向日葵のある台所 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041099810

作品紹介・あらすじ

学芸員の麻有子(46歳)は、東京の郊外で、中学二年生の娘・葵とともに、穏やかに暮らしていた。そんな折、麻有子の姉・鈴子から「母が倒れたので引き取って欲しい」と電話があった。母とも姉とも折り合いが悪く、極力関わらないようにしてきたのに――。姉の勝手な振る舞いにうんざりしつつも、受けざるを得なくなってしまう。小さい頃から、何かにつけて麻有子の行動を否定してきた母と暮らすのは、やはり自分の心が許せない。しかし、「いったん引き受けて、やはり居心地が悪いと自主的に戻ってもらおう」という葵の提案のもと、絶縁状態だった母親との生活が始まった。すると、今まで知らなかった葵の一面も新たに見えてきて――。「家族」という見えざる檻は、思い出までも閉じこめてしまうのか。

感想・レビュー・書評

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  • 家族というのを考えさせられますね。
    話せばわかる。
    その話をするのが難しいですね。
    この本を読めば少しは伝わるのかな。
    母と娘の話だから父親や息子だったらどうなるのか。
    考えられますね。

  • タイトルでは【美味しい小説】かな?と思って、手に取りました。
    結果、確かに食卓風景は出てくるけど、家族小説ですね。人情物のようで、問題提起作品な気もする。
    面白いのが、1人の女性が主体ですが、娘の立場になった場合と、母の立場になった場合で、親娘として築き上げた関係がまるで違うこと。
    自分の母親とは、親娘というより主従。認めない、褒めない、束縛、姉との明確なえこひいき。読んでいて息苦しさがありました。
    対して、自分の娘とはまさに両思い親娘。お互いに助けあって甘えあって、拠り所としてるのがわかる素敵な関係です。
    ずっと絶縁に近い状態だった母親を引き取って欲しいと姉に言われた麻有子は一緒に暮らし始めます。
    初めは擦り込み現象で、母の言葉に怯えて構え、言葉の裏を探ろうとしてましたが、だんだんと母の態度が昔と違うことに気づいて行きます。
    とにかく、娘の葵ちゃんが聡明で優しい子です。
    この子がいなければ、この物語は完結まで至らないか、悲劇で終わるのかもしれない。
    葵ちゃんのおかげで、母親から昔の話を聞いた麻有子は、許せないながらも、母親と今までとは違う関係を築けるかもしれない、と希望を持つところで終わります。
    なんとなくですが、児童書の「ハッピーバースデイ命輝く瞬間」青木和雄著、を思い出しました。
    こちらは子供時代のうちに娘の精神面が大きく成長することで早めに関係修復してますが、、。
    これは、それができなかった親娘の、死に分かれる間際のギリギリのタイミングというか、、手遅れ手前な感じ。母が70過ぎ、娘46歳の設定なので( ̄^ ̄)
    母の作る鳥そば、葵ちゃんの作るおでん、麻有子の作る鮭グラタン、、こちらの小説もちゃんと美味しい食卓が出てきます。読んでいてところどころでホッとするのは、ゴハンの描写が美味しそうだからかな。
    諸々葛藤もあり、辛い表現もあるけど、女性の強いとこと弱いとこを散々出して家族関係を書いた、読み応えある小説です。

  • ひとり旅日和のようにサラッと読めて美味しい食べ物が登場する話だと勝手にイメージしていたので、心理的虐待をされて育ったシングルマザーの麻有子と娘の葵が2人で助け合いながら幸せに暮らしていたところに、まさかの母親との同居が始まるという話の重さが意外だったけれど、「向日葵のある台所」という意味に納得の葵の性格の明るさと健気さに暗い話が暗いだけで終わらなかった。
    母娘、姉妹、女同士は何かと難しいこともあるけれど、感謝の気持ちを忘れないこと、そして「ありがとう」という言葉をしっかり伝えていきたいと思った。

  • こんなふうに変われたらいいなあと思いながら

  • 庭の向日葵はこの先きっと綺麗に咲くんだろうな。主人公の細かな感情の動きが伝わってきました。

  • 「ひとり旅日和」の著者である秋川滝美さんが初めて書いた家族関係の小説である本書を読了。
    言葉による虐待はいけない。
    だが、『あなたのためを思って』というセリフは、誰もが本当に思っているつもりで言っているのではないか。
    「本当はあなたのためじゃなくて、自分のことしか考えてなかったのよ」
    そして、誰もが結局自分のためてあるのではないか。
    だから、その匙加減ひとつなんだと思う。
    その加減を間違えた時、違うことに気づけたら良いのに。

    p284
    「…ただ、家事は誰かがやらなきやならないことだって教えたの。…気持ちよく暮らすためには、家事は大事なことなんだって」
    p285
    さらに、家事をしている間はなるべく楽しい会話を心がけ、終れば必ず『ありがとう』や『助かったわ』という言葉を口にした。
    p296
    お母さんのような親になりたいーその言葉こそが、母としての勲章だ。

    自戒の念を込めて、この言葉を刻んでおく。

    この著者の料理の描写が堪らない!ミートソーススパゲティ、わらび餅、炒りごま…。
    やはり、料理と美味しいものを一緒に作るのは楽しい。

  • 母と子。葵が屈託無さすぎて…。私もちゃんとしよう。

  • 自分に過度に厳しく接するいわゆる毒親の母からほぼ絶縁状態で暮らす麻有子。娘の葵と楽しく充実した日々を送る母娘の家に、あの母と同居することになり、、、。という話です。

    言いたいことをズケズケ言ってしまう私には、「言いたいことを言わずにやり過ごす」麻有子が理解できず、姉の鈴子に母との同居を押し付けられても強く自分の意見を主張しない麻有子の振る舞いにモヤモヤしながら読みました。

    一方、母の立場を理解しつつ祖母や叔母の気持ちにも配慮でき、明るく活発で努力家の娘・葵のある意味スーパーマンのような存在にスッキリしたり、ホッとする。

    このモヤモヤとスッキリの行き来をしながら一気に読める小説です。ちなみに表紙のパンが乗ったお皿の絵が気になって読みました。

    物語の最後の方で、なぜ麻有子に厳しくしたのか理由が母から語られるのですが、「そうなんだ、じゃあ和解しましょ」とはならない、母は自分を正当化させているだけだ。心に傷を負っても頑張って生きてきた麻有子の意地と、そんな母から生きる知恵と力ををもらっていて、葵にも同じように教育してきたと気づかされ、混乱する気持ちが擬似体験できました。

    母と麻有子の「娘」に対する最大の違いは、「感謝の気持ち」なんですね。

    毒親はどこまでも毒親なのかと思っていました。母・正恵はテレビの毒親の子に対する接し方を観て自分が毒親だと気づき、「変わり」ましたがこれはなかなかのファンタジーなのでは。自分の死が迫っていると知ると、長年の自分思考や態度を変えられるものなのでしょうか。

    最後に、読み終わってタイトルを改めて目にして、葵の存在によって今後の3人の生活が、少しづつ明るいものになっていくことをしみじみと想像しました。

  • なかなかハードな内容…
    ぼったくり続きで読んで.
    表紙からも同じ様に軽い感じで料理の話かなーって思ったけど…
    前半…読むの辞めたいなーって思ったけどなんだかんだで一気読み
    .
    うーん.
    とにかく葵ちゃんが良い子すぎだわ.
    まさしく向日葵

  • 毒親と自分勝手な姉と、この人のでもでもだってなヒロインのパターンの組み合わせは、もう最悪にイライラする予感がしたけれど、拍子抜けする程あっさり話が進んだ

    恐らく最大の問題は、母親と姉が自分達が間違っている事を自覚してないので、それを理解させた上で、過去のトラウマを克服する事だろうなぁと思いきや、母親は既にそこを自覚済

    他にも麻有子は職場では同僚達の心ない発言には上司が対応、葵は金持ち喧嘩せずみたいなスタンスで、従弟やクラスメイトの悪口も華麗にスルー

    主人公が相手をやり込めて、改心させて的な、お約束な展開にならないので、最初に心配していた程イライラもしない代わりに、すかっともせず、肩透かしの印象は否めない。

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著者プロフィール

2012年4月よりオンラインにて作品公開開始。2012年10月、「いい加減な夜食」にて出版デビューに至る。他著書に「居酒屋ぼったくり」(アルファポリス)他、「幸腹な百貨店」(講談社)、「放課後の厨房男子」(幻冬舎)などがある。

「2020年 『居酒屋ぼったくり5』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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