女生徒 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
4.10
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本棚登録 : 4630
感想 : 258
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041099155

作品紹介・あらすじ

「幸福は一夜おくれて来る。幸福は、-」。女性読者から送られてきた日記をもとに、ある女の子の、多感で透明な心情を綴った表題作。名声を得ることで破局を迎えた画家夫婦の内面を、妻の告白を通して語る「きりぎりす」、情死した夫を引き取りに行く妻を描いた「おさん」など、太宰がもっとも得意とする女性の告白体小説の手法で書かれた秀作計14篇を収録。作家の折々の心情が色濃く投影された、女の物語。

感想・レビュー・書評

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  • そういやなぜか最近、太宰作品を読んでるなぁ。
    きっとおびのりさんや傍らに珈琲を。さんの呪い、いや失礼、誘導と影響を受けてしまったのだろう。
    もともと文学なんてがらでもないし。

    14篇の短編集。そのすべてが女性の一人称で書かれています。

    ●燈籠
       万引きはダメ。

    ●女生徒
       女生徒の皮を被った太宰。

    ●葉桜と魔笛
       偶然の口笛? オー・ヘンリーみたい。

    ●皮膚と心
       いやいや。いくら肌が大事ったって、腕や脚のほうが大事でしょうよ。大山鳴動物語。

    ●誰も知らぬ
       唐突な激情。劣情。

    ●きりぎりす
       価値観の違い。「ヴィヨンの妻」にでもなりたかったのかな。

    ●千代女
       勝手にもてはやされて、その気になったら落とされる。

    ●恥
       千代女の数年後だろうか? 名前も同じ和子だし。

    ●待つ
       駅のホームで誰かを待つ。

    ●十二月八日
       開戦の日の日記。

    ●雪の夜の話
       スルメが食べたくなる。

    ●貨幣
       百円紙幣(女性)の一人称話。

    ●おさん
       愛人と情死した旦那。その女房。

    ●饗応夫人
       嫌といえないにも程がある。


    思ったよりもかなり読みやすくて良かったけど、残念ながらおもしろいと思えたのがなかった。
    逆に読んでて最も苦痛だったのは、表題作の「女生徒」。
    なんてことのない一日の中で、女生徒がつらつらと考えていることが書かれているんだが、どうも太宰本人に思えてしまう。
    ひたすら眠くなった。


    表紙がなんか違うな~。
    俺が借りたのは、傘を差した女生徒が横断歩道の上で風かなんかに巻き上げられてブワッとなってる、今にも時を超えそうなラノベっぽい表紙だったのに。
    こっちの表紙の方がなにかと間違えて売れそうだ(笑)

    • 土瓶さん
      ということで(?)1Qさんも読んでください。
      薄いからすぐだよ^^
      ということで(?)1Qさんも読んでください。
      薄いからすぐだよ^^
      2023/12/22
    • おびのりさん
      実は、私は、夏目漱石そんなでもないっす。
      こころと夢十夜くらい。
      文章が美しいから、いけるけど、ストーリーはどうも。
      実は、私は、夏目漱石そんなでもないっす。
      こころと夢十夜くらい。
      文章が美しいから、いけるけど、ストーリーはどうも。
      2023/12/22
    • 1Q84O1さん
      ということでw
      ということでw
      2023/12/22
  • 太宰治のイメージが180度変わりました。
    この作品を読む前までは、暗い作品が多い
    イメージがあったのですが、今作は、とても
    ポップで、現代にも通ずるような世界観かなと
    感じました。読むキッカケとしては、九段理恵の
    「School girl」の文中で出ていたので、気になり
    すぐ買って読みました。娘と母の関係性は、昔も
    今も変わらないんだなと、実感しました。
    「女生徒」と「School girl」に共通しているのが、娘が母に対する愛情がとてもキレイな所です。

  • ⚫︎受け取ったメッセージ
    少女が大人になる一時期の光と影のような不安定を
    太宰の言葉でくっきりと描かれている


    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)
    「幸福は一夜おくれて来る。幸福は、―」。女性読者から送られてきた日記をもとに、ある女の子の、多感で透明な心情を綴った表題作。名声を得ることで破局を迎えた画家夫婦の内面を、妻の告白を通して語る「きりぎりす」、情死した夫を引き取りに行く妻を描いた「おさん」など、太宰がもっとも得意とする女性の告白体小説の手法で書かれた秀作計14篇を収録。作家の折々の心情が色濃く投影された、女の物語。


    ⚫︎感想
    九段理江さんの「school girl」を読む前に、表題作のみ読了。さすが太宰…という表現力に脱帽。

    思春期特有の、少女が持っている漠然とした不安、本音と建前のバランス、母への愛と拒絶、労りと残酷、自分が純粋でないと感じて、期待はずれに思ったり、こんな自分でいいんだろうかと疑問に思ったり、自分の意地悪な部分を感じて自己嫌悪…それでもなんとなく生きてる。不幸せでもない。でも…そんな思春期に誰しも大なり小なり感じたことのあるもやもやした感情を、美しく切り取っている。感情が目まぐるしく、朝起きた時の感覚からはじまり、最後寝るまでの1日の中に凝縮されている。

    素敵な表現がいくつかあったので、メモに残しておこうと思う

  • 女性読者から送られてきた日記をもとに、ある女の子の一日を描いた表題作。名声を得ることで破局した画家夫婦の内面を、妻が夫へ綴る手紙で表現した『きりぎりす』など、女性視点での作品14篇収録。

    『人間失格』に続いて太宰治チャレンジの二作目。角川文庫の和柄でピンクの装丁が可愛かったのと、女性読者の日記をベースにした作品という文句に惹かれて手に取った。女性の告白で進む物語は、まさか男性が書いているとは思えないほど自然に流れていく。

    表題作は少女が大人になる直前に抱く自分と世間の摩擦、アイデンティティの揺らぎを鋭く映し出している。有り体に言えば「女の子の一日の話」なんだけど、そこに溢れた思考の数々は傷口から止まらない血にも似た切迫感がある。そういう中にも、
    「ことし、はじめて、キウリをたべる。キウリの青さから、夏が来る。五月のキウリの青味には、胸がカラッポになるような、うずくような、くすぐったいような悲しさが在る。」
    という心が一気につかまれてしまう瑞々しい描写もあって好き。全体を通すと、よく考える女の子だな──という感想に(笑) 思考をがぶ飲みさせてくれる圧倒的な表現力と物量は凄まじい。

    一番最初に持ってきた『燈籠』もなかなか重たい。両親はいるが父に似ておらず、誰の子だと噂される身の上のさき子。彼女は親孝行をすることで自分の存在を確かにしようとしてきた。その一方で、心惹かれた水野のためにと出来心で海水着を盗んでしまい、水野からは突き放されてしまう。日陰者となった彼女を照らしたのは、両親だけだった。でも、それでいいという世間とは切り離された美しさが悲しみを誘う。

    『葉桜と魔笛』の姉が、先の短い妹へ吐いた嘘も好き。あたたかい嘘は、嘘と分かってしまってもあたたかかった。手紙の内容は妹からしたら面食らっただろうなあ。でも、その奥にあるものを感じ取っているところが好き。

    『きりぎりす』も面白かった。こんなに長々と書かれた絶縁状をもらったら驚くだろうな。でも、夫にはきっと届かないであろうということも伝わってくる。売れてしまったことで絵へのストイックさが失われ、陰口やお金の話ばかりするようになってしまった夫。社会的評価は得ても、彼自身を見つめていた妻にはその虚ろな中身が暴かれたように映る。お金持ちになってもつつましく生きることを貫くため離縁を決意する妻は、社会的に見れば愚かなんだろう。それでも、その愚かさには誠実さがある。この対比が際立っていてとてもよかった。


    p.29
    でも、みんな、なかなか確実なことばかり書いてある。個性の無いこと。深味のないこと。正しい希望、正しい野心、そんなものから遠く離れている事。つまり、理想の無いこと。批判はあっても、自分の生活に直接むすびつける積極性の無いこと。無反省。本当の自覚、自愛、自重がない。勇気のある行動にしても、そのあらゆる結果について、責任が持てるかどうか。自分の周囲の生活様式には順応し、これを処理することに巧みであるが、自分、ならびに自分の周囲の生活に、正しい強い愛情を持っていない。本当の意味での謙遜がない。独創性にとぼしい。模倣だけだ。人間本来の「愛」の感覚が欠如してしまっている。お上品ぶっていながら、気品がない。

    p.32
    人々が、よいと思う娘になろうといつも思う。たくさんの人たちが集ったとき、どんなに自分は卑屈になることだろう。口に出したくも無いことを、気持と全然はなれたことを、嘘ついてペチャペチャやっている。そのほうが得だ、得だと思うからなのだ。いやなことだと思う。早く道徳が一変するときが来ればよいと思う。そうすると、こんな卑屈さも、また自分のためでなく、人の思惑のために毎日をポタポタ生活することも無くなるだろう。

    p.50
    ロココという言葉を、こないだ辞典でしらべてみたら、華麗のみにて内容空疎の装飾様式、と定義されていたので、笑っちゃった。名答である。美しさに、内容なんてあってたまるものか。純粋の美しさは、いつも無意味で、無道徳だ。

    p.77 (葉桜と魔笛)
    僕たち、さびしく無力なのだから、他になんにもできないのだから、せめて言葉だけでも、誠実こめてお贈りするのが、まことの、謙譲の美しい生きかたである、と僕はいまでは信じています。

    p.134 (きりぎりす)
    いいお仕事をなさって、そうして、誰にも知られず、貧乏で、つつましく暮して行く事ほど、楽しいものはありません。私は、お金も何も欲しくありません。心の中で、遠い大きいプライドを持って、こっそり生きていたいと思います。

  • 夏が近づいてくるとむしょうに太宰が読みたくなる。

    「女生徒」は太宰の小説のなかでいちばん好きかもしれない。
    一字一句の配置が完璧だと思う。どうして太宰は感受性豊かな女生徒の心情を、こんなにも正確に瑞々しく書き出せるの?
    現実も時代をかるがると飛び越え、読んでいるうちに私は女生徒の一日をそっくりそのまま生きている。そうして冷たい蒲団にたおれこみ、幸福は一夜おくれて来る、と思いながら眠りにつく。

    ほかにも「皮膚と心」では、思いがけず肌荒れしてしまった女性の絶望が痛いほどよく分かる。肌荒れは女性にとって大敵だもんね。
    ーー
    結婚のまえの夜、または、なつかしくてならぬ人と五年ぶりに逢う直前などに、思わぬ醜怪の吹出物に見舞われたら、私ならば死ぬる。家出して、堕落してやる。自殺する。女は、一瞬間一瞬間の、せめて美しさのよろこびだけで生きているのだもの。

    「あのね、明日は、どうなったっていい、と思い込んだとき女の、一ばん女らしさが出ていると、そう思わない?」
    ーー

    あるいは「待つ」というたった4ページの掌編にも。
    誰ともわからぬ人を毎日駅までお迎えに行く女性。誰をか、あるいは何をかさえ分からない。旦那さま、恋人、お友達、お金、亡霊、春のようなもの、青葉、五月、麦畑を流れる清水、でもすべてちがう。
    二十歳の彼女が、いつのときか待ち続けているものに出会えたらいいな、と思う。

    収録されている14篇は、最初から最後までどれも女性一人称の告白体小説。この取り合わせ素晴らしいなぁ。
    私にとってお守りのような一冊。

  • どの話も、だから何?っていう、捉えどころのない話、たわいもない日常の一コマなんだけど、女性の心理描写がなんでこんなにリアルに書けるの?って思う。すごい細かい心情まで言語化されてて、太宰治の心には乙女がいるのだなぁって。そして、太宰なんじゃないのこれ?って思えたりする人物多々あり。
    卑下したり、欲情したり、妬んだり、とにかくみんな悶々して爆発したりします。


    皮膚と心の妻は拗らせまくってるけど、夫の優しさに包まれて、最後は自信を持ちはじめる、ほっこり作品でわりと好き。

    恥、これは面白い。コントのネタかと思う。
    勝手に思い込んで勘違いして、ファンレターを送りつける痛々しいファンの女。貴下には女性の読者はいないだろうから応援してあげている、という上から目線のファンレター。しかしとんだ勘違いに気がつき、頭から灰をかぶりたいほど恥ずかしい思いをするというはなし。

    太宰って面白い人だなと思う。

  • いつも同じような日常というものを表現されているようで、私は少し恐ろしく感じました。
    主人公の思考や行動はなかなかに軽妙で面白いですが、犬のカアに対する対応や電車で乗り合わせた隣のおばさんに対する気持ちなどは、なんとなく気に食わない考えで不愉快になりました。
    近々、演劇として観賞する機会があるのでどのような解釈ができるのか楽しみです。

  • 一番面白かったのは『おさん』。浮気をしているであろう夫に対し、で〜んと構えた母ちゃんはかっこいい。それなのに夫ときたらまったく…これぞ太宰治。久しぶりの太宰もやっぱりだめんず。
    一番心に残ったのは『女生徒』。思春期の女の子が思いついた事を次から次へと語り続ける物語。ドキッとさせられる言葉も多く人気があるのも頷ける。

    「花の美しさを見つけたのは、人間だし、花を愛するのも人間だもの。」太宰らしい美しい文章だなと思う。ただ、『女生徒』を再読するのは凄く疲れる。

  • 心の深いところで、共感する。なんで知ってるの?って思うくらい。

  • 太宰で一番好きな作品かもしれない。少女の淡々とした日常が独り言のように綴られているだけなのに形容し難い美しさはどこからくるのだろう。太宰自身、「少女」であったことなどないはずなのにこれを美しいと思うのは自分が男だからだろうか。青い空を見上げた際の描写が好きで、初めて『ライ麦畑でつかまえて』を読んだときを思い出すくらいの感動を憶えた。美しく生きたいと思います。

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著者プロフィール

1909年〈明治42年〉6月19日-1948年〈昭和23年〉6月13日)は、日本の小説家。本名は津島 修治。1930年東京大学仏文科に入学、中退。
自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した。主な作品に「走れメロス」「お伽草子」「人間失格」がある。没落した華族の女性を主人公にした「斜陽」はベストセラーとなる。典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年6月13日に愛人であった山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

「2022年 『太宰治大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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