見えない星に耳を澄ませて

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 152
感想 : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041099841

作品紹介・あらすじ

音大のピアノ科に通う曽我真尋は、たまたま参加した大学の授業で人の心を薬のように癒す音楽もあることを知り、三上先生の診療所で音楽療法士の実習を受けることにした。大人の声に耳を閉ざす少女、キラキラと飾った虚構の自分しか愛せないパーソナルスタイリスト、探し求めた愛情を見付けられず無気力に生きる中年男性……様々なクライエントと音を通じて向き合ううちに、真尋自身も自分が抱えた秘密と向き合うことになり――。
私たちはこんなにも弱くて、脆い。それでも生きることから、逃げられない。美しい旋律と共に、生き抜く強さを与えてくれる感動の一冊。

感想・レビュー・書評

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  • わたしたちは“しんどさ”を通じて、繋がることができる――香月夕花『見えない星に耳を澄ませて』刊行記念インタビュー | カドブン
    https://kadobun.jp/feature/interview/5ykcw2yu2dgk.html

    見えない星に耳を澄ませて 香月 夕花:文芸書 | KADOKAWA
    https://www.kadokawa.co.jp/product/322006000160/

  • 人は誰しもこころのどこかに影があるのかなと感じた作品。一人一人が持っている闇が重くて、心がそちらへつられていきます。重いものを抱えている人が多く登場するので、喫茶店のマスターの言葉や主人公の友人に少し癒されます。
    最後の数ページでさらに心に重くなりました。でも気になって一気に読んでしまった。

    音楽や楽器のことを全くわからなかったので、どんな形か想像しながら、気になったら調べて読み進めていくのが楽しかった

  • この世界に何もないと思った時に、
    現実から逃れるために死へと向かうのか
    現実から目を背けるために幻を作り出すか。
    三上先生は自分を含めた現実を捨てた母親の姿を真尋に重ねているように見えるし、
    真尋は幼いときから承認欲求を満たす存在として心の支えにしている幻の兄の姿に三上先生を重ねているように見える。
    3人への音楽療法を通して二人の傷も露呈していく。
    自分の傷を人に話せることはもしかしたら救いになるかもしれない。
    見えない星は自分を傷つけた存在でありながら、自分が求めてやまない相手でもある。
    見えないものは完璧に美しいもので、それは初めからこの世に存在しないもの、すでにこの世に存在しないものだからこそ自己完結して美化することができる。
    だけど、そんな幻から解放されて、抱きすくめられた温かさで曖昧な輪郭がハッキリしてほしいと願ってしまう。
    寂しさを抱えて切実な祈りを抱えている二人だからこそ、一緒にいることができると思いたい。
    おばあちゃんとお母さんの関係性も切ない。
    母と娘の物語としても差し迫ってくるものがあった。

  • 『病みついた誰かを魔法のように癒やすことなんて出来ない』
    『あんたは話題が少ないわね。なんて言うか、特徴がないのよ』
    『本当に向いてることも、本当にやりたいことも、大概の人にはないんだって』
    『星はいいよ…決まった時間に必ず決まった場所にいるわけだし』
    『生きている人間を支えてくれるのなら、幻にだって意味があるはずです。現実に影響を与えているんだから、むしろ本当に生きていると言ってもいい』


    音楽療法士を目指す音大生の真尋。実習先の診療所にやってくるクライエントを様々な楽器を用いて治療する。楽器を奏で幻を作り、心を闇から救い出そうとする。だが、本当に治療が必要なのは…
    登場人物はみな心に闇を抱えている。単に音楽療法で闇を解放していく物語ではない。というか、誰も完全には解放されていない。
    「私たちはこんなにも弱くて、脆い。それでも生きることから、逃げられない」
    読んでいて重たい、苦しい気持ちになるのは、主人公の真尋がずっと病んでるからだろうか。

  • 音楽療法士を目指す音大生の真尋。
    実習では三上先生のもとを訪れるクライエントとともに音楽療法に加わる。
    ここを訪れる人々は見ようとして敢えて見ていなかった心の中と対峙することになっていく。
    それが解決に向かう人と、より辛くなっていく人と。
    音楽療法を受けなければならないのは真尋なのでは?
    いったい真尋の家族の真実は?
    今までの真尋の母と祖母の姿は本当の姿なのか?
    疑問いっぱいで話が終わってしまった。
    ちょっと消化不良気味だった。

  • 読み終えて、まずは、こんな結末なのかと呆然。こんなところで終わるのか、と言った方が正しいかも。肩透かしをくらったようで。

    でも、よくよく考えてみたら、これ以上書くことなんて何もないよな、と。見えない星に耳を澄ませてみても、もう何も聞こえない。このラストは、真尋がこれまでの自分を脱ぎ捨てたというか、端的に言って真尋の変化を表している。この先、真尋は今まで以上に辛い思いをするのかもしれないけど、そうした経験を通してしか、何もないと本人が考えている現実を素晴らしいものに変えていかれないのだから、やはり、地に足の着いた前向きな結末と言って良いんじゃないか。

    セラピーの場面は、読んでいてしんどさを感じることが多かった。作中では、登場したクライエントたちの状態が劇的に改善することはない。もどかしいけれど、それが現実。

  • よくある心療内科の医師が実は病んでいるってオチ。
    ドラマでもなんかあったなぁと思い出す。そもそも心療内科って相手の懐に入ろうとすれば共に傷つくのが目に見えているし実際医師の自殺や鬱発病ってのも多いと聞く。傷つかない医師はそれはクライアントをただの他人と完全に割り切って踏み込まず体面だけをとってるだけに過ぎないんじゃないかって思う。まぁ本の感想から離れたわけだけど..
    さて、3章と短い内容の中で3人のクライアントとセッションしながら実は主人公自身が抱える闇に迫っていくのはありふれているが、表現がきれいで詩を読んでいるような感じで実はとても眠くて仕方がなかった。
    そもそも学生が心のセラピストとなるなんて世の中甘すぎるんじゃないと物語の根底から批判的過ぎました。すみません。脱線ついでに大学上がりの新米教師っていう制度も論外で社会の一つも知らない20代前半の人間が何を驕って教鞭に立とうとするのか?ましてや心身ともに発育過程の小中学校の先生に新米とか文部科学省はあほの集団だなとしか思えない。この制度は日本が滅ぶまで改善されないだろうしあきらめているけどね。
    あー本の感想ね....詩、でした。

  • 人を癒したり元気にしたり…偉大な力をもっている音楽。物語のように共感してくれる音楽療法士がいたらいいなあ、と思いました。

  • セラピーに来た人々の隠した感情に共鳴してしまう主人公が、感情に引っ張られすぎてしまうのでは?という危うさが感じられてしまった。
    陰のある三上先生よりカフェの七海さんのほうがセラピストっぽい。

  • 読んでいて苦しくなる

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著者プロフィール

1973年大阪府出身。京都大学工学部卒業。2013年「水に立つ人」で第93回オール讀物新人賞を受賞。16年受賞作を含む短編集『水に立つ人』を刊行。他の著書に『永遠の詩』『昨日壊れはじめた世界で』がある。

「2020年 『見えない星に耳を澄ませて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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