白痴・二流の人 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041100011

作品紹介・あらすじ

敗戦間近。かの耐乏生活下、独身の映画監督と白痴女の奇妙な交際を描き反響をよんだ「白痴」。優れた知略を備えながら二流の武将に甘んじた黒田如水の悲劇を描く「二流の人」等、代表的作品集。

感想・レビュー・書評

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  • どんなに世界に呼びかけても世界は応答をせず、救いやチートも与えてくれない。それが徹底的にわかってる深い絶望。安吾の描くこの絶望はなぜか清々しいものが感じられて、人生なんてそんなもんだと悲嘆した心に快い風が吹き抜けるような気分になる。
    個人的に「二流の人」と「紫大納言」はそれを感じて本書のなかではお気に入りの部類でした。

    黒田官兵衛/如水のイメージは戦国BASARAのせいで運のない男という感じなんだけれども、二流の人の黒田如水もやはり天運に恵まれない男という風に思う。天下への気力や智力をもっていながら、天下に挑む挑戦権すら手に入らなかった。もう本当に茶番としか思えないが、その姿は秀忠が感じるように純朴な美しさを携えて視える。本当に悪くない虚脱感に包まれた読後感でした。

  • 『奇才坂口安吾は中二病だったのか』

    坂口安吾の作品について私ごときが語るのは烏滸がましいが、坂口安吾の描く女子が大変好みである。強く、弱く、慎ましく、我が儘で、なによりとても賢い。自我の探求に厳しく、他人の干渉を嫌い、世間と言うものを知らず恐れず、こんな女子が現実にいたら、背筋の凍るような美女であろうと思う。

    何度読み返しても、坂口安吾の作品に飲まれてしまう。色の違う八編だが坂口安吾を始めるには一番読みやすいのではないか。

    4/172

  • 二流の人とは、戦国時代の奇才軍師・黒田如水のことです。彼ほどの才能をもった人物がなぜ二流なのか、二流だったのか。それを無頼派の坂口安吾が解き明かします。

  • 二流の人を読みました。
    坂口安吾はじめて読みましたが……
    竹を割るような痛快な人物描写が気持ちよすぎ!一発で惚れました。
    主人公、黒田官兵衛の心地良いともいえる二流ぶりだけでなく、秀吉や直江など当時の大人物の二流ぶりも楽しいです。
    二流二流といっても、読んでいて「馬鹿だな」と感じるのではなく、「人間だなぁ」と思わず感じてしまうのが、この先生の語り口の素晴らしさかと。

  • ・青鬼の褌を洗う女
    懐かしさと幸福感にあふれているのに、読み終わった後なにか喪った感じがする。サチ子は永遠の憧れ…ラスト2ページ鳥肌

    「つまり頭でききとめて考えるということがなくなったのだから、匂いというのは、頭がカラッポだということなんだろう。」
    意識のすべてが体の隅々まで行き渡ればいいのになー、指や、足や、歯で考えたい、生きたいと切におもう!!

  • 人間について独特な雰囲気で書かれていて好みではないが興味深い話だった。

  • [private]近所に古本屋さんが新規開店していたので(新潟行くことだし)お付き合いで買った。[/private]

  • 独特のリズムで書かれていて、好き嫌いが分かれそう。

    読みやすいものもあれば、わかりづらいものもあり、、という印象です。

  • なんというか、人間を暴く感じが凄いです。
    善きも悪しきも併存するのが人間だと思いますが、それを赤裸々に描いていて、洞察力が深すぎて怖いと感じることも。
    この歳になって初めて彼の作品を読みましたが、この年齢で読んで良かったと思います。
    若い頃だと、少し理解できなかったところがあったかもしれません。
    久しぶりに良い本だと思った一作です。
    ぜひ。

  • モリミーかと思った。先生の話と妾の話が面白かった。

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著者プロフィール

(さかぐち・あんご)1906~1955
新潟県生まれ。東洋大学印度倫理学科卒。1931年、同人誌「言葉」に発表した「風博士」が牧野信一に絶賛され注目を集める。太平洋戦争中は執筆量が減るが、1946年に戦後の世相をシニカルに分析した評論「堕落論」と創作「白痴」を発表、“無頼派作家”として一躍時代の寵児となる。純文学だけでなく『不連続殺人事件』や『明治開化安吾捕物帖』などのミステリーも執筆。信長を近代合理主義者とする嚆矢となった『信長』、伝奇小説としても秀逸な「桜の森の満開の下」、「夜長姫と耳男」など時代・歴史小説の名作も少なくない。

「2022年 『小説集 徳川家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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