ろまん燈籠 (角川文庫クラシックス)

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 228
感想 : 25
  • Amazon.co.jp ・本 (241ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041099032

作品紹介・あらすじ

「兄妹五人あって、みんなロマンスが好きだった」。退屈になると家族が集まり、"物語"の連作を始めるのが習わしという風変わりな一家、入江家。兄妹の個性的なキャラクターと、順々に語られる物語世界とが重層的に響きあうユニークな家族小説「愛と美について」ほか、「ろまん灯篭」「秋風記」など、バラエティに富んだ秀作、計七篇を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 最近の電車のお伴。
    菊のお話がすきです。

  • 5人の兄弟姉妹が順に物語を繋いでいく体裁になっているが、5人それぞれの性格や性別で「なにをハッピーエンドと捉えるか」が異なる表現をされており(特に男女で真逆になっている)面白いなと思った。

  • 秋風記
    新樹の言葉
    愛と美について
    ろまん燈籠
    女の決闘
    古典風
    清貧譚

  • 人間の演じる、本音と建て前、エロス(生)とタナトス(死)、悲劇と喜劇を真面目に笑いながら皮肉る太宰作品は好物で、年に一度は読み返してしまう。5人兄弟姉妹が小説の連作に興じる「ろまん燈籠」。「ただ、好きなのです。それでいいではありませんか。純粋な愛情とはそんなものです。」と好意の弁解を嫌悪するところ、最後一番できの良かったのは母親のみよに決めるところ、が面白い。  その他、「秋風記」「思い出に生きるか、いまのこの刹那に身をゆだねるか、それとも、将来の希望とやらに生きるか、案外、そんなところから人間の馬鹿と利巧のちがいが、できてくるかもしれない」、「女の決闘」「芸術家には、人でない部分が在る、芸術家の本性はサタンである」など昭和14-16年の魅力的な作品が並ぶ。

  • ろまん灯籠、前々から友達にオススメされていて気になっていたから読んでみた。自分ならこう書くなぁなんて想像しながら読んでたら凄く楽しかった。太宰治って言うと人間失格とか暗〜いイメージしかなかったから新鮮だった。

  • タイトルが素敵だなと思って気になっていたのでようやく読んだ。

    退屈になると家族が集まり物語の連作を始める「愛と美について」
    その一章をまるまる再録した後日譚「ろまん燈籠」ではラプンツェルを下敷きに。
    「女の決闘」では太宰が教鞭とってる風の文学講座で原典を改変していき、「清貧譚」では聊斎志異を素材に。
    と、二次創作目白押しの短編集だった。
    先日「御伽草子」の手稿がみつかったと話題になってたけど、そういやあれも昔話パロディなのよね(読んでないけど)
    この趣向は確かに若いときに読んでたらハマった可能性はあるけれど、いかんせん太宰がペラペラと饒舌過ぎる。
    「古典風」は冒頭から"-こんな小説も、私は読みたい。(作者)"という趣味全開プロット。
    太宰の太宰による太宰のための同人誌とでも言いましょうか……楽しんどるなぁ……という感じでした。


    下記は平成10年改訂初版情報。セピア色の布背景にコントラバスっぽい楽器を弾いている女性?のシルエット。
    解説 / 岩井俊二
    装画 / 望月 通陽

  • 太宰治は出鱈目でありながらも、要所要所でものごとの本質をあぶりだしてくるのがすごいところかもしれない。出鱈目で狡猾な人間を自認していて、良心というか本質を見る厳しい目ももっていたから、自死してしまったのかなあ。そう分析してみましたが、岩井俊二さんの解説によると、死ぬことに対するミーハー的な気質だったんじゃないかということで、そういうやっぱり軽い面のある作家だったのかなあという印象を持ちました。まあ、作家っていうのは誰しもがそうい軽さってあるとぼくは思っていますが。もしも太宰ばかり連続して読んでみたら、彼なりの文章の美しさや語彙が読み手にもある程度は身に付きそうですけれども、やっぱりその甘ったるさみたいなのに辟易としてしまう可能性が高い。ぼくにとっては、たまに楽しみで読むのがいいように思いました。間隔を開けずに二度読みなんかすると、興ざめな文章のときもあるよね。と、そんなことを言いつつも、おもしろく読みました。

  • 「太宰というのは、死にたいという思いと、やっぱり生きてみようと思わせる出来事との葛藤で作品を作っている人で、この背反する二つの要素の比率によってそれぞれの作風が異なって見えるのである。」という解説になるほどーと思った。

    この本の中の作品では、「死にたい」方に傾いているものとして、「秋風記」が、「生きてみるか」の方に傾いているものとして「新樹の言葉」「愛と美について」「ろまん燈籠」「女の決闘」「古典風」「清貧譚」として分けることができるという。


    「死にたくなった?」
    「うん」
    という会話がさらっと交わされる「秋風記」が好き。

    ぐだぐだと自分を曲げることができない主人公の「清貧譚」も好きだ。

    どの作品を読んでも、太宰は人のよろしくない部分を描写するのが上手い気がする。特にダメ男にかけて。

  • 配置場所:摂枚文庫本
    請求記号:913.6||D
    資料ID:95980223

  • 「女性は男に愛撫されたくて生きている。称讃されたくて生きている。」

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著者プロフィール

明治42年(1909年)青森県生まれ。小説家。1935年、「逆行」が第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。『斜陽』などで流行作家となるが、『人間失格』を残し玉川上水で入水自殺した。「乙女の本棚」シリーズでは本作のほかに、『待つ』、『女生徒』(以上、太宰治+今井キラ)、『魚服記』(太宰治+ねこ助)、『葉桜と魔笛』(太宰治+紗久楽さわ)がある。

「2023年 『駈込み訴え』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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