- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041099131
作品紹介・あらすじ
妹の婚礼を終えると、村の牧人メロスはシラクスの市めざして走りに走った。約束の三日目の日没までに暴虐の王のもとに戻らねば、自分の代わりに友セリヌンティウスが殺される。メロスは約束を果たすことができるだろうか?日はすでに傾いている。メロスよ、走れ!-身命を懸けた友情の美しさを描いて名高い表題作のほか、「富嶽百景」「駈込み訴え」「東京八景」など、執筆活動の充実ぶりを示す、太宰中期の佳作9篇を収録。
感想・レビュー・書評
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なぜか図書館の新刊コーナーに置いてあったので、読んでみた。そういえば、太宰治の作品は教科書以外で読んだことはない。表題作は誰もが知っている作品なので解説は不要だろうが、きちんと読んだのは初めてだ。「走れメロス」は収録されている他の作品と比べるとトーンが異なる作品だ。他は太宰治の私小説のような作品である。本書としては、こちらのほうがメインである。作品では太宰治自身の作家としてやっていくための苦悩が垣間見られるが、なんか現代の我々よりいい生活をしているような気がするのは、時代の差という言葉で片づけるものだろうか。たまには明治から昭和初期の文豪作品を読むのも新しい発見があってよかったと思う。
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以前読んだ「走れメロス」は、ギリシャかどこかの国の友情を題材にした物語としか思っていなかった。しかし、「人間失格」を読んでからの「走れメロス」は全く持って違う話に感じた。
人を信じることに恐怖を抱いていた太宰の葛藤と転落の人生。とにかく人への恐怖に悶え苦しんだ太宰が、信実を果たす結末を描きたかったのではないだろうか。それが人生という長い旅路の中では果たせぬ理想だからこそ、物語にして表現したのではないかと思った。メロスに降りかかる苦難や迷い、そしてボロボロになりながら走り続ける苦しさは、読者にも息が切れそうなほど伝わってくる。これが、人生何度も這いあがろうとした太宰の苦しさなのかと、それを味わいながら読ませてもらった。 -
とてもくらい
暗いけれど引きずり込んでくる暗さではない
太宰に令和でも本屋で沢山売っててみんな知ってるよ、と伝えたい -
夏フェア本。太宰治は暗いイメージしかなかったが改めて読むと、そうでもない。本質もおそらく、小心者で、田舎者で怠惰で見栄っ張り。それは随所にあらわれているが、私小説なのかはたまた全くの作り物なのかは不明ゆえ。東京八景の地図を手に入れ、開き、思いをはせる姿が妙に可愛らしくも微笑ましくもあった。
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お風呂本はのぼせない程度にゆっくりつかりたいからキリのいいところで上がれる短編集ってなって、で、中でも太宰治が一番ちょうどいいです。太宰はいろいろな短編集が出てるけど、角川では「女生徒」が一番好き。
この短編集の中だと「老ハイデルベルヒ」と「東京八景」かな。
あと読むたびに思うんだけど、メロスは寝過ぎ。 -
太宰治の中期作品集。「駈込み訴え」が好き。歪みきった愛と、その愛故の憎悪をユダの完全な主観で綴っている。充実した執筆が伺える、作品集となっている。
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俗天使がとても好き。
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表題作は別として、破滅的な短編が並ぶ中、『蓄犬談』の様なユーモアのある作品は太宰のイメージになかったので意外だった。
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第10回アワヒニビブリオバトル「若者に贈る一冊」で紹介された本です。
2016.03.08
著者プロフィール
太宰治の作品





