死体でも愛してる (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 91
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041098738

作品紹介・あらすじ

アパートで女性の腐乱死体が見つかった。殺人容疑で逮捕されたのは、隣室に住む冴えない工員・石橋。実は、彼は被害者をストーキングしていたのだが……。グロテスクでたくらみに満ちた短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 大石圭『死体でも愛してる』角川ホラー文庫。

    警視庁の敏腕刑事・長谷川英太郎の視点で、4つの異常な事件を描く連作短編集。珍しくエロさも程々で、なかなか面白い。

    4つの異常な事件が被疑者たちの生の声で描かれる。事件の聴取を通じて被疑者たちの生の声を聞くうちに英太郎は次第に心に芽生えた異常な気持ちに支配され、破滅への闇へと墜ちていく。

    最近、新型コロナウイルス感染で世間ではストレスが溜まっているのか、性犯罪や暴力事件などが増えているように感じる。ふとした切っ掛けで犯罪に走ってしまうのは、善と悪、正常と異常の微妙なバランスの中に生きる人間の心の脆さを表しているのだろうか……

    『春の章』。日に日に美しい女性に変貌する娘に欲情を感じた画家の父親が、愛するが故に絞殺し、4日間も傍らに置き続けた事件の真相とは。

    『夏の章』。アイドル志望のコンビニ店員の女性に横恋慕し、異常な愛情を注いだ孤独な作業員が起こした事件の真相とは。

    『秋の章』。自殺した夫を余りにも愛するが故に調理して食べ尽くした妻の事件の真相とは。

    『冬の章』。愛する妻が若いコンビニ店員と浮気したことから建設作業員の夫が起こした事件の真相とは。4つの事件の被疑者の生の声を聞いた英太郎はついに……

    本体価格640円
    ★★★★

  • めちゃくちゃに良かった。

    短編集が苦手な自分がまさかこんなにハイスピードで読めるとは。連作でもなかなか入り込めないタイプなんだが、これはやばいな、ある種長編とも言えるが。

    1つ1つの話が物凄く絶妙。性という本能的な部分を煽ってくるのに適度なエロさというか、薄過ぎず濃過ぎず度を越さないながらも、どこか神秘性も感じてしまうような絶妙さ。各話の終わり方もまた絶妙。

    『ヴィーナスたちの種蒔き』ってタイトル秀逸過ぎんか、、、

    あとがきがめちゃくちゃに良いな。大石圭氏は初めて読んだが、あとがき読む限り、著者の感覚・思考が物凄く好きなのでこれから読み漁りやす。

    「この世の富と幸福は、とてつもなく偏って分配されている」ねえ、、、

  •  連作短編集。

     犯罪者が取り調べで、何をしたかを語る形で、夏、秋、冬、春と続いていく。
     ま、最後で、へ、ってなるんだけどね。
     なんというか、舞台で急に暗転して全く別の場所にスポットがあたる、そんな感じ。
     確かに、その場所があったのはわかているし、見てもいたのに、気づいていなかった、そんな感じ。

     で、犯罪は、死体にかかわってくるもので…。
     なかなかエグかったです。
     物理的にも心理的にも。

     方向ややり方が間違っていて、それらは愛情からくるといえばそうなのだろうけど、愛情に間違いはないというかもしれないが、やっぱり狂っているものはある。
     一体、何が狂わせてしまうのか。
     つか、狂ってしまうときに、理性は歯止めにならないのか。

     と、人間の根本的な問題を考えてしまうのである。

     面白かった。

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著者プロフィール

1961年、東京都生まれ。法政大学文学部卒。93年『履き忘れたもう片方の靴』で第30回文藝賞佳作を受賞してデビュー。著書に『アンダー・ユア・ベッド』『殺人勤務医』『湘南人肉医』『復讐執行人』『飼育する男』『檻の中の少女』『甘い鞭』『殺人鬼を飼う女』『殺人調香師』『あの夜にあったこと』『甘い監獄』『わたしの調教師』『優雅なる監禁』『百二十歳の少女 古美術商・柊ニーナ』『モニター越しの飼育』『溺れる女』など多数。2019年には『アンダー・ユア・ベッド』が映画化。同作は反響を呼び各地でロングラン上映された。

「2020年 『死体でも愛してる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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