- Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041100707
作品紹介・あらすじ
大政奉還後、薩長の新政府に徳川家が恭順の意を示すと、諸藩も次々とこれに従ったが、榎本武揚は新天地を求め、旧幕府海軍を率いて蝦夷地へと向かう。かつてペリー来航を迎え、海軍草創期を支えた浦賀衆たちも同調し、佐々倉松太郎、中島恒太郎・英次郎兄弟、朝夷正太郎・三郎兄弟の五人も、若年ながら加わった。が、最新鋭の開陽丸が暴風に遭遇、五人の必死の努力も空しく、座礁してしまう。榎本らも一枚岩でない中、新政府軍が五稜郭に迫る。箱館戦争と、残された者の人生を描ききった、書き下ろし歴史長編。
感想・レビュー・書評
-
今、維新とか新撰組とか軽々しく言われているけど、それが恥ずかしくなるような感動的な作品だった。戦いの歴史に残る人物は、ほんの一握りであって、ほとんどがこのような悲しい人生を送るのだろう。五稜郭に行ってきます。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なんというマニアックな人選なのか!浦賀衆を中心とした箱館戦争の話。登場人物はすべて実在した人物である。しかし同じ海軍の話なら「群青」の方が面白かった気がする。
全体的には少々駆け足で、うーん?と思うような所もあったような気もするが、勢いがあったので一気に読めた。字も大きくて読みやすい。朝夷兄弟が「朝比奈」だと思っていたので初めて本当の名前を知った。
ホントに海軍中心の話なので陸軍はチラと出る程度だが、戊辰戦争や箱館戦争をあまりよく知らない人にも読めるんじゃないかなと思う。ただ主人公達若い者の考え方がなんとなく、二次大戦の兵士を思い出させてしまった。
著者さまがHPで「若い男がいっぱい出てくる話なら映画の原作になるかも」とこの話を書く際のネタばらしをされていたが、それは言わない方が良かった。最近の時代小説書く人ってみんなそんな事考えて書いてるのだろうか…ちょっと残念な気持ち。 -
戊辰戦争の様子がよくわかった。
官軍と賊軍の勝負を分けた差は、これからの世の中をどうするか?と言う思想の違いではなかったのだろうか。 -
幕末から明治の混乱のなかで、まだ二十歳にもならない若い士官たちの函館での戦いに身を捧げていく様子が切ない。明治の開化のなかで、その時代のどの身分だったかによって様々に翻弄されていく様子と、そのなかでも自分の道を切り開いていく主人公の辛さと信念に心を打たれる。
-
歴史ものは基本読まないんだけど、NHKの大河ドラマを見ている感覚で読んだ。上に立つのも人を率いるのも死ぬのも生き残るのも待つのも、つらさと強さが満載。読みやすかった。
-
実在の人物の小説
土方歳三があっさり描かれててちょっと・・・ -
維新後の五稜郭での戊辰戦争を舞台にした少年たちのお話し。
この本はおもしろいかどうかの判断ができなかった。その理由は登場人物の名前、松太郎、恒太郎、正太郎、英次郎など似た名前で、かつキャラクターも特徴がないので誰が誰だか分からなくなってしまいストーリーが、ほとんど頭に入ってこなかった。
分かりに安い名前にする必要はないけど、キャラで区別できるくらいの書き方にしたらどうだろう。
北方謙三さんの水滸伝あたり、どれだけ登場人物が増えても分からなくなることがないのは、やはり書き手の技術力なんだと思う。 -
初出の記載がないため書き下ろしか。
浦賀奉行所の与力から軍艦操練所の教授となり、咸臨丸でアメリカまで自力航海を果たした佐々倉桐太郎の息子である松太郎が主人公。
軍艦操練所で学び、肺病に罹った父に代わって軍艦組頭、海軍所頭取と若くして出世したが、幕府が戊辰戦争に敗れて、軍艦が薩長の官軍に接収されるのを嫌って、榎本武揚を中心に脱走艦隊を組んで蝦夷地へ向かい、浦賀与力の幼馴染の中島恒太郎、英次郎らとともに、彼らの父中島三郎助と隊長として開陽丸に江差の警備についていたが、嵐で座礁し、船を捨てて五稜郭に入る。
開陽丸を失った責任を感じる浦賀衆は、五稜郭を出て千代ケ丘の旧陣屋を台場にして守り、官軍の函館上陸を迎え撃って目覚ましい働きをし、松太郎は榎本の小姓として身近に仕えるようになった。
しかし、圧倒的な戦力の官軍の前に千代ケ丘は全滅し、包囲されて榎本が降伏を決断したことで、仲間のうちで松太郎だけが生き残ってしまった。
翌年赦免されて静岡に移った実家に行くと、父からは生き残ったことをなじられたためにそのまま立ち去り、東京で職を探すが脱走軍の生き残りには世間は冷たかった。
海軍兵学寮の権頭となった父の世話で兵学寮につとめて、20年が過ぎ、浦賀に中島三郎助の記念碑を建てるとともに、浦賀衆の夢だった造船所を浦賀に建設したが、51歳で病没する。
中島兄弟らと5人で戦死したら五稜郭のように5つの星となろうと語り合っていたことを死の床で夢見ながら。
植松三十里らしい良く資料を調べた骨太の構成だが、結末が夢で終わるのは少々不満。
著者プロフィール
植松三十里の作品





