天才魔導士の過保護な溺愛 (角川ルビー文庫)

  • KADOKAWA (2020年11月1日発売)
3.50
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本棚登録 : 31
感想 : 7
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  • 本 ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041099988

作品紹介・あらすじ

魔物に襲われ家族を失ったエリオは天才と名高い討伐士・ヴァレンテに助けられる。魔術を教えて欲しいと懇願するエリオに、ヴァレンテは蝋燭に火を灯せたら弟子にすると約束し、エリオは見事に成功させる。先生と一緒に魔物を倒したいと夢を描くエリオだったが、家族を失った悲しみと魔物への恐怖は簡単には癒えない。ヴァレンテは「俺が守る」と震えるエリオを抱きしめ、自身も初恋の人を魔物に殺されたと告白する。エリオは強く優しいヴァレンテへの想いを自覚するが…? 

感想・レビュー・書評

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  • 割とくらい、、、というか辛いシーンから入る傾向のある先生なのかな?と。3作連続で読んでいるから、余計にちょっと際立つよね、傾向というか先生のお好み?が。
    そしてそれは、きっと私とよく似通っているという訳で、大変嬉しい発見。
    今作も、初期作品と同様、オリジナルな設定がとても興味深く、純粋なBLというよりもっと長編で重たいシリーズで描いても問題なさそうな作品を書かれていることに感心。もっと長いお話読みたいな。
    昔の文庫によく見られた「最後はエロで締める」っていうところが、今読むともったいない気がしてしまう。。。長編を書いていただきたいなー。

  • この作者さん読むの4冊目。
    タイトルこそ溺愛だけど、メインは成長もの。
    この作者さんいつもこのタイトルづけで損してる気がする。

    家も家族も生きる気力も失った受が、攻めの庇護の許、自分の生きる道を見出していく話。
    受の葛藤や乗り越えていく様がしっかり描かれていてよかったです。
    その分妙にラノベっぽい魔法表現がひっかかって惜しい。
    ぶった切られたようなエンディングもちょっと惜しい。

  • めちゃくちゃ良かった。スタンピードのような現象で家族を失い生き延びた主人公と、魔物を討伐した天才魔術士の攻め。主人公は仇討ちのために攻めの元で暮らしながら魔術を極めて魔物を討伐する討伐士を目指すが、壁にぶち当たる。
    この話のすごいところは主人公が討伐士を諦めるところで2人はくっつくんだけど、それは攻めが主人公を無理矢理引き留めるためで主人公は攻めの助手として勤めつつセックスに溺れて堕落してく。攻めが主人公を立ち直させるきっかけにならず、後に魔道具職人を志す主人公は師匠から「2人とも若かったから選択を間違えた」と諭される。完璧に見えた攻めもそうじゃなかったんだって話なのよね
    最後再びのスタンピードで主人公が魔道具で活躍して、魔道具はこれまで弱い魔術の補助程度としか使われなかったから、そこで初めて攻めも主人公の才能を認める。主人公がもともと楽器職人の修行中だったとか、途中魔道具店に興味を示すけど役に立たないと言われスルーするとか、全部繋がってたのが所謂BLの展開の頭が邪魔して読めなかった
    最初の家族が魔物に食われる描写が本当にしんどい。主人公が花開くまで長くて、最後のスタンピードでようやく家族を失ったトラウマから立ち直り、これまでの死に場所を探すような生き方から脱するところが普通に感動する
    著者の作品、話の展開とキャラの行動が噛み合ってて説得力がすごい。2作目で本物だとなったので他も全部読みたくなった

  • ▼あらすじ
    魔物に襲われ家族を失ったエリオは天才と名高い討伐士・ヴァレンテに助けられる。魔術を教えて欲しいと懇願するエリオに、ヴァレンテは蝋燭に火を灯せたら弟子にすると約束し、エリオは見事に成功させる。先生と一緒に魔物を倒したいと夢を描くエリオだったが、家族を失った悲しみと魔物への恐怖は簡単には癒えない。ヴァレンテは「俺が守る」と震えるエリオを抱きしめ、自身も初恋の人を魔物に殺されたと告白する。エリオは強く優しいヴァレンテへの想いを自覚するが…?

    ***

    ストーリーの完全度:高い
    トーン:せつない・シリアス
    エロ度:普通
    萌え度:高い
    総合評価:★5.0

    めちゃくちゃ面白かったです。表紙とタイトルからして軽めのお話なのかな?と思って読み始めたのですが、全然そんな事なかったです。寧ろ全体的にちょっと重いくらいでした。

    物語は、エリオの日常が崩壊するところから始まります。(この時点で既に重い&しんどいです^^;)
    突如現れた魔物によって家族を失い、自身も怪我を負って絶体絶命のピンチに陥っていたエリオは、その場に駆け付けた討伐士ヴァレンテに助けられ、彼の邸で保護される事になります。

    目の前で家族を殺された憎しみと深い悲しみから魔物への復讐を誓ったエリオは、天才魔導士であるヴァレンテに魔術を習うべく弟子にしてほしいと頼み込むのですが、魔術が使えるかどうかは血筋が大いに関係するらしく、ヴァレンテはエリオの父親が有名な楽器職人で、エリオもまた父親から楽器造りを学んでいた事を知るとその道に戻るよう説得します。
    それでも諦めないエリオのしつこさに根負けしたヴァレンテは、一つ条件を出します。それは、討伐士を目指す者なら誰でも使える初級クラスの魔術を使えるようになる事。
    その魔術を、エリオは努力の甲斐あって何とか使えるようになるのですが、エリオの魔術が成功した時のヴァレンテが当の本人よりも喜んでいて不覚にもキュンとしてしまいました(笑)

    晴れてヴァレンテの弟子となったエリオはヴァレンテと共に闘って魔物を倒す事を目標に本格的に討伐士の道を歩んでいく事になるのですが、物語としてはここからが本番で、エリオは様々な壁にぶち当たっていきます。
    まず第一に、討伐士を目指す者は基本的に裕福な家柄の貴族しかいません。貴族でない上にヴァレンテの邸で世話になっているエリオは周囲から完全に孤立してしまいます。
    いじめとか嫌がらせとかはないにせよ、エリオが揶揄われたり見下されたりするシーンは割とリアルで、読んでいて少し辛かったです。
    それでも、エリオが挫けそうな時にはいつもヴァレンテが側にいてくれて、エリオはヴァレンテの優しさに救われながら少しずつ成長していくのですが、ここから後半にかけての展開はかなりしんどいものになります。

    上級クラスに上がったエリオは、とうとう周りのレベルに付いていけなくなります。いつヴァレンテから見込みがないと言われるか不安を抱えていたタイミングで、エリオ達のクラスに新たな仲間、カミロが加わります。
    カミロはエリオよりも年下ですが、既に魔術のレベルは誰よりも抜きん出ていて周りを圧倒させます。
    ヴァレンテもカミロに期待しているのが分かり、エリオは強い嫉妬を覚えるのですが、努力をしたからといって必ず報われるとは限らないのは現実世界でも同じですよね。
    「やる気があるやつにその素質が備わってれば一番だと思うが、現実はそうじゃない」というヴァレンテの最初の言葉が、ここへ来て急に現実のものとなります。

    自分の能力の限界を悟ったエリオは、自らヴァレンテの元から去る事を決意します。出来ないのに出来る人を見てるのが辛いと涙するエリオの気持ちは私にも痛いほど分かるので、胸が痛みました。
    邸から出て、討伐士以外の道を模索しようとするエリオですが、ヴァレンテが強く引き留めます。ここで面白いのが、あのヴァレンテがすっかりエリオに惚れてしまっているところなんですよね。エリオを必死に慰めて、とうとう告白までしてしまうほどに。
    エリオはそれを受け入れ、二人は体の関係を結ぶんですが、憧れだったヴァレンテと恋人同士になっても人生の目標を失ったエリオの気持ちは晴れないまま。快楽が去った後に、自分は何をしているんだろうと自己嫌悪に陥るエリオの姿を見るのも辛かったし、自分じゃエリオを幸せにできないと悔しがるヴァレンテの姿を見るのも辛かったです…。せっかく恋人同士になったのに、二人とも全然幸せそうじゃないのしんど過ぎて…。

    それでも、エリオはちゃんと自分の道を見つけます。討伐士という道ではなく、魔道具作りという新たな道が急に開けるのです。楽器職人の息子だったエリオは物作りの素質があり、魔術もある程度使える事から魔道具作りに対して意外な才能を発揮します。
    「守られるんじゃなくて、一緒に闘える人になりたい」というエリオの台詞にはグッと来ましたが、それを聞いたヴァレンテはエリオがいつの間にか自分以外の師を見付けて歩き出そうとしている事に強い挫折感を覚えます。
    この作品の面白いところは攻めも受けも一度は挫折や悲しみを味わうところですね。辛いし、切ないけど、あっさりくっ付くよりは良いなと思います。

    すれ違い、お互いの為に一旦離れる事になった二人ですが、最終的にはエリオが作った魔道具が魔物との闘いで大活躍します。守られるんじゃなくて、一緒に闘える人になりたいという目標を自分の力で叶えてみせたエリオに、ヴァレンテもその実力を認め、自分の為に魔道具を作ってほしいと頼みます。
    エリオが目標を失って迷子になっていた時はしんどかったけど、ヴァレンテの優しさに甘える事なくちゃんと自分の力で立って人生を切り開いていくところにとても好感が持てましたし、ヴァレンテも天才なのに完璧じゃないところが凄く良かったです。
    特に最後の、エリオの才能を引き出した魔道具作りの師匠に嫉妬するヴァレンテの姿はちょっと哀れというか、可哀想で萌えました(可愛い愛弟子取られちゃったからね…笑)

    脇キャラの使い方も上手いなと思いましたし、タイトル詐欺(良い意味で)だと思うほど読み応えのある作品でした。
    欲を言えばもう少し世界観を凝っていただきたかったのと、魔物の謎を解明してほしかったところではありますが、小さな不満などどうでも良くなるほどストーリーが面白かったのと、個人的にBL小説を読む上で一番重要視している心理描写がとてもしっかりしていたので満点評価を付けさせていただきました。
    文章も読みやすいですし、ストーリー重視派の方やせつないテイストのお話が好きな方ならまず間違いなく楽しめると思います。思いがけずお気に入りの一冊になりました。買って良かったです!(^^)v

  • ★3.6

  • とてもよかったです。エリオが愚直に真っ直ぐに目標に進んで行くのですが、努力だけではどうにも出来ない壁に詰まり。師であるヴァレンテとの恋も複雑に絡み、この先の道を模索し悩んで、でも選択して進み成長していく姿がとても胸にきました。魔道具の師匠・フェデーレの言葉ではっとしたけど、ふたりともまだ若いんだよね。念願だったヴァレンテと共に戦うシーンは胸熱でした。

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