さくら、うるわし 左近の桜 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.26
  • (1)
  • (7)
  • (12)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 170
感想 : 8
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041099681

作品紹介・あらすじ

小旅館「左近(さこん)」の長男・桜蔵(さくら)は、母と弟が暮らす家を離れ、父・柾(まさき)の元から大学に通っている。柾の庶子ではあるが特に不自由はなく、柾の本妻である遠子(とおこ)とは、気軽に連れ立って出かけられるほどだ。複雑な家族関係に不満はないが、誰からか継いだ、不可思議な体質は困りものだ。見えないはずのものを見てしまうだけでなく、その者たちに魅入られ、身体をほしいままにされてしまう。それも、集まってくる者たちはいずれも桜蔵を「いい女」と呼んではばからないのだ。
耳を求めさまよう犬、男か女か判然としないマネキン――この世ならぬものたちが桜蔵の身体を求め……。生と性、死の気配が絡み合う珠玉の連作幻想譚。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • この世とあの世、現と夢が入り交じる幻想的な左近シリーズ3作目。
    今回も、いつあちら側へ踏み出したのか境界が定かではなく、途切れることなく流れていって、気付いたら夢の中を漂うような心地よさだ。
    しばらく醒めたくない。

  • 「左近の桜」「咲や、この花」に続く第3弾。この世のものではないものに毎回毎回、本当毎回巻き込まれる桜蔵。物語が夢現で読んでいると私もふわふわした感覚に陥る。読後も私も夢現、、、飄々としてるけど、ちゃんと桜蔵を助けてくれる柾が私は好きです。

  • 桜蔵に惹かれて作品を読み始めたはずなのに、気づけば柾に強く惹かれている私が居た。

    柾を知れば知るほど分からなくなり、分かろうとするほど引き込まれていった。これが本当の""色""なのだろうかとぼんやり考えた。

  • 2021/06/28 読了。
    感想は某所のブログで書いたものの再掲です!

    ・良いものでしたよ~。シリーズの一番最初では16歳だった桜蔵くんは19歳(大学1年生といわれているので、推測でしか無いが)になり、長野まゆみが引いた少年と青年の境界を飛び越えて3年になる。それでも桜蔵くんはこの世ならざるものを惹き寄せてしまい、夢と現の間をたやすく飛び越えてしまう。桜蔵くん、彼は少年と青年の境界を越えてどれだけ経っても、境界線上のあやうさみたいのを裡に孕み続けるんだろうな。

  • 連作短編集4編。
    異界と現世を行き来する桜蔵の幻想、夢の世界がなんとも妖しく、すんでのところで川を渡りそうになるのを父?の柾に救われ導かれていく構図は同じながら、桜蔵、千菊が成長していくので関係性にも変化があり、どうなっていくのかも楽しみだ。

  • この世とあの世を無意識に行き来してしまう桜蔵の不思議でこわい体験。

  • 学生(らいすた)おすすめポイント
    『長野まゆみ先生の現代をテーマとした幻想譚シリーズの3作目で主人公が大学生になり親近感がわいたから』

    桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/book/645239

全8件中 1 - 8件を表示

著者プロフィール

長野まゆみ(ながの・まゆみ)東京都生まれ。一九八八年「少年アリス」で第25回文藝賞を受賞しデビュー。二〇一五年『冥途あり』で第四三回泉鏡花文学賞、第六八回野間文芸賞を受賞。『野ばら』『天体議会』『新世界』『テレヴィジョン・シティ』『超少年』『野川』『デカルコマニア』『チマチマ記』『45°ここだけの話』『兄と弟、あるいは書物と燃える石』『フランダースの帽子』『銀河の通信所』『カムパネルラ版 銀河鉄道の夜』「左近の桜」シリーズなど著書多数。


「2022年 『ゴッホの犬と耳とひまわり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

長野まゆみの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×