- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041098646
作品紹介・あらすじ
「垣根涼介の時代小説こそ
真に『独創的』という言葉がふさわしい。」
――恩田陸氏
何故おれは、裏切られ続けて死にゆくのか――。
斯界の絶賛を受けた歴史長編、ついに文庫化!
織田信長は、幼少時から孤独と、満たされぬ怒りを抱えていた。
家督を継ぎ、戦に明け暮れていた信長はある日、奇妙な法則に気づく。
どんなに鍛え上げた兵団でも、働きが鈍る者が必ず出る。その比率は、幼い頃に見た蟻と同じだ。人間も、蟻と同じなのか……と。
信長は周囲の愚かさに苛立ちながらも、軍事・経済の両面で戦国の常識を次々と打破。怒濤の血戦を制してゆく。
不変の“法則”と史実が融合した革新的エンタテインメント!
感想・レビュー・書評
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タイトルに惹かれて読み始めた。
二・六・二もしくは二・八のパレートの話に自然に気がついた信長がそれを家臣の統率にどう活かしたものかと逡巡するまで。
司馬遼太郎もので元亀天正の史実(に近いもの)は一通り頭に入っていたつもりだけど、本作では信長の頭の中が記述の中心なので、飽きずに読めた。
下巻が楽しみだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
光秀の定理が面白かったので本書の文庫化を心待ちにしておりました!
本作は働く蟻とサボる蟻について考える信長という形に整えられております。
前半は幼少期から浅井長政の裏切りまでの話!
印象的だったのは柴田勝家達を許す信長
光秀の大抜擢
松永久秀への信頼などの描き方が良かったと思います。
取り敢えず下巻も楽しみ!
因みに信長のやっている事は少年ジャンプの連載陣を決めるやり方と一緒だと思った! -
こちらのブクログの感想読んで興味を惹かれて読みました。元々、歴史好きで戦国時代も好きなので時代小説としても楽しく読めるのですが、時代小説でありながらパレートの法則(2:8の法則)を扱っているところが面白いです。しかもそれが不自然でなく溶け込んでいるという。
上下巻なのでこの話がどういう落とし所になるのかも楽しみですが、ページ数の関係上、えっ!そこで切れるの?というところで終わってしまったので早く下巻を読みたいです。 -
明智光秀は好きな武将なので、『光秀の定理』からの流れで読み始めた。
『定理』では信長は、光秀でさえ分からなかったベイズ推定を、たちどころに理解してしまうほど合理的な人物として描かれている。(『信長の原理』は『定理』と同じ時間軸なのだろうか。)
信長の父、信秀は彼を評して「心が渇いている」と述べていた。思うにその渇きとは、孤独な、寄る辺なき「個人」の、人を動かす「原理」を求める強い衝動のことではないかと思った。
信長は退屈に任せ蟻を観察するうち、懸命に働く蟻と中途半端に働く蟻、そして働かない蟻が、2:6:2の割合で存在するという、現代で云う「パレートの法則」を掴む。約すと1:3:1。同じ割合だけど後々効いてきそう。 -
これは組織論、状況適合理論、動機付け理論などが詰まった時代小説というよりビジネス書という感じ。
信長の飽くなき探究心は、帰蝶に言わせれば「地獄者」...。ではいざ下巻へ。 -
2013年に「光秀の定理」という作品が出ていて、光秀をよりわかるためには信長もよりわかるべきとのことで書かれた作品のようです。私は先にこちらを読んでしまいました。後々、「光秀の定理」を読んだとしたらこれが吉と出るか凶と出るかは不明です。本作、とんでもな面白さです。史実にかなり忠実に描かれているものと思いますが、セリフや心理描写は厳密にいえばフィクションなのだと思いますが、それにしてもこの面白さは凄い。戦国時代そのものを理解することでより誰もが知っている史実が変わってみえてきます。やはり時代をわかるということが非常に大事なんだと改めて思い知らされました。何度も言いますが、これ凄い作品です。
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上下巻を読んでの感想
600ページもの長編だったが、最後まで読了。司馬遼太郎の物語よりもより深く、信長については、魅力的だが、非道な上司と映ったし、裏切った松永弾正や光秀もそうせざる得なかったことが、心理描写から納得させられた。信長の原理については、パレートの法則を絡めているのは面白い見方と思う。
歴史小説を読んでいると、現実の生活の多少のつらい事なども、何ほどの事でないと思えてくる。 -
「働き蟻の法則」に頭を悩ませる信長。蟻の大群を相手にした〝実験〟がちょっと滑稽。お決まりの合戦シーンは少なめで、しかもサラッと描かれているのが良い。読むのはあの大傑作「ワイルド・ソウル」以来の垣根作品、時代小説も悪くないと思いつつ下巻へ。
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(上下巻共通)
信長に社会学的視点とキレやすい性格と理性的な性格を持たせてみた話。
各人物の行動はその通りなんだけど、思考に独自性がありますね。
途中そこまで法則通りになるのかなぁと思わないこともないけど、あり得そうな気もするのが作者の力でしょうか。
最終盤の展開が幾分強引に感じないでもないですが、それは登場人物がそれぞれ歳を取ってそれなりに思考がかたくなになってしまったんだろうということで。 -
織田家の尾張統一から姉川の戦いまでの話。
歴史小説の中ではかなり読みやすい。
信長の心情を細かく描いており、本当にこんな風に思っていたのかもと感じることができる。
歴史の流れも理解できるので良い。
著者プロフィール
垣根涼介の作品





