女生徒 (角川文庫)

著者 :
制作 : くまおり 純 
  • KADOKAWA
4.16
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本棚登録 : 1712
レビュー : 138
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041099155

作品紹介・あらすじ

「幸福は一夜おくれて来る。幸福は、-」。女性読者から送られてきた日記をもとに、ある女の子の、多感で透明な心情を綴った表題作。名声を得ることで破局を迎えた画家夫婦の内面を、妻の告白を通して語る「きりぎりす」、情死した夫を引き取りに行く妻を描いた「おさん」など、太宰がもっとも得意とする女性の告白体小説の手法で書かれた秀作計14篇を収録。作家の折々の心情が色濃く投影された、女の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 一番面白かったのは『おさん』。浮気をしているであろう夫に対し、で〜んと構えた母ちゃんはかっこいい。それなのに夫ときたらまったく…これぞ太宰治。久しぶりの太宰もやっぱりだめんず。
    一番心に残ったのは『女生徒』。思春期の女の子が思いついた事を次から次へと語り続ける物語。ドキッとさせられる言葉も多く人気があるのも頷ける。

    「花の美しさを見つけたのは、人間だし、花を愛するのも人間だもの。」太宰らしい美しい文章だなと思う。ただ、『女生徒』を再読するのは凄く疲れる。

  • 女性視点の私小説風の短編でまとめられた一冊。
    表題作が描くのは、天使と娼婦に同時に憧れ、自らを愛しながら疎む、ザ・思春期…こういう言い方をすると安っぽくなってしまって申し訳ないのだけれど、それが安くなく非常に上手いのがさすが。
    他の作品もガラス窓をそっと爪で引っ掻くような、小さいけれど忘れられない音がした。
    特に、「おさん」がお気に入り。

    「男のひとは、妻をいつも思っていることが道徳的だと感ちがいしているのではないでしょうか。他にすきなひとが出来ても、おのれの妻を忘れないというのは、いい事だ、良心的だ、男はつねにそのようでなければならない、とでも思い込んでいるのではないでしょうか。(中略)ひとを愛するなら、妻を全く忘れて、あっさり無心に愛してやって下さい。」

    ため息が出るほど文章自体も中身も見事な一作だった。

  • 『おやすみなさい。私は、王子さまのいないシンデレラ姫。あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか? もう、ふたたびお目にかかりません。』

    太宰治の女子高生なりすましブログ。

  • 初めの何話かは面白かったのですが、次第に怖くなってきました。女を書く太宰、太宰の書く女。どちらにしろ女以上に女な描写ではっとさせられます。こわいなぁ。でももっと読んでみたいなぁというのも少し。

  • 「かわいい太宰を堪能できる」「角田光代さんや西加奈子さんら、女性作家に人気」という書評を新聞で見て以来、ずっと読みたかった作品です。

    繊細な女心が盛り込まれた14篇のうち、『女生徒』は名言のオンパレードで、全文を引用したいぐらいです。布団を持ち上げた時、「よいしょ」と言ってしまって落ち込む場面が何ともかわいらしい! 今や1日に何度も「よいしょ」と言う私ですが、懐かしくて照れくさくて、口角が上がりっ放しの作品でした。

    SFやファンタジーで、登場人物に人の心が読める能力があって、その苦しみは普通の人には理解されないというシチュエーションがあるけれど、もしや太宰治もそんな力を持っていた? なんて想像をしてしまうほど、男性が書いたとは思えない描写が多いのです。

    吹き出物に激しく悩む『皮膚と心』、親友に恋人が出来たと知った時の複雑な心境が秀逸な『誰も知らぬ』、おっちょこちょいで笑える『恥』などもお気に入りです。

  • 表題作について。現代だったら「むかつく」の一言で済ませてしまう微妙な感情をすごく絶妙に文章するなぁ、と感動。太宰先生の言葉はわかりやすいしツルッと入って来る。
    短編ひとつひとつの後味は悪いですが、他の作品集を読むと暗いだけじゃなくて、染みてきます。んん上手く言えない。
    太宰先生の作品がやっぱり好きです。

  • 手癖の悪い女学生、死期が間近に迫った妹を持つ姉、夫に対し嫌気が差した妻、自信家でオレ様な兄を持つ妹、意見が言えず気苦労の多い主人を持つ家政婦-様々な立場にある”女性”の告白体で書かれた14の短編集。

    どの作品も惹かれるものばかりだったけれど、表題の作品『女生徒』では、思春期ならではの多感な少女の心情が生き生きと描かれている。大人に近づく歯がゆさ、母親との距離感、周囲への反発、自分が何者か不透明な虚無感。周りの全てが煩わしいと思っているかと思えば、次の瞬間美しい夕空を見上げて感動する。そんな気持ちのムラが奔放で、旺盛で、まぶしく見えた。

    太宰治作品の印象を覆すも良し。女って良いなぁと、ほくそ笑むも良し。魅力的な1冊でした。

  • 女生徒、他の短編は何れも現実で体験し得る、現実的な内容である。
    そして此のヒロインの心描写が決して男性的で無いのは、太宰自身が相応の女々しさを所有しているからだろう。
    此処に出て来る人物各々が、女性特有の瞑想と現実の混沌を有っている。そして何処かヒステリックな性質を携えているのだ。簡潔に云えば、女性らしい悩みと思考回路で在ると云う事であるが。
    太宰は女々しいと云うよりも、女性の繊細さを具え過ぎたと言えるだろう。
    恰も女性作家が描いた様な箇所が多々見受けられる。

    太宰の執筆する短編は美しくないと感じる。彼には語りたい事が余りにも多過ぎるのだ。其れを作中で感じさせて仕舞う為に。
    然し口語の文体が非常に多く、それ故に非常に生々しさを醸し出しいる。
    憂鬱や衝動、妄想等が、女の其れとして多彩に含有された一冊だ。

    私が思うに、此の作品のヒロインは全て太宰自身なのだろうと感じた。
    太宰の抱える世間への茫漠とした恐れを詰め合わせた様な、強迫観念染みたモノを感じた。
    どの作品にも凡そは云える事だが、太宰の内部的な恐怖心は、作品に依って表出されているのだろう。

  • 太宰治をかたっぱしから読んだわけじゃないけど
    この作品はすごく好き。
    少女の心をすごく表現してる。
    意地が悪くて優しい。
    少女ってのはそんなものよ。
    太宰治のなかにはこういう
    女々しい部分があったんだと思う。
    作家っていうのは
    女性と男性を往来する中性的な
    生き物なのかもしれない。

  • 主人公の女生徒と自分が重なる。

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著者プロフィール

1909年(明治42年)、青森県金木村(現五所川原市)生まれ。本名、津島修治。東大仏文科在学中に非合法運動に従事し、やがて本格的な執筆活動へ。35年、「逆行」で第1回芥川賞の次席となり、翌年には処女作品集『晩年』を刊行。以後「走れメロス」「斜陽」など多数。

「2018年 『津軽』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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