武士とジェントルマン

  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041099872

作品紹介・あらすじ

「魚住くん」「宮廷神官物語」「カブキブ!」「妖奇庵夜話」シリーズなどの著者がおくる、
英国紳士×青年武士の同居ストーリー。異文化交流ブロマンス!

日本の大学で講師として教えるため来日した英国人・アンソニー。
居候先をイギリスの恩師が手配してくれたが、空港に迎えに来た青年に出会ってびっくり。彼はキモノにカタナ、チョンマゲの武士だった! 
現代日本に武士がいたのか……!? 
その彼・隼人が言うには、「伝統文化の保持ならびに地域防犯への奉仕を目的とする新しい武士制度」として現代の武士は存在するらしい。
英国紳士と青年武士の不思議な同居生活が始まった!
地域で愛され活躍している彼だが、実は悲しい過去も抱えていて……。


著者デビュー20周年記念作品!
肩書や属性と「個」、「自分らしい生き方」を考える普遍的かつ現代的なテーマは、今の時代だからこそ届けたい作品です。

装画は、漫画家・萩尾望都による描き下ろし!

感想・レビュー・書評

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  • 武士登録すれば武士として生活できる社会。
    ○○家末裔、大小刀を帯刀し地域に無償で貢献する。
    なんて面白い設定でしょ(^ ^)

    そこに英国紳士が居候してのコメディ?

    かと思ったらなかなかの切ない話でした。

    なんと表紙が萩尾望都先生!
    見開きにイラストありの気合いの一冊Σ(゚д゚lll)

  • 大学で講師を務めるため来日した、イギリス人のアンソニー・ハワード。
    羽田空港で彼を出迎えたのは、着物にちょんまげ姿の武士・伊能長左衛門隼人だった。

    「伝統文化の保持ならびに地域防犯への奉仕を目的とする新しい武士制度」によって1964年以降に復活した、現代の武士。
    伝統文化を維持する隼人の家で、アンソニーは暮らしていく。

    一応、武士の登録には血筋を鑑みられているので、みんなが〇〇の子孫。
    先祖の因縁に振りまわされる、披露宴の席次決めトークが、たのしかった。

    武士とは?
    自分自身とは?

    アイデンティティを問う話。

  • 他人を理解しましょう、なんて言われるたびに心のなかで舌を出したい気持ちだった。
    自分のことをどれだけ主張しても、この子は何を言ってるんだ…?という感情がありありと向けられると色々と諦めてしまう。
    そのくせ自分のことを理解されない、わかってもらえないと喚く。
    結局自分のキャパシティ内にあることしか理解しようともしないくせに、自分が理解してもらえないと敵と認定してくる。
    そういう人たちに多く出会った。
    また、何がめんどくさいってそういう人たちの中では共感や同意こそがすべてなので、相手にその姿勢を示さないとヘソを曲げられることもあるし、自分の主張に賛同しない不愉快なやつ、コミュ力がないやつという見方をしてくるのだ。
    だから私は基本的に『他人と他人はわかりあえない』という思想を強めに持っている。

    『榎田ユウリが描く、英国紳士×青年武士! 現代日本に武士(本物)が!?
    「魚住くん」「宮廷神官物語」「カブキブ!」「妖奇庵夜話」シリーズなどの著者がおくる、
    英国紳士×青年武士の同居ストーリー。異文化交流ブロマンス!
    日本の大学で講師として教えるため来日した英国人・アンソニー。
    居候先をイギリスの恩師が手配してくれたが、空港に迎えに来た青年に出会ってびっくり。彼はキモノにカタナ、チョンマゲの武士だった! 
    現代日本に武士がいたのか……!? 
    その彼・隼人が言うには、「伝統文化の保持ならびに地域防犯への奉仕を目的とする新しい武士制度」として現代の武士は存在するらしい。
    英国紳士と青年武士の不思議な同居生活が始まった!
    地域で愛され活躍している彼だが、実は悲しい過去も抱えていて……。』KADOKAWAグループ「武士とジェントルマン」

    榎田ユウリ先生の作品は徹底して『他人同士はわかりあえない』ことを書く。
    しかしそのうえでわかりあえないながらも寄り添うことができる、という人々の交流を瑞々しく描いてくれる。
    人間が未知の感覚、特徴を持つ人間と出会ったときのリアクション。それに戸惑いながらもその人をその人として扱い、接する様子。
    それらは私が欲しているもので、日々足りないと思っているものでもある。

    私は他人がわからないときがたくさんある。
    休日に一歩も外に出たくないとか、家族でさえ友達でさえ会うときに気力を使うこと。
    一人で過ごす時間が何より幸せで、何人たりとも邪魔されたくないこと。
    この逆のことを良しとする人がわからないし、私のこともわかってもらえない。

    友達や恋人になることの前提には、まず人として好意を持てることが必要だと思う。
    榎田先生の作品には『わかりあえなくとも他人に好意を抱く』人間がたくさん出てくるのだ。
    その姿にとても安心してしまう。
    大丈夫。わかりあえなくても人に対して好意を抱けるし、関係を築くことができる。
    私は誰もわからなくても、わかってもらえなくても大丈夫だと、肩を抱いている気持ちになれるのだ。

  • 現代にどうやって武士が出てくるのだろうと思ったら架空の制度で少ないけれど武士がいるっていう設定が他にない感じで面白く読めた
    もし現実にあったら伊賀とかの忍者みたいな感じ?

    ラストも隼人がただ武士にもどって終わるだけかと思ったら最後にジェンダーのことも取り上げられてて、
    女だからとか○○だから出来ないと思って無意識に決めつけて諦めてること多いなって思った

    もし続きがあったら7アンソニーからみた新しい目線からの日本が見えて面白そう

  • ある人と関わる上で、その人の属性は重要ではないということだよね。しかし結末は「え?!」となったわw

  • 本当の強さとは。
    子供の頃から絶対を強制され続けていれば、そうでなければいけないと思い込んでしまうだろうな。
    自分の価値観を持ち語るのは自由だが、そこに偏見と差別が混ざったものを勝手に一般論にされては迷惑だろう。

  • 武士の子孫が登録すれば武士になれる(帯刀もできちゃう!)設定での現代日本。武士・隼人の元に、仕事で来日した英国紳士・アンソニーが下宿する。世間と少しズレた2人が現代社会の問題や、隼人自身が幼少より抱えてきた問題に向き合っていく。『武士とは何か』という、アンソニーの隼人の武士仲間達への問いかけもいい。アンソニーと五右衛門風呂とか、武士の結婚披露宴の席順とか笑えるエピソードも挟まれていて、ユーモアとシリアスのバランスが絶妙。食事の世話にくる栄子や、隼人の親友のチャラい武士、頼孝(信長の子孫!)などの人物造形も良かった。

  • なんと素っ頓狂な設定!と思いつつ読み進めたのに最後には大泣きしてしまった。物語を包む温かさ。是非とも続きを読みたいのだけど、続かないかなあ…

  • 架空都市の日本には武士が現役で存在していて、そこに英国紳士が同居するという設定に惹かれ手に取った

    アンソニーの自己分析と私の自己分析結果が似通っていて、語り部のアンソニーに感情移入しながら読んだので、隼人が武士を辞め部屋から出てこなくなってしまったことで文字を通しているのに私もオロオロしてしまった

    保護者の期待を全身で浴びて育つと歪むよな、と思っていたので自分の意思で武士を続けることを選べたことが本当に良かった

    四季の半分だけだったのでまた続きが読めたら嬉しいなと思っている
    春〜夏にかけての日本の描写、アンソニーという国外からの滞在者から見たらそうなのかもなぁと思ったので、ぜひ紅葉の美しい秋〜冬の寒さと雪の美しさも描写された物語が読みたい
    だけど東京だと雪が美しくはないからどこかにおでかけする物語でもいいなぁと思いつつ

    終わり方がとても良かったのでアンソニーと隼人を覗き見れるのはここまでなのもいいかもしれないなあと思ったりしている

  • 現代に武士がいるという設定が斬新で面白い。武士とジェントルマンという対比がありつつ、中身は真面目かつ律儀で優しいという似ている二人のキャラ造形も良かったです。とにかくメイン二人を筆頭にすべての登場人物が魅力的で惹き込まれて読みました。キャラの内面をちゃんと描いてくれてて、駄目な所が見えるのが嬉しい。

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著者プロフィール

東京都出身。おもにライトノベルにて活躍する気鋭。代表作は「カブキブ!」シリーズ、「魚住くん」シリーズ(角川文庫)、「妖き庵夜話」シリーズ(角川ホラー文庫)、「宮廷神官物語」シリーズ(角川書店ビーンズ文庫)など。榎田尤利名義でも著書多数。

「2023年 『妖奇庵夜話 千の波 万の波』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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