- 本 ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041099131
作品紹介・あらすじ
妹の婚礼を終えると、メロスはシラクスめざして走りに走った。約束の日没までに暴虐の王の下に戻られねば、身代りの親友が殺される。メロスよ走れ! 命を賭けた友情の美を描く表題作など10篇を収録。
感想・レビュー・書評
-
本棚整理:
太宰治の初めて読んだ作品だったと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
学生の頃、読んだあまりにも有名な表題作。
最近、又吉直樹さんの解説動画を見て、めちゃめちゃ面白くて、もう一度読みたくなった。
メロスのあまりの破茶滅茶ぶりに笑ってしまった。いろいろと突っ込み所満載で、大人になって読むと、感じ方が変わり楽しかった。
一方で、その他の短編は、私小説が多く趣きが違う。(「走れメロス」が異質なのかもしれないが)行き当たりばったりの生活が描かれていて、太宰治の姿が伺える。いろいろと弱さがあったのだなぁ、と憐憫の気持ちを抱いた。
ただ、苦しさばかりではなく、ユーモアもある。(「畜犬談」には笑った)男女問わず支えてくれる人が多く居た事から、凄く魅力もあったに違いない。
才能も魅力もあったのに、なぜ、あのような最後に至ったのか、その日を迎えるまでに、どのような人生をたどったのか、残した作品を読み進めれば、少しはわかるのだろうか。 -
比較的明るい内容の作品が集まっていると思います。
生と死やダメな人間であるという自覚があるものの、それでも何とかしてやろうといったもがきながらも前向きに生きる(生活する)人達の話が身近に感じました。
何となく気持ちがわかる、代弁してくれている感が太宰作品の面白いところでしょうか。
-
教科書に載ってた「走れメロス」読み返してみるとメロスもサボったり諦めかけたり、そんな人間っぽいとこもあったんだなとホッとした。
-
以前読んだ「走れメロス」は、ギリシャかどこかの国の友情を題材にした物語としか思っていなかった。しかし、「人間失格」を読んでからの「走れメロス」は全く持って違う話に感じた。
人を信じることに恐怖を抱いていた太宰の葛藤と転落の人生。とにかく人への恐怖に悶え苦しんだ太宰が、信実を果たす結末を描きたかったのではないだろうか。それが人生という長い旅路の中では果たせぬ理想だからこそ、物語にして表現したのではないかと思った。メロスに降りかかる苦難や迷い、そしてボロボロになりながら走り続ける苦しさは、読者にも息が切れそうなほど伝わってくる。これが、人生何度も這いあがろうとした太宰の苦しさなのかと、それを味わいながら読ませてもらった。 -
とてもくらい
暗いけれど引きずり込んでくる暗さではない
太宰に令和でも本屋で沢山売っててみんな知ってるよ、と伝えたい -
なぜか図書館の新刊コーナーに置いてあったので、読んでみた。そういえば、太宰治の作品は教科書以外で読んだことはない。表題作は誰もが知っている作品なので解説は不要だろうが、きちんと読んだのは初めてだ。「走れメロス」は収録されている他の作品と比べるとトーンが異なる作品だ。他は太宰治の私小説のような作品である。本書としては、こちらのほうがメインである。作品では太宰治自身の作家としてやっていくための苦悩が垣間見られるが、なんか現代の我々よりいい生活をしているような気がするのは、時代の差という言葉で片づけるものだろうか。たまには明治から昭和初期の文豪作品を読むのも新しい発見があってよかったと思う。
-
昔の名作文学を読みたいと思って、最近いくつかよんでいる。
なかなか、今読むとメロスが考えなしに突っ走って、周りに迷惑をかけまくっている様子が、なんとも大変な人だ…と。あまり共感できないなって気持ちになった。 -
表題の「走れメロス」は教科書に必ず載っているので知っていたけど、太宰ってこんなにいろいろ書いてたんだ…。知らなかった。
どうしても「人間失格」の暗いイメージが強くてあまりいい印象はなかったけど、思いの外明るい話もあって少し見方が変わった。 -
高校生の時に読んだメロスは、もっと長く必死に走っていた気がするのだけど、大人になって読むと、けっこうあっさりとゴールしてしまった。
走ってる間のメロスの台詞は、まっすぐで自分も友達も信じていて、素晴らしい。
富士山にかなわないと思ったり、卵くれたお姉さんのいるそば屋に行かないことにしたり、現国の例題がたくさん出てきて、懐かしい。そして笑える。
お金入れの口金のところに映った自分の顔を見て、他の人とは違う心構えをする女生徒の心情を、誰か教えてほしい。
著者プロフィール
太宰治の作品





