不連続殺人事件 (角川文庫 さ 2-3)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041100196

作品紹介・あらすじ

戦後間もないある夏、詩人・歌川一馬の招待で、山奥の豪邸に集まったさまざまな男女。作家、詩人、画家、劇作家、女優など、いずれ劣らぬ変人・奇人ぞろい。邸内に異常な愛と憎しみが交錯するうちに、世にも恐るべき、八つの殺人が生まれた!不連続殺人の裏に秘められた悪魔の意図は何か?鬼才安吾が読者に挑んだ不滅のトリック!多くのミステリ作家が絶賛する、日本推理小説史に輝く傑作。第2回探偵作家クラブ賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 戦後間もない田舎の豪邸に招待された癖のある人達。そこで事件が‥。人物一覧を自分で作らないとついていけなかったが、論理的で読み応えあるミステリーで大満足。かわいい探偵が少ししか出番ないのが惜しい。クリスティーのあの話を思い出した。

    • ポプラ並木さん
      111108さん、共読です。
      坂口安吾作品、これが一番面白かったです。
      人物相関図を見ながら犯人誰?とがんばったけどダメでした。
      男尊女卑の...
      111108さん、共読です。
      坂口安吾作品、これが一番面白かったです。
      人物相関図を見ながら犯人誰?とがんばったけどダメでした。
      男尊女卑の描写が若干嫌でしたが、時代を感じる作品でした。
      クリスティーの作品で何かと似ているんですね。何だろう?

      2022/12/25
    • 111108さん
      ポプラ並木さん、コメントありがとうございます。

      安吾の有名だけど未読だった本作を読めて嬉しいです。まだ他にもミステリー書いてるのですね。読...
      ポプラ並木さん、コメントありがとうございます。

      安吾の有名だけど未読だった本作を読めて嬉しいです。まだ他にもミステリー書いてるのですね。読んでみます♪

      クリスティーの作品で思い出したのは‥ネタバレになるかと思いましたが、ポプラ並木さんはもう読まれていて大丈夫ですね。
      作品の肝となる事で男女逆の設定ですが、ポアロ最初の話やポアロシリーズ最長編のあの話です。
      この作品では男尊女卑の描写で今なら完全にDVでダメなのですが、それもミスリードというか犯罪隠蔽工作だったのだと思うとミステリー的には上手いと思いました。
      2022/12/25
  • 坂口安吾さんの作品は初…これから読んでいいのだろうか?

    クセのある人達が都会から離れた邸宅に集い、殺人事件に巻き込まれていく。数ページ読んだ時点で二十人近くの人が出てきて、関係が嫌らしく絡み合っている。

    人の関係が乱れ過ぎているので、そこだけで読む人を選ぶと思う。
    上記で書いた通り人が多いのだが、個々の人を最後までどんな人なのかわからないまま深く掘り下げないまま終わるのも辛い。

    読んでいてやはり「犯人当てゲーム」という印象が強くなる。(それはそういう作品なので仕方がないとは思うのですが)
    ちょっと体調不良が続く中での読書だったため、頭も働かず馴染めぬまま読み終えてしまった。推理モノはやはり肌に合わないのかもしれない。読んだ時に本筋のトリックよりも余分な描写(たまにトリックに紐づくケースもある)に目がいってしまう。

    作者の位置付けからして、大きく話題になった作品であること、推理小説に対する想いから生まれた探偵像など解説を読んでようやくちゃんと理解したような気がする。

  • 戦後まもない頃、山奥の豪邸に集まった作家や画家や女優などなど。そんな彼らの間で次々と殺人が起こります。いったい誰が、どんな動機で、どのようにして行ったのか。探偵小説愛好家だった純文学作家・坂口安吾による推理小説の名作。

    多人数でてきますが、個性の強いキャラクターばかりでした。アクやクセが強く、変人とくくってしまえそうだったりする人たちしかいません。そして彼らの関係が痴話がらみでフクザツです。そんな異様な小世界を設定したからこそ、8人も殺されるこの「不連続殺人」の、大いなるトリックを物語の中に隠せたのだと思います(このあたりは、巻末のふたつの解説と本文の読後感とを照らし合わせたうえでの感想です)。

    謎を解くキーワードは、「心理の足跡」。作者は、自ら紙の上に出現させたキャラクターの心理造形、そして動き出した彼らの心理追跡に余念のないなかでトリックをこしらえていて、ネタバレになってしまいますが、その心理操作の破れを、巧みに流れさせたストーリーに隠して、解決編でそこを持ち上げてみせるのでした。

    推理小説って、読者にわからせないために、合理性だけでは明かせない作りになっている、と解説にあり、僕はほとんど推理小説を読まないけれども、それでも思い当たりはするのでした。そこに、作者のズルさがあるのです。それが性に合わない人が、推理小説を手に取ることをしないのかもしれない。

    女性キャラクターは性的な魅力にあふれる人ばかりが出てきます。これは、女性礼讃的な作者の性格がでてるんじゃないのかな、と思ってしまいました。

    というところですが、以下におもしろかったセリフを引用します。

    __________

    「然しなんだね。矢代さん。あなたは、どう思うね。人間はどういつもこいつも、人殺しくらいはできるのだ。どの人間も、あらゆる犯罪の可能性をもっている。どいつも、こいつも、やりかねない」(p94)
    __________

    →何人か集ってなんやかやすれば、各々の心理に他殺や自殺の動機が疑われないことってないんだと思います。これは以前、西加奈子さんの『窓の魚』を読んだときに感じたことでもありました。

    __________

    「ともかく、田舎のアンチャン、カアチャンの犯罪でも、伏線、偽証、却却<なかなか>額面通りに受け取れないもので、必死の知能、驚くべきものがあるものですよ」(p232)
    __________

    →これ、ほんとにそうです。こっちが侮っていたような相手が、裏で、真似できないくらい高等な細工を弄していたりする。それも、最初から言葉でぜんぶ論理を組み立てていくっていうのではなくて、あるときに閃くみたいにして感覚的に勘所がどこかをみとって、そこから柔らかく論理を編んでいっている感じだったりします。僕自身も、論理の組み立てはそういう田舎のアンチャン的要素ってけっこうあるような気がします(まあ、そもそも田舎人でもあるし)。バックグラウンドとしての知識はないのに、日常の知性だけでぽんと飛翔するみたいなのってあります。それはそれとして、人間の「必死の知能」って、こりゃかなわん、ってくらいすごいものが出てきてたりするものですよね。

  • 読友さんが読みたいと言っていた本、何故だか気になってしまって先に読んでしまった。うむっ、壮絶な正統派ミステリー作品だった。多分これまでの読書人生の中でも一番の正統派。昭和23年発表、殺人が次々と行われ、8人が殺害される。歌川多聞をはじめ、歌川家にまつわる男女関係は破廉恥すぎる。そこに小説家、弁護士、刑事、看護師、歌川家に住む面々が登場。全員怪しい。自分の推理は完全に坂口安吾の餌食に。。。魅力ある女性陣、バカな男性陣の対比が際立つ。犯人はそう来たか!つい唸ってしまう、が、ラストの犯人には潔さを感じた。

    • ポプラ並木さん
      ゆうママさん、お帰りなさい。まず、患部の痛みは夜あたりから本格的になります。患部の痛みが強い時はロキソニン、カロナールがいいみたい。自分はロ...
      ゆうママさん、お帰りなさい。まず、患部の痛みは夜あたりから本格的になります。患部の痛みが強い時はロキソニン、カロナールがいいみたい。自分はロキソニンを飲みました。ファイザーでしたよね。だったら自分のモデルナよりは副反応は小さいかも。

      不連続というのは、いい質問です。これは答えてしまうと、ネタバレになりますので、ちょっと言えないな、笑。

      赤川次郎さん、セーラー服と機関銃はとても面白かったですよ。それ以外は未読です。三毛猫ホームズも読んでみようかな?と思います。言いましたっけ?自分は猫嫌いです。小説の中では楽しめるんですよ~
      2021/08/07
    • アールグレイさん
      ファイザーではなく、モデルナです。シールに小さく印字されていました。え~っ!どちらが反応強いんですか?憂鬱だ~
      (>ω<)
      ファイザーではなく、モデルナです。シールに小さく印字されていました。え~っ!どちらが反応強いんですか?憂鬱だ~
      (>ω<)
      2021/08/07
    • ポプラ並木さん
      副反応強いのはモデルナです。。。自分と一緒。そろそろ腕痛いでしょ。2日間は安静にね。
      副反応強いのはモデルナです。。。自分と一緒。そろそろ腕痛いでしょ。2日間は安静にね。
      2021/08/07
  • ほとんど推理小説を読まないので、新鮮に読めた。
    登場人物がとても多いのだが、相関関係がハッキリしていたので割りとすんなり頭に入った。フリガナがないのには閉口した。
    探偵小説であるからには犯人を予想したいと思って、全員の名前をつらつら書き出して楽しんだ。ぜんぜん当たらなかったが。
    差別用語や男尊女卑もまったく気にならず、ブラックユーモアとしてふつうに楽しめた。
    坂口との相性は良いので、また次も読みたい。

  • 総勢35名のワケアリ男女が繰り広げるハチャメチャ奇想天外事件に翻弄されっぱなし。
    不連続殺人というカモフラージュ戦法でとても難解でしたが、ラストはかっこよくまとまっていて、読後感が最高です。

  • 坂口安吾が初めて書いた推理小説で、雑誌連載された作品。連載時には読者への挑戦として真犯人当て懸賞金が掛けられたという(ちなみに正解者は4名で、安吾が自腹で支払ったそうだ)。

    歌川家という資産家の一族がいる。1年前に当主の多門の妻、梶子が亡くなり、その法事を行うことになる。
    多門とは旧知であり、その息子の一馬とも友人である作家の「私」(矢代)は、一馬に頼まれて、歌川家で一夏を過ごすことになる。「私」の妻・京子は、一馬の異母妹である加代子と旧友であったため、病気の彼女の無聊を慰めてやってほしいというのだ。
    一方、一馬は妙な手紙を受け取っていた。
    お梶さまは誰に殺されたか。
    すべては一周忌に終わるであろう。
    憎しみも呪いも悲しみも怒りも。

    「私」は、妻と共に、元弟子で今は探偵をしている巨勢も伴って歌川家を訪れることにする。
    だが、その夏、歌川家にやってきたのは彼らだけではなかった。
    ぞろぞろと大勢がやってくる。口々に一馬に手紙で招かれたというが、当の一馬はそんなものは出していないという。
    大勢がひしめき合う田舎の豪邸で、ついに第一の殺人が起こる・・・。

    安吾はなかなかの探偵小説好きだったようで、好きが高じて自分でも書いてみようと思い立ったようだ。どうせなら本格推理=パズラーで、かつ誰にも真相が当てられないものを、と意気込んで生まれた作品。
    とにかく登場人物が多くて面食らう。そしてその人間関係が異常に入り組んでいる。「私」の妻の京子は多門の元・妾だし、一馬の妻あやかは招かれざる客の土居光一と以前同棲していた。一馬が気にしている異母妹の加代子は実は一馬を慕っている。
    作家・芸術家が多いのも特徴で、仏文学者の妻は女流作家、劇作家の妻は女優、他に流行作家に詩人に画家といった具合。で、それぞれが乱倫というか、結婚していても浮気相手がいたりとややこしい。あいびきはあるわ、派手な喧嘩は起こるわ、激しい。
    20人を超える主要登場人物のうち、何と8人が殺される。
    途中からは警察も介入してくるのだが、殺人は続く。いや、いい加減止めろよ、と思うのだが、犯人はなかなか尻尾をつかませない。
    最後の最後に、探偵・巨勢が、犯人の残した「心理の足跡」を手掛かりに、真相を語り始める・・・。

    いや、なるほど。そうきたか。
    実のところ、この舞台設定そのものが本作の鍵だったともいえる。
    ガチャガチャした雰囲気に飲まれて何となく読んでいると、真犯人の不自然な行動をつい見落としてしまうのである。
    真相、そしてその陰の動機は意外にシンプルなものなのだ。
    でもこれ、当てた読者は偉いと思うなぁ・・・。

    現行の角川文庫には、昭和49年の高木彬光の解説と2006年の法月綸太郎の解説がつく。
    高木の処女作「刺青殺人事件」は、第2回探偵作家クラブ賞で安吾の本作に敗れたのだそうである。そんなこんなの安吾との因縁話がなかなかおもしろい。

    乱倫もどうかとは思うが、不美人とかセムシとか不適切な表現が多い点は時代を感じさせる。いや、時代だけの話でもないのかもしれないが。
    安吾、今ならどんな作品を書くのかな。現代は安吾にはいささか窮屈かもしれない。

  • 現在の「推理作家協会賞」の前身にあたる「探偵作家クラブ賞」第二回受賞作品。

    名前だけは知っている「傑作」は一通り読んでおこうと思って、手に取った。

    犯人も動機も犯行手順も全く想像外。

    作中の探偵が「心理の足跡」と呼ぶ、推理のキッカケとなる点は、指摘を受けた後だと、なんで気付かなかったんだろう、と思うくらいシンプルな手掛かりだった。

    戦後僅か2年で、こういう作品が世に出た、という点も意外だった。

  • 大学生のときに初めて読んだ。
    犯人は割と早い段階でわかったが【※非公開メモ欄へ】
    タネを承知で久々の再読、それもまた愉し。

    詩人・歌川一馬に招かれて屋敷に集った文化人たちだったが、
    人間関係は複雑に入り組んでいて、いがみ合う者同士も。
    一馬宛てに犯罪予告とも受け取れる手紙が届いた上、
    小説家・矢代寸兵とその妻・京子への招待状は、
    一馬の手を離れた後、何者かによって一部が改竄されていたことも判明。
    翌日から次々に殺人が起こる。
    矢代は一連の事件を
    複数犯の別個の動機によって散発した「不連続」殺人ではないかと考えるが、
    弟子の巨勢は、
    犯人がそう捉えられるのを見越して行動しているに違いないと語る。

    とにかく奇人変人揃いで、元妻とか愛人とか、
    普通、招ばれたって出向かないであろう人々が
    平然と一堂に会してしまう設定が変(笑)
    でも、芸術家・文化人なんて一般常識を超越した人々ですから、
    そういうこともアリでしょうよ、というエクスキューズが付いているし、
    現実にそんな世界の一員であった作者が
    自虐的なトーンで滑らかに筆を走らせていた様を想像するのも楽しい。
    岡目八目な名探偵、
    蚊帳の外の存在である巨勢くん(綽名は「博士」だがファーストネームは?)が
    イイ奴で、物語の毒々しさを和らげている。
    ……あれ、Wikipediaの映画版のページを見たら
    役名もそんまんま「巨勢博士」になっているけど、
    もしかしてフルネームは「こせ・ひろし」なの??(違うよね)

    で、実はまだ映画を観ていないんですが、2012年にDVDが出ていたんですね。
    これを買うか借りるか――うーむ。

  • 坂口安吾が書いたミステリー小説。山奥の豪邸に複数の男女が集まり、面子はどいつもこいつも変人ばかり。あっちとこっちがくっついて、こっちとあっちがかつての恋人で、惚れた腫れたの大不倫祭り。ようみんな集まってくれはったな~。さあパーティーの始まりですよ~。
    集まった大人たち「ΩΩΩ<わーい!」
    そして惨劇のショーは幕を開けるのだった……。

    いやにしても登場人物が多い。多いだけならいいんだけどそれぞれが絡み合うように繋がっている上、最初の方でドドっと紹介されるので何がなにやら。読み進めていくとクセが強い性格が分かってくるのだけど、のんびりしてるとひとりまたひとりとテンポよくぬっ殺されていくので、情緒がまったく追いつかない。なんていうか全体的にテンポが良すぎて劇画っぽいです。妙に軽いというかなんというか。軽いのに人物は入り乱れていて、「読みやすいのに、ごちゃごちゃしていてわかりづらい」という不思議な体裁になっています。

    真相はかなり論理的に、それでいて明かされてみれば単純明快。本格ミステリが好きな人に愛好されてるのもわかるなあ。でも探偵が自分の落ち度を話す場面では「いや、さすがにそれはねーよ!犯人わかってるんなら放置すんなよ!」と思いました。犯人を泳がせて、結果的に死人が増えるって展開ミステリー小説を読んでるとまあまあ見かけますが、殺人幇助罪にならんの?それ。

    あと、なんでしょう、坂口安吾の他の作品も読んでいるので感じることですが、意図的に作中で登場する人物たちの命が「軽く」扱われている気がします。時代背景とか関係なく。そこら辺で好みが分かれるんじゃないかな、この小説。個人的にはミステリー小説としては好きな部類ですが、”坂口安吾作品”としてはさほど刺さらなかったな。今のところ坂口安吾に求めているのは、もっと異常なくらい美しく研ぎ澄まされた「文章」なので。

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著者プロフィール

(さかぐち・あんご)1906~1955
新潟県生まれ。東洋大学印度倫理学科卒。1931年、同人誌「言葉」に発表した「風博士」が牧野信一に絶賛され注目を集める。太平洋戦争中は執筆量が減るが、1946年に戦後の世相をシニカルに分析した評論「堕落論」と創作「白痴」を発表、“無頼派作家”として一躍時代の寵児となる。純文学だけでなく『不連続殺人事件』や『明治開化安吾捕物帖』などのミステリーも執筆。信長を近代合理主義者とする嚆矢となった『信長』、伝奇小説としても秀逸な「桜の森の満開の下」、「夜長姫と耳男」など時代・歴史小説の名作も少なくない。

「2022年 『小説集 徳川家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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