- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041098653
作品紹介・あらすじ
「信長を主人公にした戦国小説は無数にあるが、その中でも特異な輝きを放つ作品だ。」
――細谷正充氏(文芸評論家)
信長が天下統一へと邁進する中、織田家中では羽柴秀吉、明智光秀、丹羽長秀、柴田勝家、滝川一益ら師団長たちが苛烈な出世争いを続けていた。
が、“この世を支配する原理”によれば、5人のうちの1人は必ず働きが鈍り、おれを裏切る。いったい誰が?
焼けつくような駆け引きは、やがて「本能寺の変」の真相へと集束する。
理想を追い求めた異端児の苦闘と内面をまったく新しい視点から抉り出し、人間の根源に肉薄した歴史小説の金字塔!
感想・レビュー・書評
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前巻に引き続き一気読みしました。
とても面白かったです。この話はフィクションですが、本当に信長が二八の法則を突き詰め過ぎて本能寺の変が起きたんじゃないかと思えるのは作者さんの能力の賜物でしょうか。
光秀の定理と本作の光秀は同キャラなのか前編では?でしたが別物ですね。
またこの手の本を出してくれたら必ず読みます!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
昇進により無能化したかつてのヒーローをリストラしていく信長...。その事実に不安を覚える光秀...。本能寺の変は起こるべくして起きた! 垣根流解釈の構造的理解を世に問う時代小説...。
『光秀の定理』も読んでみたいなぁ。 -
なぜ信長は自分を裏切った松永久秀を許したのか。
作中では、松永は信長に似ていると信長自身が考えていたと描かれている。世の根本を疑い、自前の見方を持っていると。そして、それを突き詰めることができている人物は多くない。信玄や謙信でさえも、できていない。
しかし、人はその姿勢を貫き続けることはできないと、久秀は信長に最期の反旗を翻した。人はこの世の摂理に反してはならないのだと。無限の膨張を志す組織はやがて疲弊し色褪せ、崩れ落ちていく。
信長は過去の実績に関わらず、使えない家臣達を次々に放逐するようになった。どこかで「働き蟻」の原理を乗り越え、世の摂理すら支配しようとしていたのではないか。
そして信長は、本能寺の変で天道とでも云うべきものの逆襲を受けることになる。それでも最期は自分の遺骸に火をつけさせ、骨を日の下に晒すのを拒んだ。
おれ一人だけは、死んでも神仏にひれ伏すことはない。(p395 ) と。
現代的な道具立てで戦国の世をとらえ直した良書だと思った。 -
上下巻にわかれている本作ですが、全体の感想を上に書いてしまいました笑 こちらにもこれだけは書いておきます。これ凄い作品です
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下巻もよかった。比叡山焼き討ちのエピソードが短い回想で終わりほとんど描写されなかったことには面食らったが。
思うに著者は、信長の残虐さや癇性といった俗っぽい「内面」や、明智の裏切りの動機といったこれまた俗っぽい「歴史ミステリー」にはあまり関心がない。信長の内面は通り一遍のよくある形で処理しているし、明智の動機も手酷く叱責されたからというよくある形でまとめている。
筆者が描き出したかったのは、まさしく信長という人物の行動の「原理」、彼の思考のシステムだったのだと思う。シンプルにみると「原理」という言葉は「働き蜂の法則」を指し示しているように見える。少し穿った見方をすると、信長自身を滅ぼした、働き蜂の法則をも越えようとする能力主義の徹底こそ信長を突き動かした「原理」なのではないかと思われる。その「原理」と所与の「法則」との戦い、この世を支配する自然の理に戦いを挑んだ人間として信長を見るとき、所詮人も虫けらと同じという松永久秀の悟りに信長の波乱の人生が集約されてゆく。 -
下巻も合戦場面は最小限で、1節ごとに視点を変え、リレー形式で描かれる信長&家臣の心理描写が秀逸。互いの人物見立てで相関関係も大変分かりやすい。謀反に至る光秀の心の動きは読み応えがあった。”不変の原理”により起こるべくして起きた本能寺の変…という解釈の信長伝。次作はまさかの宇喜多直家。垣根さんの斬新な切り口の歴史小説に今後も期待したい。
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「なぜ光秀は信長を裏切ったのか」ではなく、「なぜ信長は光秀を含む多くの者に裏切られたのか」の視点。鋭い。おもしろい。
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光秀の真理に寄り添った歴史観
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信長やその他の武将の考えや状況など、仔細に書かれていて読み応えはあった。
でも読んだ後の感想は普通の歴史小説という感じがした。
もう少し信長という人物に見方を変えて、書き込んで欲しかった。
光秀に謀反を起こさせた信長としての落度について、自身から考えた解釈などが読めたら面白さが増したと思う。