津軽 (角川文庫クラシックス)

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 147
感想 : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041099056

作品紹介・あらすじ

昭和19年、風土記の執筆を依頼された太宰は三週間にわたって津軽半島を一周した。自己を見つめ、宿命の生地への思いを素直に綴り上げた紀行文であり、著者最高傑作とも言われる感動の一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 今日6月19日は桜桃忌。太宰治の誕生日であり、亡くなったのも6月で亡骸が見つかったのが6月19日にちなんで太宰忌とされたそうです。
    太宰治の風土記であり、故郷の思い出や最後は幼少期の育ての親「たけ」との出会いを綴った自己再発見の旅でもあった紀行文ですね。
    私は太宰治の作品で「津軽」が一番好きです。太宰治の素直な気持ちがよく出ていて、ユーモアも溢れて人情味豊かな温かい文章が良いですね。津軽への愛着と家族への思いもあり、太宰治の人柄がよく出た作品だと思います。

  • 純文学で土地の説明などで難しい部分はあるけれども、全体的に楽しい旅物語で読み進めやすかったです。特に旅先でのお酒シーン(殆どの呑んでいるのだが)は読んでいて自分も旅先でお酒を飲みたいなぁ…と憧れてしまいました!笑

  • 津軽で津軽を読むとより楽しめる。

  • あまり太宰治の知識がない状態で読んだので、「~ちゃった」と言う太宰治に面白く感じた。
    数か月前に読んだ本で、太宰治の超基礎知識については学んだつもりなので、それを踏まえてもう一度読んで、どう感じるのかを考えてみたい。

  • 名作。ふるさとに対する愛情が全編に溢れている。「おのれの肉親を語る事が至難な業であると同様に、故郷の核心を語る事も容易に出来る業ではない。」
    春の津軽平野の風景の描写で胸がいっぱいになった。

  • 郷土愛。
    青森へ行きたくなります。
    お酒も飲みたくなる。

    また、カッコ悪くも魅力的な太宰治がたくさん詰まってます。

    本当に憎めない愛されキャラ!

  • 彼の都合で年に何回か訪れる青森。
    青森県出身の太宰治が書いた青森。
    太宰治というと自殺、女性問題、薬、酒など暗いイメージ。
    私の中の青森も本州最北端でけして明るいイメージではなかったから、この本も暗くて重いものかと思っていた。
    でもそんなことはなく、笑ってしまう箇所があったりと読みやすかった。
    最後にタケが出てくるとは!
    太宰治がモテる理由がわかる気がする。
    変に加工されていないストレートな文章がすごく好き。
    印象的なのがお兄さんが「としをとると自分の生まれて育った土地の景色が京都よりも奈良よりも、よくないか、と思われてくるものです」と答えた。

    やっぱり故郷はいいなと思えたし、故郷にいる人はやっぱり特別だなと自分自身も感じた。

    次青森行く時は、太宰ゆかりの地を訪ねようかな。

  • 冒頭から陰鬱。明るい要素もなく、津軽と自身について書き進めていく。序章で挫折…

  • 太宰の津軽の対する想いが淡々と描かれている名作!  家に居ながら津軽を紀行できてしまう不思議な作品です。

  • ≪内容≫
    太宰の出生地である津軽周遊の紀行文。行く先々で酒を飲みつつ旧友や乳母と再会し、自己の来し方を知る。

    ≪感想≫
    青森を旅行する機会に手に取った一冊。陰鬱な太宰小説のイメージとは違い、自虐的ながらも明るくユーモラスな紀行文。文献の引用やまことしやかな逸話を散りばめながら、津軽という土地柄や人々についてユニークな考察がなされている。

    故郷を知る旅というのは、同時に自らを知る旅でもあるのではないだろうか。熱心すぎるほどに客人をもてなす友人、旧家の間取りに見る亡き父の心理、たけが再会の際に見せたそっけない態度など、旅先で出会う様々な人や出来事から、太宰は自らを育て形作ってきたものが何だったのかを見出していく。

    酒を飲む際の言い訳がましさだったり、自分をだまし、世間体を気にしながらもそれを正当化しようと頑張る太宰のいじらしさのようなものが処々で窺われ、等身大の太宰が書き綴った人間味の溢れる文章が心をほっこりと温めてくれる。津軽人の朴訥な優しさが滲み出た一冊なのかもしれない。

    最後に。本文中で津軽の大いなる未完成にこそ日本の希望があるという旨の引用が載せられている。過日の大震災で大きな被害を負った東北地方ではあるが、その復興の中にこそ停滞ぎみであった日本の再出発という希望を見出すことができるのかもしれないとふと考えた。少々楽観的すぎるかもしれないが、「元気でいこう、絶望するな」という結びがさらに強く響くタイミングで本書と出会えた気がする。

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著者プロフィール

明治42年(1909年)青森県生まれ。小説家。1935年、「逆行」が第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。『斜陽』などで流行作家となるが、『人間失格』を残し玉川上水で入水自殺した。「乙女の本棚」シリーズでは本作のほかに、『待つ』、『女生徒』(以上、太宰治+今井キラ)、『魚服記』(太宰治+ねこ助)、『葉桜と魔笛』(太宰治+紗久楽さわ)がある。

「2023年 『駈込み訴え』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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