ぜんしゅの跫 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.72
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本棚登録 : 653
感想 : 71
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041099568

作品紹介・あらすじ

妻が妊娠し、幸せいっぱいの日々を送るサラリーマン・田原秀樹は、ある日、知り合いの娘の結婚式に参列することに。
しかし、新婦の佐川知紗は思わず二度見してしまうほど器量の悪い娘だった。
式の最中、野崎という男性が知紗にある画像を見せたことから、彼女は錯乱し、鼻水を垂らしながら秀樹に縋りつき「お父さん」と呼ぶ。
こんな娘は嫌だ――汗がどっと噴き出た瞬間……。映画「来る」へのアンサー的短編!
――「鏡」

真琴と野崎の結婚式。姉の比嘉琴子は祝いに駆け付けるが、誤って真琴に怪我をさせてしまう。
猛省する琴子は、真琴に代わり、彼女が請け負っていた事件「見えない通り魔」の調査に乗り出す。
夜な夜な通行人を襲って引き摺り回し、建造物を破壊する巨大な化け物の正体とは……!?
論理的にして大胆な霊媒師・比嘉姉妹が活躍する、書き下ろし表題作!
――「ぜんしゅの跫」


造形制作/萬歳淑

感想・レビュー・書評

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  • ホラーでホッと和む一冊。

    五編どれもあの手この手でジワジワと怖面白かった。

    ゾワッと後を引くオチもたまらない。

    中でもやっぱり比嘉姉妹にがっつり出会えた表題作が良かった。

    かり、かり、がりっ…に、びく、びく、ひっ!とさせられる時間。
    巨大な化け物の正体は何?と怖さと想像に囚われる時間。
    そして探り当てた真相。

    あぁ、こういうの好き。
    なんだかせつなくて好き。
    良い方向に持っていこうというこの導きが好き。

    この比嘉姉妹の仲にホッと和むホラー短編集。
    そしてシリーズ再読させ姉妹に会いたくさせるこの読後感は澤村さんの作戦かしら。

    • くるたんさん
      sinsekaiさん♪こんばんは♪
      私も比嘉姉妹、記憶の彼方に…状態だったのでうれしかったです♪
      お姉さんのキャラが良いですよね✧*。(ˊᗜ...
      sinsekaiさん♪こんばんは♪
      私も比嘉姉妹、記憶の彼方に…状態だったのでうれしかったです♪
      お姉さんのキャラが良いですよね✧*。(ˊᗜˋ*)✧*。
      レリゴ〜♬にもクスッとしましたꉂꉂ ( ˆᴗˆ )
      2021/03/29
    • sinsekaiさん
      映画の「来る」を観た後は、小松菜奈と松たか子のイメージになってしまいました…
      映画の「来る」を観た後は、小松菜奈と松たか子のイメージになってしまいました…
      2021/03/29
    • くるたんさん
      ですよね(*≧︎∇︎≦︎)イメージが定着しちゃいましたね♬
      ですよね(*≧︎∇︎≦︎)イメージが定着しちゃいましたね♬
      2021/03/29
  • 今回はあまり真琴と琴子の活躍が感じられなくて、寂しい。
    そろそろ長編も読みたいなぁと思うファンです。

  • 怖い。

    比嘉姉妹が活躍するシリーズ五作目のホラー短編集。
     
    と、言っても実際に比嘉姉妹が活躍するのは、巻末の表題作「ぜんしゅの跫」のみ。
     
    意外にも、この表題作が一番怖くなかった。面白くはあるし、納得もできたが、恐怖は感じない。
     
    むしろ他の四編の方がゾッとする。
    特に「鬼のうみたりければ」と「赤い学生服の女子」は印象深い。
     
    しかし、「赤い学生服の女子」のラストは嫌だな。
    怖がらせたいのは分かるけど、あのラストはいただけない。
     
    シリーズ三作目の「などらきの首」のときにも感じたことですが、この人の作品は短編の方がおもしろい。
    長編よりも締まっていて、コンパクトに纏められていながらも、ミステリーのようなカタルシスも感じられ、そのうえでもちろん怖い。
     
    怖い。

  • 2021年2月11日読了。

    比嘉姉妹シリーズ最新作。
    全5話の短編集。

    『鏡』
    仕事関係の知人の結婚披露宴に出席した田原秀樹は、会場で巨大な鏡を発見する。
    吸い込まれるように覗き込むと、鏡の中の自分の背後に何かが映り込んでいる。
    よく目を凝らして見ると、それは男の顔だった。
    顔の半分が欠損し、ぬらぬらと赤く照り光った血みどろの顔がぱくぱくと口を開いたり閉じたりしている。
    有り得ないものを目にし、愕然としている所を後輩に話しかけられ我に返る。
    男の顔が映っていた場所を確認するが、それらしきものは何も見当たらない。
    何かの見間違えだったのだろうと気を取り直し、秀樹は席に着いた。
    新郎新婦が入場すると、新郎は眉目秀麗であるのに対して、新婦は背が低く丸々と肥え、目は細く鼻は低く、首が全くないと見るに耐えない容姿の女性がのしのしと現れた。
    秀樹は『自分の娘にはあんな風にはならないで欲しいものだ』と思いながら、ふと会場のスクリーンを見た時、そこにある画像が映し出されていた。
    血で服が真っ赤に染まり、顔の半分が殆ど無くなっている男の凄惨な死体写真がそこに映っていた。
    一体これは何なのか…

    『わたしの町のレイコさん』
    オカルト雑誌の編集で働く弥生は、姪っ子の飛鳥に怖い話をせがまれ、都市伝説について話をしていた。
    『トイレの花子さん』の話の流れから『カシマレイコ』という話に移る。
    『カシマレイコさん』の特徴は"身体のどこかが欠損していて、話を聞いた人のところへ現れ欠損した部分を持って行く"というものらしい。
    その話を聞いた飛鳥は、自分達の周りでも『レイコさん』という話が広まっている事を思い出す。
    『レイコさんという名前なのに男の人で、男性器を欠損しているからオカマ。だから包丁でアレを切り取られて持って行かれる。昔、ある男の子が変質者に襲われてアレを切られてしまって、そのまま大人になったけどある日おかしくなっちゃって自殺した。その霊がレイコさんになったんだって。
    そして、最近この辺りを女装した男が包丁持ってウロウロしてるのを何人も目撃してるらしい。それがレイコさんなんじゃないかって噂』
    その話を聞いた弥生は興味を持ち、過去の事件を調べてみると、20年前に男の子が誘拐され、男性器を切り取られる事件が本当に発生していて、被害者の男の子は自殺していた。
    はたして女装してウロつく男の正体は…。

    『鬼のうみたりければ』
    オカルトライター・野崎の元に、10年以上連絡の無かった元同期の希代子が突然訪ねてきて、ある相談をされる。
    内容は"神隠し"について。
    希代子の旦那には双子の兄がいたのだが、9歳の時に兄弟で山に探検に行き、その場で謎の集団に連れ去られたのだと言う。
    神隠しなど信じられるはずもなく、その当時は北朝鮮の工作員に拉致されてしまったと話がまとめられていた。
    30年近い月日がたち、希代子の旦那は会社をリストラされ、再就職の為の面接はどれも不採用ばかり。
    義母は認知症が進行し、要介護の状態。
    何もかも上手くいかない状況の中、突然旦那の兄が帰ってきた。
    家族は大騒ぎになったが、とりあえずずっとどこに行ってたのかと尋ねると、
    『白い山みたいなとこで暮らしてた。いろんな生き物がおった。青い泥みたいなやつ、目玉の葡萄、黒いマネキンの群れ、赤い布団みたいなやつ…』と意味不明な事ばかり言っている。
    なぜ急に兄は帰ってきたのか…。

    『赤い学生服の女子』
    東京都 東村山市にある三ツ角学院大学病院に入院している古市俊介。
    車で下道を走っていたところ、真上の高速道路で大規模な玉突き事故が発生し、墜ちてきたワゴン車の下敷きになり、もう20日も入院生活を送っていた。
    入院している部屋は四人部屋の『307』
    割り当てられたベッドはD。
    同室の3人とは雑談を交わす仲になっていたが、ふと気付くとAのベッドが空になっている。
    話を聞くと、昨夜急に亡くなったのだという。
    入院理由が足の複雑骨折だったのに、それが死因とは考えにくい。
    Aのベッドの彼が亡くなる前に変な事を口にしていたのを、同室の1人が聞いていた。
    『これから赤い学生服の女子に会ってくるよ。食堂で独り寂しがってる』

    それから数日、Bのベッドが空になり
    それからまた数日、Cのベッドが空になった。
    2人とも『赤い学生服の女子に会いに行く』と言って亡くなっていった。
    次はD…自分の番。
    自分は大丈夫。そんな事が起こるはずがない。
    『だから今夜、赤い学生服の女子に会いに行こう。独りで寂しがっているに違いない…』

    『ぜんしゅの跫』
    野崎昆と霊能者・比嘉真琴の結婚式。
    そこに姿を現した真琴の姉・琴子。
    強大な力を持ち、壮絶な仕事をこなす霊能者である琴子が忙しい中祝いに来てくれた事に感極まる真琴。
    涙の再会も束の間、すぐに行こうとする琴子に取り縋る真琴だが、手を振り払われた勢いで転倒し怪我をしてしまう。
    怪我をさせてしまった事に深い後悔と罪悪感を感じた琴子は、真琴が働くBarデラシネのシフトを自分が代わりに出て働くと言いだす。
    有無を言わさず代わりに働き戻ってきた琴子は、店の客から真琴が依頼を受けている事件『見えない通り魔・足音の怪』についての話を持ち出した。

    東京都の一角。午前0時から5時の間にひとけの無い暗がりで、人々が引き摺り回されたり、投げ飛ばされるという事件が頻発している。
    被害者は今のところ7人。うち6人は軽症だが、1人は両足を折る重傷を負っていた。
    被害者は誰一人として加害者の姿を見ていない。見ていないのではなく、見えないのだという。
    ただ、猫でも犬でもない、もっと大きな獣の爪がアスファルトを掻く
    かり、かり、かり、かり、がりっ、がりっ
    という足音だけが聞こえ、それが段々と近付いてきて、奇妙に思った矢先、彼ら彼女らの体は吹き飛ばされていたらしい。

    一連のこの怪異の正体は何なのか。
    怪我をした真琴の代わりに、野崎と琴子は怪異についての調査を始める…。


    比嘉姉妹シリーズ第5弾。
    今回も安定の面白さだった。
    野崎・真琴・琴子のいつものメンバーはもちろん、『ぼぎわん〜』で登場したダメ男・田原秀樹の話や、比嘉家の次女・美晴が登場したりと特に過去作を読んできた人には楽しめる内容だったと思う。
    シリーズ全てに、ぼぎわん・ずうのめ人形・などらき・ししりば等、得体の知れない化け物が登場していて、今作もぜんしゅという怪異と比嘉姉妹との対決が描かれ、アクションホラー要素があり楽しい。
    それと共に、シリーズ通して一貫して描かれる人間のおぞましさ・怖さみたいなものも『わたしの町のレイコさん』『鬼のうみたりければ』で存分に描かれていた。

    原作を読んだだけでは分からないが、映画『来る』を見た人なら否が応でも反応してしまうであろう『アナ雪』のレリゴーをぶち込んでくる著者の遊び心には大いに笑わせてもらった笑
    それなら野崎は『WAになっておどろう』あたりか?笑

    短編集も確かに面白いのだが、多くの方がレビューで書いている通り、やはり長編作品が読みたい!
    次回作は『ぼぎわんが、来る』『ずうのめ人形』に匹敵するような長編を期待する。

  • 今作も"などらきの首"の様な短編集
    ですが、過去作の続編に繋がる内容もあって
    今まで読んできている方にはオススメですね!

    その中で2つの作品を中心に感想を書きます。

    ・鬼のうみたりければ
    → これはTHE・ヒトコワですね!
      やっぱり生きている人間が一番怖いです(笑)
      野崎がメインですが、1対1で聞いているのも凄いし
      最後がホントに怖い、俺だったらうわっ!って叫ぶ。

    ・ぜんしゅの跫
    → これは"ぼぎわん"クラスの化け物ですね。
      琴子も登場しますが、真琴が解決に導いてくれます。
      真琴と琴子の兄弟絆がさらに強まった内容となってますね!
      作中に入っているカラオケの個所は
      完璧に松たか子を連想してしまう、映画化決定か(笑)?
      僕も頭をかくとき、かり、かり、かりとなります。

    澤村先生の作品面白いです!
    読み終わった後、こわ~って口に出してしまうので
    読んでて飽きません!
    また、他の作品を読んでいきたいと思います!

  • 【収録作品】鏡/わたしの町のレイコさん/鬼のうみたりければ/赤い学生服の女子/ぜんしゅの跫 
     化け物なのか心の迷いなのか、簡単に決着がつかないのはどちらも同じか。「赤い…」は不穏な気配を残す。表題作は事件の悲惨さとは裏腹にほっこりとした結末。

  • 比嘉姉妹シリーズの短編集。一つひとつの話が、単なるホラーで終わらず、結末にミステリー的なひねりがある。エンタメ性も高くて、先が気になり一気読みした。

  • やっぱりこの人の書くホラーが一筋縄ではいかない感じがすごく好きなんだよなあ〜ぜんしゅかわいいな、、、

    琴子がアナ雪歌う?みたいなとこメタくてニヤニヤした

  • 最初と最後の話の落差というか、ヒェ…ひぃ…って思いながら読んでたのに

    ほっこりさせられるとは思わなんだ

    ふたごの話が特によかった

  • 好き。楽しく読めた。
    鬼のうみたりければ がだいぶ良かった。
    途中でオチが解っていたが、久々に「ウワァ」と声が出た。
    『 鬚を全うす』疎かなり疎かなり。

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著者プロフィール

作家

「2021年 『ゆびさき怪談 一四〇字の怖い話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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