人間失格 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041099124

感想・レビュー・書評

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  • 名作と言われる文学小説なので1度は読んでみたいと思い読みました。
    太宰治の世界観。
    正直、1度読んだだけでは自分には理解できていないので何度も繰り返し読む必要があると思いました。

    太宰治の作品はとても多く、読んでない作品も多いので読むのが楽しみです。

    「恥の多い生涯を送ってきました」。
    そんな身もふたもない告白から男の手記は始まる。男は自分を偽り、ひとを欺き、取り返しようのない過ちを犯し、「失格」の判定を自らにくだす。でも、男が不在になると、彼を懐かしんで、ある女性は語るのだ。「とても素直で、よく気がきいて(中略)神様みたいないい子でした」と。
    ひとがひととして、ひとと生きる意味を問う、
    太宰治、捨て身の問題作。

  • 有名な作品ですがなんとなく避けていました。
    特に理由がはっきりしてるわけではないけど、なんとなく気分が沈んでる時にふと読んでみました。

    前半。今でいう陰気でコミュ障、だがそれを特別だと思い込む厨二病感、10代の頃のこの感覚、少し共感できました。
    自分にも少し共感を覚えたのと、自分が親しかった友人にも似たような方がいまして…。頭に浮かびました。
    後半。大人になった主人公ですが、自分にとって一番欠けてるものを持つ女性。その一番大事な部分が仇となるのは凄く凄く悲しかったです。
    このシーンが一番印象的でした。一番共感できました。
    でもその出来事も出会いのきっかけも、その女性の計算だったとしたら…。とか考えると止まりません。
    人を信頼し疑いを持たない女性。その女性は信頼というものに強い人だと主人公が言っており…。『その女性が持つ信頼』を信じているのがなんだか切ないなあと。
    その女性の信頼が本当かはわからないのに、主人公を手に入れるために演じていたものだったかもしれないのに…とか。
    『信頼』を信じた主人公は凄く人間らしくて素敵だと思います。
    学生の頃だったらきっと信じてないだろうなと…。大人になり色んな経験を経て、この信頼を信じたからこそこの結末になり、それを信じた自分が人間失格だと、そういう意味で捉えました。
    こんなん主人公が一番純粋だよーーーー。


    まあでも人生そんなもんよね……………。
     

  • 私が太宰治の沼にハマるきっかけになった本です!

  • 主人公の感情を細かく書いているのがとても良い
    自分は主人公と似ているところがあるので、ダメにならないように自分を確立していかなければいけないと思った

  • 漫画版の人間失格を読んだ後にこちらを読みました。
    周りの目を気にしすぎ、道化として生きることの愚かさを知ることができました。自分の生き方を改める機会になった本です。

  • 堕落。
    人間失格とはよく言ったもので、
    救いようのない心があります。
    救いを求めるくせに救われる気はなく、
    孤独に堕ちる様は形容しがたいです。
    この美しく馬鹿げた闇に吸い寄せられた太宰も、
    孤独に溺れた一人なのかと、
    心が傷みます。
    一度は読む価値のある作品です。
    どう感じるかは各々ですが、
    私はこういった剥き出しの心が好きです。

  • 国語の先生から、ずっと「若いうちに読んでいた方がいい本」としてすすめられてきた1冊。
    親も先生も口をそろえて言うことが、
    「若いとき読むと、太宰に共感していろいろ考える。でも、大人になってから読むと、太宰が馬鹿に見える」と。
    「こいつ、こんなにこんなこと考えて、ただただ根暗なだけじゃねーか」って思うらしい。
    そう言われていたし、18才のうちには読んでおきたかったので、読みました。

    そしたら、まだ若いせいか前者でした。
    後者のようなことも思ったけど、
    やっぱりいろいろ考えてしまいました。

    この本を読む前に映画を観たのですが、
    あまり話がわからないところが何ヶ所もありました。
    本を読んでこーゆー背景だったのかと理解したので、
    映画も観る予定の方は先に本を読んでおいた方がいいと思います。
    映画はそれぞれの俳優さんの演技が上手いですし、
    そのころのかんじもでているのでいいですが、
    私的には本の方が当たりですね。
    この本はダラダラしてる印象があったのですが、
    短いせいか、軽く読めます!
    30代になってから、また読みたいと思いました。

  • 初めて読んだ太宰作品。中古文学専攻で、近代はさっぱりだったけどやっぱり長い間読まれ続けてる名作は面白いんだ〜と思った。登場人物の中に感情移入できる人はいなかったけど、どうしようもなくつらい気持ちになって最後のシーンは辛すぎて涙が出た。こんなに引きこまれる文書、さすがだ〜すごいなあ〜と思った。

  • 面白かった。
    人間らしさが溢れていた

  • 人間味の強い内容で日本人特有の人と人との関わり、表の顔、裏の顔、間の文化がとても顕著に現れていた。
    また後半の部分では主人公が女をたぶらかしているような場面が多くあるが実際は主人公が女に振り回されているのだなとおもった。とても心情や人間関係の難しさ、もどかしさがでておりとても面白かった。

  • 難しかった。
    独特な文章で読みづらかったが、読んでいくうちに物語に引きまれていった。
    お道化というのは、現代の人にも少なからずあって共感出来る部分があると思った。

  • 社会に馴染む事ができない。

    幸せに生きる事を恐れながら、なぜ幸せに生きる事ができないのか苦悩しているようだ。

    賢い頭を持っているのに、問題の解決に使えない。
    へそ曲がり。

    一体どうしたいの?と問いたい気持ちでずっと読んだ。

  • 太宰治が戦前の昭和初期を舞台にある美青年の悲劇的な生涯を描いた作品。

    生まれついて美しく生まれついた葉蔵はその外見に反して内面はとても弱く繊細に出来てしまった。
    だからその弱さを隠すため、人前では道化を演じて決して嫌われないよう、周りの求める役を演じるように徹した。

    決して自分が誰かと対立しないように。
    そんな生き方をしていると、学校などでは人気者となり女性からも非常にモテるのだが、なにせ本心を隠し続けるのだから、自分を理解する友人が出来るはずもなく、周りに集まるのは自分を都合の良い場作りの人間として利用するばかりの人間だった。
    そんな彼は人間不信のまま、成長するがやがて中学、高校を卒業するも、そのモテ具合と反比例するように人間不信はいよいよ深まり、やがて身を破滅するようになる。

    特に10代、20代の男性にとって、異性からモテるというのはいつでも重要なテーマだと思うが、この作品の主人公のように、
    非常にモテるが同性、異性問わず自分を理解してくれる人はいなく、常に猜疑心に支配されているのだとすれば、たとえ異性と縁なくとも一握りの理解ある友人を持つ人生の方がはるかに幸せなのではと思う。

    思うに、この主人公は異性を容易に魅了できるが故に、本来必要であった孤独を持つことができなかった。
    故に孤独に耐える強さや自分で決める強さを得られる機会がなく、いわば女性たちにスポイルされてしまったために自己を鍛える事が出来なかったのが悲劇だったのだろうと思う。

    当人は悪人では無かったが、その弱さゆえに周りも巻き込んで不幸を広げたように読まれた。

    などなど、様々な考察を読み起こす、やはり良書でした。

  •  主人公である大庭葉蔵は、幼き頃から、人間の考えてることが理解できない、恐ろしい…と嘆きながらも、道化を演じて彼らと繋がり続けようとする。
     第三の手記で精神病院に入れられて人間失格を明確に認識するが、描写としては隔離されているといった感じだったから、この区別・区分けが人間(外の人たち)との繋がりを断ち、人間失格となったということなのかしら。葉蔵にとって繋がりは大切のようであったから。
     ただ、そうとはいっても、兄達が故郷の田舎で療養生活を送れるように取り計らってくれていたし…。どうなんだろう?
     まだ一周しかしていないし、「人間失格」だけでは読み取れない意図もあるのかもしれない。それはそれとして、人間失格を読んで思ったのは、少々考えすぎでは?ということ。というより、自分を深く見つめすぎだなぁと思った。私自身、どのように振る舞うのが正しいのか悩んだことがないといえば嘘になるが、そうだとしても、ここまで詳細に語れるほど生きづらさを言語化出来ないし、そのために深く自分を見つめることをしたことはない。だから、それなりにやっていけているのかも。あるいは、ただ単に気づかないようにしているだけか。
     「人間失格」を読んで、よく分からない、複雑な気持ちになった。共感して、まるで同志を見つけたようにホッとすることもなく、かといって全く理解出来なくて突き放すといったこともできない。そんな気分になった。

  • 人間、失格
    不朽の名作とはまさしく

  • 壮絶な人生が独特な視点で書かれていてとても興味深い。
    人の痛みについての作品だと感じた

  • 名作と呼ばれる小説だけあって古めかしい文体とは裏腹に内容はスッと入ってくる。

    葉蔵の人間に対する恐怖心や悩みは決して、この人特有のものではなく現代人の大半が抱えている気がする。
    その上で対処法が「幼少期はお道化」「大人になっては酒」という回避方法が現実的でどこか自分に突き刺さる。
    どうせバレるのに飾り付けの嘘を取り繕ったりするところは自分を重ねてドキッとするところがある。

    ただ、残念ながら私は美少年でもなく、周りを巻き込む求心力がないので至って平凡に暮らせていると言う点が人間失格していない証明かも。

  • 知り合いの人から、あらかじめこの本の感想を聞いていた。「自分の気分が下がってるときに読むと、あぁ世の中にはこんな人もいるのだ。こんなクズでも生きていていいのだ、自分はまだ生きていいのだ。」と思えると、だけれど、私にはそのような安心感は無く、太宰さんの鮮明だけれど曖昧な言葉の言い回しや、空気感などがとても私に似ており、まるで自分の立ち回りを見ているようで気味が悪かった。
    結局は、周りの視線に怯えて周りの意見に合わせて、何かあるわけでも無く常に不安であり、それ故に何かに依存しとかねば自分の存在を肯定できない。まるで植物や動物に寄生しなければ生きていけないような。
    寄生せねばそもそも自分が自分として成り立たぬような、かなり考えさせられたと共に、人間というものは良い意味でも悪い意味でも恐ろしいものだと感じた。
    良い本だったと思う。もう一度読みたい。

  • 人間失格。

    太宰治の自叙伝のような作品だと感じる。

    モルヒネ、愛人等、今では目を伏せる必要のあるものに依存していた。

    それが、太宰の弱さだったり、太宰の人間らしさだったりするのかなぁとも。

    それが太宰治を愛すべき文人として確立させた1つなのかなぁとも。

    太宰治の作品、少しずつ読んでいこうか。

  • 自分の中で繰り広げられている自分と、外側に顔を出している自分は、まったく、同じ姿をしていない。

    結局、それは出力する側と、入力する側という存在の違いで、存在の数だけ、意識が介在することと同じ意味だ。

    それなのに、そんな不確実で不連続なものとの関係に捉われることしかできないヒト。まっさきに自分自身という意識が立ち上がっていることを信じながら、周りからの影響に反応して、反射している。

    自分以外のものが作る外側の世界の形に模られて、はじめて、形を見せる自分に気づく。


    途方にくれている、男。

    自分の理解と、自分以外がつくる理解の、なくなることのない大きなズレ。

    どうすることもできない自分に、また捉われて、絡められていく。

    絶望しながらも、それでも、つながることしかできない。

    影響を受けることしかできない、人間として生きることしかできない。

    人間の失格だ、と自分を決める。

    世界との距離を決める。

    そんなことしか、できなかった。


    ほかに定められるのでなく、自分というものが定めたんだと、そうではなかったとしても、最後には信じたいんだ。

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著者プロフィール

1909年〈明治42年〉6月19日-1948年〈昭和23年〉6月13日)は、日本の小説家。本名は津島 修治。1930年東京大学仏文科に入学、中退。
自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した。主な作品に「走れメロス」「お伽草子」「人間失格」がある。没落した華族の女性を主人公にした「斜陽」はベストセラーとなる。典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年6月13日に愛人であった山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

「2022年 『太宰治大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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