お電話かわりました名探偵です (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 486
感想 : 52
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041098752

作品紹介・あらすじ

Z県警本部の通信指令室。その中に電話の情報のみで事件を解決に導く凄腕の指令課員がいる。千里眼を上回る洞察力ゆえにその人物は<万里眼>と呼ばれている――。ある日の深夜、通報に応答していた早乙女廉は『イエが盗まれた』という一報を受ける。思いもよらぬ訴えに動揺していると、割り込んでくる声が。その声の主こそ、<万里眼>こと君野いぶきだった。果たして事件の真相は? 電話越しに謎に迫る、新感覚警察ミステリ!

感想・レビュー・書評

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  • 警察の通信指令室が舞台の珍しい小説。新人の早乙女廉にいろいろと思いもよらない通報が掛かってくる。それを横から奪って解決してしまう先輩の君野いぶき。まあ、むちゃぶりの事件で、推理も唖然とするもの。あり得んわなあ。鈍感な廉といぶきの恋のさや当てが面白い。続編が読みたいところだよね。

  • 通信指令室に次々かかってくる110番通報。その電話の内容だけで真相を推理し事件解決に導くという新鮮な設定。

    家を盗まれた、大根が一センチ減っている、空室のはずの部屋から大勢の足音がする、厳重に警備されている筈の屋敷内の壁に落書きがされていた…など。

    中にはいたずらかと思われるような通報もあるが、相手の話を丁寧に聞く中で何が起こっているのか、さらには通報者の心の中まで見通すのが君野いぶき巡査、二十八才。年齢よりも幼く見える顔と声のために通報者からは侮られることもあるがその印象は次第に覆っていく。

    設定としては面白かったし、内容も日常系に近い感じで読みやすかった。最後の話は違っていたが。
    ただ個人的にはキャラクターにどうにも馴染めなかった。
    主人公の早乙女廉と探偵役の君野いぶきのすれ違いな恋愛模様は少女マンガチックで若い読者なら面白がれるのかも知れないが、アラフィフには痛々しくてその場面になると作家さんには申し訳ないが読み飛ばしてしまった。
    続編がありそうな雰囲気の終わり方だが、この一作でお腹いっぱいになった。

    ただ通信指令室の大変さは伝わってきた。緊急性のある通報はわずか三割、大半は警察官が出動する必要すらない内容。
    いたずらもあるだろうし、寂しくて話し相手が欲しいだけの人もいるだろう。認知症や何らかの障害を持った人が掛けてくる理屈の通じない通報もあるだろう。
    しかしそうした大半の通報を雑に扱っていいとも限らない。その中に事件性や重大性のある通報が隠れている可能性もある。
    神経を使う仕事であることは間違いない。
    この作品のように緊急通報でナンパをしてくる輩もいるのだろうな。

  • ある警察の通信指令室、つまり110番通報に対応する部署に新しく配属された早乙女廉。彼は何故か奇妙な通報を受けやすい質でその度に隣の席の先輩、君野いぶきに助けてもらうが、彼女は通話の対応だけで事件を解決すると名高い「万里眼」だった。始めは「自宅が盗まれた」とか「冷蔵庫の大根が1cm減った」といった奇妙な通報に対する解決が一捻りあってなるほどー、となったけど章が進むに従って捻りがなくなるしお互いを憎からず想っているはずの二人の態度が堂々巡り過ぎていらいらした。廉がにぶちん過ぎるんじゃ!いぶきの拗ね方もこれは…可愛いつもりなのか?謎とは違う所で評価してしまった。残念。

  • 佐藤青南『お電話かわりました名探偵です』角川文庫。

    県警本部の通信指令室を舞台にした連作ミステリー。書き下ろし短編5編を収録。

    君野いぶきは、電話の情報だけで事件を解決する伝説の指令課員で、『万里眼』と呼ばれていた。『閻魔様』から今度は『万里眼』。安楽椅子探偵的な設定で、軽く読めるのに謎解きもあり、まあまあ面白い。しかし、ストーリーがあっさりし過ぎていて、『閻魔様』の方が面白いかな。

    『CACE 1 家を盗まれた女』。深夜に買い物に行き、帰って来たら家を盗まれたと言う老女。老女の代わりに県警本部の通信指令室に通報した若い女性。通報を受けた早乙女廉は『イエが盗まれた』という一報に動揺していると、先輩の君野いぶきが割り込んで来る。

    『CACE 2 誰かが大根を食べた』。留守中の部屋に忍び込み、大根を1cm食べ、炭酸水を飲んで、綿棒を1本使ったのは誰なのか。通報者の疑問に君野いぶきが挑む。

    『CACE 3 マンションに潜む幽霊』。マンションの上の部屋から聞こえる子供の足音の謎に君野いぶきが挑む。

    『CACE 4 幻の落書き魔』。セキュリティのしっかりした高級住宅地にある政治家の家で起きた落書き事件。誰がどうやって書いたのかという謎に君野いぶきが挑む。

    『CACE 5 人を呪わば』。男女の恋のもつれから……5編目となると少し厭きてきたな。

    本体価格680円
    ★★★★

  • 警察の通信指令室が舞台。
    そこにかかってくる電話だけで事件を解決する名探偵がいるという話。
    正直、トリック?とか犯人とかはすぐ分かるし、キャラ付けも、こういってはなんだけどありきたり。
    おもしろいけど、一度読んだらそれで終わり感がありますね(汗

  • 安楽椅子探偵モノとしてはサクサク読めて面白い内容です。
    合間にあるラブコメがどうも合いませんでした。なんでだろう、別にラブコメが苦手というわけではないのですが。

    それにしても110番通報ってかなりの頻度なことに驚きました。119も併せて適切に使用したいですね。

  • ややコメディタッチですが、推理のロジックはしっかりしています。シリーズ化しそうな雰囲気がありますが、探偵役が現場に出ないという制約を今後どうしていくかですね。

  • 【収録作品】CASE1 家を盗まれた女/CASE2 誰かが大根を食べた/CASE3 マンションに潜む幽霊/CASE4 幻の落書き魔/CASE5 人を呪わば

     県警本部の通信指令室にいる、電話の情報のみで事件を解決に導く「万里眼」と呼ばれる指令課員の活躍が、後輩の視点で語られる。
     設定と謎はともかく、キャラが好みでなかった。優柔不断の語り手、推理能力は突出しているものの感情表現が子どもっぽい「名探偵」、恋の鞘当てをさせたいのかウザ絡みしてくる通報者。どれも苦手。

  • 通信司令部を舞台にした新作。
    電話の通報内容だけで、真実を見抜く「千里眼」を超えて「万里眼」と呼ばれる君野いぶきの活躍を描く。
    出版社は違うだけで、内容はほぼ「楯岡絵麻シリーズ」と似たような感じ。取り調べ室が通信司令部になっただけで、若手でイケボイスの早乙女廉とのやり取りも、全く新鮮さが感じない。
    「イエが無くなった」「人が住んでいないはずの部屋から足音がする」など、問い合わせ内容はなかなか面白かったし、ラストを除き、大きな被害者がいないので、ライトな警察小説としては楽しめるかも。

  • 気分転換には良いけど早乙女といぶきとの関係はドキドキよりイライラしちゃうな。通信司令室が舞台というのが少しユニークでその『少し』が良い。

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著者プロフィール

佐藤青南
一九七五年長崎県生まれ。「ある少女にまつわる殺人の告白」で第九回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞し、二〇一一年同作でデビュー。一六年に『白バイガール』で第二回神奈川本大賞を受賞。ドラマ化された「行動心理捜査官・楯岡絵麻」シリーズ、「白バイガール」シリーズ、絶対音感刑事・鳴海桜子が活躍する『連弾』『人格者』『残奏』など、著作多数。近著に『犬を盗む』『ホワイ・ダニット 行動心理捜査官・楯岡絵麻』『ストラングラー 死刑囚の逆転』がある。

「2023年 『残奏』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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