幾千の夜、昨日の月

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 369
レビュー : 78
  • Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041100660

作品紹介・あらすじ

初めて足を踏み入れた異国の日暮れ、夢中で友と語り明かした夏の林間学校、終電後ひと目逢いたくて飛ばすタクシー、消灯後の母の病室…夜という時間は、私たちに気づかせる。自分が何も持っていなくて、ひとりぼっちであることを-。記憶のなかにぽつんと灯る忘れがたいひとときを描いた名エッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • 夢に出てきた本。
    借りて何かのメリットあるのかな?と思ったら、きちんと
    メッセージがあって、読んで良かったと思いました。
    昼と太陽、金よりも夜と月、銀が好き。
    陰と陽なら陰が好き。


    角田さんの「夜」に関するエッセイです。
    あと「旅」も。
    半分は「旅行日記」 すごいバックパッカー旅行記です。


    静かで懐かしい。通り過ぎて行った幾つのも夜
    物心がついてから、何度見上げただろう月に想いを馳せてしまう。

    これからの人生あと何度 満月を見ることが出来るかな。
    なので満月を毎月楽しみにしています。


    好きなお話は
    「かつて私には夜はなかった」「夜と恋」「出会うのは夜」
    「夜というトンネル」「時間と旅をする」『魂が旅する夜』

    私が一番共感し感動したのが『魂が旅する夜』です。
    きっとこのために、夢にこの本が出てきたんだ、と思えるお話でした。

    入院中は患者の魂は半分体から抜けていて、「ここ」ではない
    「ここ」にいる、という不思議な感覚が病棟の夜。
    反対に医師や看護師は、そんなにふわふわしていない
    足がどっしりと地についていて大きな木みたいな感じ。

    こういう感覚、思っているのが自分だけでないというのが分かってうれしかった。

  • 夜についてのエッセイ。
    初めて徹夜をした林間学校の夜、生まれたばかりのような月を見た砂漠の夜、酔っ払って友達に電話をかける夜‥など、その夜を過ごした年齢も場所もまちまちなのに角田さんの記憶の中の夜はみんな静かで少しそっけない。
    そんな変わらない夜の空気を優しいと思うか、怖いと思うかはその時の自分の状況で決まるんだろうな。

    例えば私の場合も、怖い本を夜に読むともう全然ダメで一刻も早く眠りにつかなければと焦ったり(でも部屋を暗くして目をつぶるのがもう怖い)、逆に夜の静けさの中を散歩をするのが無性に楽しくドキドキしたり、音楽を聴きながらめそめそしたり‥、昼間よりもずっと自分の感情が濃くなっている(変な表現だけれど)ような気がする。
    夜にはそういうところがあるのかもしれない。

    エッセイの中には異国の夜について書かれたものが多くて、それがまた新鮮で面白い。
    外国に行ったことがない人間からすると、角田さんの行動力と度胸はまるで勇者のようだ。

    • takanatsuさん
      まろんさん、ありがとうございます。
      「自分の見たくない部分もどんどん見えてくるようで」
      あぁ‥、分かります!
      ダメージを受けた作品、私...
      まろんさん、ありがとうございます。
      「自分の見たくない部分もどんどん見えてくるようで」
      あぁ‥、分かります!
      ダメージを受けた作品、私もありました。
      角田さん作品を読み始めて日が浅くて詳しくはないですが、幸せな気持ちになれる作品もありましたし、食に関するエッセイとかも面白いです。
      角田さんは多作な方ですし、まろんさんの好きになれる作品も絶対あると思います。
      (…て、プッシュし過ぎでしょうか。)
      レビュ、楽しみにしてます!
      2012/06/08
    • まろんさん
      いえいえ、takanatsuさんの感性、とても信頼しているので
      まずはエッセイから探してみます!
      くいしんぼうなので、食べ物関係からになるか...
      いえいえ、takanatsuさんの感性、とても信頼しているので
      まずはエッセイから探してみます!
      くいしんぼうなので、食べ物関係からになるかも♪
      2012/06/09
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      takanatsuさん
      「まさに憧れのシチュエーションです」
      今思うとホント贅沢。。。これからは意識して読む時間を確保しなきゃ、積読が増える...
      takanatsuさん
      「まさに憧れのシチュエーションです」
      今思うとホント贅沢。。。これからは意識して読む時間を確保しなきゃ、積読が増える一方です。

      横入りします。
      > まろんさん
      「女性の内面をあまりにも的確に切り取って」
      へぇ~
      私が読んで、それに気付くかなぁ?
      2012/06/11
  • 特に角田作品のファンではないんですが、数年前に雑誌連載を楽しみに読み続けていて、単行本化が待ち遠しかった本。

    角田さんの他のエッセイでも、夜に関するものが多いように感じていたんですが…角田さんの夜の彷徨をまとめたエッセイ。ご自身を「大変なビビり性」「国境というものに慣れていない」とおっしゃりながらも、ひとりバックパッカー旅とは、結構大胆な行動をなさってるような(笑)。

    一人バックパッカー旅の夜に驚くようなことや、残念なことに遭ったときのリアクションには、「角田さん、そんなあ」と笑いながら読めます。そこは椎名誠さんの旅エッセイと同じネタだとは思うんだけど、角田さんの旅は、「どうなっておるのか!」という怒りに転ずることもなく、そのびっくりも戸惑いも、一枚紗がかかったような感じで、理性的で克明にとらえられている。しかもどこか寂しく甘美。物理的にひとりでお過ごしになるのがお好きなのかもしれないけれど、自分と他人をきっぱり分けている孤独感がどのエッセイにもさしはさまれているからかな、と思います。旅先での『男を守る』は、なんだか大当たり感がありながらも、まさしく一夜の夢だし、『夜と恋』の、夜中にタクシーに飛び乗って走り出す感覚は、「今じゃなくても、明日があるでしょう」というまっとうな意見なんか吹っ飛んでしまうほど、切羽詰まって美しい。でもこれも、相手に近づけなかった、しかも過ぎ去って戻ってこない瞬間の寂しさが勝っているように思います。外れてるかもしれないけど、ポルトガル語の「サウダージ」ってこんな語感かな?と思ったり。

    昔から真性のビビりで人見知りもひどくておまけに夜が弱く、試験前に徹夜しては身体を壊し、飲みに飲んで午前様になることもほとんどなく、眠くなってきたらたちどころに機嫌の悪くなる私としては、夜でなければ知ることができない重さや静けさ、高揚感をほとんど知らずに今まできてしまったのではないか?と、ページをぱらぱらめくりながら思いました。残念な人生だ、私(涙)。

    穏やかな大人の語り口のわりに、装丁がちょっと乙女チックかなとも思いますが、すごく雰囲気がよくて行きとどいたブックデザインなので、本屋さんで勇気を出して、カバーをえいやっとめくってみられるのもおすすめかと。

  • 夜に関するエッセー集。
    旅の夜に関する話が面白い。
    予約も下調べすらせずに、こりずにしまったを繰り返す旅をしてきた著者のパワーに感動。
    予測不能なところが一人旅の良さ、それも夜になる時分のなんとも猥雑な感じとドキドキ感を増すなところが懐かしくなりました。
    読めば旅先で夜が楽しみになると思います。

  • 「夜」だからこその寂寥感、心細さ、物哀しさ…これまで過ごしてきた様々な夜の中にある印象的な記憶。かつての自分が経験した夜にまつわる思い出が、角田さんの描くエピソードに重なるものもあり、ぼやけていた懐かしい過去が甦った。
    修学旅行や合宿での、飲み会での、夜を徹した友との語らい。引越し前日の、そして引越し当日の、寂しさと新鮮さがごちゃまぜになった感情を持て余しつつ眠りにつく夜。旅先で夜景を眺め、高揚感に満たされる夜。あるいはすることもなく、途方に暮れながら夜空を仰ぎ、思いにふける夜。不安に苛まれ、自分の輪郭をくっきりと意識する、眠れない夜。ああ、こうやっていくつもの夜を重ねてきたのだなとしみじみと思う。特に若かりし頃過ごしてきた夜に思いを馳せると、恥ずかしいような懐かしいような…甘酸っぱすぎて何だか泣きたくなる。どういうわけだろう、夜になると素直に語れたりする。時にハメを外し過ぎてあれこれイタかったこともあったけども、泣いたり笑ったり、自分にとっては大切な時間だった…克明に思い起こさせてくれるのは角田さんの作品を読んだ時だけだ。
    これまでたくさん読んできた角田さんの旅エピソードも、夜をテーマにするとまた印象が変わるものだと改めて思った。それも、笑わせられたり時にしんみりしたり。緩急の付け方がお見事と思いながらも、全体的にしんとした空気感が心地よい、静かでしっとりした、「群青色」のエッセイだ。

  • 角田さんはいろいろな場所を旅している。
    知らない場所を旅したいという思いは私にも脈々と流れているので、旅と夜が書かれたこのエッセイ集を楽しく読みました。
    違う世界をみるわくわく感、一人である自分に気づく時、旅先であせったり、驚いたり、感動したり、角田さんが豊かに柔らかく感じた様々なことを読んでいると、自分の心がほぐされていくようでした。

    夜にまつわるエッセイでもあり、角田さんの記憶の夜たちが自分の前に広がってくるようでとても良かったです。
    「月の砂漠」の夜はドラマチックですね。
    「祈る男」で祈りへ思いをめぐらす部分も好きでした。
    「夜と恋」は切ないなぁ…。かつて二十代の自分が真夜中に切ない気持ちで歩いていたことを思い出しキュンとしました。
    夜を見つめている時間、見つめていた若い頃、なんて贅沢な時間なのでしょう。

    心に残ったのは、はじめて徹夜をした十七歳の夜が書かれた「出会うのは夜」
    今まで話したこともなかった同級生と話し込み、気づいたら朝だったという。
    その友人の内面との出会いに、なんだか小説のような世界が広がって素敵です。
    気楽に楽しめたのは「時間と旅する」。
    長距離フライトの機内の様子を書き(特に機内食)何度も不思議だという角田さんが楽しい(^ ^)。ふっと笑いを誘って上手です。

  • 漆黒の夜、降ってきそうな星、圧倒的な夜を体験しに行きたいとつくづく思った本。

    図書館で、同時に、偶然(必然?)手に取った本(旅のなかの旅、旅する胃袋、人間らしくヘンテコでいい)が、どれもが一人旅しながら、景色や風景だけじゃなく、自分のココロの中を旅する本だったことに驚きました。
    またどこかの国に呼ばれているような感じ。

  • 3ページ位で様々な夜についての想いを書いてある。

    旅先の夜、初めて徹夜をした時の夜、引っ越しの夜、飛行機の夜…。

    色んな夜があるけれど、やはり夜って人間を個人に戻す時間なのかなと思う。

    昼は外の自分、でも夜は自分に帰る。

    この不思議な空気感って誰しも感じるんだろうね。

    テーマは夜だけれど、こんなにふり幅があるんだね。

    1番怖くなるのも、1番幸せを噛み締めるのも夜かも。

    1話1話がとても短いので読みやすい。

  • 夜に関係する20話以上のお話が入ったエッセイ集。

    角田さんはバックパッカー的な一人旅もされる人で、その旅先での夜の話やその独自の感想、友達と自分の家で電話しながら夜を明かしたこと、夜行列車の話など、夜の心細さ、夜ならではの心情に共感できる部分があって面白かった。

    特に飛行機の中での話、さしておいしくもない機内食を完食してしまい、そしてちょっと落ち込む、なんていうのはそれそれ!なんて思えて良かった。

    • HIROKOさん
      > nyancomaruさん

      お返事遅くなってすみません!
      夜のメールとか手紙とかってすごい感情的になりますしね…翌朝自分が赤面しち...
      > nyancomaruさん

      お返事遅くなってすみません!
      夜のメールとか手紙とかってすごい感情的になりますしね…翌朝自分が赤面しちゃうような(笑)
      夜への感じ方がこうやってあらためて文章にされていると、何気ないことが特別に感じられるようになって、すごい共感できました♪
      2012/08/27
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「すごい共感できました♪ 」
      初・角田光代はこのエッセイにしようかな。。。
      「自分が赤面しちゃうような(笑)」
      あります。そう言う時って!
      「すごい共感できました♪ 」
      初・角田光代はこのエッセイにしようかな。。。
      「自分が赤面しちゃうような(笑)」
      あります。そう言う時って!
      2012/08/28
    • HIROKOさん
      > nyancomaruさん

      角田光代は好きでいろいろ読んでいますが、さら~っと導入的に読むならこれがいいかもしれませんね♪
      > nyancomaruさん

      角田光代は好きでいろいろ読んでいますが、さら~っと導入的に読むならこれがいいかもしれませんね♪
      2012/08/31
  • 国際線飛行機内での人工的な夜。
    家族に付き添う病院の「開いている」夜。

    自分も過ごしてきた幾百の非日常の夜と
    幾千の日常の夜を想った。

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プロフィール

角田 光代(かくた みつよ)。
1967年、神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。
1990年、「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞し、小説家としてデビュー。受賞歴として、1996年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞を皮切りに、2005年『対岸の彼女』で第132回直木三十五賞、2007年『八日目の蝉』で中央公論文芸賞、2011年『ツリーハウス』で第22回伊藤整文学賞、2012年『紙の月』で第25回柴田錬三郎賞、同年『かなたの子』で第40回泉鏡花文学賞、2014年『私のなかの彼女』で第2回河合隼雄物語賞をそれぞれ受賞している。
現在、小説現代長編新人賞、すばる文学賞、山本周五郎賞、川端康成文学賞、松本清張賞の選考委員を務める。
代表作に『キッドナップ・ツアー』、『対岸の彼女』、『八日目の蝉』、『紙の月』がある。メディア化作も数多い。

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