者が来るようになった。掃除をするうちに、たくさんの和紙を見て、ますます和紙にのめり込んでいく・・・。
    出会う人が、お父さんの小説のファン率が高すぎてちょっと不自然に思ってしまったけど、その物語からもいろいろなものが生み出されていく。
    百花があれこれ作ってみる、その手触りが伝わってくる。頭の中だけで考えたものではなく、実際に作ってみることで生まれる和紙のリアル。
    百花が将来何を選択するかも気になるが、地図や立花ゼミの出現も、気になる。いとこがいる本社との絡みも後を引きそう。シリーズはまだ続くので、その後も楽しみ。

  • 中盤、終盤あたりから、百花の和紙に対する想いや熱量が急に増えた気がした。
    書店との絡みは楽しみかも。

  • 作品中に出てくるお店では本当に散財させられます。
    藤崎が存在したら貢いじゃうかも。

  • 続編刊行、非常に嬉しかった!
    前作も非常に丁寧に描写されていた印象があったが、今回も丁寧に綴られた物語だった。
    百花のバイト生活も、大学生活も、日常生活の描写にも手を抜かない。
    その分、登場人物も増えるが、百花がこうやって生活しているんだということがリアルに感じ取れて、本当にいいと思う。
    だからこそ、和紙の大切さにも説得力が増すと言うか。
    和紙の話以外の部分も丁寧に描写されているからこそ、和紙の特別さ、大切さがより際立つし、驚きや感動もより一層強く感じられるのだと思う。
    百花がちゃんと物語の中で生きているから。
    読者と同じように。
    この説得力の高さよ。

    丁寧に描いているからこそ、この一冊だけでは終わらない話もちらほら。
    例えば、shizukuのパッケージの件。
    パッケージ自体は決まったが、そこからの反応については、この一冊では語られていない。
    そこまで時間は進んでくれなかった。

    また、館長といとこの確執についても、まだ序の口と言った部分で、和解にまでは勿論至らない。
    shizukuの件にも関わってくるが、この辺りの決着も見たいところ。
    そう、明らかに続編ありきの書き方だったように思う。
    これは3冊目出ますな。

    今回は美濃和紙の紙漉き体験に、色々な種類の和紙の作り方が見えてきたのも面白かったし、「紙の絵本」「光の和紙」など気になる単語も登場して、その度に胸躍った。
    最後の話も「物語ペーパー」もいい!
    作り方もよかったが、百花のお父さんの物語がここでも活きてきて、百花が父の物語を文字起こししながら父のことを思い返したり、母と二人で思い出に浸るところも涙腺崩壊。
    ますます『屋上の夜』が読みたくて仕方なくなった。
    きっと『屋上の夜』本文も、作者さまはきっちり書いた上でこの話を書いているのではないかなと思う。
    日常描写にも手を抜かない人なので。
    いつか、『屋上の夜』本編をまるっと読める機会があればいいなと切に願っている。
    1巻でも似たようなこと書いた気がするが、それだけ魅力的なので。

    そんな「物語ペーパー」のきっかけとなってくれた綿貫先輩もいい人そうだし、お店の雰囲気も良かった。
    博物館からネットワークが広がっていっているのもいい成長。
    百花自体が成長しているから。
    これから彼女がどう和紙の世界と関わっていくのか、この先も非常に気になるシリーズだし、追いかけたいシリーズである。

  • ディープな和紙の世界と伝統工芸の復興がテーマなんだろうが、用語を検索しながらでないと想像しにくい。
    第一話読み途中。ほっこり女子旅研修旅行なので緩急が控えめで、興味が持続しにくいので、ゆっくり読んでいる。人間ドラマの伏線はある。和紙に心を奪われている状態がデフォルトで始まっているからかもしれない。関心がない人が心奪われるプロセスを見たいのかも。
    テーマについて語りながら、物語の魅力を維持することの難しさ。
    実写ドラマ化したら、映えそうではある。
    二作目であることを知らずにここから読んでしまったので一作目に戻るかどうかと、これからどう話が広がるかで楽しんで読めるかが変わりそう。

  • 1作目は、展開が主人公に都合よすぎのきらいがあったが、本作は主人公が主体的に動くようになって面白さが増した。
    ディテールが具体的で、紙漉きやってみたい!と思ったり、作中に出てくる商品も手にとってみたいなぁと感じた。

  • 紙を題材にした話は良いなあと思うのですが、仕事に対する姿勢が文化祭的な内輪のノリを感じてしまいます。
    本屋と記念館のコラボ話とか、営業をはじめたばかりの実績のない小さな本屋が大手企業にコラボを申し入れすんなり採用されることとか、違和感しかないんですよね。
    先輩後輩関係とビジネスは別で、なんか細かいところに引っかかってしまう。
    少しもったいないなあ……。

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著者プロフィール

1964年東京都生まれ。作家・詩人。95年「影をめくるとき」が第38回群像新人文学賞優秀作受賞。2002年『ヘビイチゴ・サナトリウム』が、第12回鮎川哲也賞最終候補作となる。16年から刊行された「活版印刷三日月堂」シリーズが話題を呼び、第5回静岡書店大賞(映像化したい文庫部門)を受賞するなど人気となる。主な作品に「菓子屋横丁月光荘」シリーズ、『銀塩写真探偵 一九八五年の光』がある。

「2021年 『紙屋ふじさき記念館 故郷の色 海の色』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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