市川雷蔵と勝新太郎

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (568ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041098318

作品紹介・あらすじ

1954年、二人のスターが大映に入社した。勝新太郎と市川雷蔵。後に大映だけでなく、日本映画界を支える俳優となる。映画という新天地を目指した二人 の大映時代を中川右介が歴史として描く。

感想・レビュー・書評

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  • 歌舞伎から映画へ移り成功した最後の 世代、市川雷蔵と勝新太郎――

    市川雷蔵と勝新太郎はともに一九五〇年代から六〇年代にかけて、大映、いや日本映画界を支えた俳優である。

    歌舞伎から映画へ移った俳優たちはみな、世襲と門閥で配役が決まる歌舞伎の世界ではいい役につけず、映画という新天地を目指した。そして雷蔵の死と大映の倒産で「時代劇映画の時代」はとりあえず終わり、残った時代劇スターたちの活躍の場もテレビへ移行した。雷蔵と勝は、歌舞伎から映画へ移り成功した最後の世代だった。

    力作。まったく知らなかった作品がいくつもあった。観る機会はあるだろうか。

  • 筆者独特の、取材無し、記録と文献から作りだす一代記。起こったこと、書かれてあることのみに焦点をあて、それを筆者の解説(とはいえ筆者フィルターがかかりすぎているわけではなく、確かにそうとしか見えない解説)とともに読み進められる。

    映画の隆盛から衰退までのあっという間の15年間(1955年~70年)を、雷蔵と勝新を中心に映画会社並列で語っているため、全体史のなかでの彼らを読み取れる。目に見えるように映画産業が衰退していったこと、そのなかで三船と裕次郎のプロダクション設立は存外に早かったこと、そして結果ほぼ同格の4大スターが自身のプロダクションを作る中で雷蔵のみは映画会社を離れることなく劇団を作ろうとしたことに改めて気付かされた。

    そして、勝新は座頭市でブレイクする前は鳴かず飛ばず、が定説であるが、なかなかどうして、長谷川一夫、雷蔵の三本柱の一角を占めていたことは、上映記録からもよくわかる。また不知火検校から座頭市物語まで、案外長かったのが認識出来たのも、時系列で追う当書を読んでこそ。

    これらは他の本に普通に書かれている事実の組み合わせであるが、見方・読み方の違いにより今まで自分は全くその流れに気づいていなかった。筆者の実在の登場人物の内面に入り込まない、起こった表層・書かれた表層だけを語る切り口はそういった気づきを与えてくれるだけに貴重。

    また、当書でも文末に、もし健在であれば雷蔵の歌舞伎復帰は果たせたか、の簡単な考察はあったが、あっさりと「歌舞伎座の舞台にたてても、歌舞伎の舞台にはたてなかった」としている。

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著者プロフィール

1960年生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。出版社IPCで編集長を務めた後、1993年にアルファベータを設立し、2014年秋まで代表取締役編集長を務める。2007年からはクラシック音楽、歌舞伎、映画、歌謡曲、マンガ等の分野で執筆活動をおこなっている。主な著作に『戦争交響楽 音楽家たちの第二次世界大戦』(朝日新書)、『歌舞伎 家と血と藝』(講談社現代新書)、『角川映画 1976-1986[増補版]』(角川文庫)などがある。

「2022年 『不朽の十大交響曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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