日本の文脈

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レビュー : 82
  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041100783

感想・レビュー・書評

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  • (以下引用)
    中沢:大学組織の中での教育ということに限界を感じていることもあるんですが、同じ世代の学生ばかりが集まっているよりも、いろんな世代に、いろんなバックグラウンドを持った、いろんなタイプの人が集まって一緒に学ぶほうが生産的な場所になるだろうと思うんです。(P.79)

    内田:それは世界中一緒ですよね。男の子は旅に出る。そして女の子のほうはどこからか流れてきた、何を言っているのか、何を考えているのかわからない流れ者の男に惹かれる。そいういうふうに混交することで、生物学的多様性を担保しつつ、同時に戦争を回避した。戦争とエロティシズムって、他者と出会ったときにどう振る舞うかをめぐる二つの選択肢ですものね。(P.183)

    中沢:いまの日本は何もかも破綻して荒廃しているように感じることもありますが、人間が直面するさまざまな問題を先取りしているようにも思えます。少子化にしても高齢化にしても、いろんな問題に日本人は先駆けして直面していて、とすれば、これに率先して解決を与える努力をしないといけない。(P.238)

    内田:だから僕たちが「頭がいい」と思う人って、知識がたくさんあるとか、ぺらぺら速くしゃべるとかじゃなくて、思いがけないところに同型性を発見する人のことだと思うんです。(P.250)

    内田:共同体は「これだけのサービスをしたらこれだけの報酬が返ってくる」という等価交換、商取引のモデルではないですから。共同体というのは非対称の関係なんです。子どものときには親に育ててもらって、大人になったら若い子を育て、老人になったら介護してもらう。そういうふうんj回り持ちなんです。いつも他者から支援されているか、支援しているかのどっちかであって、サービスと報酬が等価であるときて、実はいっときもないんです。いつも贈与しているか、贈与されているか、どちらかなんです。(P.276)

  • 120404 WBS スミスの本棚

    小林武史さんおすすめ

    http://www.tv-tokyo.co.jp/wbs/blog/smith/2012/04/post127117.html

  •  最近内田さんの本の内容がスピリチュアルな方向に向かってる、といくつか前の本にレビューで書いたのですが、

     それをうまく、「あぁ、そういうことか。」と説明していた対談本だった気がする。

     個人的に、東日本大震災が、我々の生き方の転換点になる、というような受け止め方がまだできていない気がするのですが、

     ただなんとなく、教育現場に身を置いている存在としては、

     今までの価値観では通用しない何か、をまだ言語化できていないけれど感じる。

     それをいち早く察して、世に送り出している本なのだと思う。


     わたしには、何ができるのだろう。

     「これからの贈与社会」。教育とビジネスを同じくくりで考えてはいけない、という考えから一歩進んで、踏み出していく必要性を突き付けられた。

     ただ、教員として、わたしは、生徒さんに何も贈ってあげていることができていないのではないか、というジレンマをものすごく感じる。

     生徒さんから未だ、色んなものを、貰うばかりなのだ。

     還元していかなくちゃいけないのに、貰ったものは手に有り余るほど大きくて、日々の関わりに感謝せずにはいられない。自分がここに居させてもらえる喜び。わたしはどう、彼らに返してあげられるのだろう。


     授業の終わりにいつも書いてもらう反省と感想に、毎時コメントを書くことや、担任に諌められたときの、副担任としてのフォロー、毎日機嫌よく過ごして、生徒の皆さんに、働くことって、誰かのかかわりになれるって、嬉しいことなんだと伝えること、分掌の仕事として、悩んでる子はいないか、悩んでる子はどう対処のアドバイスしていったらいいか対策練ること、


    そんな些細なことじゃ、全然足らん。申し訳ない。

     これから、一人で生きていかなくちゃいけないってなったときに、日々の生活の中で、誰かにかけられた馬鹿みたいに些細な一言が、生きる上で思いがけないくらい大きな支えになるっていう経験が、私にはあるのだけど、おこがましくも、たった一人でいいから、誰かのそんな風な支えになりたいと、願う。


    わたしは、大学を出るときに、
    「お前が教員やるの?」って複数の人に言われたw

    自分でもそう思った。

    だから、初めてもらったお給料に、自分はこんなお金をもらうに値しない人間だと思って、

    あぁ、働くって、こうやってわたしに投資してくれたことに対しての恩を返していくことなんだと思って、5年の月日がたった。

    未だ、わたしは、日々のお給料をもらうに値しない人間だと思い知らされる。

    働くことをやめるとき、わたしは、
    もう十分やった、なんて充足感、覚えられるんだろうか。

    頑張りたい。もっともっと、頑張りたい。

    なんかたぶん、本とは全然関係ないのだけど、
    この本を読んで、そんな事を思った。

  • 面白かった。
    同い年の思想家同士の対談。
    放談と言えるくらい話は自由に広がってはいるものの、一貫した俯瞰というか、人類史を前提とした継続性を前提として現代を読み解いている。

    面白い本でした。
    こういう勉強もっとやってみようかな。

  • 2人の思考がかっこいい。特に内田さんの武道や能楽など体を使った道を極めようとしているところからの発言に励まされる。
    今の日本の状況を悲観しすぎることなく受け止められる気がする。

  • むさぼるように読んだ。

    「専攻」というのがあるが、あれはなんというか間違っている気がする。なにかひとつのことをやたら詳しく知っているのは、確かに素敵なことだけれど、それだけでは不十分だ。
    学問はたぶんすべてどこかで繋がるところがあって、だから不要な学問なんてないのだ。知らなくていいことなんてない。
    呪術、武道、宗教学、文化人類学…、興味のある学問がこの世にはまだまだある。知らない世界がたくさんある。

    人生で出会うものはきっと、伏線なのだろう。

  • 「日本辺境論」の内田樹さんと、中沢新一さんの対談集。中沢さんってあまり
    いままで知らなかったのですが、内田さんの日本辺境論はとてもおもしろかったです。
    今回も内容的には難解な部分もあるのですが、日本特有の難解なマナと
    平易なカナを通訳する日本人的な「おばさん」であると自称されている
    二人の話はとても有意義な内容であったと思います。
    特に最後の原発と一神教とを並べて論述されているコラム「荒らぶる神の鎮め方」は秀逸だと思います。

  • 男のおばさん、贈与の考え方、プリコラージュ等等、お話が行ったり来たり飛んでったり潜ったりで、人間について深いことを語っているのにとても楽しい。実際の対談はどんなかと、一度拝聴したいものです。

  • 途中まで読んだ。感性を研くことと考える練習。

  • 内田先生を追っかけています。でも僕の頭ではついていけな〜

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著者プロフィール

うちだ・たつる 1950年東京生まれ。武道家(合気道7段)。道場兼能舞台兼私塾「凱風館」館長。神戸女学院大学名誉教授。翻訳家。専門はフランス現代思想史。東京大学文学部卒業。東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。ブログ『内田樹の研究室』。



「2019年 『そのうちなんとかなるだろう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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