介護士K (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041099698

作品紹介・あらすじ

介護施設「アミカル蒲田」で入居者が転落死した。ルポライターの美和が虚言癖を持つ介護士・小柳の関与を疑うなか、第二、第三の事件が発生する――。介護現場の実態を通じて人の極限の倫理に迫る問題作。

感想・レビュー・書評

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  • 介護は難しい…と「難しい」で思考をとめ考えたくない楽な方向へいきがち。
    医療がつくりあげた長生きの弊害が福祉現場を逼迫させている。日本が経済優先で労働力として家を崩壊させたツケがきている。命が当たり前に守られ誰もが生命の危機を忘れた傲慢さが今きている。
    この本を読み痛烈に感じた。
    誰もが歳をとる、長生きの幻想に踊らされているんだね。みんな高齢者になり嫌でも誰かのお世話になることは間違いなし!
    さぁ、覚悟をきめて今を生きよう。

    介護職員ファーストにすることが解決かもね。


    ぜひ〜

  • 久坂部羊『介護士K』角川文庫。

    介護施設を舞台にしたミステリー・サスペンス。2014年に川崎の老人ホームで実際に起きた事件に着想を得ているようだ。

    介護という厳しい職場の闇と行き過ぎるマスコミの報道。老いて、身体が思うように動かなくなり、他人の手を煩わせてまで生きることに意味はあるのか。

    タイトルの『介護士K』とは主人公の小柳恭平のことであり、彼が働く介護施設『アミカル蒲田』で起きた入居者の転落死亡事故に彼が関与したのかということが物語の根幹を成している。なかなか真実は明らかにならぬままにストーリーは二転三転し、第2、第3の死亡事故が起きる。果たして恭平は……

    本体価格720円
    ★★★★★

  • 老後と長生きと介護。
    山積みの問題が目の前に晒された。
    自分の親の介護や施設の問題。自分の決定で変わる親の老後。
    私たちも子供の決定で変わる。
    介護とはする側の危険な快感と書いてあった、確かに否めない。
    親のいる人、老人になる人はこの作品を読むと読後に何かが変わるかも。

  • 綺麗事ばっかりいってられない介護現場の現実が見える作品だった。
    いつか自分も介護される立場になるなんて想像もつかないけど、できていたことが自分でできなくなる怖さを感じる。日本では安楽死は認められてないけど、自分が寝たきりになったときに、果たして生きがいを見つけられるのか…

  • 自分自身の介護問題は避けて通れんし、社会問題としても論議すべき点が多いなあ。
    確かに財源や人材を投与しても、高齢者を喜ばすだけで、社会の生産性が上がる訳でもない。医療とも関連するけど、点滴や胃瘻による栄養補給までして、延命させる必要性が本当に有るんかいね?
    小説としては、話を回している美和さんが最後に犯人である事が判明するなどのどんでん返しが有るんかと期待したが、そんなんやったら「五十嵐貴久」になっちゃうし。さすがにそれは無かったわ。

  • 介護士 小柳恭平の周りで起こる介護に纏わる様々な問題を炙り出していく物語だが、特徴的な登場人物が話を彩っていると感じた.レポーターの朝倉美和、黒原悟郎医師、週刊誌の松沢俊紀記者、良からぬことを計画している須知智毅、姉の真里亜と接触の合った塚本秀典などなど.恭平の働く施設で3人が連続して死亡する事件を舞台に、介護士たちの実態や施設管理者の動きが克明に描写されており楽しめた.老人たちの存在自体を自分自身で問いかける恭平の複雑な思いが随所に現れており、問題の複雑さを実感した.恭平の言動が揺れ動くのもある程度理解できると思った.このような事態を解消する打開策は簡単には見出せないと思うが、傍観することもできないと感じた.

  • 現在進行形で母の介護をしているので、身につまされる内容だった。一気に読んでしまった。
    ただ、最後の部分だけは納得できない。
    最後はもっとスッキリしたかったな。

  • 介護、、難しい問題だと改めて思った。
    決して他人事ではなく親のことや自分自身のことを考えるととても不安になる。。
    だけど結局小柳が何をしたかったのかがよく分からず、、読後感はモヤモヤ。

  • 難しい問題だと思います。
    許されることではないが、当事者からしたら許してほしい問題ですから。
    ただ小柳はいったい何をしたかったのでしょう。
    意図が掴めぬまま…。

  • 謎が多く残る終わり方でした。結局、Kが望んだ事は何だったのか。
    なんとなく、現実の事件をいくつか混ぜ合わせたような印象でした。

    黒原医師と須知の関係性も上手く読み取れなかったので、あまり心地よい読後感はありませんでした。
    あとは言葉選びが知性的過ぎて、あまり馴染まない気もしています。

    介護に関しては同作者の「老乱」「廃用身」も興味深い作品となっています。

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著者プロフィール

医師・作家・大阪人間科学大学教授

「2016年 『とまどう男たち―死に方編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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