- Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041100691
作品紹介・あらすじ
深い友情と信頼で結ばれていた花の名手・池坊専好と茶の名人・千利休。ところが、秀吉の怒りを買った利休は、非業の死を遂げる。花をも捨てかけた専好だったが花の力で立ち直った。しかしその後も、専好のまわりの罪なき人たちの命が失われていく。怒りに震える専好に、秀吉への復讐のまたとない機会が訪れる…。池坊専好と千利休感動の歴史ドラマ。
感想・レビュー・書評
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華道を志す者として背筋の伸びる思いがした。
花の声に耳を傾け、その美しさを最大限に生き返らせる。人を感動させる花立になりたいものだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【最終レビュー】
図書館貸出。
2017年公開わ・映画化原作本(文庫本も発刊中)
*映画『花戦さ』公式サイト(森下佳子さん脚本)
http://www.toei.co.jp/movie/details/1207345_951.html
既読直後、不思議に自分の中で『感慨無量』に『込み上げる想い』を漂っていた感覚を覚える程でした。
内容そのものは、現代に十分に置き換えられる『要素となる部分』も、所々にあったので、自然と溶け込めていました。
〈奥行きある風情の空間美〉の中で繰り広げられる
〈茶道と華道〉の〈趣深い『奥底に秘められた「互いの醍醐味」を通して辿り着いた「共通項となるキーワード」』〉
を土台にしながら
今の時代、こういった陰日向にある世界が薄れる中で
〈人はこうでないといけないんだよ!〉
という、利休・専好の姿を通して伝わってきた
〈切実に、実直に〉訴えかける
『メッセージの数々』に
『本当にごもっとも!』
だとつくづく、しみじみ感じ入りつつ、途中でふと、涙をふと浮かべながらのシーンもあったり…
そんな感触に陥りながら、後半は、
振り幅の広い『あらゆる人間ドラマの数々』に釘付けでした。
これ以上は、ネタバレになるので、この辺りで…
個人的には、ある寺院がメインの舞台ということで
『禅に込められたテーマ』にも十分にリンクする『内容』ともいえるかと、自分の中ではそう感じています。
[無欲無心]
[無ければ無いだけ、大切なものが際立ってくる]
[人それぞれ、いろいろあってもよいのです]
[目には見えない深い所]
[花=心の鏡]
[足元の仕上げ]
後は、脚本・森下佳子さんがどう、この雰囲気そのものを脚色しているかどうか。
今から興味が一層沸いていますし、来年度、スクリーンでどう映し出されているか、映画の完成を待ちたいと思います。 -
知人の推薦と京都旅行の際の六角堂との出会いに導かれ手にしました。美と命という重い主題が友情という身時かな物語で編み込まれています。「ひょうげもの」のアナザーストーリーとして満喫できました。90分ぐらいの映画を見たような読後感でしたが、やはり作者はそういう仕事にも慣れているような方なので映像化される日も来るかもしれません。茶の湯がなかなか映像で伝えるのが難しいのに対して、花の咲き乱れる絢爛なビジュアルになるのか?池坊の総力戦になりそうなプロジェクトかも。
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12/06/02 池坊専好VS秀吉
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深い友情と信頼で結ばれていた花の名手・池坊専好と茶の名人・千利休。ところが、秀吉の怒りを買った利休は、非業の死を遂げる。花をも捨てかけた専好だったが花の力で立ち直った。しかしその後も、専好のまわりの罪なき人たちの命が失われていく。怒りに震える専好に、秀吉への復讐のまたとない機会が訪れる…。池坊専好と千利休感動の歴史ドラマ(「BOOK」データベースより)
利休は小説にもドラマにもなっていたけれど、池坊専好について書かれたものはあまり無かったように思います。
やはり死に方が切腹という、利休のインパクトの影に隠れてしまうのでしょうか。
でもこの作品を読むと、同じ時代を生きた専好も、彼なりに闘ってきたのだなぁと、その生きざまに感服することになると思います。
できる限りのものをそぎ落とし、そのものの中に潜む美を現す。
花を立てる事で秀吉の傲慢さを戒めた大いくさ。
花の人として生きた専好の姿に、胸打たれる物語でした。
著者プロフィール
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