不連続殺人事件 (角川文庫)

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  • 角川書店
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レビュー : 128
  • Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041100196

作品紹介・あらすじ

戦後間もないある夏、詩人・歌川一馬の招待で、山奥の豪邸に集まったさまざまな男女。作家、詩人、画家、劇作家、女優など、いずれ劣らぬ変人・奇人ぞろい。邸内に異常な愛と憎しみが交錯するうちに、世にも恐るべき、八つの殺人が生まれた!不連続殺人の裏に秘められた悪魔の意図は何か?鬼才安吾が読者に挑んだ不滅のトリック!多くのミステリ作家が絶賛する、日本推理小説史に輝く傑作。第2回探偵作家クラブ賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 大学生のときに初めて読んだ。
    犯人は割と早い段階でわかったが【※非公開メモ欄へ】
    タネを承知で久々の再読、それもまた愉し。

    詩人・歌川一馬に招かれて屋敷に集った文化人たちだったが、
    人間関係は複雑に入り組んでいて、いがみ合う者同士も。
    一馬宛てに犯罪予告とも受け取れる手紙が届いた上、
    小説家・矢代寸兵とその妻・京子への招待状は、
    一馬の手を離れた後、何者かによって一部が改竄されていたことも判明。
    翌日から次々に殺人が起こる。
    矢代は一連の事件を
    複数犯の別個の動機によって散発した「不連続」殺人ではないかと考えるが、
    弟子の巨勢は、
    犯人がそう捉えられるのを見越して行動しているに違いないと語る。

    とにかく奇人変人揃いで、元妻とか愛人とか、
    普通、招ばれたって出向かないであろう人々が
    平然と一堂に会してしまう設定が変(笑)
    でも、芸術家・文化人なんて一般常識を超越した人々ですから、
    そういうこともアリでしょうよ、というエクスキューズが付いているし、
    現実にそんな世界の一員であった作者が
    自虐的なトーンで滑らかに筆を走らせていた様を想像するのも楽しい。
    岡目八目な名探偵、
    蚊帳の外の存在である巨勢くん(綽名は「博士」だがファーストネームは?)が
    イイ奴で、物語の毒々しさを和らげている。
    ……あれ、Wikipediaの映画版のページを見たら
    役名もそんまんま「巨勢博士」になっているけど、
    もしかしてフルネームは「こせ・ひろし」なの??(違うよね)

    で、実はまだ映画を観ていないんですが、2012年にDVDが出ていたんですね。
    これを買うか借りるか――うーむ。

  • 日本推理作家協会賞の前身となる探偵作家クラブ賞を受賞した物語である。
    高木彬光の「刺青殺人事件」と争った末の受賞だったようだ。

    最近の小説を読みなれている者としては、とにかく文体が古く読みにくい。
    ひとつのセンテンスはこれでもかと言うように長いし、言い回しも昔ふうでわかりづらい。
    序盤ではそんなこんなで数日に分けて読み進んでいたのだが、いつの間にかすっかり物語の中に引き込まれていた。
    登場人物がとても多く、次々と起きる殺人事件によって被害者もまた増えていく。
    にもかかわらず、個性的な人物のひとりひとりを丁寧に描写することによって、彼らの特徴がすんなりとわかりやすく伝わってくる。
    待ち受けていた結末は驚きのものだった。
    いかにもな人物たちが混在する中での事件。
    歌川邸に集まる面々だからこそ成立した物語は、完成度の高い上質なミステリーだった。
    難を言えば探偵役がことのほか魅力に欠けている。
    もっともこの物語に限っていえば探偵役はあくまで脇役であって、読者が真相を知るための繋ぎ役でしかないのだろう。
    悲劇的な結末は、すべてが明らかになってみればこれしか事件の落としどころはなかったのだろうと納得ができるものだった。

  • 登場人物が20人近くもいて覚え切れなかった。
    人物表を自分で久しぶりに作ってみた。それでもあまり記憶に残らない人が何人か…。
    しかもそれぞれの関係がまた複雑で元妾やら元恋人やら。男女関係が入り乱れていたり、
    自分の芸術論を語ったり、言動も行動も本当に異常な人たちであった。
    それであったからこそ、真犯人の異常が目立たなかったのかも。
    長かったけど、テンポよく読みやすい作品だった。

  • 坂口安吾といえば『堕落論』しか読んだことがなく、そのイメージしかなかったのですが、ミステリーも書いている、というのを知ってすぐに購入。

    とある別荘にひと夏を過ごすこととなった男女の一団。1人また1人と殺されていくが、同一犯による連続殺人なのか、それとも、数名もしくは数組の犯人がいる不連続殺人なのか、謎が深まっていく。。


    一言でいうと、とても面白かったです!

    色々面白かった点があるのですが、まずは登場人物たちの魅力溢れるキャラクターでしょうか。文士や絵描きなど、芸術家が多く一癖も二癖もある人たちばかり。それぞれの際立ったキャラが丁寧に書かれており、また、文士同士の抜き差しならない妬み・僻み、嫉妬といったことが、よく描かれていました。当時の文学界の人間関係の様子を垣間見ることができたように思います。

    あとは警察側のキャラクターもあだ名の付け方が秀逸で、ベタといえばベタなんですが、やはり物語に立体感を出すには、登場人物たちを、その存在を具体的にイメージ出来るように描くことが大切なのだなと。

    もう1つは、いかに犯罪を成し得ることができたか、、というネタ、トリックの部分ですが、そのミソが人間の心情や心理を探求し、その盲点をうまく突いたところにあったということです。なので、逆に金田一とかコナンとかでよくでてくる難解な密室トリックとかはでてこないので、素人でも十分可能な、すごくリアリティのある仕上がりになっています。

    人間心理を逆手にとったトリックやネタばらしにしたのは、坂口安吾のこだわりなのでしょう。

    1こだけ、物足りなかったと感じたのは動機について。作中でも、動機がわかれば犯人はわかる、といように伏線とおもわれる箇所が何個かあったのですが、ミステリー通的にいうと、回収しきれていないのでは?と思ってしまいました。これはあえてこうしているのですかね。



  • もう何十年前に読んだ作品だろうか、、、、
    書店で気になって購入した。2度目というよりは初めて読む感覚ではあったが、不思議とポイントとなる所は覚えているものだと我ながら感心した。
    戦後の昭和の雰囲気が漂う作品で、その時代の感覚を楽しむのにも良い。

  • 一応、大学の古い先輩にあたるということで、ちょっと読んでおかなきゃなと思い読んでみた第一弾。
    坂口安吾と言えば『堕落論』の印象が強いけど、こういったミステリー小説も執筆しているんだな。勉強不足ですいません、先輩。
    自分としては、序盤のやや退屈さとは裏腹に中盤・終盤にかけてはリズミカルにのめり込めた感じ。ただ、肩の力を抜いて読み進めた為、登場人物の多さと複雑な関係性に途中誰が誰だか分からなくなってしまう場面も。まあこれは読み手の問題でしょうがね。
    坂口安吾作品、これから多く読み進めていきたいな。

  • これも何度読んだかわからないくらいの再読。

    トリックは今でも通用するくらい秀逸なのだけど、いかんせん文体がキツい。ワタシは高校時代に教科書に載っていた「ラムネ氏のこと」に衝撃を受け、その後しばらく安吾を読み漁ったりしたくらいには好きなんだけど、それでも「不連続殺人事件」の文体はちょっとキツいなぁ、と思う。昭和二十二年の発表だし、きっとまだヒロポンが抜けきっていなかった頃の作品なのね、と邪推したりなんかして。

    横溝正史も筆が滑った時に似たような文体になるので、この年代の方がちょっとフザケた文を書こうとするとこうなるのかと思うけど、それにしても「不連続殺人事件」でのフザケ具合はちょっと過剰だよねぇ・・・。

    登場人物はどいつもこいつもクセがあるし、文体にもクセがあるうえ「てにをは」が微妙だけど、一読の価値はあるミステリです。

  • ミステリーとはこういうものだ、と満足感。時代背景は古いのにちっとも古くない。安吾は人を書き上げている。人の欲を書き上げている。憎しみも苦しみも寂しさも面白さも人の感情は欲から出ているものなのかもしれないとおもわせる。殺人というのはそれがいちばん明らかにあらわれるものなのかもしれないなぁ。時代は変われど人のなかみはなにも変わらない。坂口安吾さすが、である。

  • いやー、読みづらかった。自分はこの、坂口安吾氏の文体は苦手。しかも登場人物が多いので誰が誰やら分からなくなり…
    何とか我慢して読み通した感じですが、作者の仕掛けたトリックには関心。なるほど…してやられました。
    ただ、やはり文体に馴染めないので好きな作品ではありません(苦笑

  • 意外だ。文学作家のミステリなのに、文学してない。ちゃんと謎解きのためだけに書いてる。はじめは些か好みじゃないなぁ、と思っていたけど、そういった部分も含めて後半活きてくるのが絶妙。ただ登場人物の多さだけは、うーんって感じ。

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著者プロフィール

新潟市生まれ。1919(大正8)年県立新潟中学校に入学。1922年、東京の私立豊山中学校に編入。1926年東洋大学大学部印度哲学倫理学科に入学。アテネ・フランセに通い、ヴォルテールなどを愛読。1930(昭和5)年同校卒業後、同人誌「言葉」を創刊。1931年に「青い馬」に発表した短編「風博士」が牧野信一に激賞され、新進作家として認められる。歴史小説や推理小説も執筆し、文芸や時代風俗から古代歴史まで広範に材を採る随筆など、多彩な活動をした。

「2018年 『狂人遺書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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