明治開化 安吾捕物帖 (角川文庫)

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  • 角川グループパブリッシング
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本棚登録 : 684
レビュー : 60
  • Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041100219

作品紹介・あらすじ

文明開化の世に次々と起きる謎の事件。それに挑むのは、紳士探偵・結城新十郎とその仲間たち。そしてなぜか、悠々自適の日々を送る勝海舟も介入してくる……世相に踏み込んだ安吾の傑作エンタテイメント。

感想・レビュー・書評

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  • 短編集。
    テイストがバラエティーに富んでいて、複数の本を読んでいるような異なる読みごたえ。
    時代背景が明治ということもあるだろうが、国や法制が固まりきっていない時代だからこその事件が多く監視社会に生きる現代人が読めば「こんな抜け道あるはずないじゃん!」っておもわれるこどが沢山。
    でも、よく考えればそうなんだ。スマホに情報を吸い上げられることもなく、監視カメラに姿が映ってしまうこともなく、完璧な戸籍とマイナンバーで身元が証明されている時代じゃないんだから。たかが100年。されど100年。
    あと100年たったらなにがどう変わってるんだろう?

  • 明治開化 安吾捕物帖(角川文庫)
    著作者:坂口安吾
    角川グループ パブリッシング
    タイムライン
    http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698

  •  角川ではなく、富士見書房なんだけどこちらで登録。
    話の空気は横溝っぽいのに、探偵は小五郎のよう、と読んでいたけど、やはり金田一に似てるダメな感じ。
    犯人を自殺させちゃったり、逃がしちゃったり。
    「ぼくがもっと早く気がついていれば!」(映画の金田一だけど)と言うかと思った。
    勝海舟はなんで出てくるんだろう?(それを言ったら虎ノ介も花廼屋も)と思っていたけど、読者代表なのかな。勝先生が犯人を口にすると「あ、やっぱりそれじゃないんだ」と思う。
    そして、犯人は外しても勝先生の一言はピリリっとくる。

    「完璧なるものといえども敢えて恐るるには当たらないということは、兵法、経済等のことに於いても真相だよ」
    「運命というものは、在るような、また、ないような、あまり当てにはならないものだ。」
    「律儀や忠義をやるにしても、実役にたつことをやるがいいや。こういう役にも立たぬ律儀が万事につけて無役な悲劇をい生むものだ。私もそれをやります、と虎の顔にも書いてあるぜ。血相変えてシクジリをやらかして、忠君愛国と称し、仁義孝行と号して、地獄へ落ちると書いてある。」

    勝海舟が出て来ない最後は締まらないなあ。

  • “捕物帖のことですから決して厳密な推理小説ではありませんが、捕物帖としては特に推理に重点をおき、一応第二段に推理のタネはそろえておきますから、お慰みに、推理しながら読んでいただいたら退屈しのぎになるかも知れません。作者はそんなツモリで捕物帖をかいているのです。第三段の海舟が心眼を用いるところで本をふせて一服しながら推理することに願います。海舟は毎々七分通り失敗することになっていますが、今までの探偵小説では、偉い探偵の相棒にトンマな探偵が現れて大マチガイの推理をはたらかせてあんまりバカすぎたようです。よんでいる方でも、自分の推理が当たらないと、トンマな探偵氏と同じようなトンマに見えて自分がイヤになるのが通例ですが、海舟という明治きっての大頭脳が失敗するのですから、この捕物帖の読者は推理が狂っても、オレもマンザラでないなと一安心していただけるでしょう。そこでメデタシ、メデタシ、というのが、この捕物帖です。”[P.5]

    アニメ「UN-GO」を見た影響で。

    “今日は、彼の他にもう一人妙なヤジウマが早朝から詰めかけている。お梨江である。朝の新聞で紳士探偵出馬の記事を読んだから、私も探偵の心眼を働かして犯人を捕まえてあげましょうというので、馬にまたがって早朝から乗りこんでいる。新十郎の書斎へ詰めかけて、
    「あなた、お馬にお乗りにならないの」
    「乗りますけれども、馬を持っておりません」
    「じゃア、人形町のような遠いところへ、どんなもので、いらッしゃるの?」
    「歩いて参ります」
    「アラ、大変。私、お馬を持ってきてあげるわ」
    「ところが、連れがありますので、ぼくだけというわけに参りません」
    「存じております。気どり屋の通人さんに、礼儀知らずの剣術使いでしょう」
    「ほかに古田さんという巡査がおります」
    「じゃア、四頭ね」
    と言ったと思うと、馬にのって駈け去る。やがて馬丁と四頭の馬をひきしたがえて、戻ってきて、庭木へ一頭ずつつないでしまった。”[P.93]

  • 明治開化の時代に起こる、奇怪な事件を扱った捕物帖。なんとその事件を推理するのは勝海舟。……しかし、解決はしません(笑)。事件の奇怪さもさながら、ユーモラスな読み口も魅力です。
    お気に入りは「万引一家」。金持ちであるはずなのに万引きを堂々と繰り返す母娘の謎から暴かれる、恐るべき事件の謎。家系にまつわる因縁や過去の事件等気にかかる要素はいっぱいありながら。まーったく真相は見抜けませんでした。マンザラではないと安心できるレベルじゃありませんよ……。
    「覆面屋敷」もどっぷりと雰囲気のある物語と、どろどろした人間関係が絡んだ重厚な一作。そして予想外の真相でした。

  • ミステリとしてはちょっと肩透かし感があるし、メインキャラも数人いてしかも個性的なメンツなのに活かしきれてない感じがあるので全体的にちょっと勿体無いかなあという感じ。
    でも当時にしては斬新だったのかもしれないけど…。
    純文学系の作品や、不連続殺人事件が面白かったので期待値があがってたのかもしれない。

  • 複雑ではないトリック。
    でもなんだかわけがわからない感じの終わり方も含まれている。
    あきらかに伏線が張られているのに、なんか新十郎の推理が中途半端な感じで終わるものがあり。
    特に「石の下」タイトルとその意味が珍しくて頭に残るんだけど、さんざん描写は長くて深いんだけども、謎解きの部分と勝海舟の最後の部分が異常に短い。
    ものすごくなんだか消化不良な感じがする。
    真珠のやつもちょっとそうかなぁ。。。で?!みたいな。
    これ、買ったんだけど、実は青文で読めたのね。。。安吾。。

  • 一話読み切りの短編集。書かれたのは戦後だが明治開花の雰囲気が味わえる感じ。探偵もので毎回話には関係ないが勝海舟が出てくるのも面白い。

  • 白痴の母の上京でもそうだったけれど、本人たちは真面目なのに思わず笑ってしまうところがあるのがほんとにいい。
    虎之助、勝海舟の推理をまるっとパクってドヤ顔、ってのが楽しくて!で結局間違ってたことを報告に行って、勝海舟の負け惜しみとも思える言葉の数々を感服した面持ちで聞いている虎・・・最高・・・もう映像で再現するとコントみたいで・・・。
    結局事件を解決する探偵は別にいるわけだけど、でも勝海舟のシーンがあるから全体がしまるんだよ~さすがです。

    姑と小姑の万引きの理由が予想外だった万引一家、親友を思うあまり殺人を起こしてしまった時計館の秘密、そして存在しない人のために生きなければならなかった青年を描いた覆面屋敷、が、特に好きでした。

  • ミステリとしては、ちとツライ。が、執筆時の昭和25年からみた明治時代の描写と語り口が面白い。水天宮の縁日の賑わいや、四谷の貧民窟の有り様などを興味深く読んだ。

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著者プロフィール

1906年、新潟生まれ。評論家、小説家。おもな著作に『風博士』『堕落論』『白痴』など。1955年没。

「2019年 『復員殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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