引力の欠落

著者 :
  • KADOKAWA
3.14
  • (1)
  • (9)
  • (13)
  • (3)
  • (2)
本棚登録 : 201
感想 : 12
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041099889

作品紹介・あらすじ

数々の企業の上場にCFO(最高経営責任者)として関わったことで巨富を得て、半ば人生を上がってしまった行先馨。経済的には充足しつつも深い孤独を抱える彼女は、マミヤと名乗る弁護士から「人間からはみ出した方が良い」と告げられ、奇妙なペントハウスに招待される。そこでは中国を統一した「始皇帝」や、水からガソリンを精製した「本多維富」を自称する者たちが、カードゲームに興じていた。はたして彼らは何者なのか。そして人間は、欠落や孤独から解放されることで、ネクストステージへ進むことは真に可能なのか。芥川賞作家が鋭い筆致で挑む、超現実の新地平。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 生きていくことの意義に迷った先には何があるのか?囲まれた部屋に穴が有ればそれは希望となり得るのか?

    一般的な欲望が全て満たされたとして、自分が自分として存在し続けるためには、どんな要素が必要なのか?逆に満たされていなくとも、希望があれば生きる意義を見出せるのか?その辺りが主題なのかと思うけど、舞台設定にリアリティがなくいまいち共感できない。

    クラスターって具体的には何してるの?何でほぼ日本人?話を見る限り最近始まったぽいけど、始皇帝とかどうなの?とか、何か腑に落ちない。まぁそこを読んで欲しいわけではないのだと思うが、とはいえあまりにも説明が無さすぎて物語に入り込めない。文字通り単なる「おかしな人達」と捉えてもいいのかもしれないが。

    テーマとしては嫌いじゃないけど、心の中にずしっとくる感覚はなく表面的なものに感じてしまった。

    『ニムロッド』の時にも感じたが、今作もやはりそれっぽい言葉を繋げただけのように感じる。そういった言葉で興味を惹かせて最後まで読ませる力は流石とは思うが、エヴァンゲリオンを観ているのと同じような感覚を持つのは私だけだろうか。

  • 上田ワールド再び。
    「旅のない」を経て、よりスケールアップした印象。
    もうこのままどんどん突き進んでもらいたい。
    もっともっと上田ワールドを読ませて欲しい。
    なぜこんなに好きなのかわからない。

    肉の海
    二つの塔
    プログラミングされた発展
    片目から落ちる涙
    自殺した友人
    9つのクラスター←NEW?

    モチーフをもっとちゃんと分析したい。

  • 私は一体、何を見たのでしょうか…
    この本を一言でまとめるなら、異常者が集まってポーカーをする話です。
    その人たちは、私たち普通の人間からは遥かに遠い所にいるのに、どこかしらで分かり合える箇所が出てきます。そこにこの本の不思議さ、面白さが詰まってます。
    シュールという言葉では片づけられない物語です。

  • 世界を支える柱たちが集まってポーカーをしている。
    行先さんはそこへ弁護士に誘われてやってきた。始皇帝を自称する男を始め、そこにいる全員の言っていることがおかしい。引力の柱が空いている、と行先さんは誘われるが、何を言っているのかわからない。行先さんの同級生を名乗るYouTuberまで現れて、もはや何もわからない。
    行先さんはYouTuberに連れられてその場を離れるが、その不思議な夜の記憶は残っている。

    後日、弁護士の男にその夜のことを訊くと、YouTuberは同級生ですらなかったと言う。そして、また弁護士は行先さんを別の次元の世界へと誘う。

    ---------------------------------------

    人間の体はただの肉で、そこに宿る(?)偉大な霊的な存在が柱となっていて、世界を支えている???

    何を言っているのかわからないまま物語が進んでいき、何もわからないまま物語は終わる。
    それは肉としての人間には理解できないだけで、柱たちからすればわかりやすい物語だったのかもしれない。

    ---------------------------------------

    俺は周りのやつとは違うんだぜ、という態度をとる「違うぜ系男子」のくだりは、読んでいて恥ずかしくなった。思春期の強い自意識は何人の「違うぜ系男子」を生み出してきたのだろう。

  • 読んでる途中からある本が浮かんで(めちゃ似てるやんけ、、)と思ったが言うのは失礼な気がするし、だまっとく。

  • ↓利用状況はこちらから↓
    https://mlib3.nit.ac.jp/webopac/BB00563056

  • 『ニムロッド』で芥川賞を受賞した上田岳弘の新作。若くして巨万の富を得て人生をFIREしてしまった行先馨は、マミヤという弁護士から「人間からはみ出した方が良い」と告げられ、奇妙なペントハウスに招待される、そこには秦の始皇帝や自らガソリンを作った本多維富など(を自称する)人たちがカードゲームに興じていた…表紙はかわいいけど文章は難解で全体の世界観は読み終わっても謎だった。

  • 芥川賞受賞した作者の前作?「ニムロッド」の次の作品かと思う。舞台はいずれも東京都内の、新進気鋭のIT企業又は投資顧問会社?で働く人物が主人公であるが、作者の経歴がそれに近い事からも納得することが出来る。

    また、いずれも不可解な指示や教示、を主人公がこれまた不可解な人物から与えられる、という点でも似通っている。前作は男性、今作では女性が主人公ではあるが…

    大まかな世界観は上記の通りで、登場人物が若干多いか少ないか?の違いかとも思う部分もあるが、今作はよりなんらかの問題提議、をしているのではないか?と言う点で前作、ニムロッド、とは異なるのではないかと私は思う。

    私が読後感じた問題提議、とは、難しい言い方をすれば、

    「現代社会において私たち人間が生きがいとする事、糧になる事、というのはもう何もかもすべて「煮詰まって」しまっているのではないか?」

    …と言う事。すべてはシミュレーション可能で、答えも与えられた膨大な変数からかなりの確度で導き出され、何が起きるのか?という事は既に見えてしまっているのでは無いかと…

    そうした中で、魂はそれを実践し、その過程で悩みや苦しみ、失敗、はたまた喜びを感じるのだけれど、肉体はただの入れ物でしかないのではないか?という問題?事実?、そういう主張?を作者は今作で、したかったのではないかと思う。

    上記のように私が感じた今作の、作者によって作り出された壮大な世界観、これに付き合わされる事にはじめは特に戸惑いを感じはしたが、最後まで読み進めた読後感は爽快なものであった、これは主人公が女性である、という事にも起因するのではないかと思う。

  • 些事も些事、刃傷沙汰、希死念慮、しんがり

    P190できれば生まれたくなかったというのも違う、ここに存在することに、自分の意思が入っていないことが気に食わない。
    P257望まれて生まれて来た人はいても、本人が望んだわけでは絶対ない。

  • 2022年6月15日読了

全12件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

上田岳弘の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×