悪い夏 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 114
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041098721

作品紹介・あらすじ

26歳の守は生活保護受給者のもとを回るケースワーカー。同僚が生活保護の打ち切りをチラつかせ、ケースの女性に肉体関係を迫っていると知った守は、真相を確かめようと女性の家を訪ねる。しかし、その出会いをきっかけに普通の世界から足を踏み外して――。生活保護を不正受給する小悪党、貧困にあえぐシングルマザー、東京進出を目論む地方ヤクザ。加速する負の連鎖が、守を凄絶な悲劇へ叩き堕とす! 第37回横溝ミステリ大賞優秀賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 染井為人『悪い夏』角川文庫。

    第37回横溝ミステリ大賞優秀賞受賞作のノワールサスペンス。不快になるような暑さの中、生活保護を巡る闇と人間の欲望の結末が描かれる。登場人物の誰もが悪に絡め取られて行く、救われない系の物語。新人作家ということで粗さはあるが、面白かった。

    生活保護の不正受給、シングルマザーの貧困、生活保護制度で一儲けを企むヤクザ、不正を働く市役所職員、様々な立場の人間が自己の欲望だけを追求した挙げ句の『悪い夏』の終わりは……

    主人公は、千葉県の中規模都市の市役所でケースワーカーを務める26歳の佐々木守。守の同僚・高野が生活保護を受けるシングルマザーを食い物にし、肉体関係を結んだ挙げ句、増額分の生活保護の一部を搾取する。真相を突き止めようとシングルマザーの家を訪ねた守は東京進出を狙うヤクザの目論みにハマり……

    本来は弱者を救済するための社会保障制度。一見、公平であるかのように見える制度にも様々な問題がある。年金支給額よりも、生活保護支給額の方が高額であったり、ケースワーカーの判断や申告内容により支給されたり、増額されたりと。実際、過去には人気お笑い芸人の母親が生活保護を受けていたケースもあった。

    本体価格680円
    ★★★★★

  • 展開が早く、飽きる事なく読みました。
    クズみたいな人間が多く出てきます。そこも良し。
    クズだなぁ!と思ってた山田という登場人物だが、次から次にそれ以上が出てくるので、最終的には山田のマシさに気づくという。

  • 無駄のない硬質な文章で進むノワール小説。一気読みだった。

  • 「クズとワルしか出てこない」同情できる人もできない人も入り混じり、テンポも展開も小気味良くて面白かった。読書に馴染みがない人にもオススメしやすい。

  • 生活保護の不正受給者に相対するケースワーカーの正義の話かと思いきやそうじゃない。脅し脅され巻き込まれ、誰も彼も転落していくばかり。小さな幸せすらどこにも転がっていません。そんな中で、私が気の毒だと思えた登場人物はひとりだけ。

    最後の修羅場は凄惨すぎて笑ってしまうほど。「鬼畜ノワールサスペンス」ってどんなカテゴリーやねんと帯を見ながら思っていたけれど、もうそうとしか表現しようがない。

    唯一の救いは、彼女が母性とはこういうものだと自分でも感じられたであろうこと。夏の設定でよかった。場面が冬なら余計に心が凍りつく。

  • 初めて読む作家。読み物としては面白く、ページをめくる手が止まらない。生活保護を受けることをナマポって言うのは初めて知った。登場人物みんなが破滅の一途を辿る怖い話し。コロナ禍の今、自分だってどうなるかなんてわからないから余計に怖い。最後がドタバタでチョット残念だったけど、愛美に母親としての愛情が芽生えたのが救いかな。

  • 記録

  • 誰も幸せにならないが、ラストにそれぞれ凄絶な滑稽さを見せる登場人物たちは、なぜかユーモラス。
    まさに「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見れば喜劇だ」。怒涛の転落劇を面白く描けるのはすごい!
    守と愛美が恋仲に近くなる描写が好きだったので、守の急転直下はショックだった。

  • クズたちが織り成す人間模様。人間とは弱いものだと改めて少し怖くなる。

  • テーマがおもしろく一気に読んだ。

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著者プロフィール

1983年7月21日生まれ。男性。千葉県出身。2017年、『悪い夏』で第37回横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞し、デビュー。生活保護の不正受給を扱った受賞作は、新時代の社会派ミステリとして話題を呼んだ。その他の著作に『正義の申し子』『震える天秤』(KADOKAWA)『正体』(光文社)がある。

「2021年 『正義の申し子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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