堕落論 (角川文庫)

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著者 : 坂口安吾
  • 角川書店 (2007年6月23日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041100202

作品紹介

「人間は堕落する。義士も聖女も堕落する。それを防ぐことはできないし、防ぐことによって人を救うことはできない」第二次世界大戦直後の混迷した社会に、戦前戦中の倫理観を明確に否定して新しい指標を示した「堕落論」は、当時の若者たちの絶大な支持を集めた。堕ちることにより救われるという安吾の考え方は、いつの時代でも受け入れられるに違いない。他に「恋愛論」「青春論」など、名エッセイ12編を収める。

堕落論 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 「人間は生き、人間は堕ちる。そのこと以外の中に人間を救う便利な近道はない。」

    すごい。面白い。
    この作者のすごいところは身の回りや歴史上の人物・事件をバサバサと自分の想いで論じときには切り捨てながらも、どうしようもなく愚かで狡猾で「アンポンタンな」人間への愛情に溢れているところだ。不完全で小狡い人間を、それゆえに真っ当になりたいと思う人間を愛し、称賛しているからだ。
    だからこの方の文章は温かい。いうなれば世俗にまみれた温かさだ。坂口安吾という人物に会ってみたかった。そう思わずにはいられない。

    「暑い」とか、「歯が痛い」とかで本気で癇癪を起こし、それを原稿に書いてしまうのに思わず笑ってしまった。チャーミングな方だ。

  • 難しいが読みごたえがあってこれぞ読書!と感じさせる作品。13作品が収録されている。一部の作品は私が無知で、批評している作家のことや時代背景の知識が不十分なところがあり、十分に理解できなかったところがある。しかし、他の作家を批評する場合にも、現代では作家間の関係性など、大人の事情があってここまで辛辣に批評できるのだろうかと感じた。
    私は、日本文化私観という作品に特に感銘を受けた。筆者は「見たところのスマートだけでは真の美にはなりえない」と述べている。つまり、人々の魂がやどるものにヒトは美を感じるのだ。本文にある具体例からまとめると、月夜の景観に代わって、ネオンサインが光っているという状況もそこに人々の生活が真に存在するならば、美しいと感じるということだ。つまり、真に必要ならばなんでも美しいし、文化になりうるということだ。
    私はこのことに加えて、同じものでも見かたによって必要性の感じ方に違いが出るということを提案したい。例えば、私たちが、ネオンサインに美を感じないとき、ネオンサインは、私たちにとって必要ない状況であるといえる。一方で、飛行機に乗っていて夜景をみるとき、街の光(ネオンサインも含めて)を美しいと感じる。これは、そこに人々が生活している証としての光と感じ、人々が生活するために必要なものだと私たちが無意識に感じているからだ。景観を意識した街づくりが近年注目されていて、どのように美を形成していくかということが検討されているが、人々にとって真に必要なものならばおのずと美しい街づくりが実現できるのではないだろうか。真に必要なものを形成することが困難なことではあるのだが。
    また、筆者は法隆寺もヒトがいるから寺があり、必要なかったら焼いてしまえばよいと述べている。私はこの言葉から、日本固有の文化というものが現存しているのか、頑なにそれを守ることが本当に必要なのか検討することも今後出てくるのではないかと感じた。

    次に表題の堕落論について少し述べる。人間だから堕ちるのであり、堕ちきって初めて変わることができるというのが主旨だと感じた。この言葉から、私は、人間は戦争や目先の利益にくらんだ争いをやめることができない。それは人間はまだ堕ちている途中で、どこかで変わることができる可能性を秘めていると拡大?解釈した。と、同時に私が生きている間には人間が堕ちきることはないとも感じた。

  • 強い。全体的に。
    この考えになれますかと聞かれると、なれないと思います。
    だからこそ、人々から憧れの眼差しで見られるのではないでしょうか。
    そして自分の弱さを確信する本。

  • 私には難しくて理解しきれないところも多いけど、『不良少年とキリスト』はすごく好き。
    何度でも読み返したい。

  • 一読だけではわからない部分が多かったので、少し時間を開けてまた読みたい。

  • 【状態】
    展示中

    【内容紹介】
    「人間は堕落する。義士も聖女も堕落する。それを防ぐことはできないし、防ぐことによって人を救うことはできない」第二次世界大戦直後の混迷した社会に、戦前戦中の倫理観を明確に否定して新しい指標を示した「堕落論」は、当時の若者たちの絶大な支持を集めた。堕ちることにより救われるという安吾の考え方は、いつの時代でも受け入れられるに違いない。他に「恋愛論」「青春論」など、名エッセイ12編を収める。

    【キーワード】
    文庫・エッセイ・恋愛・青春



    ++++1

  • 青空文庫で読んだ「不良少年とキリスト」に感動して、紙の本でも欲しいと思い購入。カバーがアニメのものになっていたことが不満。知識不足もあり理解できない話が多々ありましたが、面白い考えを持った人だなと思いました。やっぱり紙媒体で読んだ方が心に直接響いてくるような感動があって好きです。

  • 最初の一ページ目で時代背景的なところで挫折し積んでから読み終わるまでかなり時間かかってしまった。
    青春論のはずなのになぜか宮本武蔵の剣法の話が出てきたり(ここがとても面白くてまたバガボンド読みたくなった)、主題と関係なさそうな話から自分の言いたいことへ収束していく感じが面白かった。今パッと出てこないのだけど、この言葉は自分に留めておきたいとか、もっと早く出会っていれば楽だったと思えるような考え方がいろいろ詰まっていた。
    とても稚拙なレビューでお恥ずかしい限りです。

  • やはり時代が違うので、中々についていけない部分もあるけれど堕ちきった先に新しい何かが見えてくるというものはある意味普遍的な考え方でもあるし、今の時代にも何かが見えてくるのではないかという気もする。
    太宰の下りは、この人は本当に彼のことを好いていたのだなとわかる胸にじんわりとくる文章だった。

  • ー坂口安吾ー
    笑っているのは常に十五六、
    十六七の娘達であった。
    私は焼野原に娘達の笑顔を探すのが
    たのしみであった。

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