堕落論 (角川文庫 緑 100-3)

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  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041100035

感想・レビュー・書評

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  • 坂口安吾の社会評論と作家評論を集めたもの。
    日本文化私観や続堕落論における日本人論・人間論はややシニカルだが、キレがある。20世紀後半に人間科学が人間の思考の癖や非合理を解明する以前は、「人間がどういったものか」という問いに最も精緻な回答を持っていたのは、安吾のような一部の文学者だったのだろうと思わせる。

  • はるか昔に友人に勧められた本。ようやく読めた……!
    「田舎暮らしって憧れのように語られるけど、ふたをあけたら全然そんなことないからね!」みたいな文章に凄く共感……。

  • 坂口安吾の名小論集。今でいえばコラム集と言ったところか。戦争が終わり、生き残った人々がなお生きなければならぬというところで、刹那的なニヒリズム風の物言いで裸になって堕落しろ、すなわち旧来の美徳や道徳を捨て心の赴くまま生きよと主張する。
    マンデヴィルばりの私悪は公益論というわけではなく、イエーリングばりの権利論でもない。もっとざっくりと、第一の戦後の当時を生きた人々の心をうまく言葉に落とし込んだものである。ただの読み物としてはそれなりだが、そのようなコンテクストから読むと見えてくるものがある。

  • 人生50何にもまぎれるな。己の人体の本分を能率的に識別して、直接にその本分をつけ 解説より

  • 正しく堕ちることすら許されていない時代は、悲劇を通り越して寧ろ喜劇だ。

  • 学生時代に読んでいたと思うけれどもう一度読んでみた。
    相変わらず、内容を覚えていなかったのには自分で驚いた。
    戦争後の勇士たちが闇屋になり、未亡人が他の人の面影に胸を熱くする。
    それこそ人間たるものであり、いくら政治で決めたって変わるものではないということ。
    人間は堕落するけれど、それが常だけれど、際限なく落ちていくわけではない。
    だから、落ちきれば良い。そこから見えてくるものがある。
    天皇制について言及していたり、60を過ぎた戦犯たちが法廷に連れ出されるこことと
    20で英雄のまま死に靖国に祭られることの価値如何、そして日本人がそもそも2君に仕えたり
    昨日の敵と今日友になったりする民族なのだということ。
    ここまで書くのかというのを読んでいて心配してしまうような文章であり
    発表当時に人々の関心を呼んだのは当然だと思った。

  • 漫画でなく原作を読んでみた。堕落論と続堕落論と解説のところしか読んでいないのでレビュー書くのは微妙だけど、まぁこういう読み方もたまにはいいかな。
    「原作挫折→まんが→原作」って感じで読んでみました。原作を最初に読んでみたときはもうチンプンカンプンでしたが漫画読んでから読んだらそこそこ読めました。漫画なかなか凄いじゃん!それでもわからないとこ多数で萎えましたが!

    漫画は堕落論と続堕落論が描かれていることに気づきました。
    「続」の方が歴史的カラクリを具体的に説明しているためわかりやすいです!原作を読む人は「続堕落論→堕落論」って読んだ方が良いかもしれません。

    しかしこんな10ページくらいでここまで社会に影響を持たせるっていうのは凄いな〜!時代が時代ってのもあるけど、当時の人たちがこれを読んだら今の僕たちが感じる以上に半端なくビックリするんだろうな〜って思いました。今までのなんだったの?的なね。

    内容は「まんがで読破」の方のレビューで書いたとおりなんですが、原作では原作ならではの表現があってそこが面白かったです。たとえば、「武士道は人性や本能に対する禁止条項であるために非人間的反人性的なものであるが、その人性や本能に対する洞察の結果である点においては全く人間的である。」というパラドキシカルな表現など、すごって思った!
    評論だけあって受験時代の現代文の超難しい版って感じで大変でした。

    美しいものを美しいままで終わらせたいというのは小さな人情で、特攻隊は闇屋へ、未亡人は新たな面影へ(恋)、天皇は人間へなるところから本当の人間の歴史が始まるんだというこの主張。正しいかどうかは抜きにして面白い洞察でした。
    落ちるところまで落ちきって自分を発見し救う。堕落自体は悪いことだが、真実をつかむためにはしょうがないことだそうです。だからこそ堕ちるときに徹底的に堕ちろと言っています。

    久々に深い文章を読んだら疲れちゃいました。
    いよいよ3年生も始まったな〜。。。しっかり堕落しているので大丈夫かな?笑

    安吾の書斎汚ったねー。

  • 堕落論はいろんな出版社から出てますが、角川文庫版の、このジャケが妙にお気に入りです。

  • 言ってることムチャクチャだが安吾マジかっけえ!しびれるうー!

  • 2年前くらいに読んだので、記憶G確かでない。
    堕落しろ。そして自らの愚かさに気付け。というようなことが書いてあったような…違うか。
    自分が凹んで無気力になってるとき、自暴自棄になってるとき、調子にのってるとき、そんなことを思い出す。そして堕落から脱する。

  • 高校時代にハマった坂口安吾のエッセー集。
    「人間は堕ちる、生きているからこそ堕ちる」、に納得。
    堕ちるぞ、そして堕落するぞ!

  • 論調にパワーがある。

    整然とした論文が好きな人には納得できないだろうが、感情で生きてる人には響くだろうなぁと。

  • 「続・堕落論」は嘘をつけ!の連発にちょっと笑った

  • 57年・文庫・0.25→3

著者プロフィール

(さかぐち・あんご)1906~1955
新潟県生まれ。東洋大学印度倫理学科卒。1931年、同人誌「言葉」に発表した「風博士」が牧野信一に絶賛され注目を集める。太平洋戦争中は執筆量が減るが、1946年に戦後の世相をシニカルに分析した評論「堕落論」と創作「白痴」を発表、“無頼派作家”として一躍時代の寵児となる。純文学だけでなく『不連続殺人事件』や『明治開化安吾捕物帖』などのミステリーも執筆。信長を近代合理主義者とする嚆矢となった『信長』、伝奇小説としても秀逸な「桜の森の満開の下」、「夜長姫と耳男」など時代・歴史小説の名作も少なくない。

「2022年 『小説集 徳川家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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