女生徒 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
4.10
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感想 : 256
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041099155

感想・レビュー・書評

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  • 著者が男性ということを忘れるほど、若い女性の勘違いや素直さ恥じらいを捉えていて、すこし若かった頃の自分を思い出して「あ゛ー」という気持ちになった。女性のとことん、男性の影として尽くす姿には失われつつあるものを懐かしむロマンチシズムまで感じた。饗応夫人のみ既読で、昔読んだ時も嫌いだったけど今もやっぱり苦手。あんまり悲しすぎる。

  • 読み始めは退屈です
    でも全部読んでみれば、ああ良い作品たちだったなと思う

  • 口述筆記だと、後から知って納得。
    話しかけてくるようで
    とってもリズミカル。

    最高に面白くて、
    時々、胸がチクっと痛くて、
    自分に重ねて読む。


    頭の中のおしゃべりに翻弄されたり
    大事にしてくれる人に守られて
    子供のようにはしゃいだり
    「世の中はそんなものか」と潔く
    また、全てを知っていながら何も言わず
    自分のことよりも相手を考える

    そんな女たち。


    あたしはというと、全てにおいて不器用で
    良かれと思ったことも空回りすることが
    ほんとうに多い。
    自分はなんで…と自己肯定感をどこかに置き忘れ
    それでも、わたしにだって…と
    わずかでもプラスな部分に光を当ててみる。


    世の中をうまーーく渡り歩く人たちや
    ヒエラルキーを盾にする人たちに
    それが、どーしたと思いつつ
    世の中、そんなもんだよねと
    どこかであきらめる
    悲しく、でも淡々と。

    あれから年齢を重ねても、
    重ねたからこそ
    この本に出てくる沢山の女たちに
    共感できるんだろうな。

    あたしが一番好きな話は
    やっぱり「女生徒」


    【朝は意地悪】
    この、たった一言が衝撃的で
    太宰のすごさを体感した気がしたっけ…

    思考が絶えずくるくる回っている女の子らしい
    終わり方も、とっても好き。
    芝生の上を笑いながら
    ころころ転がるように読んだ。

    久しぶりの太宰に
    明日への気力をいただく…!




  • ○「女生徒」は、親の大切さが身に染みる。
    ○「皮膚と心」は、女性の好きな人の前では綺麗でいたいと思う心、また、そのことに男性も気づき肯定してあげることが大切。
    ○「きりぎりす」は、人間の欲について鋭く描写している。また女性の現実的な物事の見方も描いている。
    ○「饗応夫人」は、こんな人いるなと思いながらも、自分の身は自分で守らないとなと思う。最後はスッキリ酒飲み達を一喝して欲しかったが、、笑

  • 「けれども、その大人になりきるまでの、この長い厭な期間を、どうして暮らしていったらいいのだろう。」
    どこかしら明日が不安で、生きていくことの意味がわからなくて、ただ幸せに暮らしたいだけなのに、やり過ごし方がわからず傷ついていた思春期の気持ち。なぜ太宰は分かるのだろうか…

  • 葉桜と魔笛、皮膚と心、おさんが好き

  • この本を愛してる。

    よく考えると、こんなにもうまく少女の気持ちを描く太宰若干怖い、

  • 女性独白体で集めたこの一冊って、私にとっては宝物かもしれない。
    以下、ネタバレ含む、注意。

    はじまりは「燈籠」。
    人前に顔を出したくない女の理由が大分トンでいる。一目見て、景色が輝くほど好きな男が出来て、彼が海に行くことを聞きつけ、男の水着を万引きしてしまう。
    いや。男の水着盗るか⁉︎と、それまでの恋モードとのあまりの乖離に正直引く。
    けれど、そのショックが面白い。
    警察に滔々と、自分を裁いてはならない理由を述べて、見事に新聞記事になっちゃう。

    ラストの「饗応夫人」はある意味逆に、自分の身体を壊してでも、浅ましい客たちを目一杯もてなす。
    ただ、血を吐いて実家に帰ろうと心に決めても、相手に会った瞬間、歓待モードになることの意味が分からなくて、引く。
    そして、そのドン引きがきっと面白い。

    「きりぎりす」はそう言ったショックは少なくて、貧乏絵描きの妻としてやっていくつもりの主人公が、夫の出世と共に人間までもが変わっていく様子を、女性のある意味アンノウンを認められる視点から書くことで、真実味を帯びる。
    正統派な感じ(笑)

    でも、「恥」になると、小説がフィクションであることを知らず、何故自分が書かれているんだろう?と不思議に思い、また作者が登場人物通りの身なりでないことに、インチキと感じる。
    無知が過ぎて、エキセントリックな感じ。

    さて、有名な「女生徒」と「待つ」。
    作者を知らない人に、これ、誰の作品と思う?と聞いて、太宰治って答えられるんだろうか。
    深く深く潜っていくのに、潜っていく途中で、潜ることの意味を探してしまうような、そんな揺れのある作品で、とても素敵。
    明度は確かに低いかもしれない、でも、どこかに明るさや真面目さがあって、爽やかに読める。
    『人間失格』だと、そうはいかない。

    自分の妻としての語りもあるのだけど、困った旦那さんだわ、と自分自身が書くことの恥ずかしさ?はなかったんだろうか。
    読み応えのある一冊だった。

  • とても好き。

  • 友達に勧められて手に取りました。

    「美しさに、内容なんてあってたまるものか。純粋の美しさは、いつも無意味で、無道徳だ。」

    なるほど。

  • 時代というものの狂おしさが
    ただただ女性の視点から描かれて
    どれもそれ相応の可笑しさに満ちて。

    「十二月八日」が好きです。
    それに、まったく逆の意味で
    「恥」も。

    太宰治には、これほどまでに
    女性の心情を忖度できる才能が
    あったのだなあ。

  • どの短編も、最初の一文がよい。「朝、眼をさますときの気持ちは、面白い。(女生徒)」「女は、やっぱり、駄目なものなのね。(千代女)」「たましいの、抜けたひとのように、足音も無く玄関から出て行きます。 (おさん)」もしも太宰の作品と知らずに読んだなら、女性作家が書いたと思うに違いない。それほど見事に女性の心情を描いている作品。初版発行が昭和29年。そして今が平成29年。現代版『女生徒』があれば面白いだろうな。

    いまに大人になってしまえば、私たちの苦しさ侘びしさは、可笑しなものだった、となんでもなく追憶できるようになるかも知れないのだけれど、けれども、その大人になりきるまでの、この長い厭な期間を、どうして暮らしていったらいいのだろう。

    私たち、こんなに毎日、鬱々したり、かっとなったり、そのうちには、踏みはずし、うんと堕落して取りかえしのつかないからだになってしまって一生をめちゃめちゃに送る人だってあるのだ。また、ひと思いに自殺してしまう人だってあるのだ。そうなってしまってから、世の中のひとたちが、ああ、もう少し生きていたらわかることなのに、もう少し大人になったら、自然とわかって来ることなのにと、どんなに口惜しがったって、その当人にしてみれば、苦しくて苦しくて、それでも、やっとそこまで堪えて、何か世の中から聞こう聞こうと懸命に耳をすましていても、やっぱり、何かあたりさわりのない教訓を繰り返して、まあ、まあと、なだめるばかりで、私たち、いつまでも、恥ずかしいスッポカシをくっているのだ。

    明日もまた、同じ日が来るのだろう。幸福は一生、来ないのだ。それは、わかっている。けれども、きっと来る、あすは来る、と信じて寝るのがいいのでしょう。

  • こんなにキラキラしていて、こんなに少女らしく、ころころと感情が変わっていくさまを、文章を、男の人が書いたことが本当にすごいと思う。

  • 知人に「女子学生のことを書いた小説なら『女生徒』が一番」と言われ手にとった。
    ●「女生徒」の感想
    なるほど、今の子と何も変わらないなと。親への反発心とか、大人になったらこの苦しさから解放されると思っている幼さとか。
    これを男性が、70〜80年前に書いてるとは、作家ってすごい。
    ●表題作以外の作品
    「きりぎりす」が好き、というか胸にグゥッときた。
    好きだった夫が変わってしまう悲しさとか。世間は良しとするそれを受け入れられない自分が悪いのか、という苦悩とか。
    とにかく人間って70〜80年ではちっとも変わらないんだな。

  • 途中で断念

  • その目で見た美しい光景を、
    眼球はとらえておけるということ.
    嘘ではなくて本当に、
    そうなのかもしれない

  • 貨幣と饗応夫人が特に印象に残りました。

  • 色とりどりな女達にまつわるお話し群。アイタタ…な女にいい加減にしろ!とうんざりしたり、いつかの自分とどこか被る女にまたイタタ…。
    女生徒、葉桜と魔笛、皮膚と心、おさん、饗応夫人、など。

  • 一貫した女でした。私より女女しく、男性から見た女のようでもあります。年齢や時代が違っても、これは変わらないのかしらと思います。病や狂人のようになっていくのは、人間のおかしさで、喜劇なところです。堕ちていく女は美しいと、どうして感じるのでしょうか。
    私はどうしてなのか女女しい女が苦手です。登場してくる女達にも惹かれにくいので、頑張って読んでいました。女に生まれてよかったとは思います。女々しいところが良くもあり悪くもあるのです。大好きで大嫌いな自分と向き合ったようでした。

  • 読書部課題図書その24

  • 百円札を擬人化させたような「貨幣」が印象的。
    或る意味時代の先をいっていたのかもしれない。

    解説の「男が女の文体で~」のくだりは興味深い。

    所々に見られる当時の女性に対する目が、
    現代と大きく違っていることを実感させられる。
    二十八でおばさんって、ねぇ。

  • 女性は強いと言うが、決して強くはない。

  • 太宰治ワールド満載。太宰作品でよく使われる言葉「いやらしい」がとても当てはまる作品かなと思います。この作品に登場してくる女性をうがった考え方と捉えるか自分を持っている人と捉えるかで見方が変わってくるのかなと感じました。

  • 「きりぎりす」と同じ話がいくつか入っていますが、女学生がどうしても読んでみたくて購入。
    きりぎりすよりもさっぱりした話が多く、清涼感のある読み心地でした。
    題になっている女学生ですが、畳みかけるようにパタパタと言葉が連なっていて、女学生が世界のよしなしごとに興味がある様や若々しい様子を連想させました。
    どことなく幼く、だからこそ真っ直ぐに自我を捉えようとする女学生。美しく生きたいと願う思春期の明るい部分がきれいにまとめられていました。

  • 一人の男性作家が、ここまで女性のことを描けるなんて、さすがだと思いました。

  • 燈籠・女生徒・葉桜と魔笛・皮膚と心・誰も知らぬ・きりぎりす・千代女・恥・待つ・十二月八日・雪の夜の話・貨幣・おさん・饗応夫人

    彼はいつも「どう在ることが美しいのか」を考えているように感じる。作中に使われた清貧という言葉がそれをよく表している。理想主義、その通りだ。しかし内省において決して逃げることをしない彼の態度には、傲慢さがない。それが多くの人の共感を得るのかもしれないと、月並みなことを考えた。
    理想を持つことで真っ直ぐに歩けない人は、私にはどうしたって愛おしい。

  • 「皮膚と心」が好きです

  • この本を手に取るといつだって清らかな自分になれる気がします。時には毒だってちょこっと吐いちゃいます。気持ちはぐらぐら不安定にうつろいます。でも自分に嘘だけはつきたくない。美しく生きたいと思います。

  • 全て女性の語り口調で書かれている。
    すごく私好みの話ばかりだった。

  • たまたま家に太宰治の本があり読んでみた。読む前と読んだ後のテンションの差がある。自分でも本を読んでこんなことあるんだ…ってくらい気持ちが落ち込んだ。一番おもしろかったのは「紙幣」。ずっしりきたのは「おさん」。
    もう一冊太宰治の本、人間失格が家にあるけどちょっと今読むのはやめておく…

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著者プロフィール

1909年〈明治42年〉6月19日-1948年〈昭和23年〉6月13日)は、日本の小説家。本名は津島 修治。1930年東京大学仏文科に入学、中退。
自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した。主な作品に「走れメロス」「お伽草子」「人間失格」がある。没落した華族の女性を主人公にした「斜陽」はベストセラーとなる。典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年6月13日に愛人であった山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

「2022年 『太宰治大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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