向日葵のある台所 (角川文庫)

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  • 本 ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041099810

作品紹介・あらすじ

森園麻有子(46歳)は、中学2年生の葵と二人暮らし。ある日、自分勝手な姉から、倒れた母を引き取って欲しいと電話があった。実家と折り合いが悪く、極力関わらないようにしてきたのに――。不安が募る中、疎遠な状態だった母親との生活が始まる。唯一の救いは、自分の味方である葵が、祖母の扱いが上手なこと。しかし、目をそらしたい現実はすぐそこにあって……。肉親だからこそ許せなかった過去に、麻有子は決着をつけられるのか。

感想・レビュー・書評

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  • 今でいう”毒親”から虐待されて育ったシングルマザーの麻有子がその母と同居することになった物語
    家族だから全て分かりあえるわけではなく、一人ひとり別の人格をもった人間同士だよなとしみじみ思った
    育児中、母・正恵には正恵の気持ちや理由があったのが後半に描かれている…んだけどそれをやっぱり子どもである麻有子にぶつけたのは違うだろと思う
    自分の都合を人にぶつけるんじゃないよ~!!
    姉の鈴子が割りとイヤな人間だった…ので登場シーンは読んでて少し疲れます
    麻有子の娘・葵が優しくて健やかでホッとする!
    最後はこれからへの明るい希望を感じて終わる、少しずつでも前に進めそう

  • 家族というのを考えさせられますね。
    話せばわかる。
    その話をするのが難しいですね。
    この本を読めば少しは伝わるのかな。
    母と娘の話だから父親や息子だったらどうなるのか。
    考えられますね。

  • 母親と娘の関係、自分にも重なる部分が多々あって、ちょっと気が重くなった。
    「ありがとう」が自然に言える葵ちゃんを私も見習わないと、と思った。

  • タイトルでは【美味しい小説】かな?と思って、手に取りました。
    結果、確かに食卓風景は出てくるけど、家族小説ですね。人情物のようで、問題提起作品な気もする。
    面白いのが、1人の女性が主体ですが、娘の立場になった場合と、母の立場になった場合で、親娘として築き上げた関係がまるで違うこと。
    自分の母親とは、親娘というより主従。認めない、褒めない、束縛、姉との明確なえこひいき。読んでいて息苦しさがありました。
    対して、自分の娘とはまさに両思い親娘。お互いに助けあって甘えあって、拠り所としてるのがわかる素敵な関係です。
    ずっと絶縁に近い状態だった母親を引き取って欲しいと姉に言われた麻有子は一緒に暮らし始めます。
    初めは擦り込み現象で、母の言葉に怯えて構え、言葉の裏を探ろうとしてましたが、だんだんと母の態度が昔と違うことに気づいて行きます。
    とにかく、娘の葵ちゃんが聡明で優しい子です。
    この子がいなければ、この物語は完結まで至らないか、悲劇で終わるのかもしれない。
    葵ちゃんのおかげで、母親から昔の話を聞いた麻有子は、許せないながらも、母親と今までとは違う関係を築けるかもしれない、と希望を持つところで終わります。
    なんとなくですが、児童書の「ハッピーバースデイ命輝く瞬間」青木和雄著、を思い出しました。
    こちらは子供時代のうちに娘の精神面が大きく成長することで早めに関係修復してますが、、。
    これは、それができなかった親娘の、死に分かれる間際のギリギリのタイミングというか、、手遅れ手前な感じ。母が70過ぎ、娘46歳の設定なので( ̄^ ̄)
    母の作る鳥そば、葵ちゃんの作るおでん、麻有子の作る鮭グラタン、、こちらの小説もちゃんと美味しい食卓が出てきます。読んでいてところどころでホッとするのは、ゴハンの描写が美味しそうだからかな。
    諸々葛藤もあり、辛い表現もあるけど、女性の強いとこと弱いとこを散々出して家族関係を書いた、読み応えある小説です。

  • 葵の性格が明る過ぎてちょっと着いていけないところもあったが、主人公の割り切れないグレーな気持ちには共感できた。
    情景や人物の気持ちの描写が丁寧に表現されていて、読みごたえがあった。

  • ひとり旅日和のようにサラッと読めて美味しい食べ物が登場する話だと勝手にイメージしていたので、心理的虐待をされて育ったシングルマザーの麻有子と娘の葵が2人で助け合いながら幸せに暮らしていたところに、まさかの母親との同居が始まるという話の重さが意外だったけれど、「向日葵のある台所」という意味に納得の葵の性格の明るさと健気さに暗い話が暗いだけで終わらなかった。
    母娘、姉妹、女同士は何かと難しいこともあるけれど、感謝の気持ちを忘れないこと、そして「ありがとう」という言葉をしっかり伝えていきたいと思った。

  • こんなふうに変われたらいいなあと思いながら

  • 庭の向日葵はこの先きっと綺麗に咲くんだろうな。主人公の細かな感情の動きが伝わってきました。

  • 「ひとり旅日和」の著者である秋川滝美さんが初めて書いた家族関係の小説である本書を読了。
    言葉による虐待はいけない。
    だが、『あなたのためを思って』というセリフは、誰もが本当に思っているつもりで言っているのではないか。
    「本当はあなたのためじゃなくて、自分のことしか考えてなかったのよ」
    そして、誰もが結局自分のためてあるのではないか。
    だから、その匙加減ひとつなんだと思う。
    その加減を間違えた時、違うことに気づけたら良いのに。

    p284
    「…ただ、家事は誰かがやらなきやならないことだって教えたの。…気持ちよく暮らすためには、家事は大事なことなんだって」
    p285
    さらに、家事をしている間はなるべく楽しい会話を心がけ、終れば必ず『ありがとう』や『助かったわ』という言葉を口にした。
    p296
    お母さんのような親になりたいーその言葉こそが、母としての勲章だ。

    自戒の念を込めて、この言葉を刻んでおく。

    この著者の料理の描写が堪らない!ミートソーススパゲティ、わらび餅、炒りごま…。
    やはり、料理と美味しいものを一緒に作るのは楽しい。

  • 母と子。葵が屈託無さすぎて…。私もちゃんとしよう。

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著者プロフィール

2012年4月よりオンラインにて作品公開開始。2012年10月、「いい加減な夜食」にて出版デビューに至る。他著書に「居酒屋ぼったくり」(アルファポリス)他、「幸腹な百貨店」(講談社)、「放課後の厨房男子」(幻冬舎)などがある。

「2020年 『居酒屋ぼったくり5』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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