日本の文脈

  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.81
  • (34)
  • (83)
  • (53)
  • (6)
  • (1)
本棚登録 : 667
レビュー : 82
  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041100783

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 「希望論」で感じた足腰の弱さ。
    それは時間的スケールの短さがその原因なんだろう、
    と、本書を読んで思った。

    本書は、
    「希望論」と似たような結論に至っているのだけれど、
    反面この二人の人間の原初を見つめるまなざしは、
    強靭な身体性を伴って確かな実感を与えてくれる。

    ここで言われている「男でおばさん」というのは、
    わたしが昔から思っていた「中性的」であろうとする構えと似ている。

    もしかしたら、
    レディオヘッドやジェフ・バックリーやシガー・ロスや七尾旅人の音楽に惹かれるのも、
    こういういった志向と無関係ではないのかもわからない。

    また、
    ドラクエにおいて、メガンテよりもメガザルが好きなのも、
    メガンテの「自己犠牲による敵の殲滅」という攻撃的(父性的)なものより、
    メガザルの「自己犠牲による味方の救済」という包摂的(母性的)なものに、
    より価値を見出しているせいかもわからない。

    なんにしろ、
    様々な問題の最先端を行く日本の動向が、
    世界の道しるべになるということを肝に銘じておけば、
    案外毎日機嫌よく過ごせるような気もしている。

  • ・教える人は教壇に立って、生徒はノートをとる。時代が変わってもあまり変わらない。ということは理解できる以上の仕掛けが組み込まれている可能性。学校・医療・親族・司法・宗教など。よくわからない決まりごとについては軽々に理非を判断すべきでない。
    ・交換の本質は、おたがいに、相手いにはその価値や有効性が分からないものを送る、そのような贈り物だが交換を継続し加速する。ここに交換の欲望が発生する。
    ・日本人はエッセイが得意。堅固な構築物を作るように哲学として思想を表現するよりも能楽・茶道・華道などの芸道として表現した。
    ・スーパーフラット:日本人は平面化して薄くするのが得意
    ・本に書いてあるものを読んで、分かった気になるのは非常に危険
    ・伝統芸能は、伝聞ゆえに、中空性を維持している
    ・日本人に国家は向いていない。地域共同体ぐらいがちょうどいい
    ・ユダヤ人になくて日本人にあるもの:農業と里山文化
    ・自分のローカリティ−を徹底するのが日本人にはよい。世界を目指すのではなく、ローカルを突き通す。
    ・メンバー全員が平等である、という前段階として、メンバーであるかぎりは同一のルールに従わなければならない、という制約がある。
    ・社会が上り坂の時は民主主義がうまく働くが、マイナスに働く時期もある。
    ・民主主義をうまく機能させるにはつねに贈与する人やシステムが必要
    ・医療・教育・宗教は根本に贈与があるのでビジネスが入るとダメ。
    ・Time is time.
    ・米国の介護施設は万人受けするように合理化して作ったが失敗。
    ・自然にいいことだけしよう、という発想が無理。エコの考え方の限界。
    ・非生体圏の核技術と生体圏のタービンと媒介する部分の技術が脆弱
    ・自然は征服するものでも守るべきものでもない。恵みをもたらしてくれるもの
    ・廃県置藩
    ・地域通貨:通貨の中に人間関係が入っている。言語や食べ物を共有する小さい範囲の中で人間関係を大事に作っていくところに戻るべき

  • 多様なトピックに的確な論考を進めるお二人の話にのめり込んだ感じだ.引用される本のジャンルが豊富なことも凄い.「原発と一神教」,「大阪人の謎」,「閉じた社会のよさ」が面白かった.

  • 経済効率を考えなくていいなら、楽だよなと思った。


    日本の聖地文化を読んでからこれを読むと、より理解しやすかったかなと思った。


    労働パフォーマンス向上‥努力と報酬の法則がわからない時

    自然で、自分ではコントロールできない部分・ノイズにタグをつける

    新石器時代の精神(アメリカの先住民)と技術文明

    ギフト‥与えられたことへの感謝=労働・能力への感謝・自然への感謝

    ごきげん

    血で築かれた民主主義

    武道の真髄は「天下に敵なし」 ‥刀を抜く場面に遭遇しないように、刀を抜く稽古をする。

  •  内田樹と中沢伸一の対談本。この二人がこんなにも意気投合するのはやや意外でもある。だが、話題は様々な方向に飛び、大変に面白かった。結局、「贈与」という概念がこれからは大事だと思った。

  • 非常に読み応えがあって、面白い。貪るように読んだ。
    が、最終章の手前でブランクがあいてしまって、
    うまく内容が繋がっていない。近いうちに再読したいです。

    現代を代表する2人の思想家、内田樹と中沢新一。
    同い年、同窓生である彼らの対談をまとめた一冊。

    主に〝贈与論〟を軸に、
    様々な事象をいろんな角度から切り取って話しています。
    事象に対する捉え方、見方を俯瞰的に知ることで
    柔軟な思考が培われるということですね。

    くるくるとめまぐるしく話題が変わるのは、
    彼らの引き出しの多さ、深さによるのでしょうか。

  • 2人の思考がかっこいい。特に内田さんの武道や能楽など体を使った道を極めようとしているところからの発言に励まされる。
    今の日本の状況を悲観しすぎることなく受け止められる気がする。

  • むさぼるように読んだ。

    「専攻」というのがあるが、あれはなんというか間違っている気がする。なにかひとつのことをやたら詳しく知っているのは、確かに素敵なことだけれど、それだけでは不十分だ。
    学問はたぶんすべてどこかで繋がるところがあって、だから不要な学問なんてないのだ。知らなくていいことなんてない。
    呪術、武道、宗教学、文化人類学…、興味のある学問がこの世にはまだまだある。知らない世界がたくさんある。

    人生で出会うものはきっと、伏線なのだろう。

  • 内田樹と中沢新一の対話集。
    この二人が同い年というのも新鮮な驚きだし、同じキャンパスにいて、同じ関心を持つ二人が顔見知りでなかったというのも何とも不思議。

著者プロフィール

うちだ・たつる 1950年東京生まれ。武道家(合気道7段)。道場兼能舞台兼私塾「凱風館」館長。神戸女学院大学名誉教授。翻訳家。専門はフランス現代思想史。東京大学文学部卒業。東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。ブログ『内田樹の研究室』。



「2019年 『そのうちなんとかなるだろう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

内田樹の作品

ツイートする