女生徒 (角川文庫)

著者 :
制作 : くまおり 純 
  • KADOKAWA
4.16
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本棚登録 : 1730
レビュー : 139
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041099155

感想・レビュー・書評

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  • 女生徒、他の短編は何れも現実で体験し得る、現実的な内容である。
    そして此のヒロインの心描写が決して男性的で無いのは、太宰自身が相応の女々しさを所有しているからだろう。
    此処に出て来る人物各々が、女性特有の瞑想と現実の混沌を有っている。そして何処かヒステリックな性質を携えているのだ。簡潔に云えば、女性らしい悩みと思考回路で在ると云う事であるが。
    太宰は女々しいと云うよりも、女性の繊細さを具え過ぎたと言えるだろう。
    恰も女性作家が描いた様な箇所が多々見受けられる。

    太宰の執筆する短編は美しくないと感じる。彼には語りたい事が余りにも多過ぎるのだ。其れを作中で感じさせて仕舞う為に。
    然し口語の文体が非常に多く、それ故に非常に生々しさを醸し出しいる。
    憂鬱や衝動、妄想等が、女の其れとして多彩に含有された一冊だ。

    私が思うに、此の作品のヒロインは全て太宰自身なのだろうと感じた。
    太宰の抱える世間への茫漠とした恐れを詰め合わせた様な、強迫観念染みたモノを感じた。
    どの作品にも凡そは云える事だが、太宰の内部的な恐怖心は、作品に依って表出されているのだろう。

  • 主人公の女生徒と自分が重なる。

  • i文庫S

  • 全編女子学生の一人称で話が進む。思春期特有の、大人になり切れずに揺れる少女の心情をここまで見事に描けるのだからすごい。
    作中で主人公は「墨東奇譚」を読むが、「ところどころ作者の気取りが目について、それがなんだか、やっぱり古い、たよりなさを感じさせる」と結構辛辣。

  • どの短編も、最初の一文がよい。「朝、眼をさますときの気持ちは、面白い。(女生徒)」「女は、やっぱり、駄目なものなのね。(千代女)」「たましいの、抜けたひとのように、足音も無く玄関から出て行きます。 (おさん)」もしも太宰の作品と知らずに読んだなら、女性作家が書いたと思うに違いない。それほど見事に女性の心情を描いている作品。初版発行が昭和29年。そして今が平成29年。現代版『女生徒』があれば面白いだろうな。

    いまに大人になってしまえば、私たちの苦しさ侘びしさは、可笑しなものだった、となんでもなく追憶できるようになるかも知れないのだけれど、けれども、その大人になりきるまでの、この長い厭な期間を、どうして暮らしていったらいいのだろう。

    私たち、こんなに毎日、鬱々したり、かっとなったり、そのうちには、踏みはずし、うんと堕落して取りかえしのつかないからだになってしまって一生をめちゃめちゃに送る人だってあるのだ。また、ひと思いに自殺してしまう人だってあるのだ。そうなってしまってから、世の中のひとたちが、ああ、もう少し生きていたらわかることなのに、もう少し大人になったら、自然とわかって来ることなのにと、どんなに口惜しがったって、その当人にしてみれば、苦しくて苦しくて、それでも、やっとそこまで堪えて、何か世の中から聞こう聞こうと懸命に耳をすましていても、やっぱり、何かあたりさわりのない教訓を繰り返して、まあ、まあと、なだめるばかりで、私たち、いつまでも、恥ずかしいスッポカシをくっているのだ。

    明日もまた、同じ日が来るのだろう。幸福は一生、来ないのだ。それは、わかっている。けれども、きっと来る、あすは来る、と信じて寝るのがいいのでしょう。

  • 貨幣と饗応夫人が特に印象に残りました。

  • 百円札を擬人化させたような「貨幣」が印象的。
    或る意味時代の先をいっていたのかもしれない。

    解説の「男が女の文体で~」のくだりは興味深い。

    所々に見られる当時の女性に対する目が、
    現代と大きく違っていることを実感させられる。
    二十八でおばさんって、ねぇ。

  • 女性は強いと言うが、決して強くはない。

  • 「皮膚と心」が好きです

  • 美しく生きたいと思います。

著者プロフィール

1909年6月、青森県生れ。学生時代から小説の創作を始める。東大仏文科入学を機に上京。在学中に非合法運動に従事するもやがて転向し、以降、本格的な執筆活動を開始する。1935年に「逆行」が第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。1939年に結婚し、「富嶽百景」や「女生徒」、「走れメロス」などを発表。戦後には『斜陽』がベストセラーとなり、流行作家となる。「人間失格」を発表した1948年の6月に、玉川上水で入水自殺。織田作之助、坂口安吾らと共に「新戯作派」「無頼派」と呼ばれた。

「2019年 『太宰治 女性小説セレクション 誰も知らぬ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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