介護士K (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 59
感想 : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041099698

作品紹介・あらすじ

介護施設「アミカル蒲田」で入居者が転落死した。ルポライターの美和が虚言癖を持つ介護士・小柳の関与を疑うなか、第二、第三の事件が発生する――。介護現場の実態を通じて人の極限の倫理に迫る問題作。

感想・レビュー・書評

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  • 久坂部羊『介護士K』角川文庫。

    介護施設を舞台にしたミステリー・サスペンス。2014年に川崎の老人ホームで実際に起きた事件に着想を得ているようだ。

    介護という厳しい職場の闇と行き過ぎるマスコミの報道。老いて、身体が思うように動かなくなり、他人の手を煩わせてまで生きることに意味はあるのか。

    タイトルの『介護士K』とは主人公の小柳恭平のことであり、彼が働く介護施設『アミカル蒲田』で起きた入居者の転落死亡事故に彼が関与したのかということが物語の根幹を成している。なかなか真実は明らかにならぬままにストーリーは二転三転し、第2、第3の死亡事故が起きる。果たして恭平は……

    本体価格720円
    ★★★★★

  • 2014年に起きた「川崎老人ホーム連続殺人事件」を題材に高齢者介護の現場で起きてるさまざまな出来事をできるだけ事実に基づいて描かれた物語のようだ。介護施設は現代の姥捨山なのか…「85歳になっても老いが受け入れられず不安と恐れに苦しみながらプライドを捨てられずにいる」の場面が我が家に重なった。長生きしたくなくなる読後感

  • 自分自身の介護問題は避けて通れんし、社会問題としても論議すべき点が多いなあ。
    確かに財源や人材を投与しても、高齢者を喜ばすだけで、社会の生産性が上がる訳でもない。医療とも関連するけど、点滴や胃瘻による栄養補給までして、延命させる必要性が本当に有るんかいね?
    小説としては、話を回している美和さんが最後に犯人である事が判明するなどのどんでん返しが有るんかと期待したが、そんなんやったら「五十嵐貴久」になっちゃうし。さすがにそれは無かったわ。

  • 長生きは本当に良いことなのか。
    介護士による虐待はもう諦めるしかないのか。
    自分の親が虐待されたり、雑な扱いをされたら怒りが燃え上がるけど、それを非難することは誰にも出来ない気がする。
    久坂部さんの本は、皆一度は読んでおいた方が良いと思う。

  • ラストまで介護士Kに振り回されてる感が有る。
    完結しないミステリーでグレーな状態で終わっているのは、読者に想像させてより問題を考えて欲しいという作者さんの意図があるのか?
    巻末の対談、文庫版あとがきも興味深く読めました。

  • 介護施設での虐待、殺人…… 手のかかる老人の介護に、職業意識だけで心を尽くすには厳しいものがあるだろう。
    いい加減にしてくれという思いに振り切れてしまう事態に陥ってしまうこともあるかもしれない。
    けれど、けれども、最後の一歩は踏みとどまって欲しいと願うばかり
    たとえそれが本人の本心からの願いであったとしても

  • 先送りのできない現実問題をフィクションの形で読者一人ひとりに突きつけるが,虚構が虚構になっていないと判然としている点が恐ろしい.自らの命を自らの意思で左右することの是非は,宗教観の乏しい日本ではなおさら意思決定が難しい.

  • 介護施設「アミカル蒲田」で入居者の転落死亡事故が発生した。事故の状況に違和感わ覚えたルポライターの美和は、第一発見者の介護士・恭平の関与を疑う。恭平は「長生きで苦しんでいる人は早く死なせてあげたほうがいい」と公言していた。彼の過激な思想から生じた殺人事件なのか?介護現場の厳しい現実を知って美和の疑惑が揺らぐなか、第二、第三の死亡事故が発生し、事態は意外な展開に―。実在の事件から着想した衝撃作。

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著者プロフィール

大阪府生まれ。大阪大学医学部卒業。作家・医師。2003年、小説『廃用身』でデビュー。小説に、『破裂』『無痛』『悪意』『芥川症』『いつか、あなたも』、エッセイに『大学病院のウラは墓場』『日本人の死に時』など、医療分野を中心に執筆。

「2020年 『介護士K』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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