斜陽 (角川文庫クラシックス た 1-4)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 47
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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041099063

感想・レビュー・書評

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  • 読後、日記の提供者である太田静子の半生を読む。

    限りなくノンフィクションだと思うと切なくもなるが、かず子は恋と革命を掲げ道徳を破り上原の子を授かった。

    一方で貴族精神を貫いた弟は恋の革命を起こさず自殺。

    生き方と言うか、
    それもまた人生の選択なんだろう。

    面白かった。

  • これはとてつもなく暗い作品です。
    零落した貴族というのも悲しさが漂いますし
    母親が弱り、あっけなく死に行く様も暗いと来ています。

    主人公もとかく悲しい目に遭っています。
    そう、離婚という。
    そして行き着いた先は傷つく恋…

    全部に陰鬱が漂います。
    この作品は死の1年前に書かれたそうで。
    きっとこの時期から彼の死の渇望は
    あったのだとおもいます。

  • 太宰に少し苦手意識を持っていた私が、すんなりと読めた作品。この本のおかげで、ほかの作品も読んでみようという気になった。

  • 以前読んだときの印象で、
    なまめかしさを秘めつつ
    美しさ、かわいらしさが表立った文章と記憶していたけれど
    読み直してみたらそれだけで済まなかった。


    本物の貴族である母と比べ自分自身で嫌悪しながら
    恋と革命に生きると決めたかず子の決意と、
    最後に明かされる直治の苦悩。


    ふわふわとした文章から始まる割に
    終わりにかけて劇的な展開を見せるさまが
    陽が陰っていく様子なのかな。。。


    しかし「恋と革命」とか「戦闘、開始。」とか
    森見登美彦が使いそうなフレーズだなぁ。
    とちょっと斜に構えた態度で読んでしまった自分が悲しい。

  • 遂に挑戦した『斜陽』

    文章の書き方が本当に少女らしくて
    太宰は才能豊かだと実感しました。

  • 読んだのと表紙が違うがおそらくこれであっていると思う。
    ヨイトマケ、とは土方で地ならしをする仕事の事のようだ。
    「斜陽族」という言葉を生むほどのブームが起きたという事が現代を生きる私には俄に信じがたい。

    しかし考えさせる節々がありおもしろかった。
    財産を食いつぶしていく没落貴族。
    滅びの美学。


    お嬢さまだった私の祖母ら、本書が刊行された頃、かず子に近い年齢であったはずだ。若い頃の逸話を聞く事はあったが戦後どのように思いながら生きたんだろうとふと思った。そういう人たちにとって斜陽の受け取り方は私とは異なるであろうことに興味がわく。

  • 没落する生活と、胸の中の革命。


    子宮を持っている女は強いです。
    直治の文章が痛切です。

  • 途中、ヤンデレの話かと思いきや、意外にも最後まで気丈に生き、それなりにハッピーエンド。
    いや、思いを遂げはしたけど、ハッピーではないか。

  • 何年か前に、文学を読もうと思って買ったのに、読んでいなかった本。2年くらい前かな。

    09年3月19日15時2分26秒より更新


    直治の自殺の告白の遺書は、こころに出てくる先生の告白に似ている。

    辞書を見ながら読んだので時間はかかったが、読んでいていろいろ感じた。

    まず、お金について。お金がないと生きて行けないと思った。・・小説を今まで読んでこなかったので、こんな凡庸かつ的外れなことしかかけなくて情けない。

    直治の気持ちに少し共感を覚えながらも、自分もそうなるのではないかと思い怖くなった。


    太宰治昇天:

    これもとても興味深い。行き詰まりなどないのにそういう言葉で一括りにしてしまう新聞や人。

    短編とはいえ、一回ではよくわからない、感じ取りきれない。

    ただ、安住さんはこういう文学を読んできたからこそ、豊富な語彙や言葉遣いに対応ができるのだという風には思えた。

    女性は怖いなと感じた。そして、男性にとってはよくわからないところがあると思った。

  • 不器用な生き方しか知らず、時代に翻弄される貴族の一家の悲壮に満ちた物語。
    ポツダム宣言受諾、そして昭和天皇の人間宣言により、日本国民は旧来の倫理観の転換を余儀なくされました。中でも古い道徳の只中にあった貴族(皇族)の心の葛藤は、現在に生きる僕らの想像を絶するものであったに違いありません。
    最期まで貴族を貫くか。
    現実と向き合い戦うか。
    死か。
    どちらにせよ、辛い選択には変わりないのです。

著者プロフィール

1909年〈明治42年〉6月19日-1948年〈昭和23年〉6月13日)は、日本の小説家。本名は津島 修治。1930年東京大学仏文科に入学、中退。
自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した。主な作品に「走れメロス」「お伽草子」「人間失格」がある。没落した華族の女性を主人公にした「斜陽」はベストセラーとなる。典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年6月13日に愛人であった山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

「2022年 『太宰治大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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