人間失格 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.75
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本棚登録 : 2285
レビュー : 245
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041099124

作品紹介・あらすじ

「恥の多い生涯を送って来ました。自分には、人間の生活というものが、見当つかないのです」青森の大地主の息子であり、廃人同様のモルヒネ中毒患者だった大庭葉蔵の手記を借りて、自己の生涯を壮絶な作品に昇華させた太宰文学の代表作品。「いまは自分には、幸福も不幸もありません。ただ、一さいは過ぎて行きます」ほかに、家族の幸福を願いながら、自らの手で崩壊させる苦悩を描いた「桜桃」も収録。

感想・レビュー・書評

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  • われ、山にむかいて、目を挙ぐ。

    旧約聖書・詩篇第121の冒頭から始まる桜桃。

    互いのわだかまりや不安。
    口にすることで<現実>になることを
    恐れるかのように喧嘩もできず取り繕う夫婦

    人との交わりを絆にできず、
    それはたちまち重い鎖となり身を縛る。

    子供より親が大事。
    虚勢をはり、振り切ろうとするも
    涙の谷と父の寝汗。

    しかし現実に父は悩み、母は泣き、
    子は成長せずとも生きている。

    自らを罰し、消えてしまうことのみに
    救いを求める独りよがりの思いが哀しい。

  • 「恥の多い生涯を送ってきました」の有名な冒頭で始まる超有名な本を、今更ながら初めて読んでみた。
    主人公の葉蔵は、一見剽軽なおとぼけキャラで人(特に女性)から愛される人物で、時にヒモのように生活することも。だがその一方で内面では、自己肯定感が著しく欠如し、人と接するのを極度に恐れる繊細な一面を感じた。
    人見知りをしがちな自分が共感したのは、相手を「訪問」するのが苦手なところ。断られたら恥ずかしい、悲しいといった気持ちからなかなか腰が重くなってしまう。
    主人公は悲しいラストを迎えることになるが、幸せになるにはなにより自分が自分を認めてあげる、好きになることだったのではないだろうか。たとえ人から愛されても、自分の中で自分を愛しきれないなら、心は寂しいままだと強く感じた一冊だった。

  • 主人公の大庭葉蔵は青森の大金持ちの息子。
    苦労知らずの美男子。第1から第3の手記からなる。

    弱さを前面にだしながら、後でそれを客観視しているような、弱かった自分を振り返っているような。だから、主人公は弱くないのかも。
    お道化と言いながら気を使い皆を楽しませて、ヲンなにモテる。
    竹市の、ワザワザという発言。警官のほんとうかという発言。真実を見破られたと感じた時の主人公の気まずい場面が心に残った。

  • 堕落。
    人間失格とはよく言ったもので、
    救いようのない心があります。
    救いを求めるくせに救われる気はなく、
    孤独に堕ちる様は形容しがたいです。
    この美しく馬鹿げた闇に吸い寄せられた太宰も、
    孤独に溺れた一人なのかと、
    心が傷みます。
    一度は読む価値のある作品です。
    どう感じるかは各々ですが、
    私はこういった剥き出しの心が好きです。

  • 国語の先生から、ずっと「若いうちに読んでいた方がいい本」としてすすめられてきた1冊。
    親も先生も口をそろえて言うことが、
    「若いとき読むと、太宰に共感していろいろ考える。でも、大人になってから読むと、太宰が馬鹿に見える」と。
    「こいつ、こんなにこんなこと考えて、ただただ根暗なだけじゃねーか」って思うらしい。
    そう言われていたし、18才のうちには読んでおきたかったので、読みました。

    そしたら、まだ若いせいか前者でした。
    後者のようなことも思ったけど、
    やっぱりいろいろ考えてしまいました。

    この本を読む前に映画を観たのですが、
    あまり話がわからないところが何ヶ所もありました。
    本を読んでこーゆー背景だったのかと理解したので、
    映画も観る予定の方は先に本を読んでおいた方がいいと思います。
    映画はそれぞれの俳優さんの演技が上手いですし、
    そのころのかんじもでているのでいいですが、
    私的には本の方が当たりですね。
    この本はダラダラしてる印象があったのですが、
    短いせいか、軽く読めます!
    30代になってから、また読みたいと思いました。

  • 今更ながら。
    そして初太宰。

    なるほど、人間、失格。
    見聞きした程度の知識しか持ち合わせていないが、太宰の人生と重なる部分もあり、自殺前にこれが出たことは、まるで無関係とは言いたくない。

  • 2018/9/12 27冊目
    みんな人間失格だ。

  • 何度読んでもダメ人間。でもそこが、切なく面白い。

  • すげぇ濃いな…って思いながら読んでいたら何と葉ちゃんが27歳!若い!若いのに恥の多い生涯だとか、自分を失格だと言い切れるタフさに同年代ながら羨ましく思ってしまう。

  • ビッグコミックオリジナルで漫画が連載されているので、その影響で初めて手に取った太宰治。芥川竜之介や夏目漱石と言った近代文学もこれから読んでいきたい。

  • 再読。やはり太宰は面白い。
    主人公が人間に対して抱いている感覚は、人間、世間の本質を表しているように感じる。彼の考え方は、誰しもが理解できるものであり、それでもなお、我々は平然と生きている。人間という存在の、隠れた本質を眼前に示してくれる一作。

  • すごい作品。
    でも難しく、読みにくい。

  • 2017.7.30
    もう何度読んだだろうか。人間を信頼することを忘れ、自分は常に誰かにおぼやかされるのではないかとの思いに囚われ、道化を演じ、その道化である自分のことも自覚し、いつかバレるのではないかと怯え・・・。いたたまれない。そして最後にある、「神様みたいにいい子でした」これがまたもう。何も理解されていない。
    いつもはこの極度の対人恐怖的な描写に共感を覚えるが、今回は、妻が犯されてしまうところが印象に一番に残った。自分にとって、何よりも欲しかった価値。純粋なる無垢の信頼。疑うことを知らない心。その心の白さに憧れて、例えその先に絶望があってもそれを手に入れようとした。彼は彼女の心に、生きる真実を見たのである。しかしその真実が、その無垢の信頼故に、疑うことを知らぬが故に、犯されてしまったという事実。自分の信じた「神」が、神である故に無残に目の前で汚されてしまうことに対する恐怖。単なる男女関係における裏切りの話ではない。彼はようやく見つけた神を、理想を、価値を、目の前で犯されたのではないか。
    罪の対義語は何か。罪から程遠いように思える無垢な心もまた、その無垢さ故に罪を犯す。善良な優しさほど暴力的なものはない。そう考えると、一切は罪であるようにも思える。原罪。生きていること、何かと関係していること、そのものが罪か?では対義語は死ぬことか?いや、それによって関係を断つこともまた、罪である気もする。関係した瞬間、もう罪なのだ。故に罪の対義語は、無ではないか。

  • 再読。高校の時読んだから10年ぶり。
    その時は盗み読むみたいにこっそり読んで、衝撃を受けた。道化を演じ、人の顔色を伺い、人間社会に恐怖する感覚が、初めて私の前に提示された瞬間で、人間多少なりともこういう面があるものなんだな、と自分を肯定されたような感覚になったというか。演じることに息苦しさや罪悪感を抱いたことのなる人なら、共感するのではないでしょうか。
    今は主人公が同い年なことに衝撃を受けた。

  • 太宰治の傑作とでも言おうか。

    ちょっと前「人間失格」が流行ったそうな。
    僕自身は太宰の心境を十分理解できる。

    人は本当に諦めと皮肉の世界に生きていると今改めて思う。
    本音と建て前がある日本ではなおさらじゃないかな。
    自分のありのままというのを隠し演じ続けると、必ずどこかで破綻する。
    それを太宰が証明している。

    太宰自身は生涯苦しんだのではないか。
    一見モテモテのヒーローのように見えるけど、
    これほど人生に絶望して生きた人は珍しいと思う。

    そんな太宰が伝えたいことは、人生に絶望してもいいんだよという事か。
    大変だよな、人生は。

  • 久しぶりに読み直してみたら、やっぱり胃がキリキリしました。好きだけれど。「恥の多い人生」ですよ。初めて読んだ時は(大学生だったのだけれど)、その恥の多さにびっくりしたくらいです。言葉どおり。
    薬、女、金、あちこちだらしがない。言い訳したと思えば、落ち込んで、強がって見ては、弱音を吐く。
    ところが、そんな主人公に不思議と少し共感してしまう。多分、人間らし過ぎるから。誰だって失敗経験はあるものね。
    反面、「アホか、どうにかしろよ」とも思う。「女の気持ち考えろよ」とか、「そこで金使ったらだめだろ」とか、苛々する。
    しかし、何だか憎みきれない。いや、ちょっと助けてやりたいとさえ思ってしまう。どうにかならないものかと思ってしまう。

    こういうふうに思うから女がついていっちゃうんだろうなと思う。

    でも、仮面だ本心だ何だと格好つけてはいるけれど、色んな物はぎとった芯の部分は、やっぱり最後の一行通理だったんじゃないかなぁ。
    言葉のリズムが美しくて好きです。

  • 私が買ったのは生田斗真くんの表紙と帯のヤツですが~リンクに見あたらないので。角川文庫だから内容は同じでしょう。
    いかれてるけど~まわりに違和感を感じてしまう作家の鋭敏な感性がびしばしほとばしるよう。なかなか濃厚で面白かったです。
    同じ人物の3葉の写真と手記という形をとり、自分からは距離を置いた構成が面白い。
    何を考えているかわからない世間の人が恐ろしく、一瞬の気まずさにも耐えられずに道化になる、といったところはわかるような気も。
    いぜん10代の頃に読んで、次々に女と関係しながら実は自分は大して好きでもなかったような印象なので~太宰を嫌いになった作品のような気がするんだけど…
    「走れメロス」とのギャップが大きすぎたかな。
    それと作者本人が何度も心中を図っているというのがついて行けなかった。
    今もその点は理解できるわけではないけれど…最初のは若気の至り。それで相手だけ死なせてしまったので、ずっと引きずったのかな…あれは何だったのだろうと突き詰めたい気持ちが繰り返しになったのかも。
    受け身な性格なのが人によっては天使みたいとも言われたと。
    実体験はありあり反映しているけれど、27歳で入院するまでの話で、もちろん事実そのままではありません。
    それに本人はその後に結婚もし、職業作家として多くの作品を発表し、もっと努力する力や才能への自負もやる気もあったことでしょう。

  • 今更ながら。
    でも、あっという間に読んだ。

    もっと若い頃に読んでいれば、とも思うが
    あまりにリンクしすぎてしまう気もして、怖い。

    今だからこそ、ブレーキもかけられる。
    それがいいのか悪いのか分からないけれど。

    太宰治の自伝でもあり最後の著書でもあり
    その苦悩と人間性が、どんどん入り込んで・・・
    癖になる。

  • ★2.5(3.76) 1948年出版。多分、30年以上前に読んだんだろうが、全く内容は覚えてなかった。こんな内容だったのかというのが、最初の感想。筆者は、 執筆直後に愛人と玉川上水に入水自殺。享年39歳。この小説の主人公大庭葉蔵は、まさに太宰の実生活をそのまま表現されたようなとんでもない内容。心中未遂事件を起こし、最後はモルヒネ中毒となり、精神病院へ放り込まれる。何故このような作家が、こんなに高く評価されたのだろう。累計発行部数が670万部。漱石の「こころ」と何十年にもわたり累計部数を争っているようだ。

  • 構えていたけど、読みやすく面白かった。もっと高尚な話を想像していたんだけど、すごいダメ男の話だったのね。最後に27って…びっくりしたわ。

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著者プロフィール

1909年6月、青森県生れ。学生時代から小説の創作を始める。東大仏文科入学を機に上京。在学中に非合法運動に従事するもやがて転向し、以降、本格的な執筆活動を開始する。1935年に「逆行」が第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。1939年に結婚し、「富嶽百景」や「女生徒」、「走れメロス」などを発表。戦後には『斜陽』がベストセラーとなり、流行作家となる。「人間失格」を発表した1948年の6月に、玉川上水で入水自殺。織田作之助、坂口安吾らと共に「新戯作派」「無頼派」と呼ばれた。

「2019年 『太宰治 女性小説セレクション 誰も知らぬ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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