信長の原理 下 (角川文庫)

  • KADOKAWA (2020年9月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (416ページ) / ISBN・EAN: 9784041098653

作品紹介・あらすじ

「信長を主人公にした戦国小説は無数にあるが、その中でも特異な輝きを放つ作品だ。」
――細谷正充氏(文芸評論家)

信長が天下統一へと邁進する中、織田家中では羽柴秀吉、明智光秀、丹羽長秀、柴田勝家、滝川一益ら師団長たちが苛烈な出世争いを続けていた。
が、“この世を支配する原理”によれば、5人のうちの1人は必ず働きが鈍り、おれを裏切る。いったい誰が? 
焼けつくような駆け引きは、やがて「本能寺の変」の真相へと集束する。
理想を追い求めた異端児の苦闘と内面をまったく新しい視点から抉り出し、人間の根源に肉薄した歴史小説の金字塔!

感想・レビュー・書評

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  • 定番コースだと思うが、「君たちに明日はない」、「ワイルド・ソウル」からの流れで、垣根涼介の歴史物を読み終えた。(「光秀の定理」は未読)

    信長・秀吉・家康の天下人三名の世間一般の人気はこの登場順通りだと思うが、上司として誰が良いか、というと、逆の順だろうと改めて思った。
    信長が現代の株式会社の社長であれば、解任動議が毎回出るだろう。

    信長による家康謀殺計画はフィクションの筈だが、妙にリアリティを感じてしまうのは、信長のキャラが立っているが故か。
    信長程の合理的精神の持ち主が「織田家」という価値観をほんとうに重視したのか史実としてはよく知らないが、違っていて欲しい、と思った。

  • 前巻に引き続き一気読みしました。
    とても面白かったです。この話はフィクションですが、本当に信長が二八の法則を突き詰め過ぎて本能寺の変が起きたんじゃないかと思えるのは作者さんの能力の賜物でしょうか。
    光秀の定理と本作の光秀は同キャラなのか前編では?でしたが別物ですね。
    またこの手の本を出してくれたら必ず読みます!

  • なぜ信長は自分を裏切った松永久秀を許したのか。
    作中では、松永は信長に似ていると信長自身が考えていたと描かれている。世の根本を疑い、自前の見方を持っていると。そして、それを突き詰めることができている人物は多くない。信玄や謙信でさえも、できていない。

    しかし、人はその姿勢を貫き続けることはできないと、久秀は信長に最期の反旗を翻した。人はこの世の摂理に反してはならないのだと。無限の膨張を志す組織はやがて疲弊し色褪せ、崩れ落ちていく。

    信長は過去の実績に関わらず、使えない家臣達を次々に放逐するようになった。どこかで「働き蟻」の原理を乗り越え、世の摂理すら支配しようとしていたのではないか。

    そして信長は、本能寺の変で天道とでも云うべきものの逆襲を受けることになる。それでも最期は自分の遺骸に火をつけさせ、骨を日の下に晒すのを拒んだ。
    おれ一人だけは、死んでも神仏にひれ伏すことはない。(p395 ) と。

    現代的な道具立てで戦国の世をとらえ直した良書だと思った。

  • 昇進により無能化したかつてのヒーローをリストラしていく信長...。その事実に不安を覚える光秀...。本能寺の変は起こるべくして起きた! 垣根流解釈の構造的理解を世に問う時代小説...。
    『光秀の定理』も読んでみたいなぁ。

  • 働き蟻の法則と織田信長を掛け合わせた歴史小説!

    前作の光秀の定理はモンティ・ホール問題と明智光秀の掛け合わせと同じような作りかと思いきや・・・

    本作品の注目すべき点はそれぞれの武将の内面を描いている所かと思う。主人公の信長はさておき松永弾正、明智光秀、丹羽長秀や柴田勝家達の場面場面での心の動きが面白い。

    それと武田信玄や上杉謙信、徳川家康の動きに合理性を求める信長と光秀の思考にも圧感です。

    そして、ラストの本能寺!
    これぞ正に新解釈かもしれないと思ってしまう読み手の心の誘導には合理性を感じる。

    本能寺で討たれたのはある意味、成果主義を採用してしまった結果の失敗と考えられる。


    何れにしても垣根涼介の歴史次回作である涅槃が楽しみです!

  • 上下巻にわかれている本作ですが、全体の感想を上に書いてしまいました笑 こちらにもこれだけは書いておきます。これ凄い作品です

  • 下巻もよかった。比叡山焼き討ちのエピソードが短い回想で終わりほとんど描写されなかったことには面食らったが。
    思うに著者は、信長の残虐さや癇性といった俗っぽい「内面」や、明智の裏切りの動機といったこれまた俗っぽい「歴史ミステリー」にはあまり関心がない。信長の内面は通り一遍のよくある形で処理しているし、明智の動機も手酷く叱責されたからというよくある形でまとめている。
    筆者が描き出したかったのは、まさしく信長という人物の行動の「原理」、彼の思考のシステムだったのだと思う。シンプルにみると「原理」という言葉は「働き蜂の法則」を指し示しているように見える。少し穿った見方をすると、信長自身を滅ぼした、働き蜂の法則をも越えようとする能力主義の徹底こそ信長を突き動かした「原理」なのではないかと思われる。その「原理」と所与の「法則」との戦い、この世を支配する自然の理に戦いを挑んだ人間として信長を見るとき、所詮人も虫けらと同じという松永久秀の悟りに信長の波乱の人生が集約されてゆく。

  • 下巻も合戦場面は最小限で、1節ごとに視点を変え、リレー形式で描かれる信長&家臣の心理描写が秀逸。互いの人物見立てで相関関係も大変分かりやすい。謀反に至る光秀の心の動きは読み応えがあった。”不変の原理”により起こるべくして起きた本能寺の変…という解釈の信長伝。次作はまさかの宇喜多直家。垣根さんの斬新な切り口の歴史小説に今後も期待したい。

  • 「光秀の定理」もそうだったが、自然科学の法則をからめて歴史の謎を解き明かすような作風がユニークで引き込まれる。それに加え、登場人物それぞれのキャラクター描写が緻密で、「真実はそういうことか」と思わせるリアリティがある。

  • 有名な垣根さんの歴史もの初読。手垢がついた織田信長の人生を「原理」で括って騙りなおした長編。正直なところ今さら感があって手が出ずにいたがとても面白かった。駆け足だが一通りエピソードを押さえてて抜け落ち感は少ない。この原理自体は読んでてそれなりに納得はできるし、基本目新しいものではなく、人への応用も史実と組み合わせて物語の予想もついたので、まあ普通の信長ものの一つかと思っていたが、ラストにかけての原理展開は驚いた。作中で何度も繰り返される「原理」が、本能寺の変のKey Controlとなった展開は圧巻。

  • 原理を理解した信長がそれに溺れて本能寺の変が起こるというのが面白い。仕事が出来て権力があるだけでは、それぞれが子会社社長な武士の社会では、トップに立ち続けられないということなんだろうなぁ。
    光秀がコトを起こさざるを得なかった織田家中の状況説明が、丁寧で非常に説得力があった。

  • 上下巻を読み終えての感想。やはり、「一気読みできる歴史小説」という評判はその通りだった。
    勢いに乗り天下統一に向かって進んでいく上巻に続き、下巻でもその流れは続くものの、信長の最期に向かっていく不穏な空気が流れはじめていくので先が気になって読むのが止められなくなった。
    本題の信長の原理についても、上巻の内容から更に深掘りされていく。
    そして、その原理に対する信長の向き合い方が、史実である明智光秀の謀反につながったと感じさせ、納得してしまうラストは見事な伏線回収と感じた。
    また上巻同様、信長をはじめ戦国武将たちが出世をし自国の領土を増やしていくための働き方、人材育成などが現代のマネジメントにつながる所があってそれも面白かった。

  • 何度も挫折しそうになりながらもようやく読破。なんで挫折しそうになったかというとシンプルに自分の知識量の無さ故…当時の方々は様々な名前を持っていて漢字も読みづらいし誰が誰だかよく分かんなくてついていけなくなる瞬間が何度かあった。
    途中から物語の大枠だけ捉えられるように、あまり気にしないことにした(笑)
    でも織田信長だけでなく、それぞれの登場人物の心の移り変わりなども事細かに描いていて、読んでいる時は感情的に心が揺れ動き、あとがきを読んでいろいろと納得。
    好きだなと思った人は松永久秀。彼と織田との関係が好きだった。もちろん主人公は織田信長なので、自然と信長に肩入れをしていた私…ラストはグッときて静かに鳥肌が立ちました…

  • 読み応えがあった。
    上巻は少し中弛みを感じたが、下巻の原理に向かって一人一人が向かって行く描写が面白かった。

    結局光秀も信長も貫いてカッコいい。
    個人的に秀吉と家康は変わらずいまいち。

    歴史小説は今のところ4冊だそうなので、他の
    2冊も読みたい!
    『室町無賴』『涅槃』

  • 天下統一で絶対的な地位を確立しながらも、組織が大きくなることによる弊害も、、織田家臣 羽柴秀吉、明智光秀、丹羽長秀、羽柴勝家、滝川一益の熾烈な出世争い。裏切者は誰か。そして『本能寺の変』まで。現代の経営者、サラリーマンが抱える悩み、問題がまさに戦国時代でも!歴史は繰り返す、、、。

  • 終盤、信長の何かに急き立てられるような心理と、光秀の追い詰められ具合に手に汗握ります
    謀反に至るまでの心境、後に引けなくなってしまった現実との擦り合わせもぴたりと嵌っていてドキドキしました
    面白かったです

    でも、上巻程の勢いは無かったかな
    戦況と結果の羅列も多くて、中弛み感はありました

    終盤は楽しかったです
    前作、光秀の定理が気になりすぎる……

  • 「なぜ光秀は信長を裏切ったのか」ではなく、「なぜ信長は光秀を含む多くの者に裏切られたのか」の視点。鋭い。おもしろい。

  • 光秀の真理に寄り添った歴史観

  • 信長やその他の武将の考えや状況など、仔細に書かれていて読み応えはあった。
    でも読んだ後の感想は普通の歴史小説という感じがした。
    もう少し信長という人物に見方を変えて、書き込んで欲しかった。
    光秀に謀反を起こさせた信長としての落度について、自身から考えた解釈などが読めたら面白さが増したと思う。

  • 信長が主人公の作品だけど、光秀いろいろ大変だなぁと思っちゃうw

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著者プロフィール

1966年長崎県生まれ。筑波大学卒業。2000年『午前三時のルースター』でサントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞。04年『ワイルド・ソウル』で、大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞の史上初となる3冠受賞。その後も05年『君たちに明日はない』で山本周五郎賞、16年『室町無頼』で「本屋が選ぶ時代小説大賞」を受賞。その他の著書に『ヒート アイランド』『ギャングスター・レッスン』『サウダージ』『クレイジーヘヴン』『ゆりかごで眠れ』『真夏の島に咲く花は』『光秀の定理』などがある。

「2020年 『信長の原理 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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