六人の嘘つきな大学生

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 4825
感想 : 277
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041098790

作品紹介・あらすじ

成長著しいIT企業「スピラリンクス」の最終選考。最終に残った六人が内定に相応しい者を議論する中、六通の封筒が発見される。そこには六人それぞれの「罪」が告発されていた。犯人は誰か、究極の心理戦スタート。

感想・レビュー・書評

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  • 2011年に就活でスピラリンクスという急成長中のIT企業を受けて五千人以上の学生の中から選ばれた最後の六人はチームディスカッションをすることによって全員内定の可能性があると人事部長の鴻上に言われますが、前言は撤回され、採用枠は一つになりグループディスカッションで「六人の中で誰が最も内定にふさわしいか」を議論することになります。

    そのディスカッションの場に皆が知らぬ間に六人全員用の告発写真が入った封筒が何者かの手によって用意されていて、皆の絶対に知られたくない秘密が暴かれていきます。

    前半の主人公波多野翔吾は、あまりにも軽い罪と写真が撮られた日のアリバイのなかったことから、封筒を用意した犯人にされ、内定は波多野が好きだった女子学生、嶌衣織に決定します。

    それから8年後、波多野が悪性リンパ腫によって亡くなり、嶌は8年前のメンバーを一人一人訪ねて行きます。
    すると、一人の元学生に「犯人は波多野君じゃなく嶌さんだったのでしょう」と言われ真相を調べ出します。

    以下私の感想ですが、ネタバレしていますので、お気をつけください。



    波多野が病気で亡くなっていたけれど、真犯人をとっくの昔に突き止め告発せずにいたことはよかったです。他の超一流企業で働いていたことも救われた気がしました。
    他の学生も告発されたことは、事実とはかなり違っていたことがわかり、内定者も嶌さんでよかったと思いました。
    波多野が使用していたパスワードは『フェア』でした。

  • いやー、これは面白かった!
    文句なしに面白かった!
    題名の通り、就活中の六人の大学生の裏の顔がどんどん見えてくるというお話。
    でも、ここまでで本の半分しか進んでいないのです。
    大事なのはここから先。映画の『カメラを止めるな』ではないか!と思ってしまいました。
    前半だけ読んでもそれはそれで面白い話。でも、作者が伝えたいのはここから先。
    見事なまでに読者を騙し、翻弄してくる物語だと思います。
    前半を読んでいると就活の難しさ、怖さがこれでもか!というほど描かれていて、自分はその年代をとっくに通り過ぎているおばさんで良かったよ〜、こんな思いしたくないよ〜と思ったり、我が子の就活の時を想像すると気が遠くなってしまったり‥‥汗汗汗
    でも、この後の二転三転で読者の気持ちも変わってくると思います。
    『月の表と裏』ですね。表と裏をひっくるめて月。
    裏を見てショックを受けることもあるだろうけれど、また表が見えた時には、きちんと自分の中の月のイメージを更新すること、これが『フェア』なんだと思います。
    前半を読んでいた時には、これは我が子に読ませるのは酷だ‥‥と思っていたけれど、読み終わった今は是非とも読んでもらいたいかもしれないです。


  • 面白さの穴に落とされた一冊。

    とある企業の新卒採用。最終選考で残った六人。

    なのに選ばれるのはただ一人。

    誰もが採用を獲得したい密室にぶち込まれた過去の黒い情報満載の白い封筒。

    緊迫感溢れる心の闘いに鼓動の高鳴りはいつしか完全色眼鏡の世界へ。

    今が全て?
    流れる時と共にまるで作者のあざ笑いをBGMに色眼鏡の世界が裸眼の世界へ。

    浮き彫りになる六人のあの時には思わず涙さえも滲んだ。

    人が人を選ぶ就活の"現実"も見せられながら、反転していく面白さ、人の多面性が魅せる面白さ、思い込みがもたらす穴に心は見事に落とされた。

  • 比喩でも何でもなく、ただただ騙され続けた!!
    悔しいけど作者の手の中で転がされ続けた!
    二転三転どころじゃない、何十回も何百回も!(さすがに何百回は言い過ぎかもしれないけれど、そのくらい何度も転がされた)
    でもそれが快感!笑

    最初から最後までひたすら激しいジェットコースターに乗っている感覚だった。

    展開が、持って行き方が、ズルイ。
    続きが気になるような話の運び方だった。これはズルイ!!(※褒めてます。笑)


    「こういう作品はだいたいこの人が犯人なんだよなー」と思いながら読み進め、順調に犯人が絞られていき、「ほらほら、やっぱり……」となって。
    だけど途中で「………え!??」となって、頭の中で組み立てていたものが全部壊されてごちゃごちゃになって、一旦冷静になろうと本を閉じた。笑
    そしてその後も「………は…?!?」となり、冷静になろうと本を閉じたタイミングがあった。数回。笑


    本当に面白いミステリーを読んだときって感想が詳細に書けない。ネタバレも含まれてしまうし。
    読んだ人とこの興奮と面白さを共有したい。
    そしてとにかく読むのをお勧めしたい。

    ミステリーってもういろんなトリックや伏線が使われ尽くしたと思っていたんだけど、まだまだ切り口や引き出しは無数にあるんだなと思わせられた。

    本当にジェットコースターのように、最後の最後までワクワクさせられた。脱帽。
    これをまた、全く何も知らない状態で読みたい。
    何も知らずにこれから読む人たちがうらやましい!笑

  • 魚雷屋の読書録さんのレビューを読んで、久々に小説を買う。
    氷河期だった自分の就活時代を思い起こし、また自分の子ども達も就活を間もなく迎える年齢なので(こちらもコロナ氷河期)、疼くようなほろ苦さを感じながら一気に読んだ。

    湊かなえさんの「告白」を思い出させるような、冷静で不穏な空気が漂っているが、語り手が誰か明確になることで、徐々にその重たい霧は晴れて行く。
    気をつけて読んでいても見落としてしまっている伏線の数々が、後半で鮮やかに回収されていく。

    就活生にとっては、絶対的「神」にも思える会社の人事部が、入社してみれば事務系の一部門に過ぎず、会社も学生も「就活」という祭りに踊らされる嘘つきの集団と化すような状況を見事に描いている。
    「就活」の表と裏を月面の表裏に喩えて、登場人物に語らせているところが印象的。

    湊かなえさん「高校入試」でも感じたが、その一瞬しかない選ばれる側の切迫した心情と、恒例行事化している選ぶ側の弛緩した態度の対比が鋭い。

    2021.5.4

  • どんでん返しの連続で、ページをめくる手が止まらなかった。感想も、勢いで書くほどに。

    知らない人と顔を合わせたとき、どう思うでしょうか?
    いい人?それとも悪そうな人?

    人は見かけによらぬもの、なんて言いますが、では中身をちゃんと見れているでしょうか。いや、そもそも「ちゃんと」見ることができるのだろうか?

    この本のどんでん返しに揺さぶられている自分は、まさしく人を中身で見ている「つもり」になっていただけなんだな、と痛感されられました。

    ネタバレであれば、すぐに内容を書くことができるかもしれませんが、瞬間瞬間を味わう、読んでいるときの自分の心の流れを時系列で感じる。

    映画館のように、没入できる環境はなかなか難しいと思いますが、それでも、できれば1冊を止まることなく読み続けることをお勧めします。

    「先入観」に御用心。

    • 勝又健太@炎上商法さん
      人の本質も見る大切さを学べそうな本ですね。
      購入してみます。
      人の本質も見る大切さを学べそうな本ですね。
      購入してみます。
      2021/06/03
  • 人気企業の最終選考のディスカッション対策に親交を深めていく6人の学生達。だが選考日直前に課題が変更。6人で1人の採用者を決めるという鬼畜な内容に。そして当日、ディスカッション中に就活生としては完璧に見えていた学生達の隠されていた「罪」が何者かに暴露されていく。犯人は一応名乗りを上げてその場は収束したが本当は誰の仕業なのか?真相に至る謎解きの閃きはちょっとデータ不足か?と感じたけど8年後に事件を振り返っていく過程で6人の印象が二転三転していくのがきちんと伏線を踏まえていて何回も読み返してしまった。採用する側の本音にもあるけど他人の一面だけ見て評価を下すのは難しく危うい事だなと考えさせられる。

  • ブクログでの評価が高かったので、読んでみたいと思っていた作品です。
    図書館の予約が早く回ってきてラッキーでした。

    めざましい勢いで発展を遂げているIT企業・スピラリンクスの採用試験が行われ、6人の大学生が最終面接に残った。
    全員で内定を勝ち取るためにチームワークを高めていく6人だったが、採用されるのは6人のうちの1人だけと告げられたことにより、彼らの真の人間性が明らかになっていきー…。


    ひとりずつ順番に悪事が晒されていく様子にはハラハラさせられ、全員が悪者のままで嫌〜な読後感になるのかなぁと思いましたが、救いのある終わり方で良かったです。

    就職活動って、誰を見本にしたら良いかとか、どんな回答が正しいのかがはっきり分からなくて、多少の嘘をついてでもとにかく自分をよく見せようと必死でした。
    選ばれる側の立場しか経験したことがありませんでしたが、作中では採用を決める側の心情についても少し触れられています。
    "人が人を選ぶ"のは、真剣に考えるとすごく難しいようだけど、加減次第ではいくらでも簡単にすることができてしまう。
    企業と学生、それぞれの思いが交差する就活。
    理不尽なこともあるかもしれないけど、真っ直ぐに頑張る人が報われる、そんな社会であってほしいなと思います。

  • すごく気になっていた作品。
    とにかく評価が高すぎるでしょ?犯人当ててみせる!と、ちょっと穿った感じで読み始めました。

    え?え?ちょっと待って。この人じゃないんだ?
    ひっくり返され、ひっくり返され、ラストはいやミスかなぁこれは…と思ったのですが、とても読後感が良く、光を感じました。とってもとっても読んで良かった。

    人間不信な所が自分でもあったのですが、人の一面だけを見て判断してはいけないと改めて思いました。広い視野を持ちたい。いかに自分が先入観を持って物事を捉えているか、知ることが出来ました。迷っていたのですが休み明け、会社の子に自信を持って貸そうと思います。面白かったです。

  • 普段人の良い面悪い面ともに、一部しか見ていないということがわかった。就活面接も同じ。そこからその人の全てがわかるはずがない。実力の部分もあると思うが、運も大きいと感じた。

    謎解きのような一冊でした。
    2021,8/20-21

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著者プロフィール

1989年生まれ、小説家。関東在住。第十三回講談社BOX新人賞Powersを『ノワール・レヴナント』で受賞しデビュー。その他の著書に『フラッガーの方程式』『失恋覚悟のラウンドアバウト』など。

「2021年 『ノワール・レヴナント』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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