「ふつうの家族」にさようなら

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 181
感想 : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041099544

作品紹介・あらすじ

中野信子さん(脳科学者)推薦!「家族法研究者 山口真由が明かす家族の本質」

「ふつうの家族」――それは聖なる呪いである。
家族も、親子も、夫婦でも――常に「スイッチオン」でなくていい。その関係は「点いたり、消えたり」でいい。

「"ふつう"を押し付けられたくない私は、"多様性"を押し売りしたいわけでもない。新しく生まれつつあるマジョリティの側にまわって、「空気を読まない」古臭い奴らをつるし上げたいわけじゃない。(略)これからの時代、私たちがすべきことは"違い"をあぶりだすことじゃなくて、”同じ”を探しにいくことなんじゃないか。家族のあり方が変わってもなお、昔と変わらない普遍的ななにかをその真ん中のところに見つけにいくことじゃないかと、私は思うようになった」(「おわりに」より)


はじめに
第1章 親子
言葉を失った「卵巣年齢50歳」の衝撃
結婚じゃない! 子どもなんだ!!
精子バンクはオンラインデート
「フェミニストの希望の星」が残した宣言 他

第2章 結婚
親友の結婚話でヒートアップした私
同性婚を認めた感動的な判決
ジャネット・ハリーというロック・スター
権利と義務の束としての結婚 他

第3章 家族
謎だった「男のお母さん」
私が育った日本の家族
多様になりつつある日本の家族
「家があります。緑と白の家です」 他

第4章 老後
日本の「家」は会社だった?
現代社会における「家」の残り香
「家」か? それとも「個人」か? 他

第5章 国境
アメリカの「実子」、日本の「養子」
「結婚」なんて点いたり、消えたり
「親子」ですらも、点いたり、消えたり
ステイタスとしての家族、プロセスとしての家族 他
おわりに


装画:赤 | aka
装幀:原田郁麻

感想・レビュー・書評

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  • 著者の名前見たことあるな、と思ったら、「東大首席弁護士が教える超速『7回読み』勉強法」の著者だった。
    この本読んで、ほぉ〜っと感心してそれ以来実践しているが、頭のよくない僕には向いていない勉強法らしく、ちっとも知識が身につかない。

    …それは置いといて。

    タイトルが素晴らしい。

    世の中には「これがふつうだ!」であふれている。
    その普通の範疇に入れなかった人たちは、苦しめられ、追い詰められ、社会からはじき出されるようにできている、のだ。

    でも、ふつうであることを諦めてしまえば、心が軽やかになるよ、と言うことをこの本は言っている。

    とは言っても、「ふつう」という規範をぶっつぶせ、と言っているわけではない。
    「ふつう」でなくても被害者ではない。著者は「家族という戦いを戦っている人たち、すべてに、エールを送ろう」という視点で書いたとのこと。
    ふつうの家族とそうでない家族と、その垣根を越えていこうとしている。
    そこがいいなと思った。

    以下、メモ

    ・アメリカは、フェミニストと言う言葉が軽い。フェミニストを名乗った男性は女性にご飯を奢らなくていいと言う特典がある。その程度(笑)

    ・アメリカの家族は点である。子どもが成長すれば親の家族とは別の個人となる。両者は経済的には完全に独立した主体。
    ・一方、日本の家は線である。家は、世代を超え、核家族の境界を越えて、一族を縦に結びつける。精神的な結びつきのみならず経済的な基盤でもある。

    ・池袋暴走事件の加害者の息子は、法ではなく世論によって裁かれた。だが、農水事務次官による長男殺害事件の父は、法によって裁かれてもなお、社会においてはむしろ擁護された。
    法は、個人の責任という欧米の概念を取り入れたが、世間はなお、家族の責任という封建的な感覚を残している。

    ・「結婚」という概念は、国境を越えれば通用しないこともある。(一夫多妻とか)。だから結婚は、相互を縛る絶対的な関係でも何でもなくて、場所によってしてたりしてなかったりする、相対的なものだ。

    ・家族はすでに多様なあり方がある。しかし、国によって同性同士が認められたり認められなかったり。代理懐胎の場合、親と認めるか否かの判断も異なる。そんな親のこどもにとってみれば、私の親は誰か?さえも曖昧になっていく。アイデンティティすら、誰が丸ごと肯定してくれるのだろう?

  • 生まれ落ちたときから、周囲を見回しては比較の中で自分の立ち位置を確認し、安心して前に進んでいく。
    それが「ふつう」の魔力でありながら、結局はその「ふつう」に自分自身が追い込まれていく。

    コメンテーターとしてメディアでお見掛けする山口真由さんがその「ふつう」に対して感じる違和感を筆にした一冊。

    ご自身の留学経験を織り込みながら、アメリカと日本の「家族」「母性父性」「親子」等の概念の違いをさらりと筆にする。

    山口さんが文中で引用した米国最高裁判事であったルース・ベイダー・ギンズバーグさんのドキュメンタリー『RBG 最強の85歳』を私も見たばかりだったので、とても興味深かった。
    当時男性に比べ、「二流市民」の扱いを受けていた女性たちが権利を一歩一歩手にしていく様子と、RBGが理性と品性を失わずに社会を変えていった経過に私も痺れた。

    一方で、山口さんが文中で固有名詞を出された日本の女性活動家たちには、私も同様に従来から違和感を禁じ得なかった。
    権利を手にするために、闘争のための闘争のような印象。
    「正面切って声高に正義を叫ぶことに消耗されるだけ。人生の消費。」言い得て妙。

    米国の家族は点(個人)であり、日本のそれは線(家の継承)であるという明確な違いを法的な概念から端的に説明されたことも興味深い。

    子どもであっても、親とは別個の人間であり、成人すれば独立が当然である米国の親子観に対して、日本は親も子も
    旧来の「家制度」に基づき一心同体、無限抱擁。
    個人を犠牲にしても、家族を優先し、「家」を存続させることに美徳を置く風土は、今もなお健在。

    無論、日米間で価値観の正誤を争うつもりは毛頭ないが、戦後の民法において旧来の「家制度」が取り除かれたにも関わらず、「組織のために個人を犠牲にするという「美学」自体は私たちの社会に根強く残っている。(本文より)」という山口さんの見解に首肯。
    自分の感覚や判断よりも周囲からの役割の期待である「ふつう」を優先する。実は苦痛に満ちているのに。

    最後にSNSというツールを得て、今や誰しも自分の立ち位置と存在を世間に訴えることが非常に容易くなった弊害への言及も目から鱗だった。
    評論家佐々木俊尚さんが提唱する「マイノリティ憑依」にも通じると思う。
    少数派に対する表立った賛辞を皆に求める圧の強さ。

    「”ふつう”を押し付けられたくない私は、”多様性”を押し売りしたいわけでもない。新しく生まれつつあるマジョリティの側にまわって、「空気を読まない」古臭い奴らをつるし上げたいわけじゃない。」(あとがきより)

    日常の些末な出来事に忙殺され、ふわふわしたネット記事やSNSに心奪われがちな昨今。
    「当たり前」と信じ込んでいる価値観や概念に風穴を開ける1冊になりそう。

    読点の多さが少し気になり、新書でもなく、エッセイでもない1冊。
    彼女の力量を安っぽいコメンテーターではなく、もう少し違う形で発揮できればいいのになと願いながら頁を閉じた。

  • 家族法研究者 山口真由が明かす家族の本質――エッセイ 『「ふつうの家族」にさようなら』 2月26日(金)発売!|株式会社KADOKAWAのプレスリリース
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000008089.000007006.html

    O u t w o r k
    https://aka-outwork.com/

    「ふつうの家族」にさようなら 山口 真由:一般書 | KADOKAWA
    https://www.kadokawa.co.jp/product/322006000081/

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      んー
      それでも森喜朗を擁護する人たち…産経新聞「厚化粧した集団いじめ」橋下徹「森さんの気持ちわかる」山口真由「欧米的ポリコレに違和感」|L...
      んー
      それでも森喜朗を擁護する人たち…産経新聞「厚化粧した集団いじめ」橋下徹「森さんの気持ちわかる」山口真由「欧米的ポリコレに違和感」|LITERA/リテラ
      https://lite-ra.com/2021/02/post-5785.html
      2021/02/08
  • 素晴らしい本だった。山口さん自身のエピソードや経験から、何故家族法を研究することになったのかが、丁寧に書かれていると感じた。それだけでなく、家族についての概念が、多様性の波の中でだんだんとゆらいでいく様子や社会構造を、噛み砕いて説明してくれている。日本古来の「イエ」を守るという考え方もあるせいか、変革しきれない社会。まさにいま過渡期にある日本で、読んでおいた方がいいと思った。

  • PRESIDENTの記事から興味を持ち、一部斜め読みしながらだけど一日で読んでしまった。面白かった。
    世界の違うひと。と思っていたので、平易な文章で読みやすく、驚きました。

    トニモリスンは、家族自体を壊したかったわけじゃない。理想の家族への憧れなんて捨てて、いまそこにいるあなたの現実の家族に目を向けてあげて。 この作家はそう叫んでいる

  • すごく読み応えがある本だった。

    いろいろな視点から、「家族」のあり方について考察をしている。

    読んでよかった

  • しくじり先生の番組を観て、もっとこの人の考えを知りたいと思った。海外と国内の結婚に対する価値観の違い、法による制度の違い、LGBTQの例など分かりやすく説明されていて、面白かった。ふつうの家族は1つも存在しないこともわかった。しかし、頭では理解するものの、どこかで、ふつう・一般的・普遍的・マジョリティ等に属したいと矛盾極まりない考えにも陥る。自分の思考の柔軟さが足りない。最後に「私たちがすべきことは、違いをあぶりだすことではなく、同じを探しにいくこと。家族のあり方が変われど、昔と変わらない普遍的ななにかその真ん中を見つけにいくこと。」この言葉を参考に私も、家族という名の旅をしていきたい。

  • 山口さんが卵子年齢50代と言われて妊娠できないかもとショックを受けることから始まり、そもそも普通の家族って何かを日本、アメリカの法律を中心に分析するものです。その分析自体は非常に面白かったですが、そうだとしても山口さんがここから自身と血縁のある子を持つのは難しかもしれないわけで、結局は山口さんに血縁ある子を持ちたいという考えがあればどうしようもない可能性はあります。山口さんが何をしたいのかはおいといて、日本、アメリカに関する分析は面白かったです。この本を読んで、山口さんは自閉傾向があると私は確信しました。

  • 家族法から読み解く、家族とは。
    親子関係、結婚関係をまた新しい視点から書かれた一冊のように思う。

    以下読書メモ
    ーーーーー
    ・私たちは闘いを避けることなんてできない。自分の思うように生きること、それ自体が闘いなのだから。私たちは、結婚することで新たなステイタスを得るわけではない。人間的な成長をするわけでも、自分以上の存在になるわけでもない。

    ・私たちは家族になろうとしている。私たちは、日々、家族になり続けている。家族といえど、他人である。近しいがために、すべてを分かち合えると思い込み、考えが違えは裏切られたと憤る。ときに醜く罵りあい、じたばたともがく。それでも、私たちは「家族」をあきらめることができない。彼らを理解しようとし、傷つき、傷つけ、それでも気にかけ続けている。
    寄り添いたいと願う、この絶ゆみない歩み寄りのプロセスだけが私たちを固く結びつけて「家族」にする。私たちは「家族」であるんじゃない。日々、「家族」になり続けてるんだ。

  • 自分は「ふつうじゃない」と思う人は、「ふつう」からどのくらい離れるかという尺度で、人生を構築している。

    この言葉にずどんと来た。さすが思考を止めずに考え抜くことのできるスーパー才女だなあと思った。
    著者の山口氏は、この人がバリキャリ未婚の代表でなくしてなんであろうというすごい人だけど、普通(あー普通って書いちゃった)の未婚女性が持つような葛藤を抱えていてそこを素直に記しているところもとても良かった。
    アカウンタビリティを逃れるために、「結婚したいのにできない人」というフレームワークに自分をはめて楽をしていたと。そしてその葛藤から時々心に澱をためて爆発させていたということ。すごくわかるんだよなあ、私は才女でもバリキャリでもないけど、わかる。読んでいて心にストンとくる言葉が多かった。
    そんな著者が真剣に考え抜いて切り込んだテーマなわけだから、面白くないわけがないという内容であった。

    本の内容に戻ると、著者が在学していたアメリカ(ハーバードだぜいぇい)の判決例などをもとに、日米ともに「家族」「結婚」「子供」をどうとらえるのかについて記している本。とてもわかりやすい記載で、日々もやもやしている「家族ってなにさ」とう主題にさくっと切り込んでくれたという印象。

    難しくて内容覚えられないし理解が間違ってるかもだけど、同性婚を認めたオバーゲフェル判決はとても興味深かった。愛する二人の結婚を認めた有名な判例であるが、一方でリベラル先鋒の教授からしたら「結婚は崇高なものである」と特別視してしまったこの判決文こそが問題である、と。なるほどなあと思った。
    結婚を神聖な誓いとしてヴェールにかぶせてしまうから、本来の姿がみえなくて現代の様々な関係性に当てはめることができないのだ。結婚とは互いの関係に関する義務と権利の膨大な契約、そこに伴う無数の特典をまとめたパッケージ。そうとらえれば解体することでスマホの契約のようなオプション型の結婚だって認められるかもしれない、という考え方が面白いな、、と思った。
    また日本は「家」によって家族が線でつながっていて、家業というように義務権利も引き継ぐのが当然であり、以前はセーフティネットの役割を果たしていた、という説明も面白かった。家という静的な状態が家族をかたちづくっているから個人間の契約という関係ではなかったと。そして家が痩せてしまったから、今色々と問題になっているのだ…と。
    全体を通して、事例や理論だけでなく個人的な感情も含めて余すところなく書いてあり、非常に好感がもてた。改めて才女だなあと思います。

    この本のたくさんのエピソードからわかるように、普通を押し売りするのも、多様性を押し売りするのも同じ同調圧力でしかない。マジョリティとかマイノリティじゃなく、点滅するように役割が切り替わるのが家族、白でも黒でもなくグラデーションだと、著者はまだまだ悩みながらも語っている。
    そんな風にとらえることができて、初めてダイバーシティという言葉を使えるのかもしれない。

    時々心の澱をためている私にとっても、とてもとても勉強になる本だった。そして私は頭がよろしくはないから、また著者がわかりやすい本や論考を出してくれるのをまってフォローしていきたいなあと思った。

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著者プロフィール

信州大学特任准教授・ニューヨーク州弁護士。1983年、北海道に生まれる。東京大学を「法学部における成績優秀者」として総長賞を受け卒業。卒業後は財務省に入省し主税局に配属。2008年に財務省を退官し、その後、15年まで弁護士として主に企業法務を担当する。同年、ハーバード・ロー・スクール(LL.M.)に留学し、16年に修了。17年6月、ニューヨーク州弁護士登録。帰国後は東京大学大学院法学政治学研究科博士課程に進み、日米の「家族法」を研究。20年、博士課程修了。同年、信州大学特任准教授に就任。

「2021年 『「ふつうの家族」にさようなら』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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