ヴィヨンの妻 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 420
感想 : 40
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041099117

作品紹介・あらすじ

傷つきやすい心をごまかすように、金もないのに飲んだくれる詩人の動静を、妻が奇妙な明るさで語る表題作をはじめ、未完の絶筆「グッド・バイ」のほか「パンドラの匣」「眉山」「トカトントン」の5篇を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 表題作ヴィヨンの妻他四作品!

    伊坂幸太郎のバイバイブラックバードを読み、どうしても本作収録のグッドバイを読みたくなり購入!

    グッドバイを読んで、作者に死んでほしくなかった事と伊坂幸太郎がNICEなが解釈と適度なアレンジでバイバイブラックバードが時空を超えた作品に仕上がっていたと思えた。

    他の作品で手紙形式のパンドラの箱 読むに連れて登場人物達がくっきりしてきて輪郭がハッキリしたところで終了!これももう少し読みたかった!
    結核患者のサナトリウム?小説

    ヴィヨンの妻はダメな夫に腹立つものの皆んなが幸せなら良いのかなぁ?とも思ったり思わなかったり・・・

    眉山は主人公達に金払えと言いたくなる!

    トカトントンは主人公に気になるな考えるな働けと言いたくなった!

    比較的にダメな主人公達に共感するのは難しいものの読んでて面白い!

  • 死や破滅思考・行動に依ってしか生きていけない登場人物たち。
    痛みを感じねば生きている心持も得ない、現実に対してリアリティの欠如に苦しんでいるのだろう。
    実に痛ましい事だ。
    この痛ましさに気付かない理解出来ない人は幸せだ。
    現代だからこそ、より一層太宰作品は愛されると思う。現代病だらけじゃないか!

    表題作より「パンドラの匣」を読みたくて、珍しく新書で購入。
    どの作品も当たり前のように良かったけれど(当たり前のよう…ってスゴイね)、「眉山」が一番良かったかな。
    身体が辛くって押してでも、接客していたのはサービス業の鏡!
    なにより愛嬌があって可愛らしい良い子だ。

  • 太宰治「人間失格」、「斜陽」に続いてこちらを読みました。「パンドラの匣」は今まで読んだ中で明るくて読みやすかった。死に対する描写が全編にあり、太宰治の死生観が感じ取れるような気がします。

  • 思ったより暗くない一冊でした。別の書籍で、パンドラの匣から引用された文に圧倒されて本書を購入。愉快だったりふと駆け抜ける暗さがいいなあ。もう少し暗い話を求めていたけれど、これはこれでよかったです。眉山が印象的。

  • 私が図書館で借りたのはタイトル「グッド・バイ」だったな?バーコードで検索したらこちらが出てきたので表題変わったのかも知れませんね。
    ヴィヨンの妻、グッド・バイ、いずれも読んだことのない作品が入っていたので手に取りました。
    (にしても「トカトントン」はあちこちで見るな?
    長さがちょうどよいのか作者の悩まされた偏頭痛のせいか)
    どれもこれも、小説の形を取った自伝かな?と思わされる作品。
    「眉山」はちょっと後味悪いかな…
    「グッド・バイ」、えーーー!?ここで終わるの!!??
    このあとめっちゃ気になる展開だけど!!??ってなった!

    何…?バイバイ、ブラックバード…?
    それはぜひ読んでみなければ!って読んだことなかったっけ、記憶が薄れてるのでもっかい見る!!

  • トカトントン、何を表した音なのかはっきりとは説明できないけど、ふっと我に返って冷める瞬間は自分にもあるので共感して読めた。最後の一段落の意味するところを理解できるようになりたい。

    ヴィヨンの妻は、「人非人でもいいじゃないの。私たちは、生きていさえすればいいのよ。」というラストらへんの台詞が心に残った。

    この短編集で意外にも一番好きだと思ったのは眉山だった。眉山が可哀想で。「ほかへ行きましょう。あそこでは、飲めない。」というラストらへんの台詞から「僕」の強い後悔に胸を痛める心情が伝わってきた。そこで店を変えてしまうのはなんだか卑怯にも思えるけれど、あえてそういう人間の弱さ狡さみたいなのを描いたんだろうなと思う。

  • 詩人の妻が借金返済のために働き始め、それによって生きがいを見出していくお話。

    斜陽に比べて短くて読みやすかった。ヴィヨンとは15世紀のフランスの詩人、フランソワヴィヨンのことだと考えられ、主人公の夫が詩人であることから引用されているものと考えられる。
    作品内で主人公の名前が明かされることがなく、これは主人公が自分の役割に対してしか価値が見出せず、自分自身の存在の無価値さのようなものを悟っているからなのかなと感じた。

  • 「走れメロス」「ヴィヨンの妻」の2作を連続読了。短編集だが、すべての作品が太宰治本人の自伝、心のうちの暴露本と感じながら読んだ。

  • グッド•バイ映画化ということで読んでみました。読んでから予告編をみて、あぁなるほどぴったり。情報全く集めてないのですが、未完の作品ということで途中からは想像の産物、ということなんですよね…?

    パンドラの匣、2回目でした。「正義と微笑」を読みたくて手に取った文庫にあって、再会。前より顔が浮かぶよう。気持ちも汲めるよう。

    小川洋子さんの解説で「登場人物を最低ラインに突き落とし」というのがありました。「太宰作品」はそういうことが多い、という認識でいいのかな…?(どうも手探りで申し訳ない。不勉強です。)
    自分の読了感としては、それほど重くは受け止めませんでした。晩年作だからそうなのでしょうか。どの作品も人物が映像のようにたちあがり、人間の持つダメさ、ずるさ、どうしようもなさに共鳴していた感はあります。だから映画化されるのかな、それも殆ど観たことないけど…なんとなく敷居が高い感じがしていたのですが、意外とこう、読みやすいのだなと思いました。
    作品リストをもとに、またしばらくしたら何か読んでみたいです。

  • 『パンドラの匣』がすごく面白かったです。病床の物語ということで暗いものを想像していましたが、全然そんなことはなく読みやすかったです。
    『グッド・バイ』は名前と未完であることは知っていましたが、まさかこんな唐突に終わってしまうとは……。

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著者プロフィール

明治42年(1909年)青森県生まれ。小説家。1935年、「逆行」が第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。『斜陽』などで流行作家となるが、『人間失格』を残し玉川上水で入水自殺した。「乙女の本棚」シリーズでは本作のほかに、『魚服記』、『葉桜と魔笛』、『女生徒』がある。

「2023年 『待つ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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