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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784041097755
作品紹介・あらすじ
名古屋で行われた紙こもの市への出店を手伝った百花と莉子は、終了後、美濃和紙の産地に立ち寄る一成に付いていくことに。和紙すきを体験したり、かつての職人たちの歴史を学ぶ2人。旅行中の会話で、忙しかった両親に代わり、一成が祖母で前社長夫人の薫子に育てられたこと、それで彼が紙に対して誰よりも愛情を抱くようになったことを知る。大手製紙企業の藤崎産業は同族会社で、先代の祖父から一成の叔父が現社長に就いていた。その息子で一成のいとこ浩介は、昔から何かにつけ一成をライバル視し、営業課長として記念館の不要論を唱えているという。「なくなることをあきらめていたけど、記念館は残さなくてはいけない、と思うようになった」。一成の言葉を受け、百花も奮起し応援する気持ちになる。ある日、浩介が顧客のジュエリーデザイナー雫を連れて、記念館に現れるが……。
感想・レビュー・書評
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第2弾。
① ふじさき記念館、館長一成の美濃市行きに同行して百花と友人の莉子は、紙漉きを体験する。
美濃和紙の歴史、千三百年というのに驚き、紙の良さを伝えるだけでなく、和紙を使う文化や習慣自体も復活させなければならないと思う。
和紙の中に秘められた可能性を探り、和紙を今の世の中にふさわしい形で生かすことが、必要だと感じた。
かなり詳しく美濃和紙について書いてあるので、とても勉強になった。
一度、美濃市へ足を運んでみたいと感じた。
② 彫金デザイナーの雫のパッケージのアイデアやディスプレーなど百花の意気込みが、ジンジンと伝わってくるので、応援したくなる場面が盛りだくさん。
ここでは、一成の従兄弟が登場するのだが、彼の嫌味もサラリとかわす一成が男前である。
③ 一成の大学時代のゼミの先輩のお店、新刊と古書の両方を扱うセレクトショップ「文字箱」で記念館のグッズを扱ってもらう。
そこで、百花は亡き父の小説を見る。
これも何かの縁…なのかと思ってしまう。
記念館と文字箱とのコラボで、蝋引きしたペーパーに小説の一部を印刷することを思いつく。
それが、物語ペーパーになる。
この発想と直ぐに実行に移し、自分で見本を作ってみるというのが、とにかく凄い。
おとなしかった百花が、成長したなぁと感じる。
次々とアイデアが、湧いてくるのに、若さなのか…とも思いながら、ますます応援したくなる。
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シリーズもの。
読めば読むほど、和紙の魅力を感じることができました。
また人の出会いによって、かたい思考やちくりとした思い出が柔らかくなっていく感じが印象的でした。 -
シリーズ2作目。
シリーズものは続けて読まないと決めているけど、どうしても気になって、2冊続けて一気読み。
前作では、和紙を使った小物の制作の話が多かったが、今作では美濃を訪れて、和紙漉きの体験を描いたり、百花の亡くなった父の話など、人間模様も描かれる。
百花の大学の学園祭の様子などもあり、前作とは少し趣向が変わるが、ここでも百花のアイデアで普通の紙に蝋を流して、栞を作成してみたりと、また試してみたくなるようなところも。
百花が入るまで機能していなかった記念館も、段々記念館らしくなり、日本橋に行ったら、本当にありそうで、ちょっと探してみたくなる。
そして、続きを早く読みたいと思わせる作品。 -
日本橋にある和紙の記念館を舞台にした中編集。登場人物はみんな紙が好き、というそれだけで愛おしくなる。紙の小物市や紙アイテム、紙を使った建物の内装など、文章を読んでいるのにそれらの造形が思い浮かびニマニマする。
ワシは印刷が好きで、フォントと色と紙が好きなんだけど、やはり和紙は別格。たまーに紙の専門店に行って和紙や洋紙を見てはニマニマしているが、小説でその追体験をした気持ちになれた。
絶妙に日本橋の観光案内にもなっていて、様々な要素を楽しめる一冊。 -
タイトル作が……もう……!
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前作の感想に「続けて読むかというとやや微妙」と書いたのだが、配偶者に「続編買ったら読むか?」と聞くと、きっぱり「読む」と答えられたので買ってきた(で、私が読む前に配偶者のほうが読み終えちゃったみたいだ)。
『これまでにない紙小物のアイディアを出す』というミッションに悩みながらバイトを続ける百花ちゃん。一成もだいぶ砕けてきた模様。
莉子ちゃんのほうの活躍が目立つし、美濃市の和紙文化の説明にたくさんページが取られたり、バランスが悪い感じは相変わらず。
とは言え、三日月堂を読んで川越に行ってみたいと思ったように、これも読むと美濃市に行ってみたいとは思った。
最後のほうにあった『父の文章をそのまま入力していく。父はこういう言葉遣いをするのか。この言葉は漢字にして、この言葉はひらがなにする。こういう息遣いで句読点を打つのか。ただ読んでいただけのときは分からなかったことが分かる』という場面が良かった。
お話の流れは前作より面白い感じになってきたので、多分、次も買うでしょう。 -
紙の博物館でアルバイトすることになった百花。愛想のない一成と一緒にいるのは気づまりだが、できることを一生懸命やっていく百花。看板を外に出すと、来館者が来るようになった。掃除をするうちに、たくさんの和紙を見て、ますます和紙にのめり込んでいく・・・。
出会う人が、お父さんの小説のファン率が高すぎてちょっと不自然に思ってしまったけど、その物語からもいろいろなものが生み出されていく。
百花があれこれ作ってみる、その手触りが伝わってくる。頭の中だけで考えたものではなく、実際に作ってみることで生まれる和紙のリアル。
百花が将来何を選択するかも気になるが、地図や立花ゼミの出現も、気になる。いとこがいる本社との絡みも後を引きそう。シリーズはまだ続くので、その後も楽しみ。 -
中盤、終盤あたりから、百花の和紙に対する想いや熱量が急に増えた気がした。
書店との絡みは楽しみかも。
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1作目は、展開が主人公に都合よすぎのきらいがあったが、本作は主人公が主体的に動くようになって面白さが増した。
ディテールが具体的で、紙漉きやってみたい!と思ったり、作中に出てくる商品も手にとってみたいなぁと感じた。 -
老舗紙メーカー、藤崎産業の資料館でバイトをする大学生、百花。
ものづくりが好きな百花の物語の続編。
小冊子研究会の文化祭、館長の先輩が開業した書店などのエピソードも楽しい。
蝋引きは、自分でもやってみたくなる。
今回も、百花が商品開発をする。
モデルで彫金のアクセサリー作家、淵山雫の新作のパッケージ、そして館長の先輩綿貫の書店で商う「物語ペーパー」など。
おとなしめな百花だが、今回の彼女は少し挑戦的。
というのも、彼女のボスに当たる館長・一成の従兄弟が雫に関わって登場したから。
何かと一成に敵愾心を持ち、資料館の廃止論者。
何かお家騒動の雰囲気が漂い、物語にも緊張感を生み出す。
今後も尾を引きそうな感じだ。
ところで、同じ著者の『活版印刷三日月堂』でも和紙のことが出ていた。
この作品では正面から和紙を題材にしている。
今まで何が不満って、どうして和紙を扱っていながら美濃和紙について全く言及がないのかということだった。
だって、和紙にとって、美濃は「聖地」だよ?
東京が舞台とはいえ、スルーはあんまりじゃない?
そうも思っていたが、やっと登場。
今回、名古屋での紙こもの市開催、そのついでの美濃市訪問がやっと叶う。
すてきな古い町として描かれていて、よかった。
さて、まだ続編が出そうだ。
先が楽しみになってきた。 -
和紙の魅力に溢れていて、読んでいると、手に取りたくなる。ものづくりに対するリスペクトが感じられて好もしい。何かを始めようとする人の背中を押してくれるようにも思う。
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作品中に出てくるお店では本当に散財させられます。
藤崎が存在したら貢いじゃうかも。 -
2025/08/31 読了。
図書館から。
紙漉き面白そう。
木谷ゼミが出てきた! -
藤崎さんの家族のドラマ、百花のドラマ、どちらも気になります。
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主人公の和紙への熱意が伝わってきた。
自分のアイデアが認められるのは嬉しいことだ。そんな主人公が一生懸命で微笑ましい。
紙や文具といったものに心ときめく人は気に入る作品だと思う。
著者プロフィール
ほしおさなえの作品
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