人間失格;桜桃 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 550
レビュー : 56
  • Amazon.co.jp ・本 (163ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041099100

作品紹介・あらすじ

「もはや、自分は、完全に人間でなくなりました」廃人同様のモルヒネ患者の手記の形を借りたこの作品は、無頼の生活に明れ暮れた太宰治自身の自伝であり、遺書ともいえる(「人間失格」)。ほかに家族の幸福を願いながら、自らの手で崩壊させる苦悩を描いた絶筆「桜桃」を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 魅了された。

    主人公ははっきり言って、クズ。

    酒と薬に溺れ、自意識に呑まれ、女に依存して、幸も、不幸も感じず、ただ、生きている。

    それでも、文章の至るところで共感し、主人公に魅力され続けている自分がいた。

    人間失格という言葉に込められた思いは、人間としての最低限の生活すらできず自殺もできない自分を自虐する意味もあると思うが、誰よりも人間の本性的なものを恐れていた主人公が、人間らしさをこの後に及んでも卑下し、自分は『人間』らしくないのだと自分に言い聞かせることで身の保身をはかる意図も込められている気がした。

  • 2017年29冊目。

    久しぶりの再読。
    一文一文まともに読むと、えぐられすぎて心的な疲労がすごい。
    ただそれくらい、この作品は自分ごとに引きつけられる。

    人間を恐れすぎて、自分を取り繕うために始めてしまった道化。
    相手を裏切る事に極度に怯え、その道化はエスカレートしていく。
    それが見破られた時の、足元が崩れるような絶望感。
    誰かから受けるちょっとした恩恵さえ、取り返しがつかない重荷のように感じてしまう。
    「なぜこうなってしまうんだ」と自分を呪いながらも、地獄のような思いをさせられるその性質を、なぜか手放さず選びとってしまう。

    初読の時も、「世間というものは、個人なのではなかろうか」という葉蔵の発見がずっと心に残っていた。
    一つの恐怖、一つの挫折が、まるで今後もずっと続くかのように固定化・一般化してしまうところに不幸がある。
    だけど世間は、一般化された広大な海ではなく、目の前の個人、それを乗り越えてまた個人、の連続。
    行き当たりばったりの、その場限りの勝負にだけ勝っていけばいい、という気づきは、大きな救い。
    願わくば、葉蔵もそれに救われればよかったと思う。

    これでもかというくらい、たたみかけるようにえぐる筆調に、ただただ圧倒させられる。

  • 暗いんだけれど唸らせる。他の方のレビューを見てみると、「共感できる」派と「理解できない」派真っ二つに分かれているのが興味深い。自分は断然共感できる派だった…

    今でこそその嫌な癖から抜け出しつつあるが、私も幼少時から20歳前後にかけて周りの人が期待・想像している自分のキャラを察しそれをわざわざ自ら演じる傾向があった。死を考えたことこそないけれど、小さいころは何故だかなんとなく普通の幸せを得られないような気がしていた(ありがたいことに今は小さな幸せを享受しているが)。

    幼少時のどんな体験がこういう性格を作り出すのだろう。

  • 人間失格
    太宰の他の作品を読んで「ああそうだったのかな」と思うことがある。

    桜桃
    「自分のほうが大事」、時々児童虐待云々の報道を見るたびに思い出す。

  • 40年ぶりに読み直した。
    やはり面白い。
    今回の再読は西加奈子、又吉直樹からつながっている。

  • 空腹が分からない
    →人間の営みが分からない
    →他人の幸福や苦痛が予想もつかない
    →人間恐怖症・対策の道化

    幼少の頃から、一言も自分の意見を言わずに生きて来た大庭葉蔵。
    彼の苦悩が描かれ、金に困る前までは思考の掘り下げが非常に興味深い。
    ただ、その後が酷すぎる転落で、読んでいて苦しくなってくる…。

    赤と黒も、車輪の下も、
    目標があり、達成した喜びや友情もあるのだが、人間失格にはそれすらも無い。
    臆病の可哀想な思考と生涯。
    太宰治が自殺に追い込まれたのも無理はないと納得する作品。

  • 太宰治をきちんと読んだのはこれがこれが初めてでしたが、この『人間失格』については、多くの読者が惹かれる気持ちがわかりました。
    皆が、葉蔵の中に何かしら自分を重ねて読めるからではないでしょうか。
    最後、葉蔵は病院から退院し、田舎での生活を人間の世界から切り離された廃人の生活と称しますが、私は、ある意味幸せな生活と思えてしまうのですが、人間の生活に挫折したという挫折感が強くて、そうも思えないのでしょう。
    もう一度読み返したいです。

  • やばいおもしろい。完璧な感じじゃなくて、ちょっと修行途中の作家って感じがいい(桜桃の終わり方が特に)。グッド・バイも是非読みたい。

  • これだけの心情を想像で書けるのか疑問に思っていたら、やっぱりほぼ実体験なんですね。自分で思ってなければ、書けない気がする。

    人を惹きつける内容と文章なのは分かるんですが、私には理解できない部分が多々。。。この人にはずっとこんな風に世界が見えてたんだろうか。

    第三者のはしがきとあとがきに、本人の手記という構成はとても好きでした。読者に近い客観的な視点があることで、入り込みやすくなっていると思います。

    人間失格だけど、人間臭い。もっと歳をとってから、また読んでみたいです。

  • 薄い本でさらっと読めたが、よくわからなかった。
    【人間失格】敬遠していたほど怖い話ではなかった。読みにくかった。
    【桜桃】太宰の心はいつも死のことが憑いて回ったのかな。

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プロフィール

1909年(明治42年)、青森県金木村(現五所川原市)生まれ。本名、津島修治。東大仏文科在学中に非合法運動に従事し、やがて本格的な執筆活動へ。35年、「逆行」で第1回芥川賞の次席となり、翌年には処女作品集『晩年』を刊行。以後「走れメロス」「斜陽」など多数。

「2018年 『津軽』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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