白痴・二流の人 (角川文庫)

  • 角川グループパブリッシング (1970年2月28日発売)
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本 ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784041100011

作品紹介・あらすじ

敗戦間近。かの耐乏生活下、独身の映画監督と白痴女の奇妙な交際を描き反響をよんだ「白痴」。優れた知略を備えながら二流の武将に甘んじた黒田如水の悲劇を描く「二流の人」等、代表的作品集。

感想・レビュー・書評

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  • どんなに世界に呼びかけても世界は応答をせず、救いやチートも与えてくれない。それが徹底的にわかってる深い絶望。安吾の描くこの絶望はなぜか清々しいものが感じられて、人生なんてそんなもんだと悲嘆した心に快い風が吹き抜けるような気分になる。
    個人的に「二流の人」と「紫大納言」はそれを感じて本書のなかではお気に入りの部類でした。

    黒田官兵衛/如水のイメージは戦国BASARAのせいで運のない男という感じなんだけれども、二流の人の黒田如水もやはり天運に恵まれない男という風に思う。天下への気力や智力をもっていながら、天下に挑む挑戦権すら手に入らなかった。もう本当に茶番としか思えないが、その姿は秀忠が感じるように純朴な美しさを携えて視える。本当に悪くない虚脱感に包まれた読後感でした。

  • 『奇才坂口安吾は中二病だったのか』

    坂口安吾の作品について私ごときが語るのは烏滸がましいが、坂口安吾の描く女子が大変好みである。強く、弱く、慎ましく、我が儘で、なによりとても賢い。自我の探求に厳しく、他人の干渉を嫌い、世間と言うものを知らず恐れず、こんな女子が現実にいたら、背筋の凍るような美女であろうと思う。

    何度読み返しても、坂口安吾の作品に飲まれてしまう。色の違う八編だが坂口安吾を始めるには一番読みやすいのではないか。

    4/172

  • 二流の人とは、戦国時代の奇才軍師・黒田如水のことです。彼ほどの才能をもった人物がなぜ二流なのか、二流だったのか。それを無頼派の坂口安吾が解き明かします。

  • 二流の人を読みました。
    坂口安吾はじめて読みましたが……
    竹を割るような痛快な人物描写が気持ちよすぎ!一発で惚れました。
    主人公、黒田官兵衛の心地良いともいえる二流ぶりだけでなく、秀吉や直江など当時の大人物の二流ぶりも楽しいです。
    二流二流といっても、読んでいて「馬鹿だな」と感じるのではなく、「人間だなぁ」と思わず感じてしまうのが、この先生の語り口の素晴らしさかと。

  • 坂口安吾の短編集。

    「白痴」より「風と光と二十の私と」が良かった。

    次の文章が心に響いた。
    「満足はいけないのか」「ああ、いけない。苦しまなければならぬ。できるだけ自分を苦しめなければならぬ」「なんのために?」「それはただ苦しむこと自身がその解答を示すだろうさ。人間の尊さは自分を苦しめるところにあるのさ。満足は誰でも好むよ。けだものでもね」

    苦しみの中から何かを見出す。ただ満足しちゃいけない。そう僕に言い聞かせたような気がする。

    ほかの短編も細部まで再現しようとして、場面をイメージし易く、寒気と恐怖が若干感じる。

  • ・青鬼の褌を洗う女
    懐かしさと幸福感にあふれているのに、読み終わった後なにか喪った感じがする。サチ子は永遠の憧れ…ラスト2ページ鳥肌

    「つまり頭でききとめて考えるということがなくなったのだから、匂いというのは、頭がカラッポだということなんだろう。」
    意識のすべてが体の隅々まで行き渡ればいいのになー、指や、足や、歯で考えたい、生きたいと切におもう!!

  • 人間について独特な雰囲気で書かれていて好みではないが興味深い話だった。

  • [private]近所に古本屋さんが新規開店していたので(新潟行くことだし)お付き合いで買った。[/private]

  • 独特のリズムで書かれていて、好き嫌いが分かれそう。

    読みやすいものもあれば、わかりづらいものもあり、、という印象です。

  • なんというか、人間を暴く感じが凄いです。
    善きも悪しきも併存するのが人間だと思いますが、それを赤裸々に描いていて、洞察力が深すぎて怖いと感じることも。
    この歳になって初めて彼の作品を読みましたが、この年齢で読んで良かったと思います。
    若い頃だと、少し理解できなかったところがあったかもしれません。
    久しぶりに良い本だと思った一作です。
    ぜひ。

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著者プロフィール

1906年生まれ、1955年没。太平洋戦前から戦後に活躍した小説家。代表作に『堕落論』『白痴』『桜の森の満開の下』等。

「2024年 『青鬼の褌を洗う女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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