肝臓先生 (角川文庫クラシックス)

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  • 本 ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041100189

作品紹介・あらすじ

戦争まっただなか、どんな患者も肝臓病に診たてたことから”肝臓先生”とあだ名された赤木風雲。彼の滑稽にして実直な人間像を描き出した感動の表題作をはじめ五編を収録。安吾節が冴えわたる異色の短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 個人的にドキッとするタイトル。私は好きです。

  • 身体を売りながら逞しく生きる女を描いた「行雲流水」がお話としては一番わかりやすい。

    表題作の「肝臓先生」は名医なのか藪医者なのかいまいち分からなったが、仁徳を慕われていたのは確かのようで、散り際も美しかった。

  • 青空文庫で読みました。映画は見てたけど、小説は初めて。結構シュールな話だったんですね。たたかえ、たたかえ、でなぜか「進撃の巨人」を思い出しました。

  • 『だれかが迷ってくれて、足で歩いて道を作ってくれたから、僕ら迷わず歩いて行けるよ』

    安吾、凄まじい。
    よかった。
    僕が迷うて苦悶してなにかを見つけらたり、なにも見つけられない道だと証明して、後の誰かの道になれば良いと思った。

    大先輩に敬愛を捧ぐ。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「後の誰かの道になれば良いと思った。」
      こっそり心の中で拍手。。。
      「後の誰かの道になれば良いと思った。」
      こっそり心の中で拍手。。。
      2014/06/12
  • 「私はあなたから、人の子の罪の切なさを知りました。罪の持つ清純なものを教わりました。」――『ジロリの女』

    私が安吾の文章を読んで、たまらなく悲しく、どうしようもなく切なく、そして苦しいほど何かに向かって声の限りに叫びたくなるのは、たぶん、安吾が優しくて潔癖で、強靭で狂人だからだろう。

    「私はいつも神様の国へ行こうとしながら地獄の門を潜ってしまう人間だ。ともかく私は始めから地獄の門を目指して出かける時でも、神様の国へ行こうということを忘れたことのない甘ったるい人間だった。」――『私は海をだきしめていたい』

    安吾は自分の弱さを認めている。自分の無知さも認めている。そして彼は、自分の恥も認めている。
    それがどれほど絶望的なことかを、安吾は知っているのだと思う。それでいて、いやそれなのに、彼は人間を信じている。人間である自分を信じている。それはもう、驚くくらい一途に信じているのだ。

    私は安吾が好きかというと、よくわからない。
    しかし、安吾を愛している。
    こんなに潔癖で狂人で、強靭で優しい人がいたらと思うと怖い。でも、そんな彼を、とても愛しく思うのだ。

  • やっぱ坂口のあんちゃん最高やわ 笑
    肝臓先生の感動ストーリー?もさることながら、あんちゃんの女論はオレを強くする。見習うしかないかな。

  • 坂口安吾の代表作「堕落論」につながるネタと思われる戦時中の体験や思想などがわかりやすい文体で書かれていて興味深い。(「魔の退屈」)「堕落論」読後に再読するとさらに安吾の思想が解る気がする。
    小編「私は海をだきしめていたい」)の冒頭が良い「私はいつも神様の国へ行こうとしながら地獄の門を潜ってしまう人間だ。ともかく私は始めから地獄の門をめざして出掛ける時でも、神様の国へ行こうということを忘れたことのない甘ったるい人間だった(後略)」
    坂口安吾はずるくて弱い。しかし、そのずるさと弱さを隠さない正直さが、戦後の思想的に圧迫された若者達に圧倒的な支持を得たのだろう。
    そして私も、「ずるくて弱い」と知りながら安吾の生き方に憧れてしまう一人です。

  • 坂口安吾は無頼派と呼ばれているが、作品を読むと、ものすごく繊細な人だったのではないかと感じる。人の心の底を覗き込むような、読む人をドキリとさせるような。坂口安吾は、やっぱり面白い。

  • いい味出してます。

  • 新書文庫

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著者プロフィール

1906年生まれ、1955年没。太平洋戦前から戦後に活躍した小説家。代表作に『堕落論』『白痴』『桜の森の満開の下』等。

「2024年 『青鬼の褌を洗う女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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