地方選 無風王国の「変人」を追う

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  • KADOKAWA (2020年9月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784041098394

作品紹介・あらすじ

「地方選挙のリアリティを見事に活写して、読み応えのある「面白い」ルポルタージュにまとめあげた。
地道な取材に基づき、普段触れることのない地方選挙の様子を伝えることによって地方自治の
重要性や民主主義の本質を伝えるとともに、ノンフィクション作品の楽しさ、重要性を社会に知らしめた。」

「咢堂ブックオブザイヤー2020」(尾崎行雄財団主催)大賞受賞! 「及川眠子賞」受賞!
共同通信、日本経済新聞、週刊文春、週刊ダイヤモンド、週刊プレイボーイほか、主要メディアの書評欄を席巻!

『無敗の男』で国会議員と永田町を描き尽くしたライターが全国7町村の
首長選の現場、土地の風土、そこに映る「にんげん」の本質までを描き出す。

「改革幻想に囚われ、国政政党の合従連衡に
明け暮れた平成政治とは異なる令和の政治が
これから始まるとするならば、その主人公は
地べたの暮らしに疎くなった永田町の住民ではなく、
土の香りがする地方の首長の中から生まれるであろう」(「プロローグ」より)

【目次】
プロローグ
第1章 えふりこぎ(青森県大間町長選)
第2章 コンビニ店員の逆襲(北海道中札内村長選)
第3章 風にとまどう神代の小島(大分県姫島村長選)
第4章 ドンの5日間戦争(愛媛県松野町長選)
第5章 国道ファースト主義(和歌山県北山村長選)
第6章 仏頂面と波乗り男(北海道えりも町長選)
第7章 嘘つきと呼ばれて(佐賀県上峰町長選)
エピローグ

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

地方選挙のリアルな姿を描いた本作は、普段目にすることのない地方政治の複雑さや、地域住民の声を丁寧に拾い上げています。著者は、全国の首長選の現場を追い、現職が圧倒的に勝つ過疎地域の実情や、地域特有の権力...

感想・レビュー・書評

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  • 地方の首長選挙は8割現職が勝つ。とくに過疎地域においては無投票や後継指名による禅譲が常態となっており、数十年にもわたって無風のところも少なくない。

    公共工事の誘致と再分配によって「住みやすい北朝鮮」とも揶揄される離島、与野党相乗りで支援を受ける“無所属”現職、役所内の主流派反主流派が交互に政権を取る派閥抗争、、ローカルでの仕事をしていると多かれ少なかれ衝突する現実である。

    変革と独裁は紙一重である。とくに国という左右のイデオロギーと団体による動員力によって政局が決まるホワイトカラーの政治体制に対抗するためには、地域住民から長期にわたって支持されてきた実績と権力構造を持つ首長こそが、変化を先んじて取り入れて地域において具現化できる立場だろう。

    土着の名望家(農協、漁協、森林組合、土地改良区、商工会、大地主、郵便局長)と叩き上げの自営業者(土建屋、運輸業、造園業、電気工事、燃料販売、自動車工場、老健施設、幼稚園)といったブルーカラーな地域の仕事に関わる票の取りまとめは、とくに都市部からは見えづらいウェットな田舎の構造だ。

    昔は暴力沙汰になったり、現金が飛び交うようなこともあったからこそ、事前の根回しによって無風を演出することが好まれるようになった。そして今また、コロナ禍においてはこの構造の下部に虐げられてきた女性や若者たちの反乱の萌芽も見て取れるようになってきた。まったく関わりたくないが、観察する上では興味深い現象だと捉えている。

  • ふむ

  • 地方選挙を現地で観察したノンフィクション。
    地方政治を取り巻く構造は根深い。

  • かなり密に取材されていて読み応えがあった。
    一方、地方の首長選挙の多くがこんな血生臭いものではない。
    変人を追ったのが本書であるが、志高い首長にフューチャーしたルポも読んでみたい。

  • 町村長選挙、特に無投票が続いている選挙に敢えて出馬した候補者に焦点を当てて書かれた本。

    ざっと概観すると、①そうは言っても権力闘争が起こって対抗馬として出た場合、②単騎奮闘といった形で出馬した場合、の2つに分類できそうです。また、取り上げられたところはこう言っては何ですが僻地の自治体が多い印象です。えりも、大間は半島の突端ですし、北山村は全国唯一の飛び地というか紀伊山地の山の中。姫島は離島。と言ったところです。中札内、上峰は平野部ですが、田舎というと思い浮かべる中山間地域は四国の松野町くらいでした。

    大間は原発、中札内は農協との権力争い、上峰町は汚職と、過疎だけではない問題を抱えているところはたとえ多選候補が落選したり、落選しなくともいい勝負になっている印象です。一方で、上記の②のようなところは、なかなか新参者には厳しい結果だな。と感じました。

    いずれにしろ、一票を入れて代表者を選ぶ問いのは民主主義の根幹であり、その選択肢を示すために奮闘されている方々に、心から敬意を表したいと思いました。

  • 畠山理人氏の黙殺を読んで面白かったので類書として読みました。人口数千人規模の市町村の選挙を取材し、政治とまちづくりの関係を明らかにし、住民の選択を見届けていきます。

    政治に興味がない層としては、変革を望む若手、本書でいう変人を応援しながら読んでしまいます。しかし、まちづくりと政治の過去を見ると、必ずしも利権、癒着から離れた潔癖な政治だけが地域を発展させる訳ではないと分かります。しがらみの破壊を望まない人も一定数いるのです。

  • 読後感が悪い
    こういうムラ社会には生きたくないと思う
    本書の見解だけを信じてはいけないが平板に描くことでムラの感じを浮き立たせていると思う

  • かなり面白く読んだ。
    あとがきまでは。

    あとがきでは本書のもとになった連載の経緯が語られる。
    挫折した幻の取材として、群馬県草津町長選挙が挙げられる。そう、今や世界にその名轟く「あの」草津町である。
    さまざまな事情が重なり充分な取材ができず、原稿として日の目を見ることはなかったが、著者はその時点でかの名湯が満天に恥を晒した騒動の萌芽となる「歪み」を見て取っていたと言う。
    だがその詳細は語られず、なのに書くのだ——「とんだ濡れ衣を着せられた町長」と。

    本件はいまだ裁判で係争中である。白とも黒ともついていないものに、なぜ「濡れ衣」などと言い切れるのか。
    もし充分な根拠を握っているというのなら、それを余さず書くべきだ。それこそが「正義」であり、「嘘つき女」に対する鉄槌となるだろうのに。
    それをせず、なのに、性犯罪被害を訴え出た被害者を一方的に「嘘つき」と断ずる。この一件を見るだに、そんな嘘をついて得られるものなど、女性にありはしないことは明らかなのに。

    しょせん男か。
    娘がいるらしいが、お気の毒のひとことである。

    2020/12/19読了

  •  片田舎でなくても、地方選は、きっと面白い。
     きちんとした取材があればこそだが。

  • 書評はブログに書きました。
    http://dark-pla.net/?p=666

  • 8期連続無投票当選など、「無風王国」のもと首長のワンマン行政が続く小さな自治体。2015年の統一地方選では、町村長選挙のうち、全体の約43%が無投票、現職の再選率については、84.2%という実態がある。しかし、一方で、周囲からは「変人」扱いされながら、変わらない過疎の集落に捨て身になって風穴を広げようとするチャレンジャーも現れている。
    著者はそんな「変人」を追って、マイナーな地方選の現場に足を運び、各地の選挙事情はもとより、そこにある政治の裏表、そこに映る人間の本性を取材した。そして、いわば選挙の民俗学、首長の文化人類学というような切り口から本書をまとめあげた。
    選挙のために汗をかいた親戚の多寡が雌雄を決したマグロと原発の町・大間、コンビニ店員が村長になった北海道・中札内村、親子で村長を務め60年も無投票が続く大分県姫島村、国道ファースト主義の治世が令和になっても続く和歌山県北山村、「若者、バカ者、よそ者」で変革しようと、サーファー漁師が立ち上がった北海道・えりも町・・・
    「パトロン・クライアント」関係、すなわち庶民に最低限の生活や安全(庇護)を保障する代わりに、彼らから恭順を得る、ポスター掲示場設置条例のない町村が全国に24ある、道路港湾等の整備が一段落すると、半土建農民は観光産業、一村一品などへ向かい、田中軍団タイプの政治家は役に立たなくなる、役場の存在が地方選の結果を左右するなど、現場を見ている著者だからこそ、実感として伝わってくることが多々あった。
    また、冒頭に書かれていたように、大災害時に避難勧告を出すタイミング、コロナ拡大防止や救済策、さらには、ポストコロナにおける財政破綻をどう防ぐかなど、今後、各地の首長はこれまでになく評価が別れ、資質が問われる場面が増えてくるというくだりには全く同感である。
    さらには、各章の導入部は各地域の風土、人間性が紹介され、紀行文を読むような楽しみかたもできた。


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著者プロフィール

1979年生まれのノンフィクションライター。ヤンキーとイノシシが元気に走り回る茨城県笠間市(旧岩間町)出身。しばらく東京・隅田川沿いに在住。著書『無敗の男 中村喜四郎全告白』が高い評価を受け、大宅壮一ノンフィクション賞と講談社本田靖春ノンフィクション賞の最終候補となった。『小泉純一郎独白』で第23回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞(作品賞)を受賞。街頭演説と選挙にまつわる昔話をこよなく愛す。地方選の観戦を通してその土地の特色を味わう「選挙ツーリズム」を提唱中。

「2020年 『地方選 無風王国の「変人」を追う』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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