笑え、シャイロック (角川文庫)

  • KADOKAWA
3.74
  • (41)
  • (110)
  • (77)
  • (12)
  • (1)
本棚登録 : 1052
感想 : 79
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • 本 ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041099551

作品紹介・あらすじ

入社3年目の結城が配属されたのは日陰部署の渉外部。しかも上司は伝説の不良債権回収屋・山賀。憂鬱な結城だったが、山賀と働くうち彼の美学に触れ憧れを抱くように。そんな中、山賀が何者かに殺され――。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 大手銀行勤続3年目の銀行員
    営業部から 融資渉外部ー債権回収業務ー
    への移動
    移動に納得していなかったけれど
    先輩の見事な債権回収に 銀行員としての姿勢を学ぶ

    1 わらしべ長者
     自称デイトレーダーの負債を
    2 後継者
     会社を引き継いだ2代目社長の工場負債を
    3 振興衆狂
     新興宗教の負債を
    4 タダの人
     総裁選に敗れた政治家の負債を
    5 人狂
     指定暴力団フロント企業の負債を

    それぞれ所有する資産を考慮して大胆な回収方法を披露する
    しかも 一つ目の債権回収の後 先輩行員が他殺で見つかり 債権者のアリバイも確認してしまう
    事件と債権回収が並行して解決していく
    上手くいきすぎな感じもありましたが
    銀行員あるあるも読めて
    楽しかったです

  • ん?
    池井戸潤さんの読んでる?
    銀行小説と言えば、池井戸潤さんやけど、中山七里さんの銀行モンもなかなかでした〜(^_^)v

    しかし、銀行って、3年で異動するからって、そのスパンで物事考えてたら、貸すときも、そうなるから、自然と将来を見据えたとか口では言ってても、将来なんか見てないんやな。
    3年バレんかったら、ええと…
    銀行員としての矜持はないのか…

    って人らに囲まれながら、伝説の不良債権回収屋シャイロックと呼ばれた人が殺される〜
    部下であった結城が後を継ぎ、回収に走る〜犯人も探しながら…
    出世、出世ばかりやなく、専門特化した方が、これからは良いと思う。別に、このスキルは、銀行だけで役立つ訳ではないし。
    最近は、銀行もオワコンとか言われて、大変かもしれんけど、自分自身を磨いていれば大丈夫やと思うけどな…

    やはり、中山七里さんなんで、最後は、どんでん返し!
    楽しめました〜(^_^)v

  • 推理小説というよりも、お仕事ストーリーでした。大手銀行のエリート銀行員が、不良債権を思いもよらないアイデアで次々と解決していく。スカッとして気持ちがいいけれど、こんなにうまく行くことなんてあるのかしら、とちょっとヒーロー物を読んでるような白けた気持ちも。
    現実でもこんな風にどんどん不良債権が解消されたら景気が良くなるかな。。

  • 主人公の成長と自立が描かれていました。矜持について考えさせられました。仕事に矜持を持つ。

  • ―シャイロック―
    情け容赦ない取り立て屋―
    「ヴェニスの商人」に登場するユダヤ人の
    金貸しの名だという。

    主人公の結城は、一流銀行で営業部に
    所属していたが、渉外部へ異動になる。
    営業が表なら渉外は裏の仕事だ。
    結城は不満だった、「なんで俺が渉外に」
    融資した金が回収不能となると、渉外部
    が担当となり回収に奔る。それは、何千
    何億を超えることがある。

    債務者、債権者、不良債権、無担保債権
    金銭消費貸借契約 etc. この本には、
    耳慣れない言葉が山ほどでてくるので、
    読んでいて「もうやめようか」と思って
    しまった。それは悔しいので、頑張って
    読んでいると結城の奮闘ぶりに惹かれる
    ものがあった。
    書きたいが、あまり細かく書くとネタ
    バレになりかねない!

    私は、このような金融関係の小説を
    読んだのは、多分初めてだと思う。
    この本は、題名から中味をイメージした
    ので、私の予想とは大分外れていた。
    ★は皆さんにとっては3かもしれない。
    でも、新鮮な気持ちで読み終わることが
    できたので、4にしたいと思う。
    読んで良かった。
    読後感は「終わった~」だ。

    2023、7、9 読了

    • ポプラ並木さん
      アールグレイさん、
      取り立て屋、つらい仕事だね。取り立てる方も、取り立てられる方も。
      絶対にいい関係性を構築できるはずない。。。
      でも...
      アールグレイさん、
      取り立て屋、つらい仕事だね。取り立てる方も、取り立てられる方も。
      絶対にいい関係性を構築できるはずない。。。
      でも必要な仕事なんでしょうね。
      どう奮闘するのか、きになります。
      2023/07/18
  • 帝都第一銀行の渉外部(不良化した債権の回収部隊)に勤める若手銀行マン 結城真悟を主人公とした、連作短編形式のミステリー(というか経済小説)。銀行マンの成長物語でもある。

    渉外部に配属された結城は、〈シャイロック山賀〉とあだ名される凄腕の回収マン 山賀に付いて回収業務のイロハを学んでいくが、その山賀が突然何者かに殺されてしまう。意地と浅慮から山賀案件を強引に引き継いだ結城は、困難な債権の回収に奔走する。債務者は、リストラされたデイトレーダー、大田区の町工場(ここまでは山賀が回収)、新興宗教(奨道館 =「ふたたび嗤う淑女」でターゲットにされた新興宗教団体)、元有力議員、暴力団フロント企業。

    扱うジャンルの割にシンプルなストーリーだった。どぎついところがなくて、単純に楽しく読めた。

    結城の上司の樫山渉外部長、微妙なキャラだった。悪役という程じゃないが、腹が括れておらず保身に走りがち。それでいて時々良いことや正論も吐く。女性登用ということで実力以上のポストに就いてしまった女性キャリアの悲哀を描きたかったのかな?

  • 中山七里版の半沢直樹。
    ミステリ要素は少なく、犯人も比較的早い段階で想像はついた。

    まず誰もが驚くのが序盤の急展開だ。渉外部の「シャイロック」こと山賀のキャラクターを、中山七里ファンであれば他シリーズの毒島と重ね合わせながら読んでいたのではないか。ところが何と…。(ネタバレなので書きません)
    序盤以降は山賀の薫陶を受けた結城が回収マンとして成長し活躍するのだが、その解決方法が意表をついたもので、銀行員としての割り切り方も一種痛快だ。

    全編を通して「不良債権は今の銀行の最上階にいる奴らがひたすら先送りしてきたせいだ」という持論を展開していたのも中山七里らしい。
    また、債務者の一人として「嗤う淑女」シリーズで出た新興宗教が登場するなど、キャラクターがシリーズを跨いで出てくるあたりは彼の作品では定番になっており、ファンならニヤリとするとこだろう。

  • 『笑え、シャイロック』中山七里著

    1.物語の始まり
    シャイロックとは、小説/ヴェニスの商人に登場する金貸し屋。
    ------------
    主人公は国内銀行の入行三年めの男性。
    異動命令で債権回収部へ。
    その部には、難易度高い回収をダントツ実績で行う先輩がいた。
    同行してノウハウを、、、の矢先、先輩が何ものかに殺される。

    2.不良債権が生まれる。なぜ?!
    ①デイトレーダー
    追証が発生し、借入した挙句に、市況が暗転。
    返済できない。
    ②政治家
    選挙活動資金で借入。ただし不透明な取引とするため、絵画を担保に10億円。
    返済できない。
    ③不動産
    マンション用地を買い上げ。その後、不動産不況で開発中止。土地は塩漬け。
    返済できない。

    3.入行三年めがくりだす奇策とは?
    2.①②③。
    これらの回収。
    無理でしょ?が、できるでしょ!に転換されていく過程。
    奇策のなかにロジカルあり。
    犯人探しとは別の面白さあり。

    ------------
    中山七里さん。
    さよなら、ドビュッシー、ネメシスの使者とは、違ったバンカーの物語。
    圧巻でした。

    #中山七里さん好きな人と繋がりたい

  • 帝都第一銀行、入行3年目の結城真悟。
    新たな配属先は、渉外部、つまり回収係。

    そこで、凄腕の回収担当が上司の山賀雄平(38)。
    『この世で一番大事なものはカネ』と言い切る人物で、行内では、『シャイロック山賀』と噂される人物。
    果たして、結城は、山賀の下でやって行けるのか?

    途中までは、銀行内の物語と言うことで、池井戸ミステリーかと思われましたが、山賀が何者かに殺害され、一気に中山七里のミステリーになりました。

    様々な人物を通じて、不良債権の回収経験を重ねる結城。果たして、これら事案の中に、彼を恨んで殺害した人物がいるのか?

    最後の『どんでん返し』は、さすが中山七里氏ですね。なるほど。
    結城の成長振りも、今後の活躍に期待されます。

  • 面白かった
    短編連作金融ミステリーで池井戸潤かと思ってしまった!

    銀行の日陰部署と囁かれる渉外部に異動してきた結城。落胆しながらも「シャイロック山賀」と言われる伝説の不良債権回収屋の山賀に薫陶を受けます。山賀の回収術・その矜持に引き込まれていきますが、その山賀が何者かに殺害されてしまいます。
    山賀の顧客を引き継ぎ債権を回収する結城。
    二代目のボンボン社長
    新興宗教の教祖
    国会議員
    そしてヤクザ
    と債権を回収していく結城
    その回収アイデアもすごい

    そして、最後の真犯人が明らかになります。
    真犯人これまたひねりがあってよい。
    さらにさらに、結城の銀行マンとしての矜持が熱い!
    後半はとてもよかった!

    お勧め

全79件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中山七里の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×