日本の文脈

  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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レビュー : 82
  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041100783

感想・レビュー・書評

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  •  内田樹と中沢新一の対話集。2009年4月から2011年10月5月の間に交わされた8回分が収められている。ともに1950年生まれで、1970年に東大に入学、キャンパスで顔を合わせているはずなのに、出遭う機会がなく、60歳近くなって意気投合、対談集の刊行に至ったという経緯も興味深い。
     話が噛み合いすぎて、時に馴れ合いに近くなり、「この対談は面白いけど、もう一人加えて鼎談とした方が良かったんじゃない?」などと茶茶を入れたくなるほど。とは言え、300ページを超えるボリュームで、二人の会話は弾み、中身もなかなかに濃い。
     読み進めていると、二人を深いところで繋いでいるのは、レヴィナスとレヴィ=ストロースであることが浮かび上がってくる。レヴィナスの「始源の遅れ」の概念は自分は遅れてこの世界に参入した存在であるという自覚である。私という存在は神からの贈り物なのであるという思いは、必然的に何かお返しをしなければという反対給付へと人を突き動かす。一方、レヴィ=ストロースのブリコラージュ(使い回し)の概念は、日本の文化の見直し・使い回しを促す。
     こうした文脈の中で、農業の再評価が話題になるのも自然な流れである。「太陽からの贈与としての農業」が語られているが、これは、農業従事者である私も日々実感しているところ。農業や林業・漁業といった第一次産業のみならず、インターネットの技術革新にも人類学的贈与が関わっていることに気付かされる。存在論と文明論を深く考察するためのヒントに満ちた対話である。

  • 内田樹好きなので一応読了。中沢新一との対談集。中沢新一って意外とかわいい人なんだなぁ、と思い嬉しくなりました。

  • 右でも左でもなく
    上でも下でもなく
    黒でもなく白でもなく
    原理主義がちがちでもなく
    どっちつかずでもなく
    ほどよい
    (ぬくもるお湯のたっぷりある)
    いい加減さが
    すばらしい

  • 場所を変えて行われた内田先生と、中沢氏の対談。二人の大学入学年度は私が生まれた年。ま、内田先生はいつもの話し。贈与論。相手に「価値の分からないもの」を贈ることによって、その価値に迷いながら「お返し」を贈る。それが繰り返されることが大切。内田先生の贈与論の肝は、贈与の中身ではなく、贈与によって「あなた」が必要であることを確認する作業、ということを改めて知る。

  •  相変わらずの内田節に、ちょっと神秘主義の気があってあぶなそうな中沢新一さんの対談集。

     途中で参加している平川さんに中沢さんってちょっと神秘主義であぶなそうじゃないか、とまじに聞かれている。(p227)

     でも、アタマが休まるというか、元気がでる発言多し。

    (1) 内田:学問的なテーマでも日々の生活でも、わくわくを選択していくとなんとなくいいことが続いておきる。(p117)

    (2)中沢:NHKの龍馬伝をみていたら、龍馬が「わしらなにもいらんき」といっていた。(p222)

     龍馬は日本をまもりたいという志だけで、一銭もいらないという発言。自分も劇の中の発言だとしても、その志には心打たれる。

    (3)内田:東洋的な学びが目指しているのは、正解ではなく、成熟だと思う。(p258)

     なんとなく、読後に元気がでるのは、こういう、筋のあまり通っていないけど、現状も否定しない、ふにゃふにゃした言動が心に平静を与えるのかなと思う。

  • amzから届いて即読、2章まで読んだところでフライングコメント。

    最近、価格を抑えようとして表紙や本文の紙質がかんばしくない流れと感じていたけど、この本の紙質の「麗しさ」にまずうっとり。
    著者以外の作り手の方々の意気込みをずしりと受け取る。「読まなくなっても大切に置いといてね」というメッセージが表紙の裏側とかに書いてありそう(書いてないけど)。

    いま(2月3日)のところ、草薙くんのくだりに爆笑。
    僕もいつか内田さんとこういう会話をしてみたい(「昨日の、しゃべくり007見ました?」みたいな)。

    あーおもしろい(2012/2/3)。

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著者プロフィール

うちだ・たつる 1950年東京生まれ。武道家(合気道7段)。道場兼能舞台兼私塾「凱風館」館長。神戸女学院大学名誉教授。翻訳家。専門はフランス現代思想史。東京大学文学部卒業。東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。ブログ『内田樹の研究室』。



「2019年 『そのうちなんとかなるだろう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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