ドアの向こうに (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041099759

作品紹介・あらすじ

腐乱した頭部、ミイラ化した脚部という奇妙なバラバラ死体。そして、密室での疑惑の心中。京都と大阪で起きた2つの事件は裏で繋がっていた?大阪府警の“ブンと総長”が犯人を追い詰める!

感想・レビュー・書評

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  • 1989年の書き下ろし作品であるが、この頃はバブル絶頂期であったことを思い出しながら読む。

    工事現場から発見されたバラバラ死体。
    それに続きマンションでの密室心中事件が発生。
    その2つが実は繋がっていて…という流れが。
    密室殺人の謎、、難解だったな。

    若手の文田とベテランの総田の掛け合い漫才のような大阪弁のコンビは最高に面白く、地道な捜査ながらも退屈さを感じさせない。
    それに加えて京都出身である五十嵐との会話で大阪と京都の違いをスパッと明確に表現しているのも面白くさせている。
    生活感を漂わせているのは、文田と母との事件考察のやりとりだがそれもテンポが良い。

    事件を追いながらもふっと笑いがあるようなやりとりなので、あっという間に読み終える。
    大阪の知っている地名が多く出てきたので思い浮かべることができ楽しめた。



  • 1989年初版の大阪府警ブンと総長シリーズ。久しぶりの再読。

    工事現場で見つかったバラバラ死体は、首が腐敗、脚はミイラ化という奇妙なものだった。その数日後に起きた男女の無理心中事件の現場の部屋から、バラバラ事件の記事の切り取りが多数発見される。バラバラ事件の被害者と無理心中した男女はどう繋がっているのか。

    以前読んだのが10年近く前なのですっかり詳細を忘れていて、新たな気持で楽しめた。
    <疫病神>シリーズや悪徳警官シリーズと違って、こちらは真正面に事件にぶつかる刑事たちの話なので読みやすい。
    しかし後のこうしたアクの強いシリーズに繋がりそうな部分もちらほら見えて思わずニヤついてしまう。

    例えばブンこと文田。京都出身の同僚・五十嵐にやたらと突っ掛かり、その度に大阪京都対決が始まる。あまりのしつこさに総長こと総田から諌められる始末。
    家では母と二人暮らしで母親ベッタリ、捜査の話をしては(捜査情報を漏らして良いのか?)母親が素人探偵推理を展開したり、二人で花札勝負をすることもある。
    文章全体から漂う小者感といい、母親との距離感の近さといい、なのに何故か総長の娘で魅力的な伶子と婚約していたりと、後の<疫病神>シリーズの二宮を彷彿とさせるキャラクターだ。

    一方の総長こと総田。ブンの婚約者伶子の父だけにかなり年上であることもあり、落ち着いているし事件も冷静に俯瞰している。
    事件の絵解きをするのもトリックを解き明かすのも総長で、いわば総長が探偵役、ブンがワトソン役といったところか。

    ブンと五十嵐の掛け合いは時に読むに耐えないほどしょうもないこともあるが、これもまた後の<疫病神>シリーズに通じていそうなところがある。

    肝心の事件の方は、犯人は中盤で見当が付くものの、なぜその犯人がバラバラ死体の被害者と無理心中の男女の計三人を殺さなければならなかったのか、その繋がりを見つけるところが面白い。この辺も後のアクの強い方の黒川作品に繋がる部分が見える。
    もう一つ、意外なところでは密室トリックにも力が入っている。

    創元推理文庫版に収録されたあとがきにて『改めて読み返してみると、なんとガチガチの本格派パスラーではおまへんか』とご自身でも驚くような、ちょっと毛色の違った作品と言えるのかも。
    個人的には大阪府警シリーズはこうしたミステリー寄りの作品が多いイメージだが、どうだっただろう。改めて読み直していこう。

    読み終えてみれば、犯人が策を弄しすぎて自滅してしまった感もあるし、最初の時点で素直な方法を取っていればこんなにたくさんの人が亡くなることも破滅することもなかったのでは?と皮肉に思ったりもする。
    そんな犯人に対する警察官とも思えない無慈悲な言葉など、総長もなかなか腹の座ったキャラクターだ。

    事件現場だろうが食堂だろうが、張り込み中だろうがどこでもタバコを吸ってポイ捨てしたり、携帯電話もなくて公衆電話や家の固定電話が活躍したりと、たった三十年で色々変わったなと感慨深くなったりもする。

  • 大阪版ザ・ミステリーって感じ。密室モノが出てくるとは思わず驚かされたが、それよりもコツコツと捜査を進めていく中での軽妙なやりとりが見もの。文田と母親との事件考察が箸休めとなり心地良い。

  • 30年以上前の作品とは思えない。登場人物の会話が生き生きと描かれているのは流石の一語に尽きる。

  • ギブアップ 未了

  • ”ブン”と呼ばれる刑事が総田という上司と共に事件を解決していくお話。
    ブンの実家のお母さんがいい味を出していてファンになったw
    やっぱり黒川さんの小説の中ではは疫病神シリーズが一番好きだなあ、と再認識した。

  • 細い糸を辿り真相に辿り着く癖の強い刑事たち。
    今風でないアナログなのりがたまりません。

  • まだ防犯カメラもない時代の刑事もの。
    電話も携帯ではなく、自宅や公衆電話が使用され…ダイヤルという言葉まで出てくる。
    これはこれで、今と比べて読めるので面白いかも。
    今ならこんな足取りは防犯カメラで…
    これもDNAで鑑定できるのでは?とか…
    小説で時代の流れを感じられるのもまたいいな。
    内容は大阪府警の刑事が扱う事件で、大阪弁での会話やボケとツッコミといったやり取りも軽快。
    鋭い観察眼で事件を解決に導く総長と呼ばれる刑事の娘と、主人公の文田が婚約者というのも面白く、文田と母親のやり取りもまた面白かった。

    2023.4.2

  • だいぶ前の作品やけど、黒川君の作品やし安心して読めるなぁ。全編大阪弁の会話てんこ盛りでスピーディーやけど、誰の会話か考えんでも良えしな。
    大沢君のなんか、一体誰の会話やねんと考えなあかんの多いし疲れるわ。最近こういう手合いが多いのが嘆かわしい。
    ブンのオカンに逢うてみたいわ。

  • 大阪弁の会話がたまらなくおもろい

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著者プロフィール

黒川博行
1949年、愛媛県生まれ。京都市立芸術大学彫刻科卒業後、会社員、府立高校の美術教師として勤務するが、83年「二度のお別れ」でサントリミステリー大賞佳作を受賞し、翌年、同作でデビュー。86年「キャッツアイころがった」でサントリーミステリー大賞を受賞、96年『カウント・プラン』で推理作家協会賞を、2014年『破門』で直木賞、20年ミステリー文学大賞を受賞した。

「2022年 『連鎖』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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