白日

著者 :
  • KADOKAWA
3.10
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本棚登録 : 205
レビュー : 36
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041098844

作品紹介・あらすじ

 千日出版の教育部門で課長を務める秋吉に衝撃的な情報が入った。事業を率いる梶原局長の中3の息子が、謎の転落死を遂げたというのだ。部署が一大プロジェクト――大手進学塾と合併し社を独立、IT企業との提携のもと、最新技術を駆使した[引きこもり・不登校対策]を打ち出す新時代の高校を開校――に臨んでいたときだった。
 プロジェクトは一時中止になり、事故ではなく自殺という噂が社内では急速に広まる。秋吉は部下の前島と調査を開始するが、人事課の飴屋から警告される。以前から、社長派と専務派が対立する社内。会社の上層部は秋吉に隠蔽を働きかける。少年の死という状況のもと、彼らが気にするのは自社の利益追求と保身だった。

 信頼できない上司、暴走する部下、情報戦の様相を呈す社内派閥抗争……。もはや社内に信用できる者はいない――。

 子どもたちの未来のために新しい学校をつくる、その志を持って教育事業を推進してきた秋吉の運命は。少年の死の真相は。
 現代社会の欺瞞を暴き希望のありかを探る、明日のサラリーマン・エンタメ!



===
会社組織の中で生きる者として、
そして、一人の父親として、
いかに「人間」でいられるか――。

第10回〈山田風太郎賞〉受賞作家の会心作!

感想・レビュー・書評

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  • 今回も作者の切り口に驚かされた。組織で生きていくためにはしたたかさや抜け目のなさは必要なのかもしれないが、1本の芯が入っていなければ意味はないのかなと感じた。作中のターニングポイントは悟の行動だが、かれを連れてきた敦史が影の殊勲者であろう。

  • カドブンノベル2020年1〜8月号掲載のものに加筆修正し、2020年11月KADOKAWAから刊行。学校特区を使った斬新な通信制高校を創ろうとする企業プロジェクトのリーダが、突然のプロジェクト延期の原因を探る企業サスペンス。月村さんの筆力で、ラストまで、どきどきしながら、引っ張られました。あらためて考えると、荒唐無稽さが過ぎるというか、いくら何でもこんな風にはならないんじゃないかなと考えたいです。これってある意味、冗談なような展開です。

  • 引きこもりや不登校の生徒のための高校・黄道学園を設立するプロジェクトの局長の息子が謎の死を遂げる。もしそれが自殺ならば、プロジェクトの続行も危うくなるという危機感に迫られ、真相を探る主人公。それを妨害しようとする上層部。一人の少年の死という痛ましい出来事にも関わらず、周りの者が考えるのはとにかく保身。まあ会社人としてはそれが当然なのかとは思えますが。それでも世知辛い……。
    少年の死の真相が実に悲しいのだけれど。そういう「偏見」というのはたしかにあるかも。それほど意識していなくても、何が「普通」で何が「普通」でないのか、刷り込まれてしまっている部分があると思います。ほとんどの人はそれが「偏見」だなんて、なかなか気づくことがないんだろうなあ。

  • この人にはあまりリーダーとしての資質はないように思えるが。

  • 最近、よく読む、ようになった月村了衛さんの最新作。
    出版会社と大手予備校が手を組んで、不登校児を救済するような学校を建設するプロジェクトの実質的なリーダー・秋吉が主人公。
    彼自身も一時不登校に陥った娘を持っている。
    その娘を不登校から立ち直らせてくれた同じ年の男の子が不審な死を遂げる。しかも彼の父親は秋吉の上司で、プロジェクトチームの責任者でもある。
    本当に娘のことを考え出した時に、それまで色々あった秋吉の生き方がガラッと変わる。
    「サラリーマンとは、子供の父親とはかくあるべし」といった見本のようなストーリーだが、読後感はいい。

  • 大人達の ひしめき合いも面白かったけれど 登場する子供達が 愛おしい

    脆さも 激しさも 優しさも 危なっかしいけれど それら全てが 大人の目には眩しくてたまらない

    彼ら 彼女達の真摯な思いに打たれ 大人は立ち止まり 自らを振り返る

    みんな この先の未来に幸あれ とエールを送りたくなるエンディングだったと思う

  • サラリーマンの処世術や本音を俯瞰して学習した読了感。本来すべき仕事に目を向けず、腹の探り合い、裏切り、派閥争いに捕らわれる大人たち。ラストは子どもたちの純粋で真っ直ぐな心に救われた。

  • 森友学園問題とは異なるが彷彿とさせる。感が鋭いのか、やたらと違和感抱く主人公に、中学生がそんな理由で自殺?とあちこち引っかかる。それにしても、月村さんが半沢小説とは。どんどん幅広げてる。

  • 月村作品ファンとしては少し手応えのない温い作品。ストーリ展開も少し違和感がある。文章は上手いので読めるが読後感は今一つ。

  • 月村了衛さんの新作は出版社を舞台にした社内政治サラリーマン小説。出版社が大手の進学塾と合併してIT企業との連携のもとに、VR等の最新技術を使った引きこもり・不登校対策の高校を開校させようとしていた矢先に、事業を率いる出版社の局長の息子が謎の転落死、その事件を巡って出版社の事業担当課長の秋吉が、社内派閥政治に巻き込まれていく。途中秋吉の家庭も巻き込み進むストーリーは全く飽きさせず最後までさまざまな展開ありで楽しめる。

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著者プロフィール

1963年大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部文芸学科卒業。2010年『機龍警察』で小説家デビュー。2012年に『機龍警察 自爆条項』で第33回日本SF大賞、2013年に『機龍警察 暗黒市場』で第34回吉川英治文学新人賞、2015年に『コルトM1851残月』で第17回大藪春彦賞、『土漠の花』で第68回日本推理作家協会賞を受賞。2019年『欺す衆生』で山田風太郎賞を受賞した。他の著書に『神子上典膳』『奈落で踊れ』『白日』『非弁護人』などがある。


「2021年 『悪の五輪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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