- Amazon.co.jp ・本 (492ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041100608
作品紹介・あらすじ
夢を映像として記録し、デジタル化した「夢札」。夢を解析する「夢判断」を職業とする浩章は、亡くなったはずの女の影に悩まされていた。予知夢を見る女、結衣子。俺は幽霊を視ているのだろうか?そんな折、浩章のもとに奇妙な依頼が舞い込む。各地の小学校で頻発する集団白昼夢。狂乱に陥った子供たちの「夢札」を視た浩章は、そこにある符合を見出す。悪夢を変えることはできるのか。夢の源を追い、奈良・吉野に向かった浩章を待っていたものは-。人は何処まで"視る"ことができるのか?物語の地平を変える、恩田陸の新境地。
感想・レビュー・書評
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これはホラー? ファンタジー? SF?
恩田陸作品にはお気に入りもあるんですが~ちょっと遠ざかっていました。
テーマが作風に合っていて、はっきりしない恐怖感がじわじわ漂う雰囲気は上手く書けている印象でした。
ドラマの「悪夢ちゃん」はけっこう見ていたんですが、原作とは思いませんでしたよ。
「獏」という機械が発明されていて、デジタル化した「夢札」によって夢を他の人の目にも可視化できるようになった、という設定は同じ。
予知夢を見る場合がある、というのも同じ。
後はぜんぜん別物で、原案というぐらいでしょうか。
夢を解析する夢判断を仕事としている野田浩章。
「夢札を引く」をいわれる事業は、日本では主に心療内科の治療として、海外ではインスピレーションや啓示を求める人々のアイデアの源泉などとして用いられるようになっていた。
浩章は、図書館で何年も前に亡くなったはずの古藤結衣子の姿を見かけ、幽霊かと思う。
兄の婚約者だった結衣子は、子供の頃から予知夢を見ることがあり、災厄を避けることが出来ればと何度かそれを公表していた。
マスコミの餌食になってしまい、しだいに兄とも上手くいかなくなったのだ。
浩章はその頃、高校生だったのだが。
小学校で子供達が奇妙な行動をとる事件が、各地で起きる。
子供達に何があったのか、浩章はその後数日の夢を解析する仕事に携わることに。
とても鮮明な夢を見る少女・早夜香の夢の中には、結衣子の面影が‥?
神隠し事件が起き、消えた子供達を捜して、解析も熱を帯びる。
結衣子が生きているのではと思い始めた浩章だが‥?!
現地へ飛び、数人で子供らに会い、夢を解析し‥
不可思議な状況に直面する様子は盛り上がります。
結末はちょっと急な転調で、え?これハッピーエンド?
いや‥だって‥夢?異次元?それとも‥
この作者は結末ですっきり解決してしまうのが嫌いらしく、読み終わっても悩むようなのが好きらしい。
余韻を残すぐらいなら良いけど、途中ももやもやしているのが、ここでまた?!っていう。
これはホラーってことかなあ。
中盤はじゅうぶん楽しみ、読後感も極端に悪くはないんですけどね。
夢を可視化できたら‥
すばらしいアートを作れるのでは?と思ったことがあります。
思い描いたものをそのまま作品に出来たら、良いなあ!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人が「夢札」を引き、「夢判断」が夢解きをする、夢の可視化が実現した未来。
「夢判断」の浩章は、ある日図書館で、 兄の元恋人で、12年前の火災で死亡した古藤結衣子を見かける。
彼女は幼いころから予知夢をみることができ、その夢札は研究のために提供されていた。
そんな折、各地の小学校で、子供達が集団パニックに陥るという事件が発生。
子供達はその日から悪夢にさいなまれているといい、夢判断の依頼がされる。
事件の当事者である女の子の夢札を見た浩章は、彼女の夢に結衣子の影を見る。
さらに、田舎の小学校で起きた神隠し。
これらの不思議な事件は、死んだ結衣子とどんな関係があるのか。
夢と現実のはざまで漂うかのような不思議な世界観。
夢はどこからくるのか?「夢」と無意識との関係は面白いなと思いました。
ただ、たくさんの方がレビューされているように、少々消化不良でした^^;
残り30ページくらいで、あーたぶん謎の大部分は残されたまま終わるなこれはと思いましたが。
恩田さんは、イメージからストーリーを掘り出すということなので、きっと「八咫烏」や、吉野の桜、最後のシーンのイメージなんかが当初からあって、これらのイメージなくしてはこのストーリー自体が生まれなかったのでしょう。
ただ、こういうイメージが、ストーリーの中でどういう意味を持つのか、読者に伝わる形では描かれていなかったのが残念だなと思いました。 -
面白かった!冒頭から恩田ワールドにぐいぐい引き込まれ一気に読んだ。寝る前に読むと眠れなくなってしまいそうな恐怖を感じた。
でもラストは・・・、え~?これでおしまい?な感じです。
最後に読者を突き放す手法は恩田作品には良くあることなので予想もついたけど、納得できない部分も多数。うーん、惜しい作品。-
vilureefさん、こんにちは♪
はじめまして、九月猫と申します。
たくさんの「いいね」とフォローをいただき、ありがとうございます...vilureefさん、こんにちは♪
はじめまして、九月猫と申します。
たくさんの「いいね」とフォローをいただき、ありがとうございます。
恩田陸さんの作品「怖いよー」と思いながらも
先が気になってどんどん読んでしまいますよね(笑)
ぐいぐい引き込まれて期待が最高潮!なところで、
ラストは「・・・!!」という(笑)
もやもやしたままであったり、ナゾはナゾのままでいいんだ、と思えたり、
作品によっていろいろなのですが、なぜか読み続けてしまう作家さんです。
わたしはまだ恩田作品はたくさん読んでいない(特に新しい作品はまだ全然)ので
vilureefさんのレビュー、参考にさせていただきますね。
もちろん、恩田作品以外のレビューも!
こちらからもフォローさせていただきました。
これからどうぞよろしくお願いいたします♪2013/03/08 -
九月猫さん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
私も恩田作品は王道をあまり読んでないので、偉そうなこと言えないんですよね(^_^...九月猫さん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
私も恩田作品は王道をあまり読んでないので、偉そうなこと言えないんですよね(^_^;)
でも独特の雰囲気が大好きです♪
九月猫さんの本棚、コアな感じがしてとてもいいです!私の手に取らない作家さんをたくさん読んでいらっしゃるので是非参考にさせていただきます。
それにしても、ブクログ仲間さんて猫好きが多い!?たまたまかな。
そんな我が家にも猫2匹います(笑)2013/03/10
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特殊な装置を使って夢を記録し再生することができ、夢を分析する「夢判断」という専門職があるという不思議な設定。をの夢判断職の青年?か壮年期に入ったくらいの男性が主人公。主人公と、ひとりの女性(主人公の兄の婚約者で、十年前に自分が夢で予知した事故で亡くなっている)との不安定な繋がりを暗示しつつ、次々起こる不思議な事柄に恩田さんの世界観が全開で前半はワクワクしながらどんどん読みました。とはいえ後半に入ると、そうかそうだったのか!という、たとえゾクゾクしてもすっきりした読後感を期待していたのですが、それこそ変わった夢だったな~というようなあやふやな感じで読了し少し残念でした。書き下ろしではなく新聞連載だったらしいのでそのせいかもしれないと思ったり、恩田さんだからと期待しすぎたとか思ったり。
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ぞわぞわした雰囲気を作るのがすごくうまい。恩田陸さんのホラー・サスペンスものはいつもそうだ。そして、それだけだなあという感想を持つのもいつも同じ。
恩田作品で一番好きなのは「夜のピクニック」。ホラー系は「六番目の小夜子」をはじめとして、読み進めていく時のワクワクドキドキが常に肩すかしに終わる感があって、納得できない。それでも読む気になるところがうまい人だなあとは思うけど。
本作も、もっときっちりSF的に展開して欲しいけど、そうはならないんだろうなあと思いながら読んでしまった。不穏な気配や不安感を高める書き方はもう本当に巧みだ。でも欲張りな読者としては、その先が欲しいのだ。驚愕の真相、もしくは納得の結末、という形で。
北上次郎さんが恩田陸さんのことを「さわりの作家」と書いていたが、これは言い得て妙だと思う。すごく面白い予告編を見ている感じ、と言ってもいい。本編を読ませてほしい! -
夢判断という職業が存在する近未来。その職業に就いている主人公、浩章が、事故で亡くなったはずの結衣子の姿を見るところから物語は始まる。最初「夢札を引く」の意味が分からなくて検索してしまった。現実ではないのに現実に思わせてしまうほど自然な描き方で怖い。
物語では、予知夢を見ていた結衣子の「生死」への疑問が最後まで続く。それまでに多様な登場人物が現われ、様々な伏線が敷かれるが、すべてが納得のいく解決ではない。岩清水と浩章との腹の探り合いや、神隠し、満開の桜がおどろおどろしい様子など、興味を掻き立てる描写が物語をつないでいく。
新聞連載の期間は2010年5月からの1年間とのこと。その間に未曽有の大震災が発生したことを思うと、終盤の物語展開に関しては著者の苦悩がにじみ出ている気がした。もちろんそのことが書いてあるわけではないのだが、だからこそのあの最後なのかなとも思えた。 -
事件や違和感が1人の人物へと収束していく様に何度もゾクゾクした。
究極のプライバシー、夢。自分や身近な人の夢が可視化できても、私に見る勇気は無さそう。 -
昨秋に放映されたドラマ『悪夢ちゃん』の原案本、というので手に取ってみました。
ドラマとはだいぶ世界観が違うことに驚きましたが、自分としてはこちらの方によりリアリティーさを感じました。
ドラマから入ったこともあるかもしれませんし、『夢』を多少なりとも学術的にかじったことのある身としては、本書の世界観が妙にリアルに感じられ、次から次へと読み進めてしまいました。
しかし最後は多くの皆様が仰っている通り、消化不良感があるのは否めませんでしたが、『夢』という題材を取り扱っているあたり、こういった終わり方もありなのかもしれませんね。 -
夢札、という技術によって人の見る夢を可視化できるようになった時代、白昼の教室で起こった集団白昼夢の事件を追う夢札解析の専門家が出会ったその謎の真実とはなにか。夢札を探りゆくうちに、彼はもう居ないはずのひとの影を見つけてゆく。
夢か現実かがあいまいになっていく、とは作中の人物の言葉ですが、読み手のほうもどこかその境があやふやになって漂わせるような幻想的な雰囲気が満ちています。興味を抱かせる不可思議さの描写は作者は髄一なだけに、この不可思議が満ちた夢の情景はとても魅力的です。
夢札、という技術はかなり空恐ろしく感じたものですが。予知ができなくとも、自分が制御できない自分のうちをさらけだすということは、とても羞恥であり恐怖に思える、のは考えすぎですかね。
結末は、こういうタイプの話ならまあありかなあと思わなくもないですが、もう少しはっきりとした結びをほしかった気がしますが。それもまた作者らしいといえば、そうなのですが。
著者プロフィール
恩田陸の作品





