星やどりの声

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  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 1602
レビュー : 300
  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041100356

感想・レビュー・書評

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  • 朝井氏はうちの息子とほとんど変わらない歳なのに、半世紀生きてきた人間をここまで号泣させるこの創造力と筆致力…まさに「何者?」

    家で一人の時で本当に良かった。本を読んでちょこちょこ泣くことはあれど、これはすっかりこの物語の世界に引き込まれてしまって大変だった。

    琴美が「来ないで、お父さん」とお父さんの言葉を聞きたくなかった箇所で同化してしまい、お父さんの言葉を読みたくなくて遠ざけたくて、本当に号泣してしまった。なかなかその数ページは先へ進めなかった。
    (同じ長女として実体験で共感したというわけではない。むしろ実の両親はこういう愛情のある人達ではなかったので、単純に物語に入り込んで同化しただけ)

    みなさんのレビューに「一人の時に読むべし」と書かれていたことに気付いていなかったのだけれど、本当にたまたま一人で読んでいて良かった。

    ★が一つ少ないのは、クライマックスへ至るまでに、残念ながら前半ではちょっと言葉を練り過ぎている感じがして白けてしまったのと、ユリカが歩くたびにカラカラ音がする原因が私にはわからなかったことから。

  • これすきだ。朝井リョウすきだ。

    2冊目の朝井さんでしたが、よかった。とてもとてもよかった。
    すきな作家さんが増える喜び。読みたい本がまた増える喜び。
    読みたい本がまた増えてしまっても、すぐに読めないもどかしさ。
    もろもろありがとう朝井さん。笑

    長男光彦が叔父と姉に「何だお前か」というセリフを数十秒の間に2回も言われたと嘆く場面で落ちました。

    兄弟姉妹がそれぞれ亡くなった父を想い物語は進みますが、それを読んでいくうち本当に素敵なお父さんだったのだなあと感じさせてくれる。
    最後の悪あがきで家族がひとつになるのもいい。
    ああ、家族っていいなあ。

  • 海の見える町に住む三男三女母ひとりの早坂家は、純喫茶「星やどり」を営みながらささやかに暮らしている。家族それぞれが悩みや葛藤を抱えながらも、母の作るビーフシチューに心を和まされ、穏やかに日々を過ごしていた。ある夏、早坂家に亡き父が残した奇跡が起こる。

    上は既婚で宝石店の販売員から下は小学6年生まで、早坂家の6人の子供たちがそれぞれ主人公になって6つの物語を紡いでいく。著者の朝井リョウらしい瑞々しい感性に彩られた物語は、主人公の年相応の悩みや感受性を織り交ぜながら展開する。しかし6つの物語を読み終えると、今まで私が読んだ著者の作品にはない、「家族」が醸し出す温かさで心がいっぱいになった。早坂家は数か月前に父親をがんで亡くしている。それ以来家族の中心がぽっかり空いてしまい、早坂家は皆、同じ喪失感を共有している。父親はもはやこの世に存在しないにもかかわらず、物語の中で大きな存在感を示している。6人の子供たちを描くことで、自ずと今は亡き父の姿が浮かび上がってくる。物語のラストでは、父が遺した家族への愛が明らかになり、私は強く心打たれた。「家族」という決してほどけることのない結びつき、つまり“絆”そのものを描いた優しさ溢れる物語だった。

  • 朝井リョウくんの作品を読むのは3作目。このお話とっても良かったです★父を亡くした三男三女と母の家族の物語。『桐島、部活〜』の時のように一人ずつの子供の視点で各章描かれていきます。それぞれ色んな悩みがあり、父への思いがあり、心理描写が上手く描かれています。真歩の章のハヤシくんのところや、小春の章の佑介くんの曲のところも泣けましたし、最後の琴美の章はめちゃくちゃ泣いてしまいました(/ _ ; )涙が溢れて止まりませんでした。琴美の旦那さんの孝史さんも凌馬も良かったです!とても素敵な家族で温かい作品でした♡

  • 建築家の父が遺した喫茶・ほしやどり。
    三男三女の早坂家が、それぞれの視点から、亡くなった父親への想いと進んでいく家族の姿を描いていく。

    はじめましてな朝井さん。この手の話に弱いのでところどころで泣きそうになった。兄弟それぞれキャラがたってるし兄弟らしい距離感が微笑ましい。幼なじみのあおいちゃんはほんとよくできた子。長男光彦はもうちょっとしっかりしてください。
    軽くて読みやすい文章ながら、それぞれの特徴がでていてよかった。重箱の隅だけど、一人称の語りでするする読んでいけるのに唐突に三人称になるところがところどころあって非常に気になったんだけどこれって伏線ってことだったんだろうか。

  • この本はあたしにとっては涙腺破壊装置だった。
    1章を読み終えたところで目の周りがびしょびしょになってて自分で吃驚だ(笑)。
    夜寝る前でホントによかった。

    早坂家の家族の絆ももちろんのこと、
    あおいちゃんの存在、真歩の頭に置かれた大和さんの掌、
    小春に対する佑介くんの優しさ、松浦さんと新しいイヤフォン、
    ブラウンおじいちゃん、孝史さん…
    棘になる人も存在しつつ、周りを囲む人たちの暖かさをじんわり感じる物語だった。

    お父さんに繋ぎとめられている家族。
    ともすればお父さんに縛られている家族。
    その境目はとても微妙で危うくて、武内さんの登場で壊れかけるんだけど
    最後の最後でFMのリスナーさんが、佑介くんの作った歌が
    『星やどり』を、早坂家を救ったんだな、という気がする。
    お気楽な読者の立場としては店を続けてほしいなーなどと思うんだけど。

    素直にいい話だった。
    泣きたくてどうしようもないときにこの本を読み返したい。
    案外逆に涙が引っこんじゃうかも。

  • 2013.2.8 市立図書館

    家族の物語。
    やさしくて、あったかくて、うつくしい。

    装丁のデザインもタイトルもピッタリ。

    長女琴美の章で、完全にやられた。
    これずるいわ~(笑)

    展開を予想してても涙とめられなかった。

    最高に感動できるのが「いま」だったんだろうな。
    琴線に触れる本に出会う時は、その時がいつもベストタイミングだと思う。

  • 泣いた。お父さんの気持ちが優しくて温かくて大きくて切なくて。みんなもそれを知ってるから、懸命に家族を守ろうとする。父の背中を追い続けてる。
    家族に対する感情は複雑だ。家族だから怒りたくなるし、家族だから恥ずかしくなるし、家族だから許せないこともある。でも結局「家族だから」のひとことで全部を受け入れてしまう。そういう強さを家族はもってる。それはわたし一人ではダメで、誰かだけでもダメで、全員が揃ってひとつの輪になったときに発揮される力だ。

  • 6人兄弟のそれぞれの視点で語られる、亡き父への想いと残された家族への、それぞれの想い。
    家族だという理由で、全部理解できるワケじゃない。
    けれど、家族だからこそ、理屈ではなく解ることもある。
    6人の兄弟姉妹は、皆どこかしら、私と重なる部分を持っているみたいだ。
    彼ら、彼女らの涙は、私の涙。


    朝井リョウさんの作品を読むのは初めてだけれど、
    海辺特有のキラキラした太陽の光を受けて輝く街並みが目に浮かぶよう。
    星型の天窓から覗く空の色は万華鏡みたいに、様々なものを私たちに見せてくれた。

    最終章、琴美の身に起こる出来事は(本人は隠していても)見え見えで少し引いてしまったけれど、母親や兄弟たちの目から見てもそんな感じだったことを考えると、それを狙ってワザとそういうふうに描いているのかも。
    だとしたら、まんまと乗せられてるようでちょっと悔しいな(笑)

    仕事をする父さんはとてもカッコイイ。
    そして、家族の全員にまんべんなく愛情を注ぐ父親の血をちゃんと受け継いだ兄弟たちの、やさしい物語だった。

  • 朝井作品を読むのは今回で3作目。これは家族ものっていうのかな。

    やはり文章でなんだか引っかかるところは多々あるし(へたに比喩的な表現をしないですっきりした文章にしてほしい)、話の持っていきかたもよくある感じで深みにかけるところはあるが、この作者は時々キラッと光る時がある。

    若者の描写がすごく上手い。自分が経験してきたこと、見て観察したことを表現する時、同年代でなくともその気持ちやその場の雰囲気を感じとれる。

    人生経験を積んでそれを自分の中で熟成させた時、どんな話を書いてくれるか楽しみな気がして、これからも読んでいきそうだ。

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著者プロフィール

朝井 リョウ(あさい りょう)
1989年、岐阜県生まれの小説家。本名は佐々井遼。早稲田大学文化構想学部卒業。
大学在学中の2009年、『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を受賞しデビュー、後年映画化された。
大学では堀江敏幸のゼミに所属し、卒論で『星やどりの声』を執筆。2013年『何者』で第148回直木賞を受賞。直木賞史上初の平成生まれの受賞者であり、男性受賞者としては最年少。『世界地図の下書き』で、第29回坪田譲治文学賞受賞。
その他代表作に『少女は卒業しない』、映画化された『何者』がある。

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星やどりの声 (角川文庫) Kindle版 星やどりの声 (角川文庫) 朝井リョウ
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